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2009 08,08 14:00 |
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【8月6日 AFP】(一部更新)中国北西部の青海(Qinghai)省海南チベット族自治区(Hainan Tibetan Autonomous Prefecture)興海県(Ziketan)で発生した肺ペストで6日、初期検査の結果、最初に死亡した牧畜業の男性の飼い犬が感染源とみられることが明らかになった。中国国営新華社(Xinhua)通信が、地元当局の情報として報じた。 報道によると、飼い犬がペスト菌に感染したマーモットを食べて死亡し、この犬を埋葬する際に飼い主の男性に感染した可能性が高いという。男性は、犬を埋葬した3日後に死亡した。 肺ペストは空気感染で感染が拡大しやすく、当局は厳しい隔離措置を取って住民の移動を禁じ、道路に検問所を設けて監視している。ただ、5日の新華社報道によると、興海県では感染を恐れる住民らが相次いで町を脱出しており、AFPの電話取材によると、検問を避けて徒歩で避難しているという。実際に隔離地域を脱出した住民がいるかどうかは不明。また、町中は大半の店がシャッターを下ろし、住民は家にこもっており、ゴーストタウンのようだという。 これまでの感染状況は、1人が重体、ほかに7人の感染が確認されている。感染者の多くは最初の死者の親族だという。興海県は省都西寧(Xining)から南西に約200キロ。(c)AFP 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
肺ペストは、空気感染し、しかも発症するとほぼ1日で死に至るそうです。
ペストは腸内細菌に属するグラム陰性桿菌のペスト菌 (Yersinia pestis)による細菌感染症である。日本では強制隔離し得る数少ない法定伝染病である。日本では1926年以降発症の報告はない。発症には地域性があり、1)南アフリカ~マダガスカル地方、2)ヒマラヤ~インド北部、3)中国雲南省~モンゴル、4)北米ロッキー山脈地方、5)南米アンデス山脈地方に多い。また、ペストには、i)原発性に起こる肺ペスト (primary pneumonic plaque) と、ii)腺ペストなど経過中に血行性に転移して2次的に起こるペスト性肺炎 (secondary plaque pneumonia) がある。
ペスト患者の診療にあたった医療者が皆無に近い日本の現状において、万一ペストが発生した場合、迅速な診断・治療が可能かどうかについては困難な面がある。生化学兵器として利用される微生物は、1. 人から人に容易に伝搬し、2. 致死率が高い、3. 社会的なパニックや社会の崩壊を招くものが想定される。それに対して、公衆衛生・医療上の特別な対策が必要である。対策の基本は封鎖・同定・洗浄化・予防と治療である。生物兵器として、WHOは仮に50kgのペスト菌がエアロゾルの形で500万人都市に散布された場合、最悪のケースでは15万人が肺ペストになり、36千人が死亡すると報告している。
A,病原菌と感染形式 B,日本における流行について 輸入ペストによる大阪における第一回のペスト流行(1899~1900)では、肺ペストによる医者やその家族などにも犠牲者が出て、入院患者161人中、全治わずか15人に過ぎず、1900年の12月に終焉している。第二回の大阪での流行は、日露戦争に関連して1950年から1911年の長期にわたり大流行している。その後小流行を繰り返し1921年4月に1人が入院して、これが国内入院患者の最後である。
発症は突然悪寒戦慄を伴う高熱で始まり、激しい頭痛と四肢痛、めまい、嘔吐、意識障害などが出現し、急激に心不全や循環障害に陥る。最も多いのは腺ペストで全体の84%を占めており、死亡率が高いのは、ペスト敗血症と肺ペスト及び2次的に起こるペスト肺炎である。初発例の診断は困難で鑑別診断が大切であるが、流行が起これば診断は容易となる。診断には病型によって被検材料からペスト菌の検出同定を経て診断にいたる。 *肺ペストの特徴 二次的に発症する事が多い。症状は菌の暴露後1~6日後から起こり、強烈な頭痛と高熱・呼吸困難・胸痛・咳嗽や喀痰などが生じる。臨床的に熱烈な経過を呈する以外に、嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状を伴うことが多いのが特徴である。また、死亡率が高い。 *バイオテロリズムによる肺ペスト診断の端緒 通常とは異なる重症肺炎、急性呼吸不全症例である。多発する場合には、ペスト菌テロリズムを考慮する。このような重症肺炎を見た場合、すぐに所属保健所に連絡することが重要である(ペストは感染症新法による1類感染症である)。
発症後速やかに治療が開始されないと予後が非常に悪い。ペストにはペニシリンは無効であるが、ストレプトマイシン(SM)、カナマイシン(KM)、クロラムフェニコール(CP)、テトラサイクリン(TC)、サルファ剤などが有効である。後、対症療法、外科的治療なども必要で、重症敗血症や肺炎例では、DICやショック対策にヘパリンやグルココルチコイドの静注などが必要である。手指や四肢末端、皮膚などの循環不全、壊死など、いわゆるblack deathには、外科的な切断が必要となる。
無治療の場合の致死率は腺ペストで60%、敗血症や肺ペストでは100%に近いとされていたが、早期化学療法が行われた結果致死率は腺ペストで0に近いとされている。ただし、原発性肺ペストの予後は悪く、少なくとも発症後18時間以内に化学療法を始めることが大切で二次的に肺炎や髄膜炎への移行を防ぐことが予後を左右する。また、ショックもDIC治療の適正さで予後が変わることや妊娠、幼児での予後が悪いのは当然である。 PR |
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