2024 11,23 16:51 |
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2009 01,17 11:00 |
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日本の取引所体制の抜本改革を目指した政府の「総合取引所」構想が、 取引所の整理統合や関連規制の変更は個人も含めた多くの投資家に様々な 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
大分県別府市のトラック運送会社社長、三浦政人氏は、経営を大きく圧迫した昨年夏の原油暴騰を先物取引の活用で乗り切った。同氏は、自社の大型トラック約100台が使用する月間約540キロリットルの軽油のうち、約4割について元売業者に一定の希望価格の指値を出し注文している。決められた数量を一定の価格で事前に確保することで、軽油価格の変動が営業経費に及ぼす影響を小さくしようというわけだ。 先物取引を始めて約4年。昨夏の軽油高騰時に、あらかじめ安く手当てしておいた軽油価格と値上がり後の価格とのギャップがみるみる広がり、年間1000万円程度の差益が出た。 しかし、三浦社長は「あくまでも実需の一部を先物取引で調達するだけ。全部を先物取引には頼らない」と、先物取引に依存することには慎重だ。「先物業者はよくわからないし、(取引は)心も汗もない浮き草のようなもの。そこで利益を上げても好感できないし、トップが地に足をつけていなければ社員の志気が乱れる」(三浦社長)と打ち明ける。 消費者にとって利点があるのに、そのニーズを十分に取り込めない先物取引。都内で個人タクシーの運転手をする廣野隆男氏も、三浦氏と同様、ガソリン価格高騰のリスクを回避する先物取引の効果は認めつつも、利用には距離を置く。「若いドライバーは関心を持つかもしれない。しかし、私はかえって損失を出すと困るのでやる気はない」。
日本の取引所にとって、個人投資家の参加を促し取引を拡大するには、 個人投資家が期待できる利点は何か。1つは、取引所の取り扱い商品が増えることだ。たとえば大証でガソリン先物が上場されれば、個人タクシーの経営者は大証でのガソリン価格の上昇リスクをヘッジ(回避)もできるようになる。さらに証券、商品先物の取引所が1つにまとまれば、投資家が取引所ごとに支払っていた証拠金を一本化できる可能性もある。投資家にとっては事務手続きが簡素化できるほか、経済的な負担も減らせるメリットがある。 法改正を見越し、商品企画を模索する証券会社も出始めた。コスモ証券の佐野譲治・ネットトレードセンターFX室長は「米国ではガソリン、農作物などの先物取引が浸透している。日本でも身近な商品が証券取引所で売買できたら、主婦層のような一般の人々にまで商品先物が浸透するかもしれない」と予想する。 すでに証券取引所では、東証でも大証でも金に連動するETFを上場し、活発な取引が行われている。金ETFをきっかけに、個人投資家にとって商品の売買は身近になりつつある。商品先物が証券取引所に直接上場し、取り次ぐ金融機関が証券会社になれば「投資家層は一気に広がる」(コスモ証券の佐野氏)との期待もある。
政府が各取引所の再編を促し金融市場の活性化を目指すのは、海外の金融センターに先を越されているためだ。ニューヨーク証券取引所は07年、パリ証券取引所やロンドン金融先物取引所を保有するユーロネクストと経営統合し、NYSEユーロネクストが誕生した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ商品取引所(CBOT)も親会社同士が07年に合併した。 いずれの大再編も、「有価証券」を扱う取引所が、デリバティブ(金融派生商品)などの取り扱い商品を拡充するため。世界でデリバティブを上場している取引所を時価総額で首位で比べると、上位にはデリバティブ商品を併せ持つ総合取引所が名を連ねる。 1位と2位は先物取引所ユーレックスを持つドイツ取引所とCMEが時価総額約1兆3000億円で並ぶ。3位は香港取引所(約1兆1000億円)で、4位にNYSEユーロネクスト(6400億円)が続く。これに対し、ロンドン証券取引所の時価総額は約2300億円と、1位のドイツ取引所の5分の1以下。ナスダックOMXグループ(約4300億円)は約3分の1にとどまり、世界的にデリバティブ取引所を一緒に持つ総合取引所が高い評価を受けている。日本はどうかといえば、デリバティブ取引を行っている大証の時価総額は約1100億円とロンドンの半分。東証では上場さえまだこれからという段階だ。
東証、大証の危機感は強い。こうした世界の流れや政府の総合取引所構想について、大証の米田道生社長は「単独でやるよりも他の取引所との連携や統合の方が、より早く効率的にできる。投資家ニーズに合うのであれば積極的にやっていきたい」と前向きに語る。東証の斉藤惇社長は、取り扱い商品の拡充が重要と強調し「できるものは何でも検討する。運用会社や証券会社の商品開発担当者はどんどんアイデアを持ってきて欲しい」と発破をかける。 一方、東京金融取引所の斉藤次郎社長は「法律は作っても実際に(取引所再編が)どうなるかはまったく別の話」と、再編には消極的。海外の取引所との再編に関しても「東京マーケットの整備、基盤強化が重要。まずは国内の足場を固めることが先決」と述べ、海外との連携にも距離を置く。 再編をめぐって各取引所に温度差がある中、もっと根深い問題もある。その1つは、クリアリング機関の分散だ。商品先物大手のニューエッジ・ジャパン証券の茂木八洲男副会長は、日本でもクリアリング機関が統一され「グローバルスタンダードにならないと、日本は海外のマーケットから取り残されてしまう」と指摘。いくつかの取引所という「器」が再編しても、売買の活性化は見込めず、シカゴなど海外の取引所に大口の売買が流れる構図は変わらないと警鐘を鳴らす。 東証の斉藤社長は、東証が日本を代表する取引所として、個人投資家から大口の機関投資家まで皆がアクセスし、生活やビジネスに役立てることができる「ユニバーサル取引所になる必要がある」と訴える。器の議論はさておき、いかに投資家が望む商品をそろえ、銀行預金に眠る日本の個人マネーを幅広い金融商品に呼び込めるか、腕のみせどころはこれからだ。 PR |
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