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2009 01,14 15:00 |
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WASP精神は地に堕ちた!(1) ◇「別の国になりました」◇ 渡部 いよいよオバマが大統領として就任するわけですが、選挙期間中は、黒人であるオバマは結局、大統領に選ばれないのではないかとする見方も根強くありましたね。たしかに、かつて奴隷制度のあったアメリカで黒人大統領が選出されるというのは、日本に引き付けて考えれば、本来公家に「さぶらふ(=従う)」家来だった侍、つまり武士たちが鎌倉に幕府をつくってしまったぐらいの印象かもしれません。オバマ自身は奴隷の子孫ではなくて、ケニアからの留学生だった父と白人女性とのあいだに生まれた子供ですが、やはり非白人が大統領に就任することの意味は大きいと思います。 養老 まさにおっしゃるとおり、そのぐらいのインパクトはあるかもしれませんね。 渡部 イギリスの作家ギルバート・ケイス・チェスタトンの弟のセシル・チェスタトンが『アメリカ史』という本を書いているのですが、そのなかで私がいちばんハッとしたのは、「アメリカは中世抜きで発生した国である」と見ていることでした。アメリカを考えるうえで、これはじつに正鵠を射た見方だと思います。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
アメリカ建国の父となった人たちは、皆ピューリタンでした。もちろん新教徒ですから全部カトリックには反対です。アメリカで国を建てるとき何を理想にしたかといえば、彼らが読んでいたのは『旧約聖書』が主でしたが、教養としてもっていたのはギリシャ・ローマ文明の知識だったわけです。だからアメリカの多くの公的な建物もギリシャ・ローマ風に造られていて、中世的なゴシックは建てられていません。 しかし、中世を抜かしたために、抜け落ちたものが2つあるというのです。1つは奴隷制度、もう1つは騎士道です。 いうまでもなくギリシャ・ローマ文明は奴隷制度に立脚した文明でした。ヨーロッパ中世はその後1000年かけて奴隷をなくしたわけですが、それを無視し、ギリシャ・ローマに倣ったことで、アメリカでは大規模な奴隷制が復活します。 また、騎士道がなくなったために戦争に対する考え方が変わりました。国際法は元来、騎士道を基にしています。騎士道で決闘した場合、どちらがよいも悪いもない。お互いが作法をきっちり守ればよい、と考えるわけです。だから、これを前提にした国際法では、戦争が悪いという発想はありません。ところがアメリカは、インディアンと戦って、インディアンの土地を奪っているのに、インディアンは悪者扱い(笑)。中世が抜けているから、敵を「尊敬するに値するもの」とは考えず、対等の敵とは見なさないわけです。 第一次大戦にアメリカは参加しましたが、ヨーロッパにまだ力があったから、アメリカも従来のルールにだいたいは従いました。ところが第二次大戦はアメリカの独り勝ちだったから、そんな配慮もない。アメリカのルールに従って敗者を裁いたわけです。まさに日本はその犠牲者でしたね。 養老 たまたま知人と食事をしたときに似たような話になりました。たとえば、ヨーロッパでは機関銃の使用に心理的な抵抗があった。いわば無差別殺人ですからね。それを抵抗なく取り入れたのがアメリカ。つまり、「人間」とは見ていない有色人種を「処理」する発想が根底にはあったのだ、と。第一次大戦までは、戦争は「決闘型」でした。戦争するのはスナイパーで、1人ひとりが相手を狙って撃つ。歩兵は輜重を守ったり、スナイパーの背後を確保する役割を担っていた。そのような戦争のルールを崩したのがアメリカだというのは、きっと世界の常識となっているのでしょう。しかし皮肉なことに、そのアメリカがベトナム戦争ではゲリラ戦というルール外れの戦いでひどい目に遭いました。 渡部 たしかにベトナム戦争は大きな曲がり角でした。私は1968年から69年まで、ベトナム戦争の最中にアメリカの大学で教鞭を執ったのですが、あの1年は、ちょうど境目だったという実感があります。行った当初はまだ、「かつてのアメリカ」でした。南部のノースカロライナの大学の広大なキャンパスに、先生も学生も皆、車で来るのですが、車を停めても鍵は挿しっ放し(笑)。誰も盗まないからです。それが帰国するころになると、学生たちが騒ぎだしたり、ウッドストックでロックコンサートの大騒ぎがあったり、黒人運動が盛んになったり、さまざまな事が起きはじめた。私がニュージャージーにいたときに下宿していたおばあさんから、「あなたがいたときから、わずか1年しかたたないけれど、アメリカは別の国になりました」というクリスマスカードをもらったことを、印象深く覚えています。 女性が台頭したのも70年あたりですね。元来アメリカの文化はWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)で、聖書を厳格に重んじるピューリタンたちですから、女性蔑視が当たり前でした。メイフラワー誓約書に署名したのは男だけで、女性は署名する資格などなかった。独立宣言も「All men are created equal(すべてのmenは平等につくられている)」であって、「women」は入らない。 黒人問題も女性問題も、アメリカ建国の精神背景にもかかわるような根深い問題ですから、争いが半永久的に続くのかと思ったら、いつの間にかアメリカは、両方とも体制のなかに取り込み、解決しました。あれには驚かされた(笑)。今日では黒人も女性も大統領候補として出馬するという大変化です。これによってアメリカが力を伸ばすのか、それともほころびになるかはまだわかりませんが。
歴史や文化が異なるだけではなく、宗教においてもアメリカのキリスト教とヨーロッパのキリスト教は国民の意識においても異なる。養老孟司氏と渡部昇一氏の対談でもアメリカとヨーロッパの違いを論じていますが、人種も言葉も宗教も同じだと同一に考えてしまいがちですが、歴史が異なるのは確かだ。 60年代くらいまではアメリカはWASPの国であり、ヨーロッパ人の新天地として発展してきた。しかし最近はヨーロッパ以外からの移民が増加して三人に一人は非白人となり、大統領もオバマ大統領の誕生で多民族国家としてのアメリカに変化しつつある。 戦後になってアメリカはグローバル国家となり、朝鮮戦争からベトナム戦争と世界の紛争に関与するようになって、難民という形で受け入れざるを得なくなってきた。古代ローマ帝国も領土は広がるにつれて領地からの人が流れ込んできて徐々にローマがローマらしくなくなっていって行ったようにアメリカもWASPのアメリカから変わってしまった。 だから日米関係においても60年以上も同盟関係を続けていますが、アメリカの変化を敏感に感じ取らなければなりません。駐日米軍最高司令官もライスという黒人の司令官になったしマッカーサーが乗り込んできた頃の米軍とは違ってきているのではないかと思う。しかし日本の政治家はいまだに進駐軍コンプレックスが酷くて60年前と変わりがないように見える。 ヨーロッパ人から見ればアメリカ人は植民地人でありバカにされているようですが、アジアにいるアメリカ人はその国に対する歴史認識はほとんど無く、在韓米軍の撤退が朝鮮戦争の原因となり、ベトナムの民族主義に対する認識不足からベトナム戦争を引き起こしてしまった。イラクに対する歴史認識もヨーロッパほどの関心は無く、イラクに自由と民主主義の国家を押し付けようとしている。 イスラエルに対する関心も旧約聖書からの知識によるのでしょうが、アメリカの福音派は聖書は完全務誤謬であり聖書に書かれた事が真実であると信じている。その事がイスラエルに対する絶対的な支持に繋がっているのですが、多民族国家化するとアメリカを纏めるものは宗教しかないのではないかと思う。だからイスラムを敵視して宗教戦争をイランに挑むかもしれない。 60年代にアメリカが大きく変わったように、71年のニクソンショックは金本位制から信用通貨となり紙幣を乱発するようになってきた。その原因となったのがオイルピークでありアメリカといえども海外からの石油に依存するようになりモンロー主義が成り立たなくなった。しかし石油に依存した生活はなかなか変えられずにいる。 アメリカ発の金融恐慌が起きたのは石油が147ドルまで高騰して石油頼みの経済が成り立たなくなったからであり、金融立国でアメリカの経済を維持しようとしたのでしょうが金融はゼロサムゲームでありカモがいなくなれば「ねずみ講」は破綻するのは必然だ。 アメリカ人は日本人の4倍の石油を使って生活していますが、鉄道網は発達しておらず物資の輸送は安い燃料が前提の大型トラックで輸送しなければ成り立たない。ソ連が崩壊したのもトラック燃料の確保に失敗して農家には農作物が大量に腐り、モスクワの食品店の棚は空っぽになったことでソ連は滅亡した。同じ事がアメリカにも起きつつあるのであり、 それに比べると日本はもともと石油が無いから、労働者の労働だけが円を支えている。それでも石油が高騰しても円は下がらずアメリカに比べれば脱石油化は進んでいる。オバマ大統領はアメリカの脱石油政策を行なうようですが、アメリカは日本やヨーロッパにも遅れを取ってしまった。 アメリカは60年代までは物つくり大国であり、アメリカの自動車は非常に堅牢であり、バンパーの鉄板からナイフも作る事が出来るくらいの車を作っていた。渡部氏の話ではその頃のGEの冷蔵庫や冷房機はいまだに動いているようですが、今ではGEは金融会社になりGMは倒産の危機に直面している。つまり物が作れなくなってしまった。 物が作れなくなれば金融とサービスで経済を成り立たせなければなりませんが、金融もサービスも物つくりがあって成り立つものだ。金融は情報産業であり騙しあいの世界でありモラル的に腐敗しやすい。サブプライム問題はそこから起きているのですが、金融工学は人を騙す手段であり複雑な計算式は騙すためのものだ。 日本の経済学者やエコノミストはアメリカの金融立国を目指せと言っていましたが、そんなことをしていたらアイスランドのように国家破綻していただろう。いったん物つくりのモチベーションを失ってしまうと復活させるのは難しく、中国が近代化に脱却できないのも物つくりのモチベーションの崩壊があったからだろう。日本も派遣切などで労働者も使い捨てが定着すれば物作り精神は崩壊するだろう。 ─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─ (CyberBizKizのコメント) どちらにせよ、東京でこんな話をしている事自体、何か笑えてくるんですが・・・ こちらから眺めりゃぁ~米国も東京も似たり寄ったりで、 ちなみにワタシが海外で学んだことですが、 ヨーロッパの貴族は、どれだけ資産を保有していても、 けれども、イザ自分の所有している領地に何かあれば、命を賭(と)して 前から言っていますが、歴史のないのは、過去がないのと一緒。 過去を持っていない親が、子に教えれる事って?? 勉強しなさい!・・・東大行けば人生のテッペンに登れる・・・みたいな 「恥」がどんなモノかも知らない・・・教えてもらえない。 そりゃぁ~平気で「恥」をバラまくわなぁ~・・・・・ PR |
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