2024 11,24 17:11 |
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2008 12,20 12:00 |
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クローズアップ2008:ゼロ金利目前に 日銀、窮余の宝刀 日銀が「金利調整」という、景気や物価を調節する最大の政策手段をほぼ手放すことになる追加利下げに踏み切った。日銀内では前日まで利下げ見送りムードが強かったが、円高急進にブレーキをかけるには利下げ以外の手段はなかった。市場では「資金供給拡充は実体経済にプラスだが、利下げは心理的な効果にとどまる」との見方が強く、預金金利減少など暮らしにはマイナス面も出てきそうだ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
◇円高、慎重論かき消す 株価暴落と円急騰に背中を押され7年7カ月ぶりの利下げに踏み切った10月31日から、わずか2カ月足らず。白川総裁は今回の決定会合直前も、追加利下げに慎重な発言を繰り返していた。日銀には「今後の景気悪化に備え利下げを温存したい」との思惑が強く、今月2日には新たな企業の資金繰り支援策も決め、「利下げは見送るべきだ」との考えが支配的だった。 だが、「100年に一度」とされる金融危機は、日銀に猶予を与えなかった。今週初めに発表された日銀の12月短観は第1次石油危機以来の景況感の急速な冷え込みを示す一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は16日に電撃的なゼロ金利政策に踏み込み、円相場は13年ぶりの1ドル=87円台に急伸した。 決定会合初日の18日に景気情勢を分析した後もなお、日銀内では金利という景気調節の「伝家の宝刀」を失う追加利下げへの抵抗感は強かった。だが、市場では追加利下げを織り込む形で円高が一服している中、日銀が利下げを見送れば、間違いなく円高は一気に進む。さらに、中川昭一財務・金融担当相や与謝野馨経済財政担当相らが追加金融緩和への期待感を表明。日銀が追加利下げに応じなければ、「景気後退の長期化は日銀の責任」との汚名を着せられかねなかった。 市場や政府の「包囲網」が強まる中、日銀に利下げ以外の選択肢はなかった。白川総裁は「私自身も経験したことのない経済の激しい変化。政策対応も矢継ぎ早にならざるを得ない」と、疲れきった表情で語った。【斉藤望】 ◇政策総動員アピール FRBのゼロ金利政策で日米金利差が逆転し、円高が急進していただけに、日銀の利下げで「円高にはひとまず歯止めがかかる」(米銀ディーラー)との見方もある。輸出産業の自動車や電機は米景気低迷と円高のダブルパンチで業績が大幅悪化し、減産や雇用削減が相次いでおり、今回の利下げで円高が抑えられれば景気悪化のスピードを和らげる効果は期待できる。 だが、「0・2%の利下げによる実質成長率の押し上げ効果は0・15%程度」(三菱UFJ証券景気循環研究所)とほとんどゼロに近い。米景気の先行き不安から円高が再び勢いを増す可能性もある。むしろ「日銀が景気回復のため政策を総動員する姿勢を示したことで、市場などに安心感を与えることに意味がある」(エコノミスト)との指摘が強い。 一方、資金供給の拡充は、「貸し渋り」が問題化している企業の資金繰りに直接、日銀が関与する形になるだけに、利下げより効果が見込めそうだ。 社債の一種であるコマーシャルペーパー(CP)は大企業の有力な資金調達手段だが、金融危機による市場の混乱でCPの買い手がつかず、大企業は銀行借り入れに頼っている。このしわ寄せで中小企業向けの融資が細り、倒産急増も懸念されてきた。 日銀がCPを買い取れば大企業が銀行に頼らずに済み、その分だけ銀行は中小企業向けの融資に回せる。日銀が金融機関からの長期国債の買い取りを増額することも、銀行などの貸し出し余力をある程度増やしそうだ。【坂井隆之】 ◇ローン返済軽減、預金者には打撃 家計、年2000億円損失試算も 日銀が01年3月にゼロ金利政策をとった後、銀行の普通預金金利は年0・001%とほぼゼロに張り付いた。06年7月のゼロ金利解除やその後の追加利上げで金利は0・2%まで上昇し、預金者は「長年のスズメの涙の金利がようやく上がる」と期待していた。だが、今年10月末の日銀の利下げで再び0・12%に下がり、今回の追加利下げではかない期待は裏切られた。 10月以前は100万円の普通預金に1年で2000円の金利がついた。ほとんど利息とはいえないような金額だが、今回の利下げで400円に激減する。中長期の市場金利も低下が続きそうで、定期預金金利も下がりそうだ。 一方、住宅ローン金利は、固定型の12月の適用金利が前月に比べ各行で低下。長期国債の買い取り増額で長期金利の低下も見込まれ、今後もさらに下がる可能性が高い。ただ、すでに変動金利でローンを組んでいる人は、変動金利見直しが年2回のため、来年4月まで金利は下がらない。 保険商品も変額年金などは、株価下落に加え、今回の利下げによる債券などの利回り低下で運用成績がさらに悪化し、受け取れる年金が目減りすることも予想される。 第一生命経済研究所の試算によると、今回の利下げで家計の預貯金金利は年間で計約5000億円減少。住宅ローンや消費者ローンの支払利息の軽減分は同約3000億円にとどまり、2000億円程度のマイナス効果が出るという。 PR |
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