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2008 10,21 11:00 |
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実体経済への影響は実は米国以上か? DIAMOND online 2008年10月21日 週刊ダイヤモンド編集部 小尾拓也 「戦後最悪の金融危機を今後も各国が協調して乗り切れるかどうか…。正直、いまだ強い不安が残っていると言わざるを得ない」 現在、ベルギー・ブリュッセルのEU本部で働く関係者の多くは、このような不安を拭い去れないという。 米リーマンブラザーズ破綻に端を発し、「世界恐慌の再来」とまで称される金融不安が猛威を振るうなか、この10月には世界各国で大胆な金融安定化の試みが矢継ぎ早に行なわれた。 そんななか、特に目を引いたのは、欧州諸国の稀に見る「スピーディーな対応」である。 欧米主要6ヵ国による異例の「協調利下げ」や、G7(先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)で相互確認された緊急行動計画を経てもなお、震源地である米国の金融当局は、市場安定化のための具体的な方針を示しあぐねている。 それに対してEU諸国は、16日に開催された首脳会議において、加盟27ヵ国が破綻懸念のある金融機関への資本注入、預金保護最低限度額の大幅引き上げ、銀行間の資金繰りの保証や金融再編のバックアップなどを進める包括的な金融対策を採択。その後すぐさま「行動」に移ったのだ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
事前にRBS、HBOS、ロイズTSB、バークレイズなど大手銀行への公的資金注入を含む総額500億ポンドの救済策を発表していた英国に続き、スイス(中立国)はUBSに、オランダはINGに公的資金を注入することを決定。ドイツやフランスでも、それぞれ最大5000億ユーロ以上、総額3000億ユーロ以上の支援を軸にした「金融安定化法案」が議会で可決された。 市場でもサブプライム損失で経営不安に陥った金融機関の救済・再編気運が高まっている。フランスの大手銀行ケス・デパルニュとバンク・ポピュレールが経営統合を模索しており、BNPパリバやドイツ銀行はオランダ、ベルギーなどが国有化したフォルティスの一部を引き受ける見通しだ。 米国の金融危機ばかりが取り沙汰され、昨年発生した英ノーザン・ロックの取り付け騒ぎ以降、それ程大きくクローズアップされることがなかった欧州の金融危機。ここに来てまさに「つるべ落とし」のように不安が噴出し、一時は世界中が震撼したものの、結果的には各国の鮮やかな対応が強く印象に残った。 実際、いち早く公的資金の注入を発表した英国のブラウン首相は、その手腕が評価され、低迷していた支持率が急回復。今や「金融危機退治の影の主役」と賞賛されているほどだ。 このような状況を見る限り、直近で欧州危機不安は一服したかのようにも思える。 しかし、果たしてそれは本当だろうか? 実は、不安が本当に遠のいたかと言えば、決してそうではない。冒頭のEU関係者が危惧するように、フタを開けてみれば、数々の問題が山積しているのが現状なのである。 振り返れば、今回の協調利下げに到るまで、ECB(欧州中央銀行)は主に「物価安定」に主眼を置いた金融政策を行なってきた。米国サブプライムショックの悪影響が本格的に波及するまでにタイムラグがあったことも、早くから抜本的な景気対策に着手しなかった理由かもしれない。事実、米国から逃避したマネーが流れ込み、今年前半まで欧州経済は調子がよかった。 だが、金融不安や原燃料高の悪影響が本格化したことにより、EU域内の個人消費は初夏頃から顕著に減速し始めている。リーマンショック後の金融市場も言うまでもなく波乱含みだ。乱高下を経ながら、英国、フランス、ドイツなどの株価は2割以上、ユーロは対円で15%近くも暴落している有様だ。足許を見れば、決して楽観視できる状況ではない。
そこで気になるのは、今後の欧州経済のゆくえだ。「欧州経済が本格的に悪化するのはむしろこれから」と警鐘を鳴らすのは、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミストである。 「アメリカの金融危機は、経済そのものよりもむしろサブプライムという局所的な不安。それに対して欧州は、金融危機を発端に実態経済そのものが米国よりも深刻な打撃を受ける可能性が高い」(白川エコノミスト)というのだ。たとえ一時的に公的資金注入や預金保護を行なっても、抜本的な解決にはならないということか。 それは、欧州諸国が抱える構造的な問題に起因している。 まず、根本的な問題は、欧州先進国の大部分が加盟しているEUという大所帯の「足並みの悪さ」だ。 「もともと方向性が違う国同士のゆるやかな連合体であるEUという組織は、まだ有事の際に結束して対応できる仕組みが十分に整っていない」とEU関係者は語る。 金融政策を行なうのは、あくまでも各国金融当局の裁量に任されている。そんななかで今回、各国が足並みを揃えたのは、域内で経済が密接につながっている現状で、「自国だけ歩調を合わせないと足許が揺るぎかねない」という危機感の表れに他ならない。 それも、「EU議長国であるフランスのサルコジ大統領らが事前に念入りな根回しをしなければ、協調的な金融対策は一筋縄では行かない可能性が高かったはず」(EU関係者)という。 ただでさえ、ユーロ、ポンド、スイスフランなどの世界的な有力通貨が混在し、各国の利害が複雑に絡み合っている欧州諸国の現状を見れば、金融政策面での協調が一筋縄では行かないのは、想像に難くない。 よい例が英国だ。金融危機のさなかに銀行を国有化して外国人の預金を凍結したアイスランドや、英国人の預金を保護対象から外そうとしたアイルランドに対して強硬な姿勢で相対し、他国に先駆けて公的資金注入を決定したのも、ひとえに自国金融市場への悪影響を怖れたため。「ユーロの対抗軸としてのポンドを必死で守ろうとする英国の焦りがすけて見えた」(EU関係者)とも言われている。 そもそも欧州の金融危機がここに来てにわかに取り沙汰されている背景には、「サブプライム関連の不良資産を3段階に分けて精査している米国に比べ、これまで米国ほど厳格な時価会計が行なわれていなかった」(白川エコノミスト)という理由もある。 つまり、今後は水面下に隠れていた金融機関の莫大な損失が表面化する可能性もあるわけだが、さらなる有事への対応を迫られた際に、「各国の足並みが必ずしも一致しないのではないか」という不安は尽きない。
このような状況で金融不安が再び再燃した場合、実体経済に大きな影響を与えかねない「不測の事態」が発生する可能性がある。それは、金融不安による信用収縮により、欧州全域でバブルという「爆弾」がはじけ飛ぶことに他ならないのだ。 1つめの「爆弾」は、すでに域内先進国で始まっている「住宅バブル崩壊」の激化。欧州各国では、ここ数年、住宅価格が平均的な可処分所得を大きく上回り、フランス、スペイン、英国、オランダなどは顕著な過熱状態にあった。このバブルを牽引していたのは、EU域内の主要国、ロシア、中東などの富裕層マネーだ。 しかし、原油価格の下落や信用収縮により、オイルマネーを中心とする投機資金が一斉に流出しており、今後は市場が一気に冷え込む可能性が高い。 すでにその兆候は色濃く出始めている。住宅バブルが完全に崩壊したスペインでは景気が一気に冷え込んで失業率が急上昇しており、政府は対応に忙殺されている。英国でもバブルが弾けて住宅価格が春先からマイナスに暗転。フランスでも住宅価格が鈍化しており、政府は住宅購入減税を打ち出している。 もう1つの「爆弾」となるのが、新たにEUに加わった旧東欧諸国である。「拡大EU」の象徴とも言うべき旧東欧諸国には、その未知なる成長性に魅了され、これまで実態に見合わないほどの莫大な投機資金が域内、海外を問わずに流れ込んでいた。 だがその実態は、大した成長基盤もなく、莫大な経常赤字を投機資金で穴埋めして来ただけに過ぎない。なにしろ赤字がGDP対比で10%をゆうに超え、米国の2倍近くに上る国も少なくないというから、かなり深刻だ。 そんな旧東欧諸国からは、折からの金融不安の影響でリスクマネーが続々と逃避中。「今後対外利払いが立ち行かなくなれば、各国は通貨危機に陥り、国家そのものがデフォルト(破綻)する危険性さえある」(白川エコノミスト)という。 特に、最近EUに加入したばかりで、国内に輸出競争力のある産業を持たないブルガリア、ルーマニア、ハンガリーなどはリスクが高い。たとえば、成長減速による債務拡大懸念から通貨や株式が暴落しているハンガリーは、ECB(欧州中央銀行)が最大50億ユーロの緊急融資を決めるほどの事態に陥っている。 良くも悪しくもこれまでEUの経済成長を牽引してきた旧東欧諸国が、万一デフォルトでもすれば、欧州全体の経済が大混乱に陥るのは必至だ。 しかし前述したように、自国の利益を優先しがちなEU諸国が、今後旧東欧諸国向けの救済にどれだけ力を注ぐかは疑問である。首脳会議で新興市場国との連携は表明したものの、「これまで旧東欧諸国に対する投資額が域内で最も大きかったドイツでさえ、いざとなれば救済に消極的」(EU関係者)というのが現状。加盟国の足並みはすぐに揃いそうにない。 そのため、危機に落ちって入る旧東欧諸国や、EU周辺国のウクライナ、トルコなどに対しては、目下IMF(国際通貨基金)が緊急融資を検討している。域内や周辺国の救済さえ国際機関に頼っているEU諸国の経済の先行きは、甚だ不安と言わざるを得ない。 このように山積する問題を考えれば、今回のような一過性の金融対策だけで欧州危機が遠のいたとは、決して言えないことがわかるだろう。 世界的な景気後退の入り口にさしかかっている今、多くの専門家は「欧州はこれから本格的な景気後退に入る」と見ている。IMFの予測では、英国の経済成長率は08年の1.0%から09年は▲0.1%へ、ユーロ圏は同1.3%から0.2%へと大幅に落ち込む見通しだ。これまでEUの景気を牽引してきたドイツも、先頃09年の実質経済成長率予測を1.2%から0.2%へ大幅に引き下げると発表した。 「2010年前半から回復基調に乗る米国経済に対して、欧州経済は向こう3年間は低迷が続く」(白川エコノミスト)と目されるなか、万一「不測の事態」でも起きれば、欧州景気が想像以上に深刻な調整に見舞われる可能性も否定はできない。 PR |
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コメント |
小尾拓也さんにお伝えを。17日付「疲弊するだけ?」の論旨はタイムリー。タバコが認知症防止に有効との医学的データがある由。そうだとすれば、認知症患者に対する膨大な医療費、介護費を抑制できる。この辺りを材料に追い撃ちの論旨を至急、展開してほしい。
【2009/12/2005:52】||Kiyo Nanao#99bdd8c4e2[ EDIT? ]
Re:タバコ増税
日本人は先進国の平均約2倍もタバコを吸っている・・・にも関わらず、
世界一寿命の国であって、しかも国内で一番寿命の県である沖縄県の 100歳以上の長寿者の調査・・・白寿の調査結果によると喫煙者が多い事実も 判明している次第でして・・・・・ まぁ~「日本人・2倍のタバコ使用量・世界一寿命の国」・・・だけで 十分、レトリックだと判らなければならない事柄ですよねぇ~・・・・・ よってこの事象データ・・・現実を捉えるだけでも十分に「医療費、介護費」を 抑制できる材料になるかと思います。ちなみにワタシは喫煙者です。 そして禁煙していた事もありましたので、止めることはスグに出来る自信が ありますが、止める気は今の処ありません。 |
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