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産経新聞 8月27日15時27分配信 石畳の散策路沿いに、小さなかやぶきの山門がある。その奥に目をやると、整えられた庭が視界に飛び込んできた。 京都・東山連峰のふもとに建つ春光院(京都市東山区)。こぢんまりとした境内を囲う塀は極端に低い。周囲の道が境内地よりも高い位置にあることも手伝って、道側から中を見渡せる構造になっている。 寺院は普段は非公開で境内に入れない。だが、「塀越しに眺めてもらうのは大歓迎ですよ。どうぞごらんになってください」と、川本博明住職(59)はほほえむ。一日中観光客でにぎわうロケーション。「せめて外からだけでも楽しんでもらいたい」という思いを込めて造った庭だという。 塀越しに見えるのは、田舎の里山を表現した素朴な庭。決して華やかではないが、観光地の真ん中に広がる、緑豊かなのんびりとした風景は、どこか郷愁を誘う。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
豊臣秀吉の正室、ねねが余生を過ごしたといわれる高台寺の塔頭(たっちゅう)。高台寺参道に面した春光院は、ねねがおいの娘の菩提(ぼだい)を弔うために寛永4(1627)年に創建した。幕末期に、尊皇攘夷派の僧、月照が西郷隆盛と密議を重ねた場所としても知られている。 ただ、庭は作られてからまだ5年と新しい。高台寺の執事長も務める川本博明住職が案内してくれた。 こんもりと高低差を作った地形に芝生が敷かれ、大振りの石が立つ。枯れ山水の形式だが、モデルは里山。頂付近には川の源流を思わせる滝があり、ふもとにかけて細長く水が流れる。斜面には野仏をイメージして、たくさんの石仏が置かれている。どこかで見たような素朴な風景。不思議と懐かしい気持ちになる。 「姿勢を正して観賞するような庭ではなく、自然にたたずみ、肩の力を抜いて楽しめる庭が欲しかった」と川本住職。そして、その安らぎの空間は、独り占めするのではなく道行く人たちと共有する。中からも外からも楽しめる「いわばリバーシブルな庭がコンセプトです」という。 もともと、この一帯は観光地ではなかった。高台寺は度重なる火災や明治期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)などで荒廃。あたりは「夜になると、人っ子一人通らない真っ暗闇」だったそうだ。が、平成元年に転機が訪れる。財政難から抜け出すため、高台寺は一般公開され、観光寺院へと転換したのだ。 効果は絶大。多くの土産物店や飲食店などが軒を連ねるようになった。春光院前の路地も「ねねの道」と呼ばれる散策路へと整備。観光用の人力車も行き交い始めた。 そのうち、境内も大掛かりな模様替えをすることに。「非公開寺院でも、閉ざされたイメージにはしたくない」と、周辺の道よりも低く、坂の下というロケーションをうまく利用し、道からでも見渡してもらえる開放的な境内にすることを思い立った。 塀は低いところで1メートル足らず。日中は山門を開け、中をのぞけるようにした。道沿いの場所には、しだれ桜やモミジなど目を引く木を選んだ。 「いい庭ですね」。夕暮れ時、塀越しに観光客が声を掛けてきた。川本住職は「多くの人に愛してもらって、庭は育つんです。きっと、草木たちも見てもらおうという気になってますよ」と目を細めた。 PR |
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