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2008 08,03 12:00 |
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ワタシの自宅では毎年「蛍」がチラホラと庭へ遊びにやってきます。 ただ・・・この超絶景ポイントを地元の人は誰にも教えません。 クルマで10分程度の処に"ホタルの里"っぽいスポットがあるのですが、 「蛍」は、成虫となると「水」だけで生きると言われています。 そして「蛍」は、とてもデリケートな虫なんです。 その事を地元の人々は、昔から何となく共存して理解していたんですねぇ~・・・ 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
「ホタルで町おこし」の大きな間違い 2008年7月30日 水曜日 宮嶋 康彦 ホタルの里、と謳えば人が集まる。しかし、安易に人を呼ぶための“ふるさと作り”は間違いだらけ。とりあえずホタルを飛ばせば地域が活性するという間違った発想が、生態無視のホタルビジネスを生んでいる。 近ごろでは、とりあえずホタルの光を楽しんでもらいたい、と、商店や料亭、各種のイベントなどでホタルが放される。世の中はいつもいやしの対象を求めているものだろうが、この数年はかつてないほど、ホタルブーム到来、という印象が強い。 東京でも今年はずいぶんいろんな場所でホタルが放たれた。表には見えないが、その背景には、ホタルを商いする業者がいるのだ。筆者の知り合いの移動動物園の園長も、ほぼ毎年、料亭などに依頼されて、近県の生息地に出かけてホタルの捕獲を続けてきた。 「夏になるとな、ホタル欲しいというお客さんが多いんや、頼まれれば、獲りに行くしかしゃーないやん、はっきり言いたあないけど、源氏(ボタル)で1匹150から200円するんとちゃう」 戦前まで繁盛したという「蛍問屋」(滋賀県守山市が有名。戦前まで100軒を超すホタルの問屋が軒を並べていた)をほうふつさせる話だ。需要は年々高まる一方という。 「自然とか環境とか、今しは流行だもんで、とにかくホタルは人気が出てきたな、源氏が一番光が強いから人気やけど、光れば、平家(ボタル)でもいいんとちゃう」
ホタルビジネスは、一方で、行政がらみの場合もある。ふるさと創生資金がばらまかれたあと、ホタルの里造りを始めた自治体は多かった。1県に何カ所ものホタル公園やせせらぎ公園が造られた県もあるが、おおむね1県1カ所の割合といっていい。ところが、あれから20年が経ってみれば、まっとうなホタルが移入され、野生化した地域はほとんどない。 長野県の辰野町や熊本県の旧旭志村は、唯一、ホタルで町おこしに成功した例だろう。ホタル祭りの期間中、何万人もが蛍狩りに訪れる。この1町1村の成功に倣って、ホタル公園を手がけたところもあったが、こちらも成功例に乏しい。 しかし、もしも更に、ホタルで町や地域の再生を計画している人があれば、これから紹介する男の研究に耳を傾ければヒントが得られるはずだ。少なくとも、苦い失敗の前轍を踏むことはないだろう。地方再生は、やはり、人である。
一部の高地を除いて、間もなくこの夏のホタルシーズンが終わる。筆者は、かれこれ20年間、ホタルの撮影をつづけてきた。駐車場を完備するなど自治体や団体が蛍狩りを誘致しているホタル名所を2冊の写真集にまとめ、さらに、これまで撮ることが少なかったヒメボタルという陸生の種を全国に訪ね歩いている。 この世はあまりに昼化されてしまったのではないか。多くの子どもたちが闇夜を知らない。ホタルの光は、月や星と同様に、数少ない自然の輝きである。闇夜の神秘を教え、夜という自然現象の正しいあり方を伝えてくれる。 ホタルの光り方がヘン、と気づいた。すぐに、生態が異なる地域から移入されたホタルだな、と判った(後に熊本県K村のホタルと判明)。ここは、福島県旧会津村(現会津若松市)「ホタルの里」。毎年、6月半ばから7月上旬にかけて源氏ボタルの飛翔が見られる。 どこがヘンかといえば、西日本と東日本で光り方に大きな違いがある。西の源氏ボタルは2秒間隔で明滅を繰り返すが、東日本では4秒と長い。生態の違いはないが、「方言」(大場信義)、あるいは「温度差」(阿部宣男)で光り方が異なる。ホタルの撮影をしてきた筆者も、そうしたホタル学者の説をファインダー越しに確認している。 こうした混乱は福島ばかりではない。そもそも生息しているはずのない北海道の数カ所で、源氏ボタルが飛んでいるケースもある。すべては、他県の生息地から移入した結果である。その多くは、生態調査をせず、とりあえずホタルを飛ばそう、という素人考えが根底にある。 もちろん、研究者の間で問題となり、関係機関や施設に注意が呼びかけられた。しかし、いびつではあっても、いったん根づいたごく少ないホタルを根絶させるという仕打ちができるはずがない。もともとホタルへの愛惜が「ホタルの里」作りの端緒になっている場合が多い。科学では超え難い人情である。
「宮嶋さんはホタルブームといいますけど、街で飛ばされているホタルさんに、人はほんとうにいやされると思いますか、あの光は、科学的にいえばβ波です、つまり緊張したときに出す光なんです、蜘蛛の巣にかかったときなどです」 そう話すのはホタルの生態飼育・研究の第一人者、阿部宣男さん(53)だ。板橋区ホタル飼育施設長でもある。阿部さんにはホタル研究でめざましい成果をあげた「ホタルの光と人の感性について―感性情報計測と福祉応用」という論文があり、茨城大学で博士号を取得している。地方再生のキーパーソンと前述した“男”である。 「ホタルビジネスは今や2億とも3億円ともいわれています、ホタル業者によって人工飼育されたホタルが、料亭や観光スポット、イベントなどに売られているわけです、そういった場所でホタルさんを見た人は、鮮烈な記憶としては残らないのではないですか、ほんとうのホタルの光を見た人には、その光が、いかに心を慰めたか、心地良い印象として記憶されるはずです」
ちかごろ、ホタルの世界に、もう1つ、気がかりなことが起こっている。コモチカワツボというニュージーランド産の巻貝(体長5ミリ)が全国的に増えているというのだ。きわめて繁殖力が強く、干からびた土の上でも2年は生きる、という研究者の報告もある。輸入された魚や農産物が原因ではないかといわれているが、決定的な渡来ルートは判然としない。 「この貝で育ったホタルは光が非常に弱い、雌雄がコミュニケーションをするために発光するわけですから、光が弱ければ交尾に至らない、コモチカワツボは、あっという間に生息地を席巻してしまいますから、ホタルさんはいなくなります。コモチカワツボの根絶は、まず、不可能でしょう」 ホタルの里など、人工的に個体数を増やそうとしている生息地では、幼虫のエサになるカワニナが不足してくる。そこで近隣から、あるいは遠方からカワニナを移入することになる。そのときに、1匹でも、コモチカワツボが混入していた場合には、ホタルの絶滅につながる危険性がある。 恐ろしいことに、コモチカワツボは雌雄同体。1個体がオスとメスの生殖器官を持っているのだ。外見ではカワニナと見分けることができないほど似ているため、善かれと行うエサの移入で、とんでもない結果を招くことになる。 実際にコモチカワツボの影響を受けた場所がある。ふるくからホタルの名所として名高い栃木県那須塩原市「蛍ヶ谷(ほたるがや)」。ことしは、2、3頭(ホタルは頭と数える)の飛翔を確認しただけだという。このホタルの名所については、一昨年、同市の「塩原ひかる会」で講演をした後、阿部さんが調査、コモチカワツボの生息を確認している。「そのうちホタルさんがいなくなりますよ」と指摘していたという。 「いやあ、まいりました、阿部先生の言うとおりになってしまいました」と、塩原ひかる会会長の鈴木さゆみさんの声には元気がない。10年ほど前は大乱舞が見られた場所で、湯客の歓声を集めていたという。 7月19日、板橋区ホタル飼育施設で阿部さんにインタビュー中、電話が鳴った。ある原発の排水溝にコモチカワツボらしい巻貝が大繁殖しているという。間もなく送信されてきた写真は、まちがいなく件の貝だった。 「不用意にエサを採取してはいけません、ホタル業者が売るエサも、きわめて要注意です、私は国内90カ所以上のホタル施設を造り、技術指導してきましたが、中には、とりあえずホタルを飛ばしてほしい、と乱暴な依頼もあります、お断りすると、性急な土木工事をし、どこからかホタルさんをつかまえてきて放す、生き物だから、勝手に増えるだろう、というんですが、決して根づくことはありません」 ふるさとの景観再生や環境教育の一環としてホタルの里を造成する場合、かならず専門家の指導を受けるよう、阿部さんは強い言葉で注意を喚起する。
いっぽう、農学博士で全国ホタル研究会理事の、山岡誠さん(81)は、苦い体験を語ってくれた。 「素人考えではホタルは飼えないんです、私もずいぶん方々にホタルの里や公園を造ってきたんですけど、数年するとホタルがいなくなるんです。 よそから幼虫をこそっと持ってきて、なんとか見劣りがしないようごまかしたりしていましたが、体裁を保つことの、なんと大変だったことか、なぜ、ホタルが野生として根づかないか、理解できなかった。水道水で幼虫を死なせたこともあった。全国どこでも、私と同じジレンマに悩んでいるはずです、それが、板橋の阿部さんのもとをたずねて、ようやく解決した」 阿部さんのホタル研究の取り組みの中で、もっとも注目されるひとつに、「生態槽」がある。おおきなガラス容器に、ホタルを中心に据えた生態系が作られている。槽内は、ホタル、水、土、植物が調和し、食物連鎖が成立する空間だ。 土にはミミズやダンゴムシが暮らし、微生物による分解活動が盛んなため、水は常に浄化されている。 その水は、水中に木炭、骨炭を用い弱アルカリ性に保たれている。水底を見ると那智石、硅砂が敷かれ、苔や水草の育成が図られている。 ホタル飼育の経験がある筆者にも、素晴らしいとしか言いようのないシステムだ。この生態装置は「ホタル累代飼育システム及び方法」として昨年1月、特許を取得している。 板橋区ホタル飼育施設では、「ホタル再生支援事業」の技術指導を行っている。これまで、全国97カ所にホタルが飛ぶせせらぎを完成させた。 その中の宇治市植物公園(京都府)の本間和枝園長は「今年は源氏ホタルの発生が早かったですね、多いときには100匹以上が飛んでいました」と、板橋区のホタル再生技術を手放しで褒める。 「北海道の十勝川温泉では、阿部さんはまるでスターあつかいです、素晴らしいホタルのせせらぎが完成しているんですよ」
板橋区ホタル飼育施設では今年もホタルの観賞会が行われた。イベントや料亭でβ波を出しているホタルではなく、人の内なる自然に同調する光を楽しんでもらおうと、今年で19回目になる。一晩に訪れる来場者は多いときで3000人。2時間ほどの待ち時間を経て、3分ほどホタルの光にいやされる人たちだ。過去1件の事故もない。 筆者も今年最後の観賞会に入れてもらった。午後7時30分から10時30分まで、すべての人が見終わるまでの3時間、施設の中でホタル飛翔の撮影(フォトアルバムをごらんください)をさせてもらった。歓声を上げる子どもたちの声に混じって、大人たちから最も多くの質問が寄せられたのは「これ、ほんもののホタルですか?」というものだった。区民ボランティアが「もちろん、正真正銘の平家ボタルです、今年で19回目の世代交代をしたホタルさんです」というと、皆、一様に「おー」という感嘆の声を上げ、光に見入っていた。ほんの2、3分の邂逅なのに、出口では「ありがとうございました」とていねいに礼を言って出て行く人の言葉が印象的だった。 板橋区内には、その昔はホタルが生息していた。今は、周知のとおり見る影もない。板橋区ホタル飼育施設には、現在、2種のホタル(源氏と平家)が世代を重ねている。19年前、福島県大熊町から移入されたものだ。当地は阿部さんの母親の故郷である。 長く全国のホタルを撮影してきた筆者には、板橋のホタルの明滅が、野生そのものであることが理解される。施設内の17メートルのせせらぎに育つ植物も昆虫も、この小宇宙の中でみごとに連鎖しあっている。シャッターを切りながら、ここは、大都市東京の真ん中に出現した秘境、と感想を持った。
「宮嶋さーん」と、阿部さんの語り口調がいたずらっぽく変わった。 「先日、北海道のH市から電話がありましてね、ホタル公園のホタルさんが激減したというのですよ、コモチカワツボが犯人ではないか、というのですね、でも、源氏ボタルというものですから、ああ、それはかえって好都合でしたね、と返答しました」 まだまだ、筆者の知らないところで、そこに生息しているはずのないホタルが飼われているらしい。いずれも、善かれと考えて事業化されたに違いないが、とりあえずホタルを飛ばせば人が集まり、喜ばれるという発想は、反面教師になりかねない。生き物を育てるはずが、ホタルを絶滅させる憂き目にあうかもしれない。 ところで、阿部さんはホタルに「さん」付けする。どうも違和感があっていけない、とその理由を聞いてみた。 「この施設の前身だった植物園が壊されましてね、重機が入った晩に駆けつけたんです。瓦礫のなかから飼育していたホタルが1頭、すーっと明滅しながら飛んだんです、泣けましたね、私のホタル研究もそこから始まった」 阿部宣男、若い日は暴走族、現板橋区官吏、理学博士、平成の神田左京(明治7年長崎生まれ、大正、昭和を代表するホタル学者。昭和10年刊『ホタル』は研究者の聖典)。ホタルで地方再生、地域活性を計画している向きは、この男に相談あるべし。 (編集部注:明日7月31日の「地方再生物語」では、北海道の小麦農家のリポートをお届いたします。どうぞ、お読みください) ─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─ ■都会のホタルの光で人は癒やされるか
なので、ワタシたちは「蛍」を観るときは、クルマのエンジンを切った上で、 なんか上記のリポートを読んでいると「蛍」を商売道具として見て なんか・・・「蛍」と共存している者としては、とても物悲しいリポートでした。 そして毎年思うのですが、テレビ朝日の夕方のニュース等で "六本木ヒルズ"みたいな処に住んでいる方々って、"あんな"毛利庭園の PR |
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コメント |
不思議なサイトで面白い記事を発見して楽しませていただきました。
宮崎県日向市の山中からはじめまして。 自宅前の杉林でヒメボタルが推定ピーク時1000個体光っているので、庭でそれが鑑賞できます。ヘイケもゲンジもその他数種のホタルも一緒に6月上旬に出現しています。 ホタルの里つくりとして宮崎県では北川のホタル祭りと小林市出の山とが有名です。北川は立派な箱を作ってホタルをそっちのけでホタルが消えたホタルの館でドンチャン騒ぎ、見に行ってあきれました。 出の山では魚の養殖池の富栄養化した排水路で湧いたマシジミで大量のゲンジを発生させています。そして、驚く無かれ、コモチカワツボが初期餌料です。カワニナに依存しないで大量生産態勢が出来ているようです。阿部さんがこれを聞いたら卒倒するかもしれません。 |
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