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2008年7月24日 木曜日 山崎 養世 今年の世界経済は、大乱です。昨年から始まった米国発のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は、欧州の金融機関にも広がりました。金融機関の損失が明らかになり、米国の消費を支えてきた不動産が上昇から値下がりに転じました。そして、信用不安と消費減退のダブルパンチの懸念から、米国発の世界株安が始まったのが昨年の8月です。 昨年は、金融政策をつかさどる連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は事態を甘く見ていました。バーナンキ議長が政策金利の低下を渋るたびに、米国株が下落する事態が続き、そのたびに、世界の株式と不動産の市場が打撃を受けました。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
■世界経済と株式市場を覆った新たなリスク 今年1月に入ると、米国発の連鎖金融不安の危険を理解したバーナンキ議長は、グリーンスパン前議長の時代以上の、1週間余りで1.25%という、大幅で急激な政策金利の引き下げに踏み切りました。 そして、3月には、金利引き下げと同時に、サブプライムローン問題で破綻の危機に瀕したベアー・スターンズ証券を、JPモルガン・チェース銀行を通じて救済しました。こうして、米国の政策金利であるFF金利は5.25%から2%にまで大幅に下がりました。 こうして、金融不安と株式市場とのスパイラル的な下げの恐怖はひとまず去りました。預金金融機関である銀行だけでなく、証券会社までもが政府の救済対象になったことから、金融機関の連鎖倒産という、システミックリスクは遠のきました。世界恐慌、大不況という恐怖は緩和されました。 戦前の大恐慌のような、株式市場の暴落と金融機関の連鎖倒産が世界に広がるような事態にはならないのです。市場の下落や金融機関の破綻が一定のレベルに達したら、政府が救済するシステムが出来上がっているからです。その意味では、サブプライムローン問題が大恐慌に発展することはない、と今年の初めから申し上げていました。 しかし、4月以降は、新たなリスクが世界経済と株式市場を覆いました。石油です。
上昇を続ける石油価格が、ドル金利に代わって米国の株式市場を下落させる最大の要因になりました。そして、世界の株式と不動産は再び下落の連鎖を続けました。 サブプライムローン問題から世界経済が減速し、株と不動産の市場の下落が始まった昨年8月から、石油価格は上昇速度を加速しました。当時の70ドル台から上昇を始め、今年の7月には150ドル目前にまで迫ったのです。1年足らずでほぼ倍になったことになります。 確かに、石油の需給は逼迫しています。イラク戦争とイラン情勢の緊張、ナイジェリアでの内戦不安などによって、石油の供給サイドには大きな不安があります。 しかも、石油需要の増加分の大半を占めると見られる中国やインドさらにはロシアや中東などの新興国では、旺盛なインフラ建設や自動車の普及や消費の拡大によって、今も石油需要が増え続けています。 加えて、90年代末までの安い石油時代には、採算の悪化から、世界的に新規の油田開発は進みませんでした。新規の油田は、海底や地層や砂の中などの採掘コストの高いところが中心となるからです。さらに、中東などの産油国は、過去に石油の増産が石油価格の値崩れを起こしたことから、生産能力を上げない政策を取ってきたと推測されます。 こうした点からは、石油の世界的な需給関係がタイトになったという説は有力です。
著者の山崎養世氏は、ゴールドマン・サックスの本社パートナーにまで PR |
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