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世界で今後重要となる4つの技術開発、鍵を握るのは日本企業 DIAMOND online 2008年06月27日 安藤茂彌(トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO) 前回に続きシリコンバレーで行われたパネルディスカッションについて 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
アメリカにも団塊の世代がある。太平洋戦争と第二次世界大戦から帰還した人から生まれた世代が続々と60歳になっている。そのスピードは11秒に一人が60歳を迎えるほどのスピードである。この層は学歴が高く、インターネットも使える世代であるが、その多くは社会の第一線から離れようとしている。こうした世代を社会にどう生かすかが、いま問われている。 60歳を過ぎると体力が衰えてくるのは仕方がない。だが知力はどうか。これを衰えさせないためにはどうすればよいのか。問題となるのは“脳の働きの維持”である。脳の機能を分析して精神的な鋭さ(Mental Acuity)を活性化させるプログラムの開発に取り組んでいるベンチャーが出てきている。 Mayo ClinicとUniversity of Southern Californiaが開発したPosit Scienceの認知トレーニング・ソフトウェアを40時間使用すると、注意力と記憶を10年間若返らせることができたという。再訓練で若返った脳を持った中高年が労働市場に回帰すれば、労働力不足問題も解決できるし、医療保険問題、年金問題にもよい影響を与えるようになる。
米国ではガソリン価格がわずか1年半足らずでほぼ2倍に値上がりし、消費者にとって大きな負担となっている。このため、石油を代替するバイオ燃料の開発が強く望まれている。 この分野に多くの投資をしているVinod Khosla氏によると、バイオ燃料の開発に携わっているベンチャー企業数は有望なものだけでも30社を超える。原料となるのは、食料とバッティングしないことが重要で、バイオマス、廃棄物、海草、サトウキビ・スターチ、天然ガスを使用する。最終生成物もエタノール、ブタノール、メタン、ディーゼル、ガソリン、或いは、これらの混合物と幅広い。 生成方法も多岐にわたっており、合成生物学を使ったもの、発酵技術を使ったもの、エステル交換、水素化分解、熱分解、触媒反応、酸加水分解と多種多様である。これから2年ほどの間に、生成効率でふるいにかけられ、次に経済効率でふるいにかけられる。最終的にどの手法が生き残るかはわからないが、バイオ燃料の開発が次のステージに進むことは確実であるとしている。 米国では石炭を代替するエネルギーの開発も課題となっている。国内の石炭埋蔵量が豊富で、且つ、発電コストが最も低いため、発電に占める石炭火力への依存度が50%と異常に高くなっている。しかし、石炭火力で排出される二酸化炭素、窒素酸化物、硫酸が、地球温暖化問題のみならず健康被害問題とも絡み、エネルギー政策の転換を迫られている。 Khosla氏は、アメリカは地域に適した発電方法を選択することで、徐々に再生エネルギーへの転換を図るべきとしている。たとえば、西部、西南部は豊富な太陽エネルギーを利用して太陽光発電を、中西部の穀倉地帯と南東部ではバイオマスを、ロッキー山脈の地域山では地熱発電を、風の強い地域では風力発電を行うことで転換を図れるとしている。 この中でも代替エネルギー源として有望なのは、太陽光発電であるとしている。太陽電池の価格は現時点ではまだまだ高いが、今後数年間に価格は下がり、米国内でも広く普及するとの見通しを立てている。
地球上の水のうち、利用可能な淡水はたった0.01%しかない。世界の人口65億人のうち、飲料上水に恵まれない人は11億人もいる。きれいな水がないことが原因で、世界で毎年百万人が死んでいる。スーダンでは水を確保するために部族が4年間に渡って内戦を続け、20万人が死に、250万人が流民になっている。 中東でも水の問題は深刻である。イスラエルのペレス元首相は、たとえ民族の問題が解決されたとしても、水問題が解決できないために、中東の平和が実現できない可能性が高いと述べている。 Schoendorf氏によれば、ナノテクノロジーを利用した効率的な脱塩化技術の開発が急務であるとしている。これによって海水の淡水化を図り、新鮮な水の供給が可能になるからである。もしこれができたら、これから30年間世界の平和が維持されるだろうと述べている。 パネリストの意見によると、これから重要な技術は、中高年の知力維持プログラム、バイオ燃料の開発、太陽光発電市場の拡大、効率的な淡水化技術の開発の4つに要約される。これは日本企業にとって何を示唆するのだろうか。
任天堂のWiiは米国でも1100万台売れたヒット商品になっているが、健康維持に必要なバランス感覚、筋力トレーニングを鍛えるものと受け取られている。だが、脳科学を取り入れて、知力と体力の双方をゲーム感覚で鍛えるコンソールに組み換えすれば、次の人気商品になるような気がする。 バイオ燃料については、日本とアメリカではまったく別の解決方法をとっているように思う。日本では自動車を変えたが、アメリカでは自動車を変えないで、燃料を変えて問題を解決しようとしている。 では、太陽光発電市場はどうであろうか。米国では、発電用の市場と、住宅用の市場に分かれる。今回のパネルディスカッションでは、後者については触れられていないが、住宅市場向けの太陽電池市場も大きく拡大する形勢にある。 日本は世界の太陽電池市場の37%を押さえる国である。だが、このところドイツ、中国、米国に追い上げられている。エネルギー変換効率では、日本企業がまだ他国比優位に立っているが、アメリカのベンチャーが変換効率を向上させる技術開発を行っている。世界市場が拡大する中で、日本企業が競争力を維持できるのか注目される。 さらに、日本政府の支援にも疑問な点が多い。カリフォルニア州では、シュワルツェネッガー知事が誕生してから、各家庭で太陽電池を設置すると、州が価格の25%の補助金を出す制度が導入された。現在の価格は200万円以上するので、この補助金が普及に弾みをつける可能性が高い。日本では1994年に政府による補助金制度が導入されたが、2005年に廃止された。日本が本格的に太陽電池の普及を目指すのであれば、補助金制度の復活は必要であろう。 淡水化技術も日本企業がトップシェアを握る技術である。水が豊富な日本では、海水の淡水化はピンとこない概念かもしれない。しかし、Schoendorf氏が指摘するように、この技術は世界に平和をもたらす技術である。日本企業は世界平和に貢献する崇高な使命をもって、引き続き優位性を堅持して欲しいと願う次第である。 PR |
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