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インフレ時代の日本株、抵抗力と好需給で底堅さ堅持-課題は業績実勢 Bloomberg NEWS 2008/06/20 16:29 JST 原油高などを背景に世界的なインフレ傾向が強まる中、日本株のパフォーマンスは相対的に堅調だ。海外の主要株価指数が約1カ月間で7-10%下落したのに対し、日本株は1%安。インフレが与える影響度の違いから、日本株の見直しは当面続きやすいとの見方も出てきた。 CLSAのグローバルストラテジスト、ラッセル・ネイピアー氏は20日に東京で開かれた同社セミナーで、日本のインフレ進行は「3つの引き金になる。1つは債券から株式へのシフト、2つ目は個人消費の刺激。3つ目は製造業の収益性向上だ」と述べた。このうち製造業の収益性向上については、デフレを輸出していた中国が今後はインフレを輸出することで世界の製造業のマージンが改善、中でも日本はその恩恵を日本は大きく受けるという。2003年を底に日本株は上昇しているが、「本当の上昇はこれからだ」とネイピアー氏。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
原材料価格の上昇によるコストプッシュ型のインフレは交易条件を悪化させ、企業収益にとってのマイナス要因となる。景気減速下での原油価格の高止まりがスタグフレーションへの警戒につながり、米ダウ工業株30種平均は直近高値5月19日から6月19日まで7.4%下落。英FT100指数は10.5%安、中国上海総合指数は24%安と落ち込んだ。その中で日経平均株価の下げは1%にとどまる。 ミョウジョウ・アセット・マネジメントの露久保裕道ディレクターは、「日本は原油高のネガティブリスクはもともと小さく、世界の中で相対的にインフレ抵抗力は強い」と話す。国際エネルギー機関(IEA)が07年に公表した調査によると、05年の国内総生産(GDP)1単位当たりの1次エネルギー消費量(石油換算トン)は、日本1に対してEUは1.9、米国2.0、インド 7.9、中国8.6となっている。 ディマンドプルの恩恵も 大和住銀投信投資顧問の窪田真之シニアファンドマネージャーによると、消費者物価がマイナス状態にあると景気を失速させ、5%を超えると要注意、8-10%を上回ると再び景気を失速させやすいという経験則があるそうだ。欧米諸国は現在3%強、新興国はおおむね6%以上のインフレに陥っている。それに対し、日本は依然1%に満たない。 窪田氏は、「資源価格の上昇は多くの国にとってコストプッシュインフレになり、景気を悪化させる」とした上で、日本にとってインフレは「景気を壊すマイナスのインフレからの脱出につながるため、世界との比較からはポジティブ」との認識を示す。さらに、資源国による資源開発やインフラ投資、環境対応の自動車などといった需要を取り込むことで、「ディマンドプルインフレの恩恵も受ける」(同氏)との見解だ。 マネーフローやバリュエーションも追い風に インフレをきっかけとする資金フローの変化も、日本株にとっては追い風だ。海外ではスタグフレーション(景気後退期の物価上昇)への懸念から、マネーは債券から株式に流れず、商品や直接キャッシュに向かった半面、国内では「インフレヘッジのために、年金が債券のウエートを減らして株式へ資金を振り向けている」(ミョウジョウ・アセットの露久保氏)という。 米大手証券メリルリンチの6月のファンドマネジャー調査では、コアインフレ率の上昇を見込む比率から、低下を見る比率を差し引いた世界のインフレ予想は前月の25%から33%に上昇。インフレ警戒が高まる半面、日本株をアンダーウエートしている投資家は41%から27%へと大幅に減った。日本株が戻り歩調となる中で中国株は調整色を強め、「金融引き締めがオーバーキルになるかもしれないアジア株に対し、日本株が相対的に浮かび上がる」(トヨタアセットマネジメント投資戦略部の浜崎優シニアストラテジスト)という構図から、リバランスの動きがうかがえる。 また、朝日ライフアセットマネジメント中静満博取締役執行役員は、「デフレがインフレになる過程では、実質金利がマイナスになれば個人の金融資産が動き出す」と指摘。こうした影響もあり、「株式のバリュエーションが高くなる可能性がある」(同氏)という。さらに、デフレからインフレへの移行は、企業サイドから見れば、財務レバレッジの上昇を通じて株主資本利益率(ROE)が高まりやすくなる。 根強い慎重論 海外との相対評価や需給面から、インフレが日本株にプラスとする声がある半面、日本のファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)の厳しさを指摘する向きも少なくない。「今回は物価が上昇する一方、賃金は上昇していないコストプッシュインフレで、消費者の実質購買力は低下している」と警戒するのは、ソシエテジェネラルアセットマネジメントの吉野晶雄チーフエコノミストだ。 明治安田生命保険相互の津坂睦彦特別勘定運用部長も、「企業は原材料価格の高騰を価格転嫁できるか不透明な上、価格転嫁した場合は、個人消費にマイナスの影響を与える。どちらにしても企業の収益改善は読みづらい」と、慎重な姿勢を崩していない。大和総研が今月5日にまとめた金融を除く主要300 社の2008年度業績は、売上高で前期比3.5%増、経常利益で4.3%減と、7期ぶりの減益が見込まれている。 みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員は、「インフレ環境で需給面は良好だが、日本企業の業績を左右する米国がスタグフレーションの足音がある中で業績懸念は依然払しょくできない」と指摘。海外株式との相対比較では優位性を示す可能性はあるものの、「スタグフレーションを回避できるかどうかの方向性が明らかになるまでは、需給面と業績懸念との綱引きから日本株はもみ合いの域を出ないだろう」(同氏)と予測している。 PR |
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