2024 11,24 15:10 |
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2008 05,11 22:00 |
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連山 米国発の信用収縮が消費減退を招き、実体経済は深刻な状況下にあります。しかし、株式市場は厳しい世相とは無関係かのように上昇を続けています(今年3月下旬から安定的に上昇中) 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ 4月28日(ブルームバーグ):英紙フィナンシャル・タイムズ・ドイツ版(F ちなみに、一連の不良債権隠しに必要な資金を賄っているのが中央銀行のバランスシートです。踏み込んで言えば、中央銀行が金融機関が抱える不良債権を引き取って抱えると言う形になります。ゆえに、中央銀行のバランスシート規模が引き取り可能限度額となります。 ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ 4月21日(ブルームバーグ):イングランド銀行(中央銀行)は21日、約500億ポンド(約10兆2900億円)相当の国債を銀行が保有する住宅ローン担保証券(MBS)と交換すると発表した。これにより資金コスト押し下げと貸し渋り解消を図る。イングランド銀のキング総裁は、需要が500億ポンドを超える場合でも対応する考えを示した。 そのためでしょうか、直近のドル資金供給のプログラムにイングランド銀行は参加しない方針を表明しています。バランスシートに余裕が残っていない以上、身動きが取れないのですから、必然と言えましょう。 ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ イングランド銀行(英中央銀行)は2日、ロンドン市場ではドル資金が十分だとして、米連邦準備理事会(FRB)との為替スワップ協定には参加しない方針を明らかにした。 FRBとECBは、ドル資金供給の勢いを強めています。FRBがドル資金供給をする(≒不良債権の買取資金の供給)のは分かります。しかし、ECBまで一緒になってかなりの規模のドル資金供給をするのはなぜでしょうか? ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ 15日に発表された米調査会社、ロススタイン・カスの調査によると、世界的な信用収縮にもかかわらず、米ヘッジファンド・マネージャーの90%以上が今年のヘッジファンド業界の資金調達に関して楽観的な見通しをしている、と15日付のロイター通信は報じている。 散々な成績にも関わらず資金供給を引き続き受けられるヘッジファンド──どうやら、中央銀行や金融機関の別働隊として活躍を期待されているようなのです。 「金融機関の増資引き受け」ですが、国際的な金融活動をする銀行には8%の自己資本規制が課せられています。評価損失が大きくなるほど、自己資本を増強せねばなりません。 ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ 信用収縮が終わりに近づいているという米銀大手シティグループのビクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)の発言が真実なら、同CEOはなぜ、自社のバランスシート上に抱えるレバレッジド・バイアウト(LBO)向け融資債権を、不利な条件で売却するのだろう。 事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、シティは今月、80億ドル(約8310億円)の融資債権をプライベートエクイティ(未公開株)投資会社に売却した。売却前に60億ドルを、自社の調達コストよりも低い金利で投資会社に貸し付けていた。ドイツ銀行と英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)も、融資債権を売却するために買い手に資金を貸し付けた。 このような売却によって、銀行が抱えていた2300億ドル相当の売れ残り融資債権は910億ドルまで圧縮された。しかし、ベアリング・アセット・マネジメントの債券・為替調査ディレクター、ナイジェル・シリス氏は、銀行が早急に新規融資に積極的になるとは限らないと指摘する。なぜならば、このような取引では、ある種類の債権を別種の債権に交換したことにしかならないからだ。 危険な貸し出しをしてまでも、不良債権をバランスシートから切り離す必要があったのでしょう。今後、シティグループのようなケースが増えるかもしれません。と言うのもヘッジファンド側はキャッシュポジションを増やしており(=株や債券を換金し、資金量を確保している)、その目的がディストレスト資産(≒不良債権)の買い集めにあるらしいのです。今回のシティグループのケースの様に、評価損著しい不良債権を買い取るチャンスを虎視眈々と狙っていると考えられます。 ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ ウォールストリート・ジャーナルは17日付の紙面で、ヘッジファンドは、クレジット市場危機で相場が乱高下し方向性を掴むことが困難なことや、流動性確保のため、高レバレッジ運用を避け、運用資産全体に占める現金、あるいは現金同等物の比率を高めている、と報じている。 アナリストやマネージャーは、こうしたヘッジファンドの方針転換について、現金が急に必要になるリスクが高まっていることを指摘する。ヘッジファンドに資金を提供する銀行が、融資担保不足を理由に追加保証金(追証)を要求する事態や投資家の解約請求が増えるリスクがあるためだ。 ヘッジファンド自体も、新しい資金の調達が困難になっていることや、調達コストが2倍以上になっていることも理由として想定される。しかし、もっと大きな理由があると、同紙は指摘している。つまり、ファンドマネージャーは、現金比率を高めて、将来のディストレスト資産投資(経営破綻、あるいは破綻寸前の企業の社債などを安値で買い取り、企業再生後に売却して利益を上げる手法)の機会を待っているためだとしている。 実は、ヘッジファンドがディストレスト資産・債券を狙う動きは、昨年のサブプライム問題表面化時(2007年7月下旬以降)から活発になっていました。 ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ 世界的な信用危機が市場を襲ったにも関わらず、破綻企業などの債券に投資するディストレスト債権型ヘッジファンドの成績は振るわなかった。しかし、2008年はディストレスト債権戦略が勢いを増す年になるとの見方を示す業界関係者も少なくない。 上記ニュースで「来年の8月ごろから多くの売りが現れるだろう」と述べられていますが、これは金融機関が溜め込んだ不良債権が2008年8月頃から放出され始める事を指しているものと考えられます。今年の第3四半期決算発表時期には、銀行のバランスシート上に多額の評価損が(今まで以上の規模)計上される可能性があります。 今後訪れるであろう「ディストレスト資産ブーム」ですが、信用収縮を解決する希望の星として注目を集めています。不良債権の引き取り手が現れる事で、今まで値が付かなかった紙くず債券に値が付くようになるわけです。保有資産が無価値になると言う最悪の事態を回避すべく、不良債権を売却する動きは確実に高まってゆく事でしょう。 ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ 米経済通信社ダウ・ジョーンズは4日付の記事で、専門家の分析を引用して、ディストレスト資産投資の動きが今年後半に本格化すれば、クレジット市場の安定化に寄与すると報じている。
米ヘッジファンド運用大手フォートレス・インベストメント・グループが、住宅不動産や住宅ローン担保証券(RMBS)を積極的に買い増している、と28日付けのダウ・ジョーンズが報じている。 フォートレスのウェズ・エデンズCEOは「安値でも処分できない不良債権が日に日に増えている。まもなく、あらゆる種類の資産が格安で購入できる『黄金時代』がやってくるはずだ」と述べ、「信用危機の影響を見極めるには時期尚早だが、今後3ヶから半年のうちに、地方銀行などへの融資を巡って大きなチャンスがやって来るだろう」との見通しを示した。 一方、運用資産額130億ドルを誇るゴールデンツリー・アセット・マネジメントは、レバレッジド・バイアウト(LBO)債権を以前より大幅に値下がりした価格で取得している。 ゴールデンツリーのスティーブン・タナンバウムCEOは「今年に入って弊社は、清算を余儀なくされた金融機関からLBO債権を数億ドル分購入しているが、株式の10-30倍の資産価値がある」と語っている。 ディストレスト資産ブーム到来を見越してか、中東勢もそろりそろりと動き出した模様です。バーレーンの政府系ファンドが、欧米の金融機関から不良債権を買い集めるべく、準備を進めているとのニュースが報じられました。 ↓─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…─↓ 資産規模100億ドルを誇る中東の政府系ファンド(SWF)、バーレーン・マムタラカト・ホールディングは今後の投資対象としてディストレスト資産に注目していることを、同ファンドのTalal Al Zain最高経営責任者(CEO)がダウ・ジョーンズとのインタビューで明らかにした。 マムタラカトは現状、100億ドルに上る資産の98%を国内や近隣諸国で運用しているが、「今後、欧米など海外向けの投資配分を50%まで増やすつもりだ」とAl Zain氏は語った。同氏は今後、同ファンドの資産を年率15%のペースで増やしていくことを目標に掲げている。 Al Zain氏が特に注目しているのは、欧米におけるディストレスト資産への投資である。米国のサブプライムローン問題を端に発した信用収縮によって、世界経済への懸念が高まり、欧米の金融機関が保有する資産の価値は軒並み下がっている。「市場の状況を鑑みると、欧米の金融機関は私たち政府系ファンドから支援を受けざるを得ないだろう」とAl Zain氏は述べている。 金融市場におけるブームが「高レバレッジ型」から「ディストレスト投資型」へ変化しつつありますが、これはどういった意味をもつのでしょうか?
FRB、ECBはバランスシートが許す限り、ヘッジファンドへ資金を供給し、金融機関のバランスシートから不良債権を切り離す作戦を続行するでしょう。 FRB、ECBのバランスシートを合わせると、200兆円弱の規模があると推測されます。この規模までは不良資産を吸収できると予想しても良いかもしれません(ただし、バランスシートを使い果たすと、中央銀行自体が身動き取れなくなりますが......) FRBやECBでも「これ以上の不良債権回収は無理!」と言う段階が近づくと、金融機関同士が合併吸収を繰り返し、ウルトラバンクが誕生する可能性があります。「あまりにも規模と影響が大きすぎて潰せない」銀行に変身してしまう訳です。もし、欧米の金融機関の間で合併吸収の話が本格化して来たら、中央銀行による不良債権処理の限界が見えてきたと言えるかもしれません(実際のところ、ベアスターンズがJPモルガンに吸収され、カントリーワイドはバンカメに吸収されました。今後、救済合併の動きには注意を払っておくべきでしょう) FRB、ECBも手段を使い果たし(資金供給が不可能になる)、ウルトラバンクが誕生して潰すに潰せない状況になると、いよいよ「公的資金注入」の段階に入るかもしれません。
ただし、ディストレスト投資ブームと言っても焼き畑農業の様に一過性のものでしかありません。そのブームの後では、企業の再建・リストラの嵐が吹き荒れ(人員削減などのリストラを通して、買い占めた企業などのバランスシートを一時的に改善し、資産価格を高めると考えられる)、その結果として途轍もない規模の失業者が社会に溢れ、消費はもはや見る影も無いほどに縮小している事でしょう。 そこから先、新たな需要や消費を生み出さない限り、金融テクニック的なアプローチでは問題を解決出来なくなる事でしょう。 もし仮に、米国が新たな中東戦争と言う大事業に打って出るとすれば、ディストレスト投資ブームの後──可能性として、2〜3年後かもしれません。少なくともその頃には、打てる手を尽くし、その結果は明らかになっている事でしょう(=これまでの世界経済を支えていた需要・消費は消滅したと言う結果の事)。 PR |
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