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2008 04,13 14:00 |
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読売新聞 2008年4月1日 名曲に潜む「効能」解明 モーツァルトは無意識のうちに自分の病を和らげる音を求めて、作曲をしていたのではないか。そんな大胆な仮説をまとめた。 「脳機能の研究成果に、モーツァルトの文献調査を加えて得られた結論です」。筑波大学に勤め、脳の神経伝達物質の一種で“快感物質”と呼ばれるドーパミンを研究している。 きっかけは、共同研究者の女性の話だった。自宅でピアノを弾くと、モーツァルトの時だけ、ペットのラットがおとなしいという。 ものは試しと実験用のネズミで調べてみた。有名な作曲家の作品を100曲ほど聴かせたところ、確かにモーツァルトが若いころの作品に、ネズミをおとなしくさせるものが多かった。 この時、脳内で一時的にドーパミンの合成が促進され、血圧も低下していることが判明。一定の周波数領域を抽出して聴かせる実験で、高音域がドーパミン合成を促す効果を持つことを突き止めた。 「他の曲でも高音ならドーパミンは増えますが、モーツァルトは、美しい曲の中に高音域を豊富に取り込むことに成功したということでしょう」と解説する。 音楽療法の世界では、高周波数の音は、胎児が子宮で聞く母の声や血流音に似ているため、癒やし効果が高いとの説がある。それを支持する結果でもある。 なぜモーツァルトは高音を多用したのか。「様々な状況証拠から、彼はドーパミン欠乏によるてんかん症だったのだと思います。無意識のうちに、ドーパミンが増える曲を作っていたのでしょう」と推理する。 山形県の農家出身。農作業を手伝いながら、生命の営みに触れた。高校時代には淡水魚の繁殖行動研究で、日本学生科学賞・内閣総理大臣賞を受賞した。魚と脳細胞という違いはあれ、「生物の情報伝達」が一貫した研究テーマという。 「個人的にはバッハが好き。ドーパミンと音楽の趣味は、必ずしも一致しないようですね」と笑みをみせた。(講談社+α新書、800円)(藤田勝) PR |
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