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もはや時代遅れ、日立グループ戦略 東洋経済 08/04/01 18:00 2期連続最終赤字の真相 日立製作所は2008年3月期の最終利益予想を700億円の赤字に下方修正した。従来予想は100億円の最終黒字。最終赤字に沈むのは2期連続である。1999年3月期からの10年間で、最終赤字は実に4回目だ。売上高約11兆円、従業員35万人超、1099社の関係会社を擁する巨大コングロマリットは、なぜこうも最終赤字に陥りやすいのか。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
「デジタルメディア・民生機器部門の悪化に伴い、税効果資産の回収可能性を見直し、今回、地方税に係る繰延税金資産約620億円の一括評価減を実施する予定」 日立は3月14日付リリースで最終赤字の理由をそう記した。「デジタルメディア・民生機器部門」の主なものは、薄型テレビ向けの液晶パネルやプラズマパネルなどのディスプレー事業。日立の薄型テレビは、ソニーやシャープなど大手との価格競争にさらされて不振を極めている。今回、在庫処分などで、同部門は370億円の営業赤字。また、営業外損益には製造設備減損などで560億円を費用計上する。結果、計930億円もの大ナタを振るう。 この損失の巨額さから、多くの報道は「薄型テレビ不振で最終赤字」との表現で原因を結論づけた。だが、同事業の不振は、今回の最終赤字転落と一直線には結び付かない。 というのも、薄型テレビの不振に加え、ハードディスクドライブ(HDD)も300億円規模の営業赤字に陥るが、電力事業や高機能材料、情報通信関連が絶好調なため、連結営業利益は3000億円と従来計画から変わらない。営業外損益において、株価低迷による保有株の評価損が響くものの、薄型テレビの構造改革費を上回る子会社株売却益1000億円も同時に計上する。そのため税引き前利益は計画をわずか100億円下回る軽傷ですむ見通しだ。 では、なぜ最終赤字なのか。ゴールドマン・サックス証券の松橋郁夫アナリストは「ディスプレーの損益悪化が要因と説明されているが、もともと(日立)単独で課税所得は(少なくとも)過去4、5年ほとんど確保できていない状況であったと推測される」と指摘する。要するに税効果会計の見積もりが甘かったのだ。信用調査会社のデータでは、日立本体の申告所得額は98年3月期の67億円を最後に途絶えている。 リリースにあった「デジタルメディア・民生機器部門の悪化」という文言は、「とってつけたようなもの」と松橋氏は手厳しい。今回の下方修正は、日立本体が長らく課税所得がないのにもかかわらず、不振事業の将来の黒字化を見込んだ繰延税金資産を1468億円(07年3月末)も計上してきたことのツケを払わされた結果というのが真相だ。 会社側は「繰延税金資産から今回取り崩した地方税分の620億円は、薄型テレビ事業分だけでなく、さまざまな事業のものを積み上げたもの」と打ち明ける。つまり、薄型テレビ事業の黒字化を前提に積んできた繰延税金資産を見直した結果、他の事業についてもあらためて見直しせざるをえなくなったのだ。最終的には「地方税分だけ一括評価減しよう」との線で落ち着いたもようだ。 が、同業他社では国庫納入予定分まで一括処理した例もある。単体繰延税金資産のうち国庫分848億円はまだ手つかずで、09年3月期は最終赤字に陥るリスクを抱えたままスタートを切ることになる。 本体はコストセンター、グループ戦略にきしみ それに加えて、最終利益の足を引っ張るのが「少数株主持分」の存在だ。過半の株を握る上場子会社の少数株主分に相当する利益額を税引き前利益から差し引くものだが、08年3月期は14の上場子会社の業績が好調なことから少数株主持分は1040億円と巨額。「日立グループ全体の実力を測る際には、最終利益ではなく、営業利益で見てほしい」。古川一夫社長はかつてマスコミに対してそう語ったことがある。だが、今回の業績修正後の株価下落を見るかぎり、営業利益で日立を評価する市場関係者は皆無に等しいようだ。 日立のグループ経営は、本体が赤字事業を抱えるなどしてコストセンターとなる一方、日立金属や日立化成工業などの上場優良子会社が連結業績を牽引する構図をとってきた。庄山悦彦会長が社長時代に成長分野と位置づけたHDDなど新規事業は、完全子会社化するなどして本体が実質管理下に置いた。そのうちの多くは将来の黒字化を前提に税金資産を積み増してきた。不振事業へのテコ入れは、本体が随時行ってきたが、今の状況はそうした手法にきしみが生じてきたことを意味する。 逆に、ソニーや松下電器産業は、優良子会社を完全子会社化することで、外部株主へ利益が流出することを防ぐ戦略に舵を切った。日立も早期にそうした手法で最終赤字に陥りにくい利益構造を確立すべきではないか。会社側は「優良子会社の上場で財務体質の健全化を図ってきた面もある」と意に介さないが、日立のグループ戦略は間違いなく転換点にさしかかっている。 PR |
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