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Klug 2008/02/14 現地8日、米国農務省は世界農産物需給予測を発表しましたが、今回の報告発表前には、小麦の供給ひっ迫感が深まる内容との見方が強まりました。そのため、これに先行する形で小麦価格が急伸し、CBOT市場における小麦の期先限月は2月4日から8日にかけて、5日間連続でストップ高を付けており、需給報告発表日の8日には1093セント(ブッシェル)と期先限月の終値としての史上最高値に達しています。 そしてこの高騰は米国内の取引所による小麦市場の値幅制限ルール変更も促しました。 このような高騰を招くほど世界の小麦供給のひっ迫が見込まれている要因としては、オーストラリアの干ばつによる大減産が2年連続で続いていることや中国の需要増加、といった原因が良く知られています。また、収穫期を目前に控える米国での乾燥した天候を受けた小麦の品質劣化観測も状況を更に悪化させるとの見方を強めているのです。 ただ、小麦が史上最高値を更新し続けている理由は天候不良による不足、という説明だけでは充分とは言えないでしょう。なぜなら、毎年変化する農産物の出来・不出来は市場に影響を与えるとはいえ、来期で生産量の調整が進む見通しが膨らむためその影響も短期的なものに留まる傾向があるからです。 小麦だけでなく小麦と同様に世界三大穀物の一つに数えられるコーン、そして大豆などの穀類の価格が上昇し始めたのは概ね2004年からで、過去には価格が高騰した年の翌年には急落場面を演じるなど価格の周期はほぼ毎年変化していました。このため、現在の価格の上昇局面は長期に渡っていると言えるでしょう。この理由としては世界的な需給構造自体の変化が挙げられます。 その一例が米国や欧州です。よく知られているように、米国では近年、石油の代替燃料としてのバイオエタノール生産に力を入れています。一方の欧州では油糧種子を原料にしたバイオディーゼルの生産が活発化しています。これがコーンや大豆、菜種、キャノーラなどの油糧種子の価格高騰を引き起こしていることは周知の通りですが、これに伴う利益を享受しようとの意欲が高まった結果、コーンや油糧種子が優先的に生産されて小麦の減産傾向が続いているという事情があります。 例えば欧州の場合、2004年には1億4,600万トンに達していた小麦生産量は2007年度には1億1,970万トンに減少した結果、この間の自給率は119.2%から99.6%へと変化しています。欧州の小麦自給率が100%を割り込んだのは1980年以降では3度ありますが、そのうちの2度は小麦生産量が2年連続して減少した2006年、2007年であることも、同地域での供給引き締まりが進行していることを示唆していると思われます。 なお、不作という供給サイドの要因に比べると需要構造の変化という要因が短期で大きなインパクトを与える可能性は低いと考えられます。これは新しい変化に伴う需要の増減が定着するまでに時間がかかることが理由の一つですが、その一方で新しい需要が定着すると今後はその排除が困難となるため、価格には長期的に影響を与える傾向があります。 同時に、在庫管理の効率化や、輸送インフラの整備が進行している点も注目されます。これらの合理化や利便性の向上は、輸入国にとって大量の貯蓄を抱える負担を軽減しました。しかしながら供給を輸入に依存する体制が強まった結果、当初見通し以上の消費量増加や異常気象による不作が価格に与える影響が高まるというリスクを抱えこむ状況を招いているのです。 今回の需給報告で世界の小麦期末在庫量は1月時点の発表に比べると123万トン引き下げられたほか、世界の期末在庫率は過去60年間で最も低い17.72%、との見方が示されています。いずれも供給ひっ迫の進行を示唆するものとなっています。 市場には“噂で買って事実で売る”という言葉があります。今回、小麦価格が需給報告の発表前に急騰し発表後に下落していることは、その典型的な例と見ることができるでしょう。とは言っても、この価格の下落は小麦の供給不安払拭によるものではないうえ、コーンや大豆は小麦よりも供給がタイトな状況が予測されています。 これからの時期は北半球での作付動向が最大の焦点となり、農産物市場にとって大きなヤマ場を迎えることになります。作付面積の増減は供給状況に直接影響を与えるため、少なくとも3月末の作付面積予想発表までの期間、農産物市場は例年以上に波乱含みの展開になるかも知れません。
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