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ロイターNEWS 2008年 02月 15日 19:04 JST 福井俊彦日銀総裁は15日、金融政策決定会合後の会見で、最近の原材料高などに伴う物価上昇のもとで、政策金利水準を据え置いても物価上昇により実質金利水準が低下して金融緩和効果が出るのではないかとの見方に対して、企業の実質収益率を勘案すれば、ここ数カ月で実質的に緩和度合いが増したとは言えない、との見解を示した。 ただ、いずれにしても金融緩和的な状況は長期にわたり続いてきていると述べた。物価上昇に伴う経済への影響には、景気押し下げ効果とインフレ圧力の両面があるものの、日本ではインフレ圧力は相対的に小さいと述べた。 景気の前向き循環メカニズムに関しては、基本的に維持されているが、足元ではやや弱まっているとして、海外経済や国際金融資本市場の不確実性が当初予想より高まっていることもあり、いわゆるデカップリング論が当然の前提だと考えることは甘すぎる、との見方を示した。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
原材料高などで物価が上昇してくれば、日銀が利下げをせずともある程度実質金利の低下を通じて経済にプラスの効果が出るとの見方もあるが、福井総裁は「消費者物価指数(CPI)が前年比ゼロ%近傍から最近では0.8%程度まで上昇してきたことから、計算上は実質的な金融緩和効果が高まっているのだが、本当は、期待インフレ率、そして企業の収益率との対比でみて計算しなければならない。それには色々と前提をおかなければならない」と指摘。その上で「ここ数カ月で急速に実質的な緩和度合いが増したとは言えない。ただいずれにせよ緩和された状態がかなりの間続いていることだけはいえる」と述べ、物価上昇だけ取り出しても金利据え置きによる緩和効果がそれほど高まっているとはいえないとの見方を示した。 また福井総裁は物価上昇の効果について「インフレサイドの圧力と、交易条件の変化を通じて、所得移転に伴う景気押し下げ効果という、両方の違った圧力がある」と指摘。しかし「日本では一時的に潜在成長率を少し下振れていることや、企業の近隣諸国との競争や、賃上げにつながりにくい面もあり、インフレ圧力は欧米より小さい」として、インフレ圧力より景気押し下げ効果に比重を置いた。 ただ「緩やかではあっても先々息の長い成長を確保しようということで、現実のその経路がより強く見えてくれば、物価上昇圧力は知らない間に強まっていくので、そこからまったく目を放して政策判断をしていいというわけにはいかない」と述べ、景気拡大が強まれば将来のインフレ圧力を意識するという見方を示した。 <デカップリング前提、考え甘すぎる> 世界経済の減速懸念が強まっていることについて、「グローバル化の進展のもとで世界経済は相互連関を強めているというのがポイント。国際的な金融市場の動きなども通じて、他国の経済に影響を与えながら前進している。したがってデカップリングというのは定義的にありえず、あくまで程度問題」との認識を示した。 こうした認識のもとで、各国の経済について「国際金融市場の動揺が続く中で住宅市場の変動や金融資本市場の変動の影響から全く無縁ですむかというとそうはいかない。株式市場は直接大きな影響が出ているし、それ以外の市場でも当初予想を上回る影響が出てきている」と指摘。「したがって米経済が一段と減速して世界経済に影響を与えるリスクは、米経済のダウンサイドリスクが顕現化するほど、高まっている」と懸念し、「先行きを考える上でデカップリングを当然の前提として考えるのは少し甘すぎる」との厳しい見解を示した。 国際金融資本市場の状況については「まだ不安定な状況が続いている」との見方を示し、「サブプライム問題に伴う金融タイト化の影響が実体経済に及ぶのではないかという懸念が強まっていると指摘されている」とし、「金融資本市場の修復と同様に実体経済も秩序ある調整を進めることが必要だが、それなりの時間がかかる」と述べ「その対応はG7を含め各国間でしっかり共有されている」とした。 <前向き循環メカニズム維持も、足元は弱まり> 日本経済について2月の金融経済月報では、先行きについて「当面減速するものの、その後緩やかに拡大を続ける」との基本的な見解は踏襲したが、その中で海外経済について「減速しつつも拡大」とし、生産も「当面横ばう状況局面も伴いつつも増加基調をたどる」として、下方修正した。 福井総裁は、中小企業のコスト高に伴う収益悪化状況に関する質問に対し、「マクロ判断の再の軸となるのは前向き循環メカニズムの部分だが、中小企業に生産から所得、さらに家計への還元が鈍いことにも注目している」と指摘。「最終的にそれらが生産・所得・支出の支出の部分にかげりを及ぼしていれば、それにも注目している」と述べた。その上で「生産・所得・支出の循環メカニズムは基本的に維持されているが、足元ではそれが若干弱まっている」として政策面では「今後ショックをうまく吸収しながら再びこのリズム感を良くしていく方向に運営していかなければなならない」と述べた。 <長期国債買い切り額、必要あれば修正> 長期国債を毎月1.2兆円ずつ買い入れていることについて政治家の中に批判の声があることに対して福井総裁は「今の買い入れ額が、比較的大きいことは認める」としながらも、銀行券の伸びが高いので、その残高の範囲内で天井に比べてまだ余裕があること、保有長期国債の平均残存期間は想像より短い状況にあること、政府の買い入れ消却措置もあり長期国債の日銀保有残高は減少しており、米連銀の保有比率より低いこと、などを挙げた。その上で「今の状況で日銀のバランスシートの偏りがあって金融調節の支障は生じていることはない。急激に減らす必要はないが、先々まで見て、金融調節が窮屈になることがないように、多少早めに手を打ちながら修正していく」と述べた。 PR |
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