ＮＹダウとナスダック総合指数

　ＮＹダウ平均株価というのは、米Dow Jones社（『Wall Street Journal』の
発行元）が発表している米国の代表的な株価指数です。
この指数にはいろいろな種類があり、その総合指数というものも存在しますが、
一般的にダウ平均といえば、ダウ30種工業株平均
（Dow Jones Industrial Average）を指します。
日本で通常、米国の市況情報といえば、まずこのダウ平均が
伝えられているはずです。

興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック！

[0回]

◆ダウはIT株の指標にはならない

　では、ダウで米市場の動向を判断すればいいかのというと、そうではありません。
確かにダウ平均には、俗に“BlueChip”と呼ばれている、ニューヨーク証券取引所（NYSE）に上場されている、選りすぐりの米国の優良株が含まれています。

　ですが、ここでいう優良な工業株とは、化学や自動車などを含めたさまざまな
業種の代表的な企業ばかりです（ちなみに工業株と言いながら金融株まで含まれ
ています）。これらの企業の株価は，それなりの高値圏で比較的落ち着いていて、
ゲゲゲっというような下落もないかわりに、目を見張るような上昇を見せること
は多くありません。積極的に儲けようという投資家から見れば、
価格の変動性（ボラティリティ）に乏しい、退屈な銘柄ということになります。

　つまり、IT株などのテクノロジー株から見れば、BlueChipやダウ平均株価は
対極的な存在です。だから，それらをまとめて指数化したダウ平均とナスダックを
中心に公開されているテクノロジー株との連動性はあまり高くなく、
むしろ逆行することすら珍しくありません。

◆逆行することもあるダウとナスダック総合指数

　２つの指数の動き方には、特有の違いもあります。ダウはひと言で言えば、
大きな事情で動きます。たとえば，マクロ経済の統計データや為替、債券相場の
値動きなんかにはとても敏感だし、ＦＲＢ（連邦準備制度理事会）の議長が
金利動向などについて漏らしたコメントなどにも一喜一憂します。

　というのも、BlueChip株はみな功なり名をとげた企業ばかりで、もともと個別
事情による値動きに比較的乏しい。むしろ、ファンドマネジャーや機関投資家が、
債券などの利回りとそれらの株式投資の利回りを睨みながらポートフォリオを
組み替えるといった要素で、株価が動いているからです。

　一方、ナスダック総合指数は小さな事情で動きます。というのも、同指数に
占めるハイテク株の影響度はかなり大きく、ハイテク株という１つの業界の
株価動向がストレートに反映されやすいからです。そして、このテクノロジー
企業の株価は、マクロ経済などの影響を比較的受けにくい。
むしろ、指標となる企業の業績発表やトレンド、テーマ性、需給関係といった
要素で変化することのほうが多いのです。

　たとえば主要なIT企業の売り上げの伸びが予想を下回って、その業種の
将来性に疑問符が付けられます。すると、類似企業に軒並み連想が広がって、
ついにはハイテク株の全面安につながったりします。こんな場合、一時的に
それを利食い売りし、比較的安全なBlueChip株に乗り換えるといった投資行動も
まま見られるため、ナスダック総合指数とダウ平均が逆行するケースが
出てくるわけです。

　しかし、最近の米国市場の動きは、米国経済が危機的状況に陥るかどうかの
瀬戸際であるため、ＮＹダウもナスダックも同じように景気動向指数や
企業業績の成り行きに注視し、似たような動きになることも少なくはありません。

《NYSE》　　http://www.miller.co.jp/cgi-bin/member/chart.cgi?200I
《NASDAQ》　http://www.miller.co.jp/cgi-bin/member/chart.cgi?202I

※ナスダック総合指数
　ナスダックの全公開銘柄のうち、米国株すべてと非米国の普通株（common
　stock）を　ベースに算出されている。現在、対象となっている銘柄は5000
　以上。指数は1971年2月5日を「100」として計算しています。Nasdaqでは最
　近、この総合指数とともに、非金融業の有力100社を選んで指数化した
「ナスダック-100」という指数の普及に力を入れています。

※Blue Chip
　NYSEに上場されている優良銘柄を指す。ポーカーのチップでは青いチップの
　価値が1番高いことが、その語源と言われています。

毎朝このＮＹＳＥ（ダウ）とＮＡＳＤＡＱの引値を掲載しております。
米国市場の鏡のような最近の東京市場を見る上では非常に参考になると
思いますので、是非お目を通しください。

総合的な米市場の指標はＳ＆Ｐ５００へ

　株式市場全体のトレンドを測る指数としては，最近ではダウよりはむしろ
スタンダード＆プアーズ社が発表している「Ｓ＆Ｐ５００」のほうが、
より使われる傾向にあります。これはＮＹＳＥ、ＡＭＥＸ
（アメリカン証券取引所）、そしてナスダックに上場している企業のうち、
優良５００社（うち工業株４００）を選んだもので、マーケットの時価総額に
占めるシェアがかなり高くなっています。
長い歴史を持つダウ平均の重要性は、経済指標としては薄れてはいませんが、
こと投資に関しては、その重要性は下がってきていると見られています。

日本の株価指標が日経平均からＴＯＰＩＸへ移行してきているのに似ています。