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世界同時株安に高まる不安、市場関係者16人の下値メド ロイターNEWS 2008年 01月 22日 14:22 JST サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発する信用収縮懸念が世界を駆け巡り、株安の連鎖が止まらない。22日の東京株式市場で日経平均は一時700円を超す下げ幅を記録し、約2年3カ月ぶりに1万3000円を割り込んだ。 昨年3月高値からの下落率(取引時間中)は30%を超え、各種の株価指標は歴史的な割安圏を示唆しているが、不安心理が市場を支配している。 株価はどこまで下げるのか。ロイターでは、市場関係者16人に株安の背景と今後の見通し、下値メドなどについてヒアリングした。関係者のコメントは以下の通り。
(下値メド1万2200円) 現在の市場はパニック的な様相となっている。それ以上でも以下でもない。このパニック心理が落ち着くためにはダウが後、300ドル下げて1万1700ドル程度になる必要があろう。ダウ1万1700ドルに対応する日経平均株価は1万3500円程度なので、すでにその水準を切っているが、米株安が進めば1万2200円程度までは下がる可能性がある。ただ日本株が割安な水準に低下していることは忘れてはならない。前日の終値1万3325円でみて、企業業績の2007年度と08年度の2割減益は織り込んだ水準にある。センチメントが改善したときに、あれは割安だったと言える水準だといえよう。 また米政策としては単なる景気対策ではなく、抜本的な不良債権対策スキームをとらなければならない時期に入っている。大統領選を前にした微妙な時期だが、市場は政策を催促している。 ◎大和証券投資信託委託投資調査部シニア・ストラテジスト 長野吉納氏 (下値メド1万2000円) 18日の米国市場は景気対策の発表にもかかわらず下落し、景気対策への失望売りと言われたが、実際はモノライン保険会社の格下げが明らかになり信用収縮への不安が一気に強まった結果ではないか。 世界的な株安の背景は、こうした市場での不安心理の強まりと資金引き揚げなどによる短期的な需給悪化だ。ただ、信用収縮は現実となっているものの、1990年代のような金融危機の段階にはきていない。国内株式では、当面の下値メドは日経平均で1万2000円、TOPIXで1100─1200ポイントとみている。 ◎三菱UFJ証券シニア投資ストラテジスト 吉越昭二 (下値メド 1万2500円) GLOBEX(米時間外金融先物取引)が大幅安となっているため、今晩の米国株安を前倒しで織り込む動きといえる。PER、PBR、200日移動平均線とのカイ離など指標面では数年に一度の大底シグナルだが、不安心理が先行して買い手が現れない状況だ。 ここまで下落が進むとヘッジファンド等も含めた運用会社の経営危機にもなりかねない。TOPIXは2005年9月の郵政解散後の総選挙時のレベルまで下落し、改革期待は完全に吹き飛んだ。ここからは政治のリーダーシップが求められる。 ◎ドイツ証券副会長兼チーフ・インベストメント・オフィサー 武者陵司氏 (下値メド回答なし) 世界同時株安が起こるなか、マーケットはサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に適切な対策を打って欲しいという、悲鳴に近いメッセージを出している。現在の株価は相当な企業業績の減益を織り込んでおり、著しい景気の悪化がなければ正当化できない水準にあるが、これ以上、株価が下落し信用収縮が進み、実体経済に悪影響が及べば、後から低水準にある株価を正当化してしまう可能性がある。 だが、現時点で底値圏に近いことは確かであり、米政府や米中央銀行から、さまざまな対策が出れば、株価は鋭角的にリバウンドするとみている。現在の経済状況は2000年のITバブル時とは異なり、インフレは抑制されグローバル経済の発展もある。当時の株安を現在に映してみるべきではない。 ◎大和住銀投信投資顧問株式運用部チーフストラテジスト 門司総一郎氏 (下値メド1万3000円) サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題で市場センチメントが悪化してきた中、先週のモノライン(米金融保証会社)格下げが新たなきっかけとなり、売りが加速した。足元、リスク資産からマネーが逃避しているのが現状。 今晩の米国株式市場で、いったんはセリングクライマックスになると見込んでいる。きょうの国内株式はそれを見越した動きになっているようだ。下値のメドは1万3000円との見方を変えておらず、1万3000円割れの水準は下ヒゲの範囲内とみる。 ただ、世界的な金融市場の混乱が収まるには、政策が必要。米国の利下げだけに注目が集まりがちだが、米利下げでドル安が進むと資本逃避がさらに加速する恐れがある。米連邦準備理事会(FRB)よりも欧州中銀(ECB)、できれば日銀が利下げした方が効果があるのではないか。 ◎野村証券エコノミスト 東田雅昭氏 (下値メド1万2500円) ここにくるまでの下げは説明がつくものと言える。たとえば、日本株については、米株の下げを受けて本来下落するところが反発したため、前日の下げはそのとがめがきたのだろう。巨額な損失発生と景気の縮小が連鎖傾向を示してきたことが株価を押し下げた。今回の世界同時株安は、投資家全体を不安に陥れるような説明のつかないクラッシュは起きないとみている。 根源であるサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題については、販売業者に関しては米国の金融機関が巨額の損失を計上したことでピークは過ぎた感があるほか、運用業者も親銀行を通じて新興国の政府系ファンドの資金が供給されるなど問題の峠を越えつつある。モノライン保険会社の資金不足や民間社債発行会社に対する不安など懸念すべき部分は残るものの、米国当局をはじめ世界的に問題への対応が急がれることがうかがえるために、それを受けて株安も収束に向かうのではないか。 下値のメドは、投げが加速する最終局面では計りにくいものの、日経平均の1万2500円前後の水準はいいところだろう。ここからの下げは買い場とみている。 ◎草野グローバルフロンティア代表取締役 草野豊己氏 (下値メド1万2000円割れ程度) 米国はすでにリセッション入りしているとみており、新興国経済も巻き込まれざるを得ないだろう。ブッシュ米大統領の景気刺激策に大きな効果は期待できず、米金融政策も手詰まり気味だ。ただ、先行して下落してきた日本株はこの展開をすでにかなり織り込んでおり、ここからの下値は限定的。下げても1万2000円割れ程度とみている。今の局面で売っている外国人投資家は日本株に関する知識の乏しい投資家。日本株をよく知っている海外投資家は、むしろ買い場を探し始めている。 日経平均の1万1000─1万2000円は、バブル後の安値をつけた2003年をはさんで長期的にみた場合の地相場だ。2005年の日本株急騰のスタート地点になったのもこの水準。個別株でみれば技術力の高い優良企業はたくさんあり、全体相場がこの程度まで下げれば下値を拾うチャンスとみていい。 ただ、米景気の悪化で米企業の倒産リスクが高まっていることが気がかりだ。企業の信用を取引するCDS市場には、信用を保証するサイドでヘッジファンドがかなり参加している。ヘッジファンドの運用が厳しくなり支払い能力に支障がでるようだと巨大なCDS市場が大揺れになり、場合によっては金融崩壊につながる可能性もある。これはリスク・シナリオとして念頭に置いておくべきだ。 ◎大和総研投資戦略部マーケットアナリスト 壁谷洋和氏 (下値メド1万2500円) 株式市場は不安心理が支配する状況であり、割安な指標が通用しない。休場明けの米国株市場を見極めなければ不安心理は収まらないだろう。実体を超えたオーバーシュートの状態だ。政策的なものが期待できないことを見越して、逆張り的な資金が流入している。日経平均が1万3000円を割り込んだことで「リスク限定型ファンド」のノックインを意識した売りも増えているようだ。ただ、企業年金等は期末に向け株のウエートを引き上げる方向にある。個人の信用期日も通過しつつある。需給悪は改善に向かう。ここからの下値は大きくないだろう。 ◎みずほ投信投資顧問執行役員、岡本佳久氏 (下値メド1万2500円) 日経平均はオーバーシュート。市場は米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発する米景気悪化が国内景気に波及すると懸念、どこまで悪化するのかわからずに不透明感からキャッシュ化を急いでいる。1ドル=105円台の円高/ドル安も不透明感を助長している。 日本の景気が具体的に悪化するのは3─4月だろう。そのときにどういう対策が取られるかが問題で、利下げや減税などの対応が必要だ。しかし、今のところそうした取り組みがまったくみられないため、不安感から株価が政策を催促している形だ。 しかし、米景気が新興国経済を巻き込んで世界的な景気悪化に発展するとはみていない。不透明感で下げ過ぎているだけで、日経平均の下値は1万2500円程度までだろう。 ◎東洋証券シニアストラテジスト 児玉克彦氏 (下値メド1万2000円) 現象面だけみると、米国株は比較的下げが小さかったなど、これまでは主要国、新興国を問わず日本の下げが最も大きく、日本発の下落相場となっているが、需給面を捉えると昨年まで海外勢が20兆円以上買い越していた日本株が先に売られていたという構図と言えよう。ここにきてアジア株が追随、欧州株も大きく崩れたのは、利益確定の対象として日本株だけでは追いつかず、自国の株式をついに値段に関係なく売るようになったとみられる。世界的に投げの局面に入った状況だ。 止まらないドル安/円高の動きから、まだ日本株には買いが入りにくいと思われるが、次のフシである日経平均の1万2000円前後の水準は強力な抵抗線であり、世界に先駆けて売られたことも踏まえると、底入れのタイミングを計るところにいよいよきたとみている。下げ止まりまであと少しだろう。 ◎三菱UFJ投信ストラテジスト 石金淳氏 (下値メド1万2000円) 米国の景気後退懸念が強まっているほか、国内株は7月の日経平均の高値に絡む信用取引の売りで需給が最悪となっており、悪材料がすべて出ている状態だ。ただ、30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げは確実で、米政府による景気対策の増強の可能性もある。国内需給は2月には確実に改善するので、状況は好転するだろう。 当面の下値のメドは日経平均で1万2000円とみている。1万2000円を割れるということはTOPIXが1100を割り込んでいる状態で、これは金融危機のあった1996年以前にはつけなかったレベルとなり、深刻な事態となりうる。 ◎水戸証券投資情報部長 松尾十作氏 (下値メド1万2500円) モノライン(金融保証会社)への不安が世界同時株安の大きな背景だ。モノラインは証券化商品のうち2兆ドルを超える保証を行っていると推測されており、その影響は大きい。資金注入など今後の対策が見えてこないと市場を覆っている不透明感は晴れない。再保険を通じて損保業界にも影響が出る可能性がある。 政府の株安に対する発言を聞いているとマーケット感覚が鈍く、対策が出てくるようには思えない。日経平均の下値めどはテクニカル面からみた1万2700円前後もしくは心理的な1万2500円とみている。 ◎コスモ証券エクイティ部副部長 清水三津雄氏 (下値メド1万2500円) モノライン(米金融保証会社)の格下げに伴い有価証券の担保力が下がると、ヘッジファンドなどはレバレッジが効かず、処分売りを出さざるを得ない。まさに負の連鎖であり、すべては米国株がどこで下げ止まるかにかかっている。 ただ、現状は企業価値を無視したパニック的な売りであり、明らかに需給主導の動きだ。すでに年金等の長期運用資金が買いを入れているようだが、長期での運用を前提とするなら、ここからの下値は買いの好機だろう。 ◎新生銀行アセットマネージメント部部長 作本覚氏 (下値メド1万1000円台) 米国の景気悪化が新興国経済を巻き込んで世界的に悪化していくとは考えていない。しかし、日経平均は歯止めなく下落しており、株価だけは世界的な悪化の入り口まできている。市場を納得させられるだけの対策が必要で、米緊急利下げや景気刺激策の積み増しなどを考えるべきだ。金融機関に対する公的資金の導入という選択肢もある。今晩の米国株の動向も気にかかるところで、米要人の口先介入を含め、なんらかの対応がでてくる可能性もある。 センチメントの悪化で、東京市場ではバリュエーションが効かなくなっている。日経平均の1万5000円以下は水準を考えて売っている相場ではないため、どの水準も「割安」という意味では同じだ。このままなら1万1000円台もありうる。 ◎ピクテ投信投資顧問ヘッドトレーダー 小野塚二也氏 (下値メド1万2000円) 日経平均はリンク債のノックイン価格とみられる1万2632円を目前に下げ渋ったが、突っ込み警戒感もあって朝方売った向きの買い戻しや、バリュー系ファンドやゆうちょ・かんぽ系の資金が入った格好だ。ただ、こうした実需の資金も本格的に買っている様子ではない。米国が休場となっている間に世界的に波乱となったことで、米国の動きを見極めたいと思う場面でもあり、ここで買っても打診買いの域を出ることはないとみられる。不安は残る状況で、底入れムードは感じられない。 ここからの明確な下値メドは当面見当たらず、時価で売り叩くとすれば、1万2000円が当面のターゲットになる。米国株式市場に底打ち感が出るまで落ち着きそうにない。日本株は目先的に下げ止まったとしても楽観はできないだろう。 ◎丸八証券企業調査部長 細井克己氏 (下値メド1万2600円) 日経平均は2003年安値から昨年の高値まで上昇した幅の半値押しの水準である1万2950円の水準を割り込んできたが、企業収益などを踏まえれば明らかに売られ過ぎと言えるだろう。ただ、現状では国内で打つ手は見当たらないため、米国で対策の追加といったサプライズ材料が出なければ、戻りに転じることは難しい状況だ。 長期波動の半値押しを割り込んだ次のチャート上のフシは1万2000円割れの水準となるが、今の時点で行き過ぎている点を考慮すると、そこまで到達するとは考えにくい。日経平均できょうの安値である1万2600円台でいったん下げ止まるのではないか。 PR |
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