米国の妙シリーズ　パート２
　米国の対外債務（負債）と対外債権（資産）の妙

　１月１３日に下記内容をカテゴリー「株　関連」にアップしました。

「米国の経常収支赤字が収縮？？
経常収支赤字が収縮の妙」

そのパート２なのですが、１３日のパート１の内容も含めて読んで
戴きますと、本当の意味での米国の考えというものが理解出来るかな～
･･･と思います。

　１８年前の日本のバブル時代と米国の立場に似ていくような気がして･･･
今の日本の状況で、こんなことを言うとアタマ可笑しいんじゃないの？って
言われそうですが･･･

　日本のバブル時代、米国では不況でした。その時、ワタシはＮＹに３ヶ月、
日本に３ヶ月･･･と、行ったり来たりしてＮＹの金融を真近に観ていました
ので本当です。米国の株は下がり続け、日本の株は騰がり続けました。
今しか知らない投資家は米国追随しか知りませんが実はそうでも無いんです。

　大体、マスゴミが騒ぎだしたら裏があると考えなければ･･･

･･･って、前置きはこの辺にして、
興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック！

[0回]

　まず、詳しくは「財団法人　国際通貨研究所」の経済調査部長、
竹中正治氏による以下のpdfレポートをご覧ください。

米国の対外純債務の持続可能性とドル相場1
http://www.iima.or.jp/pdf/newsletter2007/nl2007_11.pdf

　たとえば、なぜ米国債を買うの？と問われたら、金利が日本より有利だからと
答えるでしょうね。では、なぜ、米国の金利が日本よりも優位性を保ちえるのか・・不思議ですよね。日本政府は世界一の借金をしているのだから、普通に考えれば政府債が10％でも良いくらいです。対して海外債務超過の米国が4パーセント程度って、不平等ですよね。
　ここで考えなければならないのは、米国の対外債務（負債）と対外債権（資産）の中身です。竹中正治氏のレポートから引用しますと・・・

─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…──

ひとことでいえば・・
「対外債権における株式比率の高さ」（現地通貨建て）
「対外債務における公社債比率の高さ」（ドル建て）

これを言い換えれば・・
ドル安になると米国は・・
「対外債権は増す」（過去では年ほぼ10％増）
「対外債務はほとんど変わらない」（ドル建だから）

もっと掘り下げると・・
「ドル安になれば米国の対外資産は増加する」
というカラクリが生じるのです。
（一方で、ドルペッグの国はインフレに苦しむ）

─…─…─…──…─…─…──…─…─…──…─…─…──

　だから・・FRBが金融危機！株式暴落！信用収縮！と危機の連続に対し、
金利を爆下げしてドルをジャブジャブ供給したところで、大きな被害は米国に
生じない。もうすこし進んで・・ドル崩壊があったとして、世界市場の大混乱
（極端な言い方ですが）のはてに、最初にバランスシートを立て直すのは、
単独ドル安で対外資産の評価が増加する「米国」という皮肉な結果になる可能性が高いのです。冷戦に勝ち抜き、積極的にグローバリゼーションを行った
「米国」の莫大な配当でしょうね。
　となると着地点は一目瞭然で、世界にとって好ましいのは、ドルが少しずつ
下落することですよね。ドル建ての国債、公社債に投資する側はドルの下落分を利息の収益で補いリターンを得ることが可能であり、米国としては、ドル下落で
価値が増す海外資産で潤うことが出来るって寸法です。

　幸い、前回のエントリーで触れましたが、米国の経常赤字は収縮傾向に
あります。なぜなら・・途上国が自国の経済成長のため、必要な財を米国から
調達せざるを得ないので、米国からの輸出が増えているのです。
　すでに米国は内需で世界経済を引っ張る役目から、外需に依存する傾向を
強めつつあるんです。そうなれば、ドル安のほうが米国にとっては却って有利な
状況であり、ドルが高い間に資源や労働力をせっせと米国に売って稼いだ外貨をリザーブする国から、ドルを合理的に還流させる道筋を示されつつあるのです。
これを死ぬ死ぬ詐欺とも言いますが・・・（笑）
この米国の変化をしっかり見つめる必要があると思います。

　その変化の中で、日本の製造業もまた、特にインフラ整備向けの産業が
大きな恩恵を受けることになるのですが・・誰もそれを言わない・・・。
だから過剰な悲観論はどうかな？？と考える次第です。新日鉄なんか、
タイに高炉を増やすんですよ。中国じゃなくて（笑）

　但し、この状況は、米国の対外債務がある程度以上に達し、金融で埋め合わせが不可能な域まで達すると崩壊し、ドル安が一気に進行する可能性があります・・。もしや今がその時ではと・・・怖ゎ～・・
湖北庵通信より抜粋