2008/01/04『株価材料』PART Ⅱ

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■株価材料

△ＮＥＣ<6701>、中堅・中小企業向けサーバ発売－処理性能２．１倍
ＮＥＣはサーバルームを持たない中堅・中小企業向けサーバシリーズ「エクスプレス５８００／オフィスラックサーバ」の新製品を発売した。インテルの低消費電力型デュアルコア（回路が二つ）ＣＰＵ「コアデュオプロセッサー」を採用したほか、ホットプラグ機能付きハードディスク（ＨＤ）を搭載。データ処理性能の向上とＨＤ交換時間の短縮を実現した。価格は１７万６４００円から。新製品「１１０Ｒｃ―１ｈ」は、ファイルの転送速度のアップによりデータ処理性能を同約２・１倍に引き上げた。また通電状態でもケーブルなどの装着が可能な２・５インチＳＡＳＨＤを搭載。業務システムを止めずにＨＤの交換ができ、時間も従来品に比べ約３分の１に短縮化する。

△ＮＥＣ<6701>、大規模ユーザーの利用環境に対応したブログエンジン発売
ＮＥＣは操作性などを高めた企業向けブログソフトと、同社の統合管理ソフトを連携させたブログエンジン「スターオフィスエックスブログＶ１・０」を発売した。大規模なユーザー利用環境に対応するとともに柔軟なアクセス権の設定ができ、社内における情報共有の円滑化を実現する。ライセンス価格は１０ユーザーの場合で６万１７４０円。ブログソフトとしてシックス・アパートの最新版「ムーバブルタイプエンタープライズ（ＭＴＥ）４」を採用。スターオフィスと連携させることで、組織や役職などに基づくアクセス権の設定が可能なほか、人事異動や体制変更に伴う再設定が不要となり、利用者間での統制された情報活用や高い運用性を実現する。

△三洋電機<6764>と日鉄エレックス、イヤホンで通話する装置を開発
三洋電機、日鉄エレックスは、イヤホン兼マイクを耳に装着して通話する装置「ｅ耳くん」を開発した。０８年４月１日に発売する。工場など大きな音がする場所での通話に向く。声が頭の中で響いて耳のマイクに伝わるため、周囲の騒音が混じりにくい。さらに三洋製ＬＳＩで音声信号処理し、耳の中の余分な反響音や周囲の騒音を取り除く。価格は有線タイプが４万円、無線タイプが６万円。月１万台の販売を見込む。耳に差し込む部分の振動板がスピーカーとマイクの役割を兼ねる。振動板に余分な音が伝わりにくい遮音構造とＬＳＩによる信号処理の効果を合わせて雑音を６０分の１に低減する。騒音の大きさが工場や高架下など９０デシベル程度でも、オフィス内のような５５デシベルから６５デシベル程度の場所で通話しているようになる。

△新日本無線<6911>、複数音の到達時間を調節するオーディオ向けＩＣ
新日本無線は一般カーオーディオ向けデジタルオーディオディレーＩＣ「ＮＪＵ２６９０４」のサンプル出荷を０８年１月に始める。複数のスピーカーから出力する音が聴き手の位置に到達する時間がずれないように調節するＩＣ。音声信号を変換する頻度を表すサンプリング周波数は４８キロヘルツ（毎秒４万８０００回）。音の出力を遅らせるディレー時間は最大１６９ミリ秒。サンプル価格は７００円。０８年３月から月１０万個の生産を予定する。アナログオーディオプロセッサーを搭載するカーオーディオ向け需要の高まりに対応した。

△ロブテックス<5969>、両頭グラインダーの目立てを容易にする工具を発売
ロブテックスは、両頭グラインダー用砥石（といし）の目立てなどを行う工具「エビ印　ハンドドレッサ」を発売した。切れ味の良い厚み４・５ミリメートルの自社製ダイヤモンドチップ刃を工具の先端部に取り付けた。価格は５５００円。バリ取りなど研磨作業に使う両頭グラインダーは定期的に砥石を研ぐ目立て作業を行う。工具の先端部は上向きに角度を付けることで回転する砥石に当てて行う目立て作業がしやすくなった。グリップも握りやすい形状にした。製品サイズは幅３５ミリ×長さ２５５ミリメートル。

△ダイヘン<6622>、非接触式のアーク溶接ロボ向け溶接開始点検出センサー発売
ダイヘンはアーク溶接ロボット用に非接触式の溶接開始点検出センサー「ＡＸ―ＱＤ」を発売した。レーザーセンサーの視野範囲を同社従来機比で２倍に拡大した。検出精度、操作性を向上させるなど機能の充実も図った。溶接前から溶接後までの各工程で活用できる。価格は１６３万２０００円。同社製ロボットとの組み合わせで、年間１００台の販売を目指す。新製品はセンサーの視野範囲を拡大し、ワークのズレの検出範囲を最大１５０ミリメートルに広げた。従来機では適用が困難だったアルミ材にも対応。ワークとセンサーヘッド間の距離を長く取ることで、双方が干渉しにくい構造にした。これによりメンテナンスの回数を減らし、汎用性も高めた。検出精度は従来機のプラスマイナス０・５ミリメートルから同０・２ミリメートルに向上。高精度が要求される溶接プロセスにも対応できる。

△日立ツール<5963>、小径で刃先交換式を実現したエンドミル発売
日立ツールは刃先交換式エンドミル「アルファスーパーエクセレントミニＡＳＭ形」を発売した。刃先径は８ミリ―２１ミリメートル。チップの取り付け方法などを改良することで小径ながら刃先交換式を実現した。価格はホルダーが１万８０００円から、チップが８００円から。年間３億円の売り上げを目指す。チップはエッジ部を曲線形状に面取りし加工効率を上げたラジアスタイプと、高品質の加工面が得られるスクエアタイプの２種類。ともに同じホルダーに取り付けられる。切削抵抗を低減した。ホルダーはシャンク形状とモジュラー形状をそろえ、自動車部品などの金型加工用途に売り込む。

△大正製薬<4535>、新基剤採用の発毛剤を発売
大正製薬は、頭皮環境を整える３種類の成分を配合した男性用発毛剤「リアッププラス」を０８年１月２１日に発売する。基剤には新たに皮膚刺激性が低い「ブチレングリコール」を採用。有効成分「ミノキシジル」を配合した医薬品にブチレングリコールを使用するのは世界で初めて。希望小売価格は６０ミリリットル入り５５００円で、初年度５０億円の出荷額を目指す。新製品は発毛成分ミノキシジルの働きをより高めるため、皮脂の酸化を防ぎ頭皮を保護する「酢酸トコフェロール」、毛細胞に栄養を補給する「パントテニールエチルエーテル」、頭皮に清涼感を与える「ｌ―メントール」の３成分を新配合した。

△エスエス製薬<4537>、去痰成分配合の総合感冒薬を発売
エスエス製薬は、国内初の医療用去痰成分アンブロキソール塩酸塩を配合した総合感冒薬「エスタックイブファイン」を２６日に発売する。アンブロキソール塩酸塩は、独ベーリンガーインゲルハイムが開発した去痰剤。エスエス製薬は０１年にベーリンガーインゲルハイムのグループ会社となり、「エスタックイブファイン」は初のコラボレーション製品となる。希望小売価格は３０錠入り１７６４円で、年間３０億円の販売を目指す。一般用医薬品に去痰剤はなく、アンブロキソール塩酸塩は今回新たに一般用医薬品への使用が認められた医療用医薬品。「エスタックイブファイン」はアンブロキソール塩酸塩のほか、解熱鎮痛成分のイブプロフェンと鼻水を抑制するヨウ化イソプロパミドの三つの基準外成分を配合し、つらい風邪の症状によく効く処方とした。

△住友化学<4005>、０９年めどにサウジで蚊帳材生産
住友化学は、０９年をめどにサウジアラビアで独自の防虫処理を施した蚊帳用材料の生産を始める。０８年秋の稼働予定で建設を進める現地の石油化学コンプレックス施設に製造設備を導入する計画。同社は、アフリカなどでマラリア予防などを目的とした蚊帳「オリセットネット」を販売しており、サウジをその材料供給基地と位置づける考えだ。これに伴う設備投資額や生産規模は明らかにしていない。サウジの国営石油会社サウジ・アラムコ社と合弁で建設を進める「ラービグ計画」の石化コンプレックス敷地内に、蚊帳の材料となる繊維の原反を製造する織機などを導入する。繊維の原料となる樹脂などは、同じ石化コンプレックス内で調達できるため、コスト面などで利点が大きいと見られる。オリセットネットは防虫剤を練り込んだ樹脂を用いた蚊帳で、防虫効果が５年以上持続するのが特徴。

△ＩＮＡＸ（住生活グループ<5938>）、リフォーム事業強化へ来秋専門ブランド立ち上げ
ＩＮＡＸは衛生陶器や浴室、キッチン、タイルなどのリフォーム専門ブランドを０８年秋に立ち上げる。このため、ショールームを現在の６０店から今後３年間で８０店に増やすとともに、中小工務店やリフォーム業者への販促活動も強化し、施工やメンテナンスなどのサービス体制を充実させる。０６年度に約４割だったリフォーム関連の売上高比率を２０１０年度までに５割に引き上げる方針で、専用ブランドをその主力に育てる。リフォーム専門ブランドは水回り製品に加え、内外装材なども統一感を持たせて企画、提供する。高品質を特徴に他社製品と差別化し、ブランド力を高めていく。同社は０８年４月にリフォーム専門の開発、販売部門を立ち上げる計画を先に固めていた。専用ブランド投入決定に伴い、販売部門の人員配置予定を当初の１５０人から２００人に改めた。

△奥村組<1833>、ＳＤ工法の騒音を低減する技術開発
奥村組はスロット削孔機を使って岩盤を破砕するＳＤ工法で、発破振動や騒音を低減する新技術「スロットワン」を実用化した。ＳＤ工法で切削する際に、汎用のドリルに直径１００ミリメートルの親子ビットを装着し、ロッドと平行に取り付けたガイドを既設孔に挿入した状態で隣接孔を穿孔。連続したスロットを効率良く形成する。

△ＪＲ東海<9022>、リニア新幹線の乗り入れ先を東京駅など３駅に絞り込み
ＪＲ東海が２０２５年に開業を目指す「リニア中央新幹線」について、これまで「首都圏」としてきた乗り入れ先を、東京、品川、新横浜の３駅に絞り込んでいることが２８日、明らかになった。「中京圏」は名古屋駅となる公算が大きい。「東海道新幹線と結び付ける」（首脳）ことで、東海道と中央リニアの両新幹線を容易に選択できるよう利便性を高める。首都圏３駅のうち有力なのは、東海道新幹線の起点である東京駅とＪＲ東海が「のぞみ」全列車停車や再開発など拠点化を進める品川駅。ルートは実験線の東端となる山梨県上野原市からさらに東進し、東京都心を深さ４０メートル超の大深度地下トンネルで貫く構想とみられる。

△ライオン<4912>、ミストタイプの制汗デオドラントを発売
ライオンは携帯に便利なミストタイプの制汗デオドラント剤「ｎｅｗＢａｎ　デオドラントミスト」を０８年２月６日に発売する。価格はオープン。制汗デオドラント剤は殺菌成分「塩化ベンザルコニウム」と制汗成分「パラフェノールスルホン酸亜鉛」を配合した。香りは３種。同時に、シートタイプの「同　リフレッシュパウダーシート」に無香料タイプを追加して発売する。

△ＪＡＬ<9205>、貨物事業の分社化検討－権益問題など課題
日本航空（ＪＡＬ）が貨物事業の分社化を検討していることが２８日明らかになった。新会社には佐川急便など国際物流事業に携わる企業からの出資を募り、連携していくという。ライバルの全日本空輸（ＡＮＡ）は日本通運、近鉄エクスプレス（ＫＷＥ）と提携することを決めており、この３社連合への対抗軸とする狙いもありそうだ。ただ、ＪＡＬの貨物新会社実現には、航空貨物権益の問題など課題もある。国際航空貨物をめぐってはＡＮＡが日本通運、ＫＷＥと国際小口貨物事業の新会社を０８年４月に設立すること決めた。また外資系の巨大インテグレーターが日本企業に対する営業を積極化し競争が激化している。ＪＡＬの貨物事業は国内首位の売り上げ規模を持つが、燃油費増の影響もあり赤字。ＪＡＬは「貨物事業の競争力アップには、他社との提携も含めあらゆる策を検討している」と認める。その選択肢の一つとして、貨物事業の分社化が俎上に上がったようだ。

△大和証券<8601>ＳＭＢＣ、中国でのＣＤＭプロに政府承認
大和証券ＳＭＢＣプリンシパル・インベストメンツは同社が参加する中国の温室効果ガス削減プロジェクト「北京４８ＭＷ官庁風力発電プロジェクト」が、国連のクリーン開発メカニズム（ＣＤＭ）の対象事業として日本政府から承認された。　同プロジェクトは北京市北西部に建設する風力発電所から電力を供給するもの。ＣＤＭ理事会の審査を通過すれば、年間１０万１０００トンの二酸化炭素（ＣＯ２）排出削減分を排出権として獲得できる。同社が政府承認を受けたＣＤＭプロジェクトは１４件目。

△政投銀と八十二銀<8359>、ＬＡＤＶＩＫのＭＢＯ資金で１８億円を協調融資
日本政策投資銀行、八十二銀行は、精密バネ・プレスメーカーＬＡＤＶＩＫ（埼玉県蓮田市）のＭＢＯ（経営者・従業員による企業買収）に関する１８億円のシンジケートローン（協調融資）を組成し、１８億円融資を実行した。政投銀がアレンジャー（主幹事）を務める。調達した資金は買収資金や借入金の返済などに充てる。今回のＭＢＯのスキームでは、香港系投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア（ベアリング・アジア）が特別目的会社（ＳＰＣ）を設立し、
ＬＡＤＶＩＫの親会社の倉元製作所<5216>から全株式を取得した。ＳＰＣに対し、シンジケートローンを実行した。０８年２月末をめどにＬＡＤＶＩＫとＳＰＣが合併。現経営陣が発行済み株式総数の５％程度を取得する予定。今月２７日付でＬＡＤＶＩＫ常務の堀口文弥氏が社長に就任した。

□総務省、ＫＤＤＩ<9433>とウィルコムにＭＶＮＯへの回線開放義務づけ
総務省は２・５ギガヘルツ帯を利用した高速無線通信サービスを行う事業者が仮想移動体通信事業者（ＭＶＮＯ）への回線開放を確実に実施することを事実上義務づける制度を整備する。電気通信事業法に基づく審査基準と施行規則を改正し、ＭＶＮＯへの開放方針や開放状況を明記させる。２・５ギガ帯の免許はＫＤＤＩが中心のワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムの２社が獲得した。免許審査にはＭＶＮＯへの開放も含まれ、両社とも開放の方針を示している。今回の改正は方針を確実に実施させることを目的に行う。具体的には事業を行うために不可欠な電気通信事業者として登録するための審査基準としてＭＶＮＯへの開放方針を明記させる。登録後もＭＶＮＯへの回線提供数を定期的に報告させ、継続的にチェックする仕組みを導入する。

△日本Ｍ＆Ａセンター<2127>、２０１０年めどにコンサル１００人体制
日本Ｍ＆Ａセンターは２０１０年をめどに、「Ｍ＆Ａコンサルタント」を現在の６０人強から１００人に増やす。中堅・中小のＭ＆Ａ（企業の合併・買収）に対するニーズの高まりに対応するのが狙い。証券会社や銀行の出身者を中心にコンサルタントを採用し、金融機関、事業法人、業種別などの担当分野ごとに人員を振り分け、コンサル力を強化する。人口減少を受けた国内市場の縮小や、後継者難などにより、中堅・中小企業のＭ＆Ａニーズが高まっている。このため、日本Ｍ＆Ａセンターは、コンサルタントの増員により獲得案件を拡大していく方針。また、提携先を通じた紹介とは別に、直接企業からＭ＆Ａに関する相談も増加していることから、直接相談案件に対応した組織や人員の整備も進める。
（日刊工業新聞）

△三井住友ＦＧ<8316>　３大都市圏郊外で新規出店　個人客獲得で攻勢
三井住友フィナンシャルグループ（ＦＧ）の北山禎介社長は２８日までに、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、東京、大阪、名古屋の３大都市圏の郊外で新規出店に乗り出す方針を明らかにした。バブル崩壊後、経営合理化のため、店舗数を削減してきたが、店舗網を再構築し、反転攻勢をかける構えだ。北山社長は「都心部に比べ住宅地（の店舗）は、それほどあるわけではなく、拠点の整備は考えている」と述べ、手薄な住宅地への出店を進める考えを強調した。ＦＧ傘下の三井住友銀行の店舗数は、旧さくら銀行と旧住友銀行が合併した２００１年４月時点で５７８店だったが、その後、重複店舗の統廃合を進めた結果、今年９月末時点では４１３店まで減少している。北山社長は「個人顧客は、支店が近くないといけない」と利便性向上の必要性を指摘。すでに打ち出している東海圏に加え、首都圏や近畿圏の「空白エリア」で店舗を増やす方針だ。三井住友ＦＧでは、リテール（個人向け金融）分野の強化のため、消費者金融事業やクレジットカード事業を強化しており、ダイエー系列だったオーエムシー（ＯＭＣ）カードと信販大手のセントラルファイナンスを傘下に収め、「銀行系」「流通系」「信販系」のカード会社をそろえた。来年２月をめどにノンバンク戦略を策定する方針で、北山社長は「インフラの共通化による経費削減などを検討している」と説明。「潜在的に力があれば、取りにいく」と語り、さらなるＭ＆Ａ（合併・買収）にも意欲を示し、海外でも新興国で拠点拡充のほか、Ｍ＆Ａを検討する考えを明らかにした。

△病院、冬の時代　金融機関が経営支援強化
診療報酬の引き下げや競争激化で病院の倒産が急増するなか、金融機関が相次ぎ経営支援に乗り出している。長期の協調融資枠（コミットメントライン）の設定や医療分野専門のファンドの立ち上げで、病院の安定的な資金調達や経営改善をサポートする。病院の経営環境が悪化する一方で、高齢化による医療需要の増大で資金ニーズは高まっており、銀行側は経営支援を通じて収益機会の拡大につなげたい考えだ。
みずほ<8411>銀行は今月、東邦銀行<8346>（福島）、福島銀行<8562>などと協調して、福島県郡山市の総合南東北病院を運営する財団法人「脳神経疾患研究所」と総額２６億円の融資枠の設定契約を締結した。契約期間は５年で、病院向けでは異例の長期という。同研究所はこの期間内であれば、融資枠の範囲内で必要に応じて資金を引き出せる。
日本政策投資銀行、北洋銀行（札幌北洋ＨＤ<8328>）（北海道）、北海道銀行（ほくほくＦＧ<8377>）の３行も今月、北海道の病院の施設を証券化するために設立した特別目的会社（ＳＰＣ）に３０億円を融資した。ＳＰＣが病院から施設を買い上げ、賃貸にすることにより、売却金を借金の返済に充てられるなど財務負担を軽減できるメリットがある。
政投銀は三菱商事<8058>と共同で、病院の経営支援や事業再生を手掛けるファンドも設立している。地銀などから、借金の返済が困難になっている病院の債権を安く買い取り、債権者として病院の経営改善や資金繰りの安定化を図る。政投銀では「病院が立ち直れば、債権の価値が上がり、転売などで収益が得られる」と期待する。経営環境の悪化で収益や財務面の課題を抱える病院は急増している。全日本病院協会によると、赤字の病院は調査対象の２２６病院のうち３割を占めた。また、東京商工リサーチの調査では、２００７年１～１１月の病院・医院の倒産件数は前年同期比６０％増の４８件と、すでに昨年を１４件上回っている。負債総額も前年の約３倍の４３３億５７００万円に達している。「外来や入院患者数を確保するため、新規投資で高級化や大型化などを図ったことが裏目となるケースが多い」（商工リサーチ）という。一方で地域の医療需要に応えるため、病棟の増改築や医療機器導入に必要な資金調達を迫られている病院も多い。企業向け融資が低迷する銀行にとっては、数少ない資金需要先となっており、今後も病院支援の動きが広がりそうだ。

△歳末商戦追い込み、セール前倒し、値引き奏功
百貨店、スーパーなどが年末商戦のラストスパートをかけている。
２８日、三越<2779>日本橋本店（東京都中央区）食品フロアでは、「大歳市（おおとしのいち）」と銘打って正月用品を販売。多数の買い物客でにぎわった。百貨店は今年、猛暑に加えて暖冬という天候不順が響き、アパレル不振に泣いたが、年末商戦の切り札として一部でセールを前倒ししている。
高島屋<8233>は、カード会員を対象に東京店（東京都中央区）など６店舗で、冬物衣料の１０～１５％値引きを実施。２７日は平日にもかかわらず、大阪店（大阪市中央区）の婦人衣料売り上げが前年比７６・７％増となるなど、効果てきめんで、
セール追随の動きは三越やユナイテッドアローズ<7606>などアパレルにも広がっている。
スーパーではダイエー<8263>が２８日から「歳末食品祭」と銘打ち、年末商戦の追い込みに入った。
イオン<8267>傘下のジャスコは、値上げを表明商品を値引きする「生活応援宣言」で、増販を狙う。
大手家電量販店のビックカメラ<3048>は３１日まで、通常よりポイント還元率が高いセールを展開している。

△０７年　回顧　流通・食品 百貨店、４強核に再編　食品業界はＭ＆Ａ、海外市場に活路
今年、百貨店の業界地図が大きく塗り変わった。
大丸と松坂屋、伊勢丹<8238>と三越がそれぞれ経営統合を決め、独自路線を歩む高島屋<8233>、西武百貨店・そごう連合を加えた売上高１兆円規模の「４強」が競争する時代に突入した。
９月、大丸と松坂屋の持ち株会社「Ｊ．フロントリテイリング<3086>」が発足、業界最大手に躍り出た。「うらやましいほど店舗立地に補完関係がある」とライバル百貨店が舌を巻くほど、大丸、松坂屋の経営統合は“ウィン・ウィン”の関係とみられている。大丸の百貨店再生ノウハウを松坂屋に移植すると同時に、営業力強化や松坂屋銀座店（東京都中央区）の再開発などで出遅れていた首都圏で攻勢をかける構えだ。
この再編に触発され、８月には伊勢丹と三越が来年４月に「三越伊勢丹ホールディングス」を設立し、経営統合すると発表。統合時には売上高が１兆５８００億円と業界トップに浮上するが、盟主・三越の“再生”という重い課題を背負っての船出となる。「従来は業務提携が中心だったが、経営統合のほうが早い」伊勢丹の武藤信一社長が８月の会見でこう言い切った。そのウラには、業界を取り巻く環境の厳しさがある。百貨店の売上高規模は１９９１年の約１２兆円をピークに、０６年は８兆６００億円と３割縮小している。特に地方百貨店の落ち込みが激しく、少子高齢化に加えて消費行動の変化、郊外の大型ショッピングセンター（ＳＣ）との競合で、今後、６兆円にまで縮小するとの試算もある。このため、「百貨店業界は４強を核に、地方や電鉄系百貨店を巻き込んだ再編に発展」（証券アナリスト）するのは確実。さらに「百貨店業界内にとどまらず、スーパー、ＳＣなど業態を超えた再編に拡大し、競争が激化する」（金融関係者）とみられている。一方、世界的な原料高によるコストアップが食品業界の背中を押し、国際的なＭ＆Ａ（企業の合併・買収）が相次ぎ、来年も生き残りをかけた再編が続きそうだ。食品メーカー各社はコスト上昇分を企業努力だけでは吸収できないと、パスタ、パン、ビール類にまで値上げの動きが広がっている。
ただ、統合が進んだイオン<8267>、セブン＆アイ・ホールディングス<3382>の流通２強が、巨大な購買力を武器に店頭での値上げを拒否しており、食品メーカーには収益圧迫のダブルパンチとなっている。こうした中で、大手食品メーカーはＭ＆Ａによる経営多角化、国内シェア拡大、国際化に活路を見いだす。
キリンホールディングス<2503>は１０月に協和発酵工業<4151>、１１月には豪乳製品・飲料大手ナショナルフーズの買収を発表。アジアの成長市場開拓を目指す。
日本たばこ産業<2914>（ＪＴ）も１１月に、即席めん最大手の日清食品<2897>と共同で冷凍食品大手の加ト吉<2873>買収を発表。
ニチレイ<2871>などを上回る冷凍加工食品会社を目指し、生き残りを図る作戦だ。
食品業界では、不二家<2211>の消費期限の偽装にはじまり、食品表示の偽装が頻発。中国産食品の安全問題も重なり、「食の安全・安心」が問われた１年でもあった。消費者の信頼をどう取り戻すか、食品業界は大きな課題を背負ったまま新しい年を迎える。

▼ビール類出荷、過去最低　０７年　新商品攻勢も市場縮小
２００７年のビール類（ビール、発泡酒、第３のビール）出荷量が過去最低を更新する公算となった。統計開始後初めて５億ケース（１ケース＝大瓶２０本換算）を割り込んだ昨年の４億９７５０万ケースをさらに１％近く下回る見通し。今年はビール類合計で２３種類もの新商品が投入されたが、少子高齢化に伴う人口減や飲酒運転問題などの逆風に押され、需要拡大にはつながらなかった。前年実績を上回るのは第３のビールのみ。
新商品も計画未達が大半で、キリン<2503>ビールの大型商品「ザ・ゴールド」でさえ当初計画の８００万ケースを下回る約６００万ケースの見込み。サッポロビールの「うまい生」は目標の３割弱だった。業界内では「新商品が多過ぎて消費者が混乱した」（大手メーカー首脳）と自戒の声が上がっている。新商品が店頭の棚から頻繁に入れ替わり、「消費者は結局定番ブランドに回帰した」（市場調査担当者）との見方が支配的だ。その中でヒット商品を生み出すには、大多数の支持を目指すよりも、消費者の潜在的なニーズを掘り起こすことがカギになる。
数少ないヒットとなったアサヒビール<2503>の糖質ゼロの発泡酒「スタイルフリー」は、そうした需要の獲得に成功した。各社は２月のキリンを筆頭に、原料高を背景に１８年ぶりに価格を引き上げる。
（FujiSankei Business i）