11/5 お昼の『株価材料』PART Ⅱ

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■株価材料

△米シティ<8710>が東証上場、初値4580円・基準値を250円上回る
米シティグループは5日、東京証券取引所第一部に上場した。初値は4580円。シティが上場するニューヨーク証券取引所の2日終値と5日朝の為替相場をもとに算出した東証の「基準値」（4330円）を250円上回った。市場ではロバート・ルービン元財務長官が新会長に就任することが好感されたといった見方が出ている。シティは来年1月に三角合併の手法を使って、日興コーディアルグループを完全子会社化する予定。日興の株主は基本的にシティ株を受け取ることになる。今回の東証上場でシティ株を東京市場で売買できるようになった。シティは金融資産が豊富な日本を成長市場と位置付け、外銀としては初めて現地法人銀行の免許も取得した。東証への上場は日本での知名度や存在感を高める狙いもある。ただ日興買収など日本事業の強化は、辞任したチャールズ・プリンス前会長が主導して進めた経緯があり、日本事業の今後の展開に影響が出る可能性もある。
（NIKKEI NET）

▼東リ<7971>が大幅安、08年3月期予想を下方修正
東リが大幅安となっている。２００８年３月期連結決算見通しについて、経常利益を２５億円から１５億５０００万円に下方修正したことを嫌気した。会社側によると、建築着工件数の減少などインテリア業界を取り巻く環境が悪化する一方、原材料価格の急騰が収益を圧迫しているという。

△日本製紙<3893>と三島紙<3872>の株式交換比率、日本紙1対三島紙0.00061
日本製紙グループ本社と三島製紙は５日、株式交換比率について、日本紙１対三島紙０．０００６１に決定したと発表した。日本製紙グループ本社が三島製紙を株式交換によって２００８年２月１日付で完全子会社化するため、両社は株式交換比率について協議していた。
（ロイター）

▼コムシスＨ<1721>株は２年ぶり大台割れ、ＮＴＴ関連工事減る－協エクシオも
情報通信工事や電気設備工事を手掛けるコムシスホールディングスの株価が急落。ＮＴＴとＮＴＴドコモ向けの工事が減少したことを理由に、９月中間期の業績予想を下方修正すると２日に発表した。収益の先行き警戒感から売り注文が膨らみ、一時前日比195円（17％）安の924 円と2005年６月以来、２年５カ月ぶりに1000円の大台を割り込んだ。協和エクシオも同様の理由で中間期業績予想を下方修正しており、株価は同173円（17％）安の870円と、05年５月以来の安値を記録。このほか大明なども含め、大手通信工事関連銘柄がそろって東証１部の値下がり率上位に並ぶ。コムシスＨＤの中間期の連結営業利益は、前年同期比60％減の31億円と、従来予想から36億円減額修正した。ドコモの基地局関連工事のうち、70億円程度が下期にずれ込んだ。さらに、ＮＴＴの光ファイバー関連工事では「光ファイバーの幹線工事から個人やマンション向けにシフトした」（ＩＲ部の後藤成人部長）ため、工事単価が下落したことも響く。2008年３月期は、連結営業利益が前期比22％減の150億円の見通し。会社側は「ＮＴＴ関連工事は回復し、ドコモ関連工事は下期に集中するが、上期落ち込みの回復は見込めない」（島田博文社長）とし、当初の計画には届かない。従来予想は前期比1.5％増の195億円だった。立花証券の平野憲一執行役員は、「マーケットは個々の業績に注目している。下方修正した銘柄は売られてしまう。ドコモの工事の期ずれは、翌期にはプラスとなって表れるものの、マーケットは緻密な理由は評価してくれない」と指摘。業績の回復が明らかになるまでは、投資しにくいとの見方を示す。

△ＪＡＬ<9205>株が９カ月ぶり高値に、中間営業益400億円で目標めどの報道
日本航空（ＪＡＬ）の株価が反発。一時前週末比11円（4.2％）高の274円と、取引時間中としては２月19日以来、約９カ月ぶりの高値水準を回復した。３日付の日本経済新聞朝刊は、ＪＡＬの９月中間期の連結営業利益が400億円台に達する見通しと報道。国際線の好調やリストラが寄与し、下期に燃油価格の高騰などがあるが、通期計画の350億円を達成するめどがついたと伝えている。ＪＡＬの業績をめぐっては、10月１日付の産経新聞が傘下企業の日本航空インターナショナル（ＪＡＬＩ）について報道。ＪＡＬＩ単独の４－８月の営業利益が前年同期の約110億円の赤字から、今期は約190億円の黒字に転じたと伝えていた。　　一方、同６日付の朝日新聞は、国際航空運賃をめぐるカルテル事件の罰金に備えて、ＪＡＬは９月中間決算で200億円前後の損失処理をする方針を固めたと報じている。ＪＡＬでは11月３日付の日本経済新聞記事について、「当社が発表したものではない」というコメントを同日発表している。コスモ証券エクイティ部の清水三津雄副部長は、「信用取引の売り残が膨らんでいただけに、買い戻しもある。ただ、この中間期だけ見て本当に日航が変わったと判断できるかどうかというと、疑問だ。体質的な問題もあろうし、燃油高など外部環境の不安要素もある」と指摘した。ブルームバーグ・プロフェショナルで信用取引の現状（日本証券金融ベース）で見ると、２日時点で買い残は156万株、売り残は1011万株。売り残に関してはここ１カ月漸減傾向で、直近ピークの９月25日の1820万株から４割強減少。この間に株価も、250円割れの状況から270円台にまで10％弱水準を切り上げていた。

△第一三共<4568>株が大幅続伸、新薬「プラスグレル」の治験データ良好
国内医薬品２位の第一三共の株価が大幅続伸。次世代の成長をけん引する新薬候補と位置付けてきた抗血栓治療薬「プラスグレル（開発コード名：ＣＳ-747）」の第３相臨床試験（フェーズ３）データが、対抗薬を上回る良好な内容だったことが好感されている。この日は買い気配で取引をスタート。午前９時30分すぎに前週末比350 円（10％）高の3720円で寄り付いた。その後11％高の3740円まで上げ幅を拡大、直近高値となっていた10月23日の3710円を上抜いた。第一三共と米製薬大手イーライ・リリーは米国時間４日、プラスグレルのフェーズ３データを米オーランドで開催中の米国心臓学会（ＡＨＡ）で公表した。米サノフィ・アベンティスなどが販売する同系統抗血栓薬「プラビックス」（06年の世界売上高は約6600億円）を対抗薬とした全１万3608例のフェーズ３データによると、心臓発作や脳卒中などの「心血管イベント」の発症率に関する試験では、プラスグレルがプラビックスより相対的にリスクを19％低減した。一方、業界関係者の間で注目されてきた出血リスクについては、75歳以上の高齢者、体重60キログラム以下の患者などで、生命にかかわる出血リスクがプラビックス群（0.9％）を上回ったが、その他の８割の患者では統計的な有意差が出なかった。ＪＰモルガン証券の小野塚昌之シニアアナリストは、「全体の印象としてはポジティブ」と指摘した上で、「サイエンティフィック（科学的）な話をすれば若干の議論も残ろうが、これまでの経緯などを考えれば、プラスグレルがドロップするという市場心理が主流を占めていただけに、もう１度プラスグレルの収益貢献を計算しましょうという方向に流れていくとみられる」（同氏）とした。野村証券は５日、フェーズ３データの学会発表を受けて、第一三共株の投資判断を「３（中立）」から「２（買い）」に１段階引き上げた。担当する漆原良一シニアアナリストは、プラスグレルの2010年３月期中の新薬承認発売が可能だとみて、同剤のピーク時年商を1500億円から3000億円に引き上げた。　　漆原氏は大手製薬企業が主力製品の特許切れ問題を等しく抱えている状況に言及したうえで、第一三共は「降圧剤オルメサルタンの拡大にプラスグレルの売り上げ寄与も加わり、2011年３月期以降も増益基調が続く。長期投資にも適した銘柄として注目する」とした。
プラスグレルがプラビックスを上回る有効性を示せないとの懸念から、第一三共株は８月上旬の3580円から９月上旬の2960円まで17％下落した。その後は上げに転じたが、10月25日に今回のフェーズ３とは異なる別のフェーズ２試験のデータが一部発表され、先行き不安が台頭。3700円近辺で高値圏にあった第一三共株は一気に3000円台後半に値下がりした。一方、ジャパン・インベストのブルーノ・フェラント・アナリストは第一三共株にとっては「ややネガティブ」だったと総括。「有用性に関してサノフィーが議論を戦わせてくる余地は十分にあるうえ、副作用面ではプラスグレルが劣っている」と述べていた。

△もしもしホ<4708>株が反発、値上げ浸透などで業績予想を増額－選挙ムードも
テレマーケティング大手、もしもしホットラインの株価が反発。前週末比240円（4.4％）高の5700円と、10月１日以来の高値を回復した。顧客との価格改定交渉がまとまったうえ、金融向けサービスが計画を上回って推移していることから、９月中間期決算の発表と同時に08 年３月期（通期）業績予想を上方修正すると２日に発表した。足元の業績好調が確認できたことに加え、民主党の小沢一郎代表が党首辞任を表明したことで、次期衆議院選挙に向けた世論調査業務獲得への期待も株価を後押ししている。新しい通期の連結営業利益予想は前期比8.5％増の79億円で、従来予想から６億円の増額。純利益は同11％増の47億8000万円と、３億8000万円の上乗せ。上期中に一部顧客とのサービス価格交渉がまとまり、価格転嫁ができたことに加え、７月に実施された参議院選挙に伴う世論調査業務を含む複数の大型スポット業務を受託したことなどが要因。下期については通信向けなどで不確定要素が多いことを理由に、上期の上ぶれ分のみを反映した。ブルームバーグ・データに登録されたアナリスト２人の営業利益の予想平均値は80億5000万円で、もともと上ぶれが期待されていた。コスモ証券の岡敬アナリストは会社側の修正数字と同じ79億円を予想。岡氏は、会社側はもともと保守的な数字を出していたため、上方修正は予想の範囲内と指摘。そのうえで、会社側の業績予想の修正を踏まえ、「２億－３億円の上ぶれ余地が出た。人員が確保できれば４億－５億円の上乗せが期待できる」と語り、収益上乗せ余地があるとみる。さらに、民主党・小沢代表の辞意表明で選挙モードが加速してきたことも支援材料。岡氏は「テレビや新聞などが選挙の事前調査を行なうため、業績のプラス要因になりやすい」と語り、選挙が近づくにつれて株価は上昇しやすいとの見方を示した。

▼精工技研<6834>株が反落、通期損益は赤字転落へ－光通信用部品の不振が響く
光関連部品の製造・販売を手掛ける精工技研の株価が３営業日ぶりに反落し、前週末比30円（1.7％）安の1790円まで下げている。ＤＶＤ成型用金型が伸び悩んでいるほか、光通信部品の需要も落ち込み始めたとして、通期（2008年３月期）の連結損益が赤字に転落する見通しとなったため、売り圧力が強まった。２日の取引終了後に、通期の業績予想を下方修正した。連結損益は、営業損益が１億4000万円の赤字（前期は7400万円の赤字）を見込む。従来予想は１億 4000万円の黒字だった。同様に、従来は黒字を見込んでいた経常損益、最終損益も赤字に落ち込む見通しとなった。次世代ＤＶＤの規格統一が難航する中、メーカー側による設備投資が手控えられ、付加価値の高い光ディスク用の金型販売が前期に引き続き伸び悩む。国内でのＦＴＴＨ（家庭用光ファイバー通信サービス）市場の成長が伸び悩んでいる影響で、光通信関連部品の販売も不調だという。
ＮＥＣトーキン<6759>から光デバイス事業を譲り受けた効果により、売上高は前期比12％増の79億8000万円と増収を確保するが、従来予想（84億円）には達しない。同社経営企画室の斎藤祐司氏は、「光ディスク用金型販売の弱さは想定の範囲内」とする一方、業績のけん引役を期待していたＦＴＴＨ関連部品の不振は予想外とし、「ＦＴＴＨ部品の落ち込みが今回の下方修正の主因」（同氏）と説明している。

△Ｆリテイリ<9983>株が反発、ユニクロの10月既存店売上高は６カ月ぶりプラス
カジュアル衣料ブランド「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングの株価が４営業日ぶりに反発。前週末比180 円（2.8％）高の6650円で取引を開始した。同社は２日、国内ユニクロ事業の 10月の既存店売上高（速報ベース）が前年同月比4.2％増だったと発表。カシミアなど秋冬衣料の販売促進効果で客数が伸び、６カ月ぶりにプラスに転じたことを受け、買いが入っている。　東海東京調査センターの浅場美穂アナリストは、「９月（12.9％減）が悪かっただけに10月、11月で取り戻さなければならないし、月によってかなりデコボコしているので何とも言いにくいが、10月の実績は悪い話ではないだろう」と指摘した。その上で浅場氏は、「今期は２けた増益を狙っており、前期が減益で悪かったことを考慮すれば、達成して欲しいところ。今後に期待したい」と述べている。
（ブルームバーグ）

△ＴＢＫ<7277>---週末ストップ高の利食い吸収し一段高
大幅続伸で昨年5月に空けたマド（661-637円レベル）を埋めている。今期2回目の業績上方修正を評価した流れが続いている。先週末にストップ高をつけていたが、これの利食いを吸収し一段高に。材料系の銘柄には短期資金が向かいやすい。

■任天堂<7974>---さえない、メリルでは「中立」に格下げ
さえない。メリルが投資判断を「買い」から「中立」に格下げしている。想定株価レンジは7万円±10％としているようだ。今後も上方修正が続く公算が高いが、従来のゲーム産業における概念から見て、ＷｉｉやＤＳの圧勝などは、すでに株価に織り込まれつつあると判断しているようだ。

△フォスター電<6794>---ダブルトップ拒否で大きく上放れ
大幅続伸で最高値更新。11/1高値（2480円）と昨年4月高値とのダブルトップが意識されていたが、これを大きく上放れる格好に。先週末発表した決算を評価、アップル好調で一段の上振れ期待強い。信用倍率は3.85倍取り組み妙味は後退していたが、一気の上振れで回転利く。取り付け、取り外しがワンタッチでできる車載スピーカーを開発とも報じられている。

△フェイス<4295>---リバウンドの流れが継続
値動きが荒いが10/9直近戻り高値レベルがサポートとして機能しており、リバウンドの流れが継続している。来週（11/14）に控えている決算で悪材料出尽くし、業績改善などの期待も。売り込まれていた中小型株での値幅取り銘柄として短期資金が向かっている。

△福島工業<6420> ストップ高で25日線レベル到達。
中間期業績の上方修正が評価され、ストップ高となっている。8月以降、下降する25日線が上値抵抗線として意識されているが、同水準に接近。明日以降の動向が注目されるところ。PBRは0.5倍台であり、手掛け易さも。

△日航<9205>---しっかり、中間期の業績観測報道を好感
しっかり。今中間期の業績観測報道が買い材料視される。中間期営業利益は400億円台に達する見通しと伝わっている。前年同期81.6億円の赤字から大幅に改善、通期計画350億円の営業利益達成にメドが立つ格好へ。原油高の影響など警戒感もやや後退する状況。

▼東海カ<5301>---利益確定の流れが強まる
大幅続落。先週末に第3四半期業績を発表。中間期で上方修正していたため、第3四半期での修正は考えづらかったが、通期据え置きで利食い優勢の展開か。依然として上振れの可能性はあるが、最高値レベルで推移していただけに、利益確定の流れが強まっている。

△日本電工<5563> 買い優勢。
先週末に第3四半期の決算を発表、通期業績を上方修正しており、営業利益は従来予想の75億円から96億円に増額へ。先に同業の中央電工が大幅上方修正しており、出尽くし感も警戒されていたが、来年度の好業績期待継続も強く、比較的ストレートに反応している。三菱ＵＦＪでは投資判断「１」継続、目標株価を1600円から2200円にまで引き上げている。来期の営業利益は197億円を予想。

▼加ト吉<2873>---売り優勢、大幅な業績下方修正を受け
売り優勢。先週末に発表した業績予想の下方修正を嫌気、中間期営業利益は56億円の従来予想から19億円に、通期では133億円から54億円に減額修正している。原材料費の上昇、並びに、偽牛肉混入問題の影響による売上減などが響く。日興シティでは「１Ｍ」から「３Ｍ」に格下げ、目標株価も850円から 480円に引き下げへ。

△クボテック<7709> 3営業日続伸で一時ストップ高。
業績上方修正を引き続き手掛かり材料としている。信用倍率は1.43倍と取り組み妙味もあり、売り方の買い戻しを誘う格好からの思惑的な買いも。

△ＣＷＥ<7612> 大幅高。
期中2度目の上方修正が好感されているようだ。中間期並びに通期の業績予想を上方修正しており、07年9月中間期については経常利益で従来予想の1.3億円から1.93億円に増額されている。08年3月期の中間期並びに通期の上方修正は、8月10日に次いで2度目となる。

△ソフトバンク<9984>---小じっかり、手掛かり材料多く
小じっかり。6日に香港市場に中国のアリババ・ドット・コムが上場する。前評判が高く、株式を保有するソフトバンクへの手掛かり材料に。また、6日に決算発表を予定、翌7日には10月の携帯電話純増数の発表が予定されている。なお、みずほ証券では第2四半期連結営業利益は839億円（前年同期比44％増）を想定、投資判断「1」を継続している。

■三井住友<8316>---サブプライム問題の余波が警戒され
3営業日続落で6営業日ぶりに85万円を割り込んでいる。米シティに対する格下げ、メリルの疑惑報道など、サブプライム問題の余波が警戒されている。今週は米保険最大手ＡＩＧの決算も予定されており、手掛けづらい。

▼テリロジー<3356> 売り気配から。
赤字転落並びに復配の見送りが嫌気されているようだ。新製品の立ち上げの遅れなどから中間期並びに通期の業績予想を大幅に下方修正しており、営業損益段階から赤字となる見通し。08年3月期については営業損益で従来予想の3.2億円の増益予想から0.29億円の赤字に減額、予定していた500円の復配も見送るとしている。

▼佐世保<7007> 4営業日続落。
直近安値水準を維持できず、利益確定の流れが強まっている。海運、商社、造船など好業績銘柄は決算後に相次いで利食い優勢に。一目均衡表の遅行スパンは下方転換シグナル発生間近であるが、8月、9月の戻り高値レベルまで調整してきており、これをサポートとして意識するようだと、そろそろリバウンドも。

△ドコモ<9437>---しっかり、日興シティで投資評価格上げ
しっかり。日興シティでは投資判断を「２Ｍ」から「１Ｍ」に格上げ、目標株価を20万円としている。日興シティでは先月末に投資評価を「３Ｍ」から「２Ｍ」に格上げしたばかりである。決算発表後は極めてアナリストの投資判断引き上げが多くなっており、見直しの動き活発化にもつながっている。また、日産自動車と同様、配当利回りの高さに関心も向かう格好へ。
（フィスコ）

□アロカ<7704>は中間業績再増額も利益確定売り交錯しもみ合う
アロカは、１８円高の１７０６円と３営業日ぶりに反発したあと前週末終値を挟むもみ合いを続けている。１１月１２日予定の２００７年９月中間期決算開示を前に、前週末２日にその中間期業績の２回目の上方修正を発表したが、１０月１８日につけた年初来高値１７８８円を前に利益確定売りが交錯する展開となっている。同社の中間期業績は、第１四半期決算発表時の今年７月に上方修正されているが、その修正値をさらに増額した。売り上げは７月修正値より２億円、経常利益は４億円、純利益は９０００万円それぞれ引き上げ、純利益は４億９０００万円（前期比３．１倍）とさらに増益率を拡大する。医用電子装置部門の超音波診断装置が欧州、新興市場を中心に好調に推移し、医用分析装置部門の検体前処理システムも続伸、欧州市場の為替レートが大幅に円安となったことが寄与した。３月通期業績は、前回修正時は今後の市況動向が不確定として期初予想を据え置いたが、今回は予想を策定中で中間期業績発表時に公表するとしている。株価は、前回の業績増額を８月の単元株式数の引き下げもフォローし上値追いに弾みをつけ、１０月高値まで４３０円高した。ＰＥＲは割高だが、全般調整相場下での逆行高特性は抜群で、再現思惑を強めよう。

△エノモト<6928>は経常増益転換の業績増額に増配オンし急反発
エノモトは、４９円高の６８９円と変わらずを挟んで３営業日ぶりに急反発、９月１８日につけた年初来安値５４１円から出直る動きを強めている。前週末２日に今２００７年９月中間期・３月通期業績の上方修正と中間期配当の増配を発表、通期経常利益が期初の減益予想から増益へプラス転換、純利益が増益率を拡大することが出遅れ株買いを誘発している。上方修正のうち３月通期業績は、売り上げが期初予想より３億８４００万円、経常利益が１億４７００万円、純利益が１億２００万円それぞれ引き上げられ、純利益は１１億５２００万円（前期比１４％増）と連続して過去最高を更新する。半導体用リ－ドフレーム、コネクター用部品の大手として、期初に一部地域で生産調整があったが、各メーカーが新製品投入を積極化したことから出荷が着実に増加、高付加価値製品が伸長して上方修正につながった。中間期配当は、前年同期実績・期初予想の６円を９円に引き上げ、年間配当は１８円（前期実績１５円）に増配する。株価は、ＩＴ（情報技術）関連産業の生産調整長期化懸念から、９月に５４１円安値まで突っ込み、６００円台央の小動きとやや持ち直していた。ＰＥＲは９倍台、ＰＢＲは０．８倍、配当利回りは２．６％と割り負けておりリバウンド幅拡大に拍車がかかろう。

△ＫＩＭＯＴＯ<7908>は業績増額で最高純益更新し急反発
ＫＩＭＯＴＯは、６４円高の６６０円と３営業日ぶりに急反発し株式分割権利落ち後の安値水準から出直る動きを強めている。前週末２日に今２００７年９月中間期・３月通期業績の上方修正を発表、通期純利益が２期ぶりに過去最高を更新することが超割安株買いを誘発している。上方修正のうち３月通期業績は、売り上げが期初予想より８億円、経常利益が３億５０００万円、純利益が２億円各引き上げられ、純利益は１８億円（前期比比１４％増）と増益転換幅を拡大し２００６年３月期の過去最高を更新する。機能性フィルムの大手メーカーとして、中間期半ば以降に東アジアを中心にＦＰＤ（フラットパネルディスプレイ）市場が、在庫調整一巡から急速に回復、液晶関連機能性フィルムの売り上げが増加したことが上方修正要因となった。株価は、ＦＰＤ市場の生産・在庫調整、価格下落に３月２日受け渡しで実施した株式売り出し（売り出し価格６９７円）が響き５月の５７１円安値まで値幅調整、立ち直りも遅れていた。業績増額でＰＥＲは１０倍台と超割安となりリバウンド幅拡大につながろう。

△損保ＪＰＮ<8755>は中間業績増額で増収増益転換し急反発
損害保険ジャパンは、４８円高の１３７３円と急反発している。前週末２日に今２００７年９月中間期業績の上方修正を発表、経常収益が期初の減収予想から増収へ、経常利益も減益から増益へプラスに方向を変えることがサプライズとなり買い先行となっている。同社の中間期業績は、経常収益が期初予想より２３１億円、経常利益が３１８億円引き上げらて増収増益転換するとともに、純利益も３００億円から５２０億円（前年同期比８４％増）へアップされ増益率を拡大する。アジアを中心とした海外市場が好調に推移したことから、資産運用収益のうち外貨建ファンドなどの実現益が大幅に増加することが上方修正要因となった。３月通期業績は、１１月２０日予定の中間期決算発表時に公表するとしている。株価は、保険会社の保険金不払いのコンプライアンス（遵法）問題の逆風が吹くなか、外資系証券の投資判断は引き上げ、目標株価は引き下げる変則的なレイティング変更などを手掛かりに年初来安値１１３７円からリバウンド途上にある。一段の戻りを試すことになろう。

△フォスタ電<6794>は通期業績増額に期末増配加わり最高値更新
フォスター電機は、寄り付きの買い気配から２７０円高の２７１０円と急続伸し１１月１日につけた上場来高値２４８０円を更新している。前週末２日に２００７年９月中間期決算を開示、期中の２回の上方修正値を上ぶれて着地するとともに、今度は３月通期業績を上方修正、さらに中間期配当に続き期末配当の増配を発表しており、割安訂正買いが盛り上がっている。同社の中間期業績は、８月、１０月と上方修正されたが、これを上回り前年同期比２４％増収、２．１倍経常増益、２．２倍純益増益と大きく伸びた。携帯オーディオ市場向けのヘッドホン、携帯電話向けのヘッドセット、薄型テレビ向けの単体スピーカーなどが好調に推移し、昨年１２月竣工のベトナム第１工場の製造体制が軌道に乗ったことなどが要因となった。中間期上ぶれ業績に９月のベトナム第２工場操業開始、新機種の拡販・シェア拡大なども加わり、３月通期業績を上方修正した。売り上げは期初予想より３０億円、経常利益は１８億円、純利益は１２億円各アップされ、純利益は４３億円（前期比５２％増）と連続して過去最高を更新する。期末配当は、中間期配当の４円引き上げに続き、期初予想の１３円を２０円とし、年間３６円（前期実績２４円）に増配する。株価は、相次ぐ業績増額に米アップル関連人気がオンし最高値を更新しているが、ＰＥＲは１５倍台と割安となる。青空相場展開に死角はなさそうだ。

△新規上場のＣｉｔｉ<8710>は基準値を上回り初値
シティグループ・インクが、東証１部（外国株）に新規上場された。基準値は、前週末２日のニューヨーク市場の終値３７．７３ドルにこの日の日本時間７時４５分ごろの円の対ドル為替レートで換算した４３３０円、売買単位は５０株となる。同行株は、米国のサブプライムローン（信用力の低い個人向け住宅融資）問題での損失拡大に関連して、カナダの金融大手が投資判断を引き下げ、配当削減による資本増強優先を指摘したことを受け急落していたが、２日の通常取引後の時間外取引では、同行のチャールズ・プリント最高経営責任者（ＣＥＯ）が、引責辞任を表明すると報道されたことを受け３９ドル台まで急反発しており、東京市場の初値は、寄り付きの買い気配から９時２０分に基準値に対して２５０円高の４５８０円でつけ、その後初値で売り物超となっている。なおこの日早朝の外国為替相場では、Ｃｉｔｉが８０億ー１１０億どるの追加損失を計上するとの観測報道が流れている。同行の東証上場は、同行が外国企業として初めて株式交換方式により日興コーディアルグループ（８６０３）を三角合併したことに伴い実施される。株式交換比率は、日興ＣＧ株主に日興ＣＧ１株式当たり１７００円相当のＣｉｔｉ株式を割り当て、来年１月中の日興ＣＧ後にも売買を可能となる。ただ株式交換比率は、来年１月１５日から１７日までの平均株価を採用し下限を３７ドルとしているため、Ｃｉｔｉの株価が３７ドルを下回ると日興ＣＧ株主が受け取る株数が目減りすることになる。このため前週末２日の日興ＣＧ株は、Ｃｉｔｉ株価の一段の下落を警戒して急反落した。この日の同社株は、３１円安の１５６１円まで続落しやや下げ渋っている。

△日電工<5563>は高値肉薄、３回目の業績増額と増配が相乗効果
日本電工は、寄り付きの買い気配から２７円高の９５８円まで買い進まれて３営業日続伸、１０月１６日につけた年初来高値９７４円に肉薄している。前週末２日に今１２月期第３四半期（３Ｑ）決算の開示に合わせて、今期通期業績の３回目の上方修正と期末配当の増配を発表、好感する買い物が集まっている。同社の今期業績は、５月、８月と決算発表のたびごとに上方修正されてきた。主力製品の高炭素フェロマンガンなどのマンガン系合金鉄やクロム系合金鉄が、国際市況の一段の上昇により販売価格が改善するとともに、販売数量も増加していることを要因としており、３Ｑ業績は前年同期比１５％増収、５．５倍経常増益、７．４倍純益増益と高変化し、利益は８月再増額値に対して８０－８６％と高進捗した。このため通期業績を再々増額、売り上げは８月修正値を３５億円、経常利益は２０億円、純利益は１２億円それぞれ引き上げ、純利益は５７億円（前期比５．４倍）と３期ぶりに過去最高を大幅に更新する。期末配当は、前期実績・期初予想の５円を１０円に増配する。株価は、業績増額のたびごとに国内証券の目標株価引き上げもフォローし上値を追った。ＰＥＲは市場平均をやや上回るものの、信用倍率が２倍台の大取組となっている需給要因も加わりさらに上値を伸ばそう。

△堀内カラー<4683>は買い気配アップ、ＭＢＯ２銘柄に買い物殺到
堀内カラーは、寄り付きから買い気配を切り上げ３０円高の５３０円買い気配と３営業日続伸し、売り買い差し引き約２７７万株の買い物を集めている。３月につけた年初来高値５８９円を射程圏に捉えている。前週末２日に同社の堀内洋司社長が代表取締役となっているホリウチ（三重県松阪市）が、同社を株式公開買い付け（ＭＢＯ）により完全子会社化すると発表、同社も賛同を表明したことから、ＭＢＯ価格８００円にサヤ寄せする動きとなっている。同日同じくユニオンペイント（４６２２・ＪＱ監理）も、ＭＢＯと賛同を発表、ＭＢＯ価格３５０円にサヤ寄せし１５円高の２０５円買い気配と急続伸している。堀内カラーのＭＢＯは、同社のプロ写真家向けの銀塩フィルムラボ市場が、デジタル化の進行に伴い縮小、抜本的な経営改革の過程で企業規模の縮小や業績の悪化が避けられず、株式を非公開化して中長期的に支援が可能な中核安定株主のもとで新たな経営展開をすることを目的にしている。１１月５日から１２月１７日までの３０営業日を買い付け期間に４６８万８３５１株を買い付け、買い付け代金は３７億４７００万円の予定である。一方、ユニオンペイントも、同社の児玉利行社長が代表取締役のＷＤＫ（埼玉県八潮市）がＭＢＯする。株式市場からは市場退場企業が相次いでいるが、１日に２社同時発表のＭＢＯは、企業を取り巻く経営環境の厳しさを反映している。
（東洋経済新報社）

▼コミューチュア<1932>が今期連結経常利益予想を減額
コミューチュアが２日午後、今０８年３月期連結経常利益予想を５７億円から４６億円に下方修正した。同時に発表した９月中間期連結決算も経常利益１６億２９００万円（前年同期比２３．２％減）と従来予想２１億円に未達となった。

△ヤマダ電機<9831>はゴールドマン証が投資判断引き上げ
ヤマダ電機はゴールドマン・サックス証券が２日付で、投資判断を「中立」から「買い推奨」に、目標株価を１万１４００円から１万３５００円に引き上げた。市場が追い風となる中で、強い業績モメンタムが期待できると指摘。バリュエーションに割安感はないが、家電量販店のなかでの圧倒的な勝者としての評価や、他の小売大型株の業績の脆弱さによる注目度の高まりで正当化できるとしている。
（株式新聞ダイジェスト）