米国の双子の赤字が解消の方向！

米国の財政赤字が07会計年度で1628億ドル、前年度比34.4%減と
発表されました。
06会計年度では2477億ドル、前年度比22.2%減であり、
着実に米国の財政赤字は減少方向にあります。
GDPベースでは1.9%から1.2%とこちらも改善が見られます。

05年の米国の経常赤字は7915億ドルでしたが、両者が改善されていくと、
双子の赤字と呼ばれた米国の問題が解消されていくことになります。

税収増が財政赤字解消に寄与していますが、インフレ下の経済環境では
相対的に負債を減らし、収入増をもたらすことが考えられます。
今の米国は、インフレ環境でも消費の停滞を招かないよう、雇用や賃金水準も
インフレ推移することが重要であって、それが8月に雇用環境が悪化したことでFRBが利下げに踏み切った最大の理由です。

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また米国では不動産価格の目減りが長期化する様相を呈した今、金融機関が
踏み込めない個人の住宅市場ではなく、他の市場を上昇させて資産価値の
目減り分を補う。そうでないと、米国の消費は更に停滞することが考えられます。
それが米国楽観論の裏側であり、政府一体となった米国の金余り助長の実態で
あるともいえるでしょう。

そんな中、ついに中国の外貨準備高が1兆4338億ドル、過去最高を更新
しました。中国投資有言責任公司(CIC)を設立していますから、
その流用額を含めるともっと高くなります。

今年5月に米国投資会社ブラックストーンの上場に際し、30億ドルの運用を
決めていますし、トータルで2000億ドルの運用規模とも伝わりますが、
実態としては今後も増えていく方向で、外貨準備を放出する方向になります。

一方で、今月開かれるG7ではこうした政府系投資ファンドの情報公開や、
規制が話し合われるようです。政治的な思惑で290兆円規模とも呼ばれる資金が、規制もなく市場に流れることへの警戒ですが、一方でヘッジファンド規制の話が
立ち消えであり、どちらかと言えば、巨大金融国家である米国がイニシアティブ
のない経済運営を警戒している、というところが筋なのでしょう。

11日の日本市場の上昇について、少しだけふれておきます。
実はオプション市場で17500円コールの買いに、外資の名前がずらりと
あったことから、急騰を主導した先物の動きは可能性は低いものの、
ある程度推測できる流れではありました。資金量の豊富な層が17500円に
近付ける相場を演じる、踏み上げ相場を狙ってオプション市場で稼ぐという
流れだったのでしょう。抵抗線として意識された移動平均線の存在も、
踏み上げを狙うには恰好だったのです。
この急騰で喜んだ人もいますが、逆にこんな相場つきだからこそ、
世界が変動する時に最も日本市場の売りが嵩むということも、憶えておいて
良いことです。SQ前の突飛な行動ですが、こんな相場を許していること自体、
監視の眼が行き届いていない証拠にもなるのですから。
在野のアナリストより転載