9/18 お昼の『株価材料』PART Ⅱ

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■株価材料

▼７月の第３次産業活動指数、0.5％低下
経済産業省が18日発表した7月の第３次産業活動指数（速報、2000年＝100、季節調整値）は前月比0.5％低下し、109.7となった。2カ月ぶりの低下。天候不順の影響で夏物衣料が振るわなかった卸売・小売業が1.4％低下したほか、雇用者数が減った影響で医療、福祉も2.2％の低下となった。

△総務省、携帯「圏外」解消へ国庫負担を増強
総務省は来年度から過疎地に携帯電話用のアンテナなどを増やし、携帯電話が使えない状況に置かれている人口を大幅に減らす方針だ。携帯電話会社が自社負担だけでアンテナを設置したがらない過疎地の整備費用の多くを国が負担する。都市部と地方の情報格差（デジタルデバイド）を解消する狙いがある。携帯電話をまったく使えない状況にいる人口は今年3月末で41万6000人。山あいや離島など過疎地に住んでいる場合がほとんどだ。総務省は携帯電話が使えない人口を2009年3月末までに10万人程度減らす目標だ。

△ＴＢＳ<9401>、テレビドラマ連動コンテンツをネット配信
ＴＢＳは10月から、テレビドラマと連動したコンテンツをパソコンと携帯電話向けに有料配信する。主演女優が登場し専門スタッフが制作する本格的な映像で、国内テレビ局で初の試みという。これまでテレビ局がドラマ連動で配信するインターネット向けコンテンツは番組宣伝目的だったり、俳優が著作権問題で出演を控えたりすることが多かった。10月から放送するドラマ「ジョシデカ！―女子刑事―」（木曜午後10時）の連動コンテンツを配信する。パソコン向けは約10分の派生ドラマ、携帯電話向けは90秒の関連コンテンツをそれぞれ10話配信する。価格は1話105円。

△富士通<6702>、米ＶＢを買収・ネット経由でソフト提供
富士通は情報サービスのベンチャー企業、米オケレ社（ニューヨーク市）を買収する。オケレは企業にネット経由でソフトを提供するサービス事業を手掛けており、富士通は買収によって技術力や顧客基盤を獲得。2010年には関連事業で300億円の売上高を目指す。同社は8月に仏情報大手の買収で失敗したが、引き続きＭ＆Ａ（合併・買収）を軸に海外での事業強化を目指す。このほどオケレ社のジョン・オロック最高経営責任者（ＣＥＯ）と株式を取得する契約を結んだ。富士通は米子会社の富士通コンサルティング（ニュージャージー州）を通じ、最終的に全株式を取得する。買収総額は20億―30億円とみられる。
（NIKKEI NET）

▼野村<8604>が年初来安値、ＣＳは格下げ
野村ホールディングスが反落。９月１０日に付けた年初来安値１７９３円を更新した。市場筋によると、資金繰りが悪化した英ノーザン・ロックに対して顧客が預金を引き出す動きが続いたことで世界的に金融株が売られたことが嫌気されているという。クレディスイスは１４日のレポートでサブプライムローン（信用度の低い借り手向け住宅融資）問題などでマーケットの混乱は想定以上に深刻化しており、悪影響は不可避として、投資評価を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げたほか、目標株価も２８００円から２０００円に修正した。また野村ホールディングスは１８日、米国業務の選択と集中の一環ととして、シカゴでの先物業務から近い将来、撤退する方針であることを明らかにした。

△国際帝石<1605>堅調、ＧＳが目標株価150万円に引き上げ
国際石油開発帝石ホールディングスが堅調。ゴールドマン・サックス証券（ＧＳ）が同社の目標株価をこれまでの１３０万円から１５０万円に引き上げたことなどが好感されている。ゴールドマンでは、原油の供給不足が鮮明となる中、原油価格が上昇すると想定し、同社の純利益予想を上方修正。生産についても、インドネシアで埋蔵量の増加が見込めるなどファンダメンタルズが強いとみている。

△ダイハツ<7262>しっかり、燃料電池の新技術開発を発表
ダイハツ工業がしっかり。同社が１４日に燃料電池の新技術を開発したと発表したことなどが材料となっている。同社の説明によると、従来は燃料電池車に欠かせなかった貴金属（白金）を全く使用せず、二酸化炭素を排出しない省資源、低コストが可能な燃料電池の新しい基礎技術を開発した。

▼東栄住宅<8875>が新安値、08年1月期見通しを下方修正
東栄住宅が売り優勢の展開となり、６日に付けた年初来安値１０３０円を更新した。２００８年１月期の連結決算見通しについて、経常利益を６７億４０００万円から５１億円に下方修正したことが嫌気されている。

▼メガネスーパー<3318>売り気配、今期業績予想を下方修正
メガネスーパーが売り気配。同社が１４日引け後に今期の業績予想を下方修正したことなどが嫌気されている。通期の経常利益予想はこれまでの２３億８９００万円から７億７２００万円に、当期純利益は１０億円から１３００万円に下方修正となった。低価格店の台頭で価格競争が激化し、売上高が計画を大幅に下回ったためと　同社では説明している。

▼日本パーキング<8997>が売り先行、08年2月期予想を下方修正
日本パーキングが売り先行となっている。１４日に発表した０８年２月期業績予想の下方修正を嫌気した。連結経常利益見通しは当初予想比６２．１％減の５億３０００万円に引き下げた。開業１、２年の大型立体駐車場における先行負担が重しとなったほか、新規開業駐車場の稼働率が伸びなかった。競争激化による採算の悪化も利益を圧迫した。この結果、売上高も同７．２％減の１１０億４０００万円、当期純利益も同４１．７％減の４億２０００万円と予想を下方修正したした。

△ベスト電器<8175>が買い気配、ヤマダ電機<9831>が株追加取得
ベスト電器が買い気配。家電量販店最大手のヤマダ電機が１４日、同社株を買い増したと発表したことで思惑が出ている。保有比率は直近の５．２４％から６．４７％に上昇した。関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。保有目的は「純投資」。これまでの取得資金は約３６億円となっている。

△フォトニクス<7708>買い気配、発行株14.6％上限に自己株取得へ
フォトニクスが買い気配。１４日に発行済株式総数の１４．６％に相当する７７００株を上限に自己株を取得すると発表したことを好感している。取得総額上限は２億円。９月２７日に開催する株主総会での承認を条件に、１０月２０日から２００８年１０月１９日の間に取得する。技術の発展を図るため、株式交換によるＭ＆Ａなどの選択肢を広げる。同社の技術とのコラボレーションが見込めるメーカーの事業承継や大手企業からのスピンアウトなどのケースで、同社が主要株主となって技術支援を実施、グループ技術の発展を目指す。

△ネットマークス<3713>が買い気配、監理ポスト割当解除を好感
ネットマークスが買い気配。東証が１４日、ネットマークス株式の監理ポスト割り当てを１５日に解除すると発表したことを好感している。同社は、不適切な取引に伴う過年度の決算訂正などで監理ポストに割り当てられていたが、東証は虚偽記載に関する上場廃止基準（虚偽記載を行い、かつその影響が重大であると認めた場合）に抵触しないと判断した。

■野村<8604>、シカゴでの先物業務から撤退へ
野村ホールディングスは１８日、シカゴでの先物業務から近い将来、撤退する方針であることを明らかにした。広報担当者がロイターに語った。米国業務の選択と集中の一環だという。
（ロイター）

▼ＡＣＣＥＳ<4813>が急反落、今期赤字幅が拡大見通し－ＡＬＰの収益化遅れる
携帯電話向け組み込みソフトなどを手掛けるＡＣＣＥＳＳの株価が売り気配でスタートし、前営業日比２万8000円（10％）安の24万1000円で寄り付いた。受託開発費の増加により粗利益率が低下するほか、携帯端末に必要とされるソフトを一括提供する「アクセス・リナックス・プラットフォーム（ＡＬＰ）」の収益化が遅れるとして、今期（2008年１月期）の業績予想を下方修正した。赤字額が従来予想を大きく上回る見通しとなったことで、投資家の売り圧力が増した。14日の取引終了後に、７月中間期決算を発表すると同時に、08年１月期通期の業績予想を下方修正した。通期の連結業績は、売上高が前期比18％増の307 億円（従来予想は354億円）、前期に153億円の赤字だった経常損益は118億円の赤字（同64億円の赤字）、同160億円の赤字だった最終損益は167億円の赤字（同101億円の赤字）を見込む。自社ソフト搭載品の売れ行きに応じて端末メーカーから受け取るロイヤルティー収入は堅調に推移している。ただ、ソフトを機器へ搭載する受託開発事業において開発費がかさみ、製品粗利益率が当初予想を下回る。リナックスをベースとする携帯電話向け基盤ソフトである「ＡＬＰ」の収益化が想定より遅れていることも響く。ＵＢＳ証券の富井喜隆アナリストは、ＡＬＰ事業について「引き合いは強いが、収益貢献に不透明感が残る」（14日付の投資家向けリポート）と指摘した。同証によると、今期のＡＬＰ売上高は、会社期初計画の20－30億円に対し、３－５億円程度にとどまる見通しという。会社側は09年１月期に同売上高50億円超を期待しているが、「今期のように顧客都合で後ずれしたり、初期案件のため収益貢献しないリスクが残る」と、富井氏は指摘した。ＡＣＣＥＳは、ＡＬＰを今後の収益の柱に育てる方針を示している。

▼西松屋<7545>株が反落、夏物衣料不振で８月中間期は減益に－通期予想も減額
育児用品や子供服などを扱う西松屋チェーンの株価が反落。夏物衣料が伸びず、既存店売上高が前年同月の実績を下回って推移している。前週末14日に業績予想を減額修正、2007年８月中間期は一転減益となる見通しになったことが嫌気された。午前９時20分現在の株価は前週末比18円（1.2％）安の1471円。西松屋が14日に公表した業績見通しによると、07年８月中間期の経常利益は前年同期比6.3％減の46億円にとどまったもよう。前回予想の55億円からは15％の下振れとなる。一方、08年２月期の経常利益予想は130億円から 125億円に４％減額され、ブルームバーグ・プロフェッショナルに登録されたアナリスト11人の経常益予想の平均129億円をも下回った。いちよし経済研究所の林晃弘アナリストは、「月次売上高の状況や円安進展を考えれば、業績の下振れはある程度想定できた。業績悪化はすでに株価に織り込まれており、サプライズではない」と判断。その上で、「通期で10％の経常増益が確保できるならば、まだ成長過程にある」とみて、投資判断を従来の「割高」から「割安」に変更した。目標株価は1800円。

■ソニー<6758>が反落、日経報道の半導体設備売却額1000億円は安いとの見方
ソニーが反落、一時160円（３％）安の5260 円まで売られた。来春にも東芝に最先端半導体の生産設備を1000億円弱で売却すると15日付の日本経済新聞が報じたことに関連し、売却価格が安いとの見方が出ている。また、20日開幕の東京ゲームショウ開幕で、ソニーが家庭用ゲーム機「プレイステーション３（ＰＳ３）」の値下げを表明する可能性があるとの観測も、株価の弱含み材料として警戒されている。みずほ証券の張谷幸一アナリストは、ソニーがすでに２月にＰＳ３向けＭＰＵ（超小型演算処理装置）「セル」次世代製品の自社生産を見送る方針を示していたため、設備売却は「既定路線」と指摘。ただ、「1000億円弱では売却損が出る」（同氏）と述べた。セル開発には、ソニーグループだけで2000億円を投じた上、ゲーム事業は赤字のままで、投資を回収できていないためとしている。日経報道によると、売却対象は長崎県の工場にあるシステムＬＳＩ（大規模集積回路）製造ラインで、セルや、ビデオカメラ用の画像処理ＬＳＩなどの生産設備が含まれる。ソニーは設備を自社拠点内に置いたまま所有権を東芝に移す方式を検討中で、1、２カ月内にも契約するという。
（ブルームバーグ）

▼ＮＰＣ<8997> 一時ストップ安。
一転しての減益予想が失望売りにつながっているようだ。中間期並びに通期予想を大幅に下方修正しており、08年2月期については経常利益で従来予想の14億円から5.3億円（前期11.02億円）にまで減額された。

△パナホーム<1924> しっかり。
ＣＳでは投資判断「アウトパフォーム」継続で、目標株価を860円から1090円にまで引き上げている。工場の半減策や人員削減策などのリストラを評価、中間決算の発表時点でこうした効果が認識されることになるとみているもよう。ＰＢＲや利回り水準からの割安感も強い状況と。

△木村化<6378> 雲上限をサポート。
短期値幅取り狙いの資金が交錯。先週末にかけてのリバウンドによって一目均衡表の雲を突破してきている。また、遅行スパンは上方転換シグナルを発生させているが、直近安値水準を割り込んでこない限り、下方転換シグナルは出難い。

△任天堂<7974> 利食い優勢も小じっかり。
為替相場が再び114円台に入ってきているが、底堅い値動きをみせている。先週末の上昇で7/26高値を起点とした下降抵抗ラインは突破している。一目均衡表では先行スパン（雲）上限を突破するなどテクニカル妙味。20日からの東京ゲームショウも手掛かり材料に。

△ネットマークス<3713> 買い気配。
東証が監理ポストの割り当て解除を発表、リバウンドを試す動きにつながっている。虚偽記載に関する上場廃止基準には抵触しないと判断。なお、みずほでは投資判断「４」を継続、依然として債務超過状態であり、エクイティファイナンスに伴う希薄化リスクも残るなどと指摘。

△フォトニクス<7708> ストップ高買い気配。
自社株買いが材料視されているようだ。7700株、2億円を上限とする自社株買いを実施すると発表している。上限株数が発行済み株式総数の14.6％に相当するため、需給インパクトは大きいとの見方に。

□みずほ<8411>---ダブルボトム意識し、買い戻しを狙ったロングも
約1ヶ月ぶりに年初来安値更新。英政府とイングランド銀行は、中堅銀行のノーザン・ロックへ緊急救済融資を実施するなど、米サブプライム問題の拡大を警戒。約1ヶ月ぶりに年初来安値を更新しているが、ポジション的にはショートに傾きやすい需給であり、ダブルボトムを意識し、買い戻しを狙ったロングも。

△三井鉱山<3315> 年初来高値更新。
利食い優勢で始まったものの、その後の切り返しで年初来高値を更新している。相場全体が弱含みで推移する中、値動きの軽い材料株へ短期値幅取り資金が向かいやすい状況。高値更新後は次第に利食いの流れが強まってきているが、回転が効いているだけに売り吸収後には再び上値を意識しそうだが。

▼三菱ＵＦＪ<8306> 05年8月以来の百万円を割り込んでいる。
英政府とイングランド銀行は、中堅銀行のノーザン・ロックへ緊急救済融資実施しており、米国のサブプライム問題が影響、銀行の資金繰り悪化への懸念。また、1部上場の中堅消費者金融クレディアが民事再生法の適用を申請したことを受けて、大手銀・地銀の業績へ影響を与える可能性が警戒される。

▼野村ＨＤ<8604>---大幅反落で安値更新、ＣＳが格下げへ
大幅反落で安値更新。ＣＳが投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に格下げ、目標株価も2800円から2000円に引き下げている。世界的なマーケットの混乱が収束する兆しが見えないなか、収益環境の悪化が長期化する可能性が高いと判断しているようだ。

△ダイハツ<7262>---25日線を回復、新たな燃料電池基礎技術を開発
窓をあけて上昇し、9/6の下落であけた窓を埋めた。二酸化炭素を排出しない新たな燃料電池基礎技術を開発したと伝えられた。白金を使用しない電極触媒材料を使用し、水素燃料電池に匹敵する高出力を確保した上、省資源・低コストが実現できるという。目先25日移動平均線を回復しており、同レベルをサポートに1100円を突破できるかが注目される。

▼サンケン<6707> ストップ安。
先週末発表の業績下方修正を嫌気、中間営業利益は82億円から33億円に、通期では190億円から100億円に、それぞれ減額している。ＣＣＦＬ事業の売上減少が響く格好となっているようだ。月次動向から警戒感は高まっていたが、想定以上の修正幅に。

▼東京精密<7729>---売り気配、大幅下方修正に失望売り
売り気配。先週末に発表した業績下方修正がネガティブサプライズ、営業利益は従来の175億円から120億円、2ケタ増益予想から一転して2ケタ減益に転じる見込み。主力製品のプローバの受注低迷長期化が背景となっているもよう。野村、三菱ＵＦＪ、ＵＢＳなど投資判断引き下げの動きが相次いでいる。

△東芝<6502>---逆行高、事業の選択と集中策を評価で
反発と逆行高の展開。連休中には、ソニーからの最先端半導体製造設備取得、銀座ビルの売却などが報じられている。事業の選択と集中の一段の進展として評価の動きが先行へ、資産売却による資金捻出策も好感する状況か。

▼消費者金融---売り優勢、クレディアの民事再生法申請受け
消費者金融総じて売りが先行。クレディアが民事再生法を申請、事実上の倒産となったことが警戒売りを誘っている。先週末のシンキの大幅下方修正と併せて、業界環境の厳しさがあらためて認識される状況へ。武富士やアイフルなど独立系企業の下げが、とりわけ目立つ状況に。

▼メガバンク---一斉反落、世界的な信用リスク懸念再燃で
メガバンク各社ともに売り先行。先週末は後場から大賑わいとなって、全体相場のムード好転につながったが、本日は海外市場の動向を受けて一転して売りが優勢になる。ノーザン・ロックの預金引き出し騒ぎなど、世界的な信用リスクの台頭懸念が売り材料視される。また、消費者金融のクレディアが民事再生法を申請、今後の消費者金融事業に対する負担増加懸念なども強まる格好に。
（フィスコ）

□ＪＱ上場のニックス<4243>の初値も公開価格を２０％下回る
ニックスが、ジャスダック証券取引所に上場された。公開価格は１３００円、公開株式数は５２万株となっている。寄り付きから売り物で１０時１１分に公開価格を２６０円、２０％下回る１０４０円で初値をつけ、その後は初値近辺で売り買いが交錯している。このところのＩＰＯ（新規株式公開）市場は、米国のサブプライムローンの焦げ付き問題が引き起こした世界的な信用収縮不安とは無縁でなく、個人投資家の資金引き揚げ懸念から８月３０日上場のアークランドサービス（３０８５・ＪＱ）が、公開価格を割って初値をつけてから、３銘柄連続の公開価格割れの「３連敗」である。この日は大型上場のバンテックＨＤとの同時上場で割を食ったうえに、公開価格が仮条件の上限で決定しなかったことが買いを手控えさせ、公開価格のＰＥＲ７倍台、資金吸収額も６億円超と小型なことも評価されるに至っていない。同社は、工業用のファスナーの製造・販売メーカーである。部品を留め、配線を束ねるプラスチックファースナーを素材開発から手掛け、キヤノンやリコーの事務機器業界向け中心に供給し、プリント基板の移送・保管に使われるラックでは国内トップの位置にある。今２００７年９月期業績は、売り上げ５１億９００万円（前期比４％増）、経常利益６億１８００万円（同３８％増）、純利益３億２８００万円（同１９％増）、１株利益１７８円を予想している。

▼クレディア<8567>は売り気配、民事再生手続き開始で上場廃止
クレディアは、寄り付きから売り物を浴び３５円安の２１２円売り気配と８営業日続落し８月１０日につけた上場来安値２３２円を下抜いている。前週末１４日に東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てを決定、東証が１０月１５日付けで上場廃止にするとして即日整理ポストを割り当てたことで売り急ぎの動きを誘っている。東証の上場廃止は、マザーズ上場のフレームワークス（３７４０・整理）が、９月１３日に上場廃止が決定されたばかりだが、民事再生手続き開始による上場廃止は、今年２月の東証２部のアイ・エックス・アイ以来となる。民事再生手続き開始の申し立ては、消費者金融の独立系の中堅として、昨年１２月に改正貸金業法が成立して以来、利用者からの過払い利息返還請求が急増する一方、会計基準の変更に伴い返還に備えて多額の引当金を積み増すことになり財務状態が急激に悪化、新規資金の調達が困難となり、支払い期限を迎える債務の返済にメドが立たなくなったことが要因で、負債総額は、７５７億８００万円に達している。消費者金融業界では、大手各社の業績が急悪化し、９月１３日にはシンキ（８５６８）が、異例の株主割り当ての第３者割当増資を発表し株価は急落、同じくプロミス（８５７４）の三洋信販（８５７３）への株式公開買い付けが終了するなどと相次ぎ、なお業界の鳴動、再編が続いており、株価の波乱展開が長引きそうだ。

△トリケミカル<4369>は業績増額が直近ＩＰＯ人気を刺激し急反発
トリケミカル研究所は、８７円高の６１０円と６営業日ぶりに急反発、１４日ザラ場につけた上場来安値５００円から出直り急となっている。前週末１４日に２００７年７月中間期決算とともに発表した今１月通期業績の上方修正が、直近ＩＰＯ（新規株式公開）人気を刺激している。同社は、今年８月３日に公開価格５４０円で新規上場されたばかりで、７９９円高値まで買い進まれたものの上場人気の一巡から下値を探る動きが続き、公開価格を下回っていた。中間期業績は、上場時の予想を上回って着地する一方、通期業績については同予想を上方修正した。売り上げは２億４９００万円、経常利益は９３００万円、純利益は５７００万円それぞれ引き上げたもので、純利益は２億７６００万円（前期比４５％増）と増益率を伸ばす。同社は、半導体メーカ－向けの高純度化学薬品の世界的なメーカーで、半導体メーカーのライン・装置立ち上げの新規商権に機敏に参入、増産を享受したほか、微細化・材料変更ニーズにも迅速に対応したことが上方修正要因となっている。株価は、ＰＥＲ１０倍台とさらに割安となり、公開価格のクリアは当然で、上場来高値奪回でもなおＰＥＲは１６倍台と市場平均並みにとどまる。

▼日立<6501>は中間業績の下方修正を嫌気売りし安値更新
日立製作所は、２５円安の６７５円と変わらずを含み１０営業日続落し９月１４日ザラ場につけた年初来安値６９５円を更新している。前週末１４日に２００７年９月中間期業績の下方修正を発表、赤字幅を拡大することが嫌気され売り先行となっている。同社の中間期業績は、売り上げは期初予想を据え置いたが、税引前純利益が５０億円、純利益が３５０億円引き下げられ、純利益は３５０億円の損失（前年同期は７８０億８６００万円の損失）と悪化する。プラズマテレビ事業の競争力を強化するために、生産子会社の富士通日立プラズマディスプレイの宮崎事業所の生産設備を再編、旧型設備の２番館の生産を休止、高効率設備の３番館に生産集約することに伴い、１５０億円の減損損失を計上することが下方修正要因となった。単独業績でも、同生産子会社の投資残高に対する株式評価損失、貸倒引当金など約５００億円の事業構造改善特別損失、日立ＧＥニュークリア・エナジー社設立に伴う関係会社売却益約２９０億円を計上する。なお期初から未定としてきた中間期配当は、３円に据え置く。株価は、同じ重電の東芝、三菱電機と「選択と集中」で大きく差をつけられ、今期第１四半期業績の純益赤字着地が響き７００円台を試す下値模索が続いている。昨年９月安値６４４円が意識される展開が続こう。

△神奈中<9081>は続伸、業績上方修正で減益率縮小
神奈川中央交通は、８円高の５５０円と続伸している。前週末１４日に今９月中間期・３月通期業績の上方修正を発表、期初予想の減益率を縮小することが値ごろ株買いを増幅させている。上方修正のうち３月通期業績は、売り上げが期初予想から２０億円引き下げられるが、経常利益は７億２０００万円、純利益は３億６０００万円それぞれ引き上げられ、純利益は１９億９０００万円（前期比１２％減）と減益率を縮小する。レジャー・スポート事業が、近隣店舗との競争激化が響き減収となったが、単独決算のバス輸送事業の利用客の増加や諸経費の減少などでカバーし業績見直しにつながった。株価は、前期も昨年９月に前期業績業績の上方修正を発表したが、やはり減益率縮小にとどまり、今年７月発表の今期第１四半期決算が減収減益で着地したことなどから、昨年来安値水準の５００円台下位での底固め継続となっている。ＰＥＲなど投資採算は割高感を否めないが、薄めながら株不足となっている信用好取組などを側面支援材料に底上げ思惑を強めよう。

△東京スター銀<8384>は純益上方修正を追撃材料に急反発
東京スター銀行は、３０００円高の３２万５０００円と４営業日ぶりに急反発している。前週末１４日に発表した今９月中間期・３月通期純利益の上方修正が追撃材料となり、割安株訂正期待の買い物を喚起している。同社株は、９月初めに今秋にも投資会社のアドバンテッジ・パートナーズが株式公開買い付け（ＴＯＢ）を実施すると伝えられて上場来安値２８万６０００円から急反騰、逆行高したばかりであり、同様のリバウンド再現思惑を高めている。今期業績の上方修正は、固定資産の売却益が当初予想額を上回ったことを要因としている。同行本店の土地・建物（東京都港区、簿価４１億円）を興和不動産（東京都港区）に９月２１日を物件引き渡し期日に２２３億円で売却、１８１億円の売却益が計上されることによる。このため上方修正のうち、３月通期業績は経常収益、経常利益はともに期初予想の据え置きとしたが、純利益は１７０億円から２３０億円（前期比４２％増）に引き上げられ、２期ぶりの過去最高更新の更新幅を拡大する。同行は、経営破たんした旧東京相和銀行が米投資会社ローンスターの傘下で経営再建し、２００５年１０月に公開価格４５万円で再上場された。株価は、上場時に公開価格を上回ったものの３０万円台央で下値固めを続け、時折りローンスターの保有株売却思惑で動意付いた。純益増額でＰＥＲは９倍台と割安となり、再び思惑を増幅することになる。

△キヤノン<7751>は５回目の自己株式取得をテコに続伸
キヤノンは、３０円高の６０２０円と続伸している。前週末に５回目の自己株式取得を発表しており、週明け１７日の米国株式の続伸、同社ＡＤＲ（預託証券）高も加わりリバウンド狙いの買い物が増勢となっている。自己株式取得は、資本効率の向上、将来の株式交換などの機動的な資本戦略に備えて行うもので、１０００万株（発行済み株式総数の０．７％）、５００億円を上限として９月１８日から１０月２４日までの間に買い付ける。同社は、今年２月以来３月、７月、８月と合計上限を７４００万株、４０００億円に４回も自己株式取得を実施し、株価もそのたび好反応をした。ただ７月以降は、同社の今１２月通期業績が、固定資産の償却方法の変更から下方修正されて増益率を縮小し、第１四半期消決算開示時の上方修正とはまったく方向が異なったことに、世界連鎖株安の影響による外国人投資家売りも加わり、株価下落のブレ－キ効果は低減していた。株価は、昨年６月末割り当ての株式分割落ち安値水準の５３４０円から、前回の自己株式取得で１３００円幅の急反騰はしたものの、この反騰時に開けた窓を埋める展開と振幅が大きく安定性を欠いている。連続の自己株式取得をテコに上昇トレンド復帰を目指すことになりそうだ。
（東洋経済新報社）

△アデランスＨ<8170>の中期計画に関心
アデランスホールディングスが２０１１年２月期に連結売上高１０００億円を目指す中期目標を発表、関心を集めている。前０７年２月期の連結売上高は７３５億円だった。国内では女性向けの既製品カツラ事業を、海外は毛髪移植事業を強化する。今０８年２月期の１株当たり配当金は中間３０円、期末５０円を予定。０９年２月期以降の資本政策と株主還元方針は今後の研究開発、設備投資、Ｍ＆Ａ（企業の合併・買収）状況を勘案しながら０７年２月期の通期決算発表（０８年４月）に公表する予定。

△ケミコン<6997>はコスモ証が株価上昇余地大きいと
日本ケミコンはコスモ証券が１３日付で投資判断を新規「Ｂ＋」でカバー開始、「１９９８年に開発した導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーの需要が本格的に立ち上がり、収益拡大の新局面を迎えた」とし、「アルミ電解コンデンサーに対する評価と、今後の事業・収益構造の変化を考慮すれば、直近株価の上昇余地は大きいと考える」と指摘している。同証券では連結業績について、今３月期は売上高１４３０億円（前期比５．８％増、会社側計画は１４００億円）、営業利益１２０億円（同２７．２％増、同１１２億円）、経常利益１１４億円（同２７％増、同１００億円）、純利益６８億円（同２２％増、同６０億円）と会社側計画を上回る数値を試算している。

△松電産<6752>はゴールドマン証が投資判断を引き上げ
松下電器産業に対し、ゴールドマン・サックス証券が１４日付で、投資判断を「中立」から「買い推奨」に引き上げた。目標株価は２５００円。「安いけど買う材料がない」との評価は、今後ＰＤＰ（プラズマ・ディスプレー・パネル）に関する株式市場のセンチメントが改善に向かう中で払しょくされる可能性があると指摘。マクロ環境の不透明感が強まり、松電産の業績安定性が再注目されるなかで、今期予想ＰＢＲ（１．０倍）やＥＶ／ＥＢＩＴＤＡ（投資有価証券を含むベース）２．２倍はカバレッジ内でも割安と指摘。

△マイクロニ<6871>のバリュエーションをいちよし経研が引き上げ
日本マイクロニクスは、いちよし経済研究所が１３日付リポートで、株価のレーティングを「２―Ｂ―ＭＲ」→「２―Ａ―ＭＲ」に引き上げた。フェアバリューは４４１０円としている。同研究所によれば、アドバンストプローブカード（集積回路の製造工程で用いられる治具）の存在感が高まっているとの見方に変更はなく、ＬＣＤ（液晶ディスプレーパネル）向け検査装置なども大幅に収益力を落とすリスクは見当たらないとコメント、直近の株価下落を織り込み、レーティングを引き上げた。今０７年９月期連結業績予想は第３四半期での業績足踏みから、若干下方修正したものの、０８年９月期以降の業績については上方修正した。プローブカードは新規顧客獲得をベースとした青森工場が、ＦＰＤ（フラットパネルディスプレー）事業については中国での低世代向け需要増が、０８年９月期以降の業績をけん引するとしている。

△みずほ信<8404>は大和総研が純利益上ブレを予想
みずほ信託銀行は大和総研が１３日付で「与信関連損益はネットで多額の戻入益超過となる可能性が高く、純利益は銀行計画を大きく上回ろう」としながらも、今３月期の経常利益を従来の８５０億円から銀行計画と同じ８３５億円に下方修正した。「サブプライム問題に関しての損失は非常に限定的」とする一方、親会社であるみずほフィナンシャルグループ <8411> の保有する優先株式の継続的な取得計画については「継続的な利益の移転は同行単独の投資妙味を損なう」とした。
（株式新聞ダイジェスト）

△ウェブクルー<8767>が逆行高、配当狙いの動きも
ウェブクルーが逆行高して４営業日ぶりに年初来高値を更新している。とくに新規の材料が出たわけではないが、足元の収益拡大を評価した見直し買いに加え、今９月期末の配当取りを狙った個人投資家などの買いも流入して株価水準を押し上げているもよう。同社は自動車保険や生保などの比較サイト運営を主力に、最近は引越し見積もりの比較サイトなどにも展開し業容を拡大させており、８月１３日に発表した今期の第３四半期業績は大幅な増収増益で同時に通期予想を上方修正していた。さらに８月２８日には従来１０００円としていた期末配当を特別配当と合わせて１５００円に増額する意向を表明。全般の軟地合いにも係わらず、小口の買い注文が継続的に流入して戻り待ちや利益確定の売り注文を吸収する展開が続いている。

△日本和装<2499>がＳ高、自社株買いと増配で見直す
日本和装ホールディングスが急騰して値幅制限いっぱいの３万円ストップ高に買われている。前週末１４日の引け後に３０００株（発行済み株式総数の３．３％）、金額で１億円をそれぞれ上限に自社株買いを行うと発表。同時にすでに保有している４５２株（同０．５％）を１０月１０日に消却。さらに従来は１２００円を予想していた今０８年４月期の期末配当について５００円の記念配当を加えて１７００円にする方針も併せて明らかにした。これらの株主還元策が見直し買いを誘う要因になった。８月２０日に発表した第１四半期（５－７月期）業績は経常利益が１０％減と伸び悩んではいたものの、会社側では中間期および通期予想は変えておらず、通期の一株利益は５８４３円を見込んでいる。これを基に２万８７００円という前週末終値２万８７００円で計算したＰＥＲは４．９倍。増配で配当利回りも５．９％まで上昇して割安感が強まった。

△三井物<8031>が小反発、ＧＳ証が目標株価引き上げ
三井物産が小反発している。ゴールドマン・サックス証券が今後１２ヶ月の目標株価を３１００円から３４００円へ引き上げた。同証券は１８日付のレポートで「商社の中で、原油・ガスおよび鉄鉱石の生産権益が最も大きいのは三井物で、２００９年３月期の連結純利益予想を３８５０億円から４３００億円に上方修正する」などと評価していた。

▼サンケン電<6707>が売り気配、ＣＣＦＬ厳しく
サンケン電気が売り気配で始まった。同社の主力は大型ＴＶ向け液晶パネルのバックライトに使われるＣＣＦＬ。新製品の投入の遅れや販売価格の下落が響き、先週末に業績下方修正を発表したことで、これを嫌気した売りが膨らんでいる。同社は１４日、２００８年３月期９月中間期および通期の連結業績予想の下方修正を発表した。中間期については売上高を期初予想から１０９億円減額して９４４億円に、営業利益を４９億円減額して３３億円にそれぞれ修正。通期については売上高を３０５億円減額の１９２５億円に、営業利益を９０億円減額の１００億円にそれぞれ修正した。中間期、通期とも期初の時点では増収増益を見込んでいたが、今回の修正で減収減益に転じる見通しとなった。通期の営業利益は期初の２６．５％増益→３３．３％減益に予想を変更している。周辺部材の点数を減らしたりやＣＣＦＬ自体の本数削減につながる「高輝度タイプ」のＣＣＦＬの投入を予定していたが、他の部材とのマッチングに想定以上に時間がかかっている模様。「秋モデル向けにも十分入りきれていない状況で、８月９月とフル生産の状態にない」（同社ＩＲ担当）といい、前期に設備投資を行ったことによる固定費の負担増を吸収しきれない。加えて、付加価値の高い長尺のＣＣＦＬにシフトする戦略が、実際の液晶ＴＶの需要が３０インチ台中心で、同社がターゲットとする４０インチ以上の伸びが案外なため、台湾や韓国のＣＣＦＬメーカーとの価格競争に巻き込まれてしまっている厳しい状況だ。
（ラジオNIKKEI）

□会社側提案の賠償受け入れへ＝温泉施設爆発事故の遺族
東京都渋谷区の女性専用温泉施設「シエスパ」付属施設の爆発事故で、亡くなった3人の従業員のうち藤川広美さん＝当時（22）＝の両親が、ユニマット<7560>グループ側が提案した賠償を受け入れる考えであることが18日、分かった。父親の雄二さん（50）は「再発防止に努めてもらうことが、娘の一番の供養になる」と話している。雄二さんによると、8月下旬、ユニマットグループ側の担当者が両親に会い、慰謝料などとして具体的な賠償額を提案。「分かりました」と口頭で了承したという。
（時事通信）

△プロの指導受け教諭らＣＭ製作
メディア情報を読み解く能力を指す「メディアリテラシー」を磨く教育の一環として、指導者養成を目指すワークショップ「広告小学校」が１７日、東京都世田谷区の東京学芸大付属世田谷小学校（池田克紀校長）で開かれた。東京学芸大と広告代理店「電通<4324>」が手を組んだ教育プログラムで、都内の小学校教諭ら２０人が参加。現役クリエーターのアドバイスを受けながら、チョコレートの模擬商品のテレビコマーシャル作りを体験した。参加した東京都町田市の女性教諭は「実際にアイデアを出し発表する過程で、子供たちが『何をどう伝えたいか』を考えるきっかけになる。授業で活用したい」と話していた。
（産経新聞）

▼制裁金　三菱ＵＦＪ<8306>傘下の米銀に３６億円　資金洗浄対策で
米司法省などは１７日、三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ傘下の米大手地銀ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニアが麻薬密売に絡んだマネーロンダリング（資金洗浄）対策を怠ったとして、民事制裁金など計３１６０万ドル（約３６億３０００万円）の支払いを命じた。ユニオン・バンクは支払いに応じたという。また、同省はユニオン・バンクをカリフォルニア州の連邦地裁に刑事訴追する手続きも取った。三菱ＵＦＪグループは昨年１２月にも、三菱東京ＵＦＪ銀行ニューヨーク支店でのマネロン対策不備で米当局から業務改善命令を受けており、管理体制の甘さが浮き彫りとなった。同省によると、０３年５月～０４年４月にメキシコの外国為替業者がユニオン・バンクに所有していた口座が、コロンビアからの数トンのコカイン密輸に絡んだ資金の送金に利用されていた。ユニオン・バンクは０４年にもマネロン対策不備で業務改善命令を受けており、その後も改善が進んでいなかったと判断され、重い処分を科された。ただ、同省は、ユニオン・バンクが責任を認め、是正策を講じる方針を示したとして、今後の刑事手続きを留保し、是正策が実行されれば、１年以内に訴追を取り下げるという。ユニオン・バンクは「当局と協力し、対策不備を繰り返さないように法令順守体制を確立する」とのコメントを発表した。三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループは「誠に遺憾だ」（広報部）とするコメントを発表した。

△動画共有サイト　ユーチューブ提携企業続々　影響力に注目
自分で撮影、編集した動画などを投稿、閲覧できるインターネット上の動画共有（投稿）サイトが影響力を増している。投稿数が１日約１０万本、閲覧は同数億回という世界で最大規模のサイトを運営する米「ユーチューブ」は、今夏に日本語版を投入。
ヤフー<4689>・ジャパン、フジテレビ<4676>、ソニー<6758>、ＮＴＴ<9432>なども参入した。違法コンテンツの投稿が問題化する一方、共有サイトの影響力に注目した企業が自社コンテンツを配信するなど、サイトを積極的に利用する動きも加速してきた。
動画共有サイトは、放送区域や国境を超え、世界の視聴者へコンテンツを届けられる力が強みだ。海外ではＮＢＣ、ＣＢＳ、ＢＢＣなどがユーチューブと契約を結んでいる。米国では７月に、ユーチューブとＣＮＮとの共催で、民主党の大統領選出馬候補者に対し、有権者がユーチューブを通して質問する討論会も開かれたほどだ。
そのユーチューブが８月２日に東京都内のホテルで開いた日本版の事業説明会には、国内衛星放送最大手のスカイパーフェクト・コミュニケーションズ（スカパー<9412>）や地上テレビ局の東京メトロポリタンテレビジョン（東京ＭＸテレビ）など、日本企業５社の役員らが顔をそろえた。いずれの企業もユーチューブの親会社の米グーグルと提携、専用ページなどを無料で開設してもらい、公式コンテンツの無料掲載を始めている。
国内メディアの間には、「広告収入の減少でコンテンツの２次利用が重要になる中、ネットへの流出は事業モデルに影響を与えかねない」（テレビ朝日<9409>）との警戒感が依然として根強い。それにもかかわらず、提携に踏み切った企業はどんな戦略を描いているのか。
スカパーは、６月からユーチューブに専用ページを開設。サッカーＪリーグのゴール集や海外ドラマの宣伝映像のほか、連続ドラマの第１話をそのまま配信することもある。無料のユーチューブで番組の魅力を紹介し、スカパーの契約に誘導するのが狙いだ。提携後、スカパー自体の公式サイトのアクセス数は２倍に増加した。同社の田中晃専務は「ユーチューブで映像の楽しみ方の多様化が加速した。流れは止められない」と指摘する。国内地上テレビ局で初めてユーチューブと提携した東京ＭＸテレビは、ニュースや石原慎太郎都知事の記者会見、スポーツ、音楽番組などを幅広く掲載。「ユーチューブなら放送エリアを超えられる。まずはＭＸテレビという存在を見ていただくのが目的」（同社）という。一方、ＮＴＴ、ソニー、フジテレビなど国内企業が相次いで開設した動画共有サイトは、大半が動画の投稿・閲覧は無料で、サイトの広告から収入を得ている。また、映画の予告編の配信など、企業が広告宣伝のために利用する例も出ている。共有サイトは、利用者同士のコミュニケーションの場として始まったが、今では企業から消費者にメッセージを伝えたり、映像などに才能のある個人を発掘するための機能が期待されている。
動画共有サイトには、著作権者の許可がないテレビ番組などの動画も多く投稿され、大きな問題となっている。日本音楽著作権協会（ＪＡＳＲＡＣ）は７月２４日に、動画共有サイトでの利用許諾条件に関するガイドラインを公表し、ユーチューブを含む動画共有サイト約３０サイトに送付し、対応を求めた。
ヤフーは、ＪＡＳＲＡＣと、共有サイトの広告収入の２％程度の著作使用料を支払うことで基本合意。ただ、合意ができたのは、アマチュアが自分で歌ったり演奏したりした音楽の著作権料の支払いについてのみ。テレビ番組や映画の映像などは、個別の権利者との合意が必要となる。一方、ユーチューブは著作権違反の動画は、権利者の要求があった場合のみ削除する。「無許可の動画でも、広告効果のほうが大きいと判断して削除を希望しない場合もある。投稿された動画の扱いを決めるのは著作権者だからだ」という。同社は、著作権者が動画データの一部をあらかじめ登録しておけば、自動的に投稿された動画と照合される「フィンガープリント（電子指紋）」と呼ばれるシステムを今秋にも導入する。無許可コンテンツは、著作権者が（１）削除（２）放置して宣伝に利用（３）自社の利益になるように改変－－のいずれかを選択できるようにする。目視で無許可コンテンツを探す手間が省けるが、膨大なデータの事前登録が必要になるため、テレビ局からは「常時放送されているテレビ番組で対応するのは難しい」との声が上がっている。
（毎日新聞）