9/5 朝の『株価材料』PART Ⅱ

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■株価材料

■ＡＬサービス<3085>、第三者割当を失権
新規株式公開（ＩＰＯ）銘柄が公募・売り出しと同時に実施するオーバーアロットメントによる売り出しが機能しない例が増えている。とんかつ専門店のアークランドサービスは4日、オーバーアロットメントによる売り出しに伴う第三者割当増資に申し込みがなく、全株が失権したと発表した。上場後の株価低迷が響き、追加的な資金調達を期待していた企業の資金計画に影響を与えかねない。ＡＬサービスは8月30日の上場時にオーバーアロットメントで900株を売り出し、追加的に約1億7000万円を調達する計画だったが、うまくいかなかった。同社の株価は上場直後から公募・売り出し価格（20万円）を下回って推移。主幹事である野村証券への割当予定価格の18万6000円も割り込んでいた。このため、主幹事の野村は市場から株式の買い戻しを進めたとみられる。8月31日に上場したバイオベンチャーのジーエヌアイもオーバーアロットメントによる売り出しを実施したが、同社の株価も主幹事への割当価格を下回る。

□ナ・デックス<7435>の５―７月期、経常益40％減
電子機器製造のナ・デックスが4日発表した2007年5―7月期の連結業績は、経常利益が2億5600万円と前年同期比40％減少した。ユーザーへの納期、更新時期がやや遅れ、競争激化による利益率低下も響いた。第2四半期以降の回復を見込み、2008年4月期通期の見通しは据え置いた。主要取引先である自動車関連企業の設備投資意欲は依然高水準だが、5―7月期の売上高は前年同期比23％減の75億4400万円にとどまった。営業利益は2億2300万円と同45％落ち込んだ。各種コスト削減などを進め、通期では売上高が前期比3％増の427億円、経常利益は同4％増の18億7000万円を見込んでいる。

▼オーエムツー<7614>の７月中間、経常利益37％減・スーパー事業不振
食肉小売りチェーンのオーエムツーネットワークは4日、2007年7月中間期の連結経常利益が前年同期比37％減の3億3200万円になったと発表した。従来予想は5億7000万円だった。競争の激化によりスーパーマーケット事業が不振だったうえ、豚肉や鶏肉の仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁しきれなかったことが響いた。売上高は1％減の161億5000万円。従来予想を10億7000万円下回る。スーパーマーケット事業の売上高が競争激化で前年同期比39％減の20億円だった。他社の大型スーパーマーケットの出店で顧客が減少し、食肉小売店の売り上げも減少した。純利益は51％減の1億1300万円。従来予想は2億2000万円。

△ファストリ<9983>、今期中に不振事業継続見極め・低価格衣料や靴
ファーストリテイリングは4日、低価格衣料販売や靴専門店など不振の関連事業について2008年8月期中に事業の継続を見極める方針を明らかにした。本業のカジュアル衣料専門店「ユニクロ」の事業インフラを活用して支援するが黒字化のめどが立たない場合は売却または中断する。ファストリが不振事業再建で期限を明示したのは初めて。一方、Ｍ＆Ａ（企業の合併・買収）は今後も国内外で継続するほか、ユニクロの海外展開も加速して成長を持続する。同日都内で開いた事業戦略説明会で柳井正会長兼社長が業績不振の関連事業について「黒字化への手応えがあれば継続するが、この1年間で結論を出す」と明言した。低価格衣料販売の「ジーユー」や、Ｍ＆Ａで傘下に収めたグループ企業である靴専門店の「ワンゾーン」、婦人靴店の「ビューカンパニー」、婦人服専門店の「キャビン」などが対象となる。

△１―６月の音楽配信売上高、42％増・「着うたフル（ソニー<6758>ミュージックエンタテインメント）」けん引
日本レコード協会（東京・港）は4日、今年1―6月の有料音楽配信の売り上げ実績を発表した。パソコン向けと携帯電話向けなどを合わせた総額は351億 9300万円と、前年同期比で42％増となった。パソコン向け音楽配信は需要が一服したことなどから伸び悩んだものの、携帯電話向けの「着うたフル」は2 倍に成長し、市場の拡大をけん引した。全体の9割を占める携帯電話向けの売上高は、前年同期比で43％増の318億5900万円だった。楽曲の一部を試し聴きできる「着うた」は7％増にとどまったが、1曲を本格的に聴ける「着うたフル」が急拡大。携帯電話で音楽を聴く習慣が定着してきたことを裏付けた。パソコン向け音楽配信サービスは、26億8600万円と、前年同期比で8％増だった。携帯音楽プレーヤー市場で約5割のシェアを占める米アップルの「ｉＰｏｄ」は、主力機種が発売されてから約1年がたち、普及が一巡してきたことなどが影響した。

▼ＢＮＰパリバ、ＮＯＶＡ<4655>株をすべて売却
ＢＮＰパリバ証券グループが、保有していた英会話教室最大手ＮＯＶＡの全株式を売却していたことが4日、分かった。同社が関東財務局に提出した報告書によると8月30日に、保有する800万株（発行済み株式の11.85％）すべてを市場外取引を通じ、同29日の終値と同額の1株30円（総額2億4000 万円）で海外投資家に売却した。ＢＮＰパリバが7月30日に取得した時点の株価は71円だった。ＢＮＰパリバの保有株式についてＮＯＶＡは8月10日時点で、猿橋望社長や関連会社のノヴァ企画が資産運用の一環として取引したもので既に返還を確認したと説明。一方、ＢＮＰパリバは「業者間での取引によるもので、（ＮＯＶＡの役員など）特別利害関係者との取引ではない」とＮＯＶＡ側の見解を否定している。

△ＪＦＥ<5411>ライフ、野菜工場拡充・レタス水耕栽培「25毛作」可能に
ＪＦＥグループのＪＦＥライフ（東京・台東、秋田邦生社長）は、茨城県土浦市でレタスを水耕栽培する「野菜工場」を拡充した。約3億円を投じて生産プラントを増設し、生産能力は年間380万袋に倍増した。日照時間や天候に左右されないため、年間で「25毛作」という大量生産が可能。無農薬などを売り物に首都圏向けを中心に供給する。「土浦グリーンハウス」の第2期工事が完成し、4日から大手スーパー向けに出荷を始めた。増設したプラントの広さは約5100平方メートルで生産能力は月17万袋。1期分と合わせて5種類のレタスを生産し、年間5億円の売り上げを見込んでいる。ＪＦＥライフは生産したレタスを「エコ作」ブランドで百貨店系列の食品スーパーなどを通じて販売している。土浦の生産プラントは2004年4月に稼働、首都圏での需要拡大に対応するため第2期工事を進めていた。

△東北ニプロ<8086>製薬、100億円投じ新工場
東北ニプロ製薬（福島県鏡石町、久保木政博社長）は鏡石町にある工場敷地内に新工場を建設する。延べ床面積は約2万7000平方メートルで、来年10月の稼働を目指す。医療用医薬品の錠剤など固形剤の生産能力を5倍の年60億錠に引き上げる。投資額は約100億円。製薬会社からの受託生産拡大に対応する。

△マクドナルド<2702>の８月売上高、月間で過去最高に
日本マクドナルドホールディングスは4日、8月の月間売上高が463億9400万円（速報値）となり、月間で過去最高になったと発表した。これまでの最高だった今年3月を33億4700万円上回った。大型ハンバーガー「メガマック」の再販売や新商品投入による100円マックの強化、24時間営業店舗の拡大などが好調の要因としている。8月の既存店売上高は前年同月比11.3％増えた。既存店来店者数も同10.8％伸び、月間で過去最高となった。既存店売上高は2006年2月から19 カ月連続で前年同月実績を上回っている。地域別価格の導入で値上げ店舗が拡大したことも、8月の売上高を押し上げたとみられる。

△森永乳業<2264>、東北の２子会社合併・生産品目入れ替え効率化
森永乳業は4日、東北地方の2子会社が12月1日付で合併すると発表した。2社の生産品目を入れ替え、効率化するのが狙い。森永乳業は2010年3月期を最終年度とする中期経営計画で、工場統廃合により25億円のコスト削減を目標に掲げた。今回の子会社合併もこの一環。合併するのは宮酪乳業（宮城県名取市）と秋田協同乳業（秋田県大館市）。宮酪を存続会社とし、社名は「東北森永乳業」に改める。本社は仙台市に移す。森永乳業が88％、同社子会社の日本製乳（山形県山形市）が12％を出資する予定。代表者は未定。新会社は宮酪が仙台市に建設中の新工場と秋田協同の本社工場を継承。旧2社で重複していたヨーグルトやビン入り牛乳などの品目を2工場に振り分け、生産集中化による稼働率向上を目指す。将来は日本製乳の生産品目の一部も移し、東北での当面の生産集約を完了させる方針だ。

□田辺製薬<4508>と三菱ウェルファーマ（三菱ケミカルＨＤ<4188>）、早期退職に118人応募
田辺製薬と三菱ウェルファーマ（大阪市）は4日、10月の合併に備えて8月中に募集していた早期退職者について、両社合計で118人が応募したと発表した。45歳以上の対象者2550人の4.6％を占めた。内訳は田辺製薬が61人、三菱ウェルが57人。早期退職者に支給する特別退職金の総額はそれぞれ6 億8000万円、7億円となる。

△マクドナルド<2702>とモス<8153>、ＣＯ2削減運動に協力
日本マクドナルドは地球温暖化防止対策として政府が提唱する「1人1日1キロの二酸化炭素（ＣＯ2）を削減する」運動を応援するキャンペーンを実施する。トレイマットで活動を告知するとともに、「ビッグマック」を通常の半額に近い150円で販売する。業界ではモスフードサービスも同様に一部商品を割り引くキャンペーンを始めている。トレイマットには、来店客向けに携帯電話から読み取れるＱＲコードやＵＲＬを掲載。環境省が個人向けにホームページを通じて提供する「私のチャレンジ宣言カード」を取り込めるようにする。トレイマットは全国約3800店に計700万部配布する。カードや携帯を示した来店者に、通常260―290円のビッグマックを150円で販売する。期間は7日から30日まで。一方、モスフードサービスは来店客がチャレンジ宣言カードを店頭で提示すれば、「サウザン野菜バーガー」を割り引く。8月末から10月11日までの期間限定で、通常300円の商品を250円で販売する。

△キリンビール<2503>高崎工場跡地、森永製菓<2201>取得へ
群馬県高崎市のキリンビール高崎工場跡地取得に向け、森永製菓が最終的な交渉に入ったことがわかった。跡地はＪＲ倉賀野駅の北西約500メートルのＪＲ高崎線と国道１７号に挟まれた縦300メートル横600メートル、約17万8000平方メートルの更地。ＪＲ高崎駅とも2キロメートル弱の距離で関越自動車道の高崎インターチェンジも近く群馬県内の数少ない大規模な工場用地として進出企業が注目されていた。森永製菓は今後7―8年をめどに既存6工場の集約化を進めながら、効率的な生産体制の構築を目指す。
（NIKKEI NET）

△コマツ<6301>、08年度当期利益は前年比＋20％になる見通し
コマツの野路國夫社長は４日、２００８年度の当期純利益が前年度比２０％程度の伸びになる見通しを示した。ロイターとのインタビューで述べた。コマツは、０７年度の当期純利益を同２０．３％増と計画している。０８年度も同程度成長する可能性について、野路社長は「いまのマーケットが続く限り、そう（０７年度並みに）なるだろう」との認識を示した。野路社長が強気に見るのは、新興国や資源国での需要が強いためだ。
野路社長は、中国やインド、ロシアなどの新興国や、中東など資源国での販売が当初予想を上回る勢いで推移しているとして「北米以外は、需要が落ちる兆しが見えない」と述べた。サブプライムローン（信用力の低い借り手向け住宅ローン）問題に揺れる米市場については「今期は当初、前年比１５％減と見ていたが、同２０―２５％減程度になりそうだ。来期も同５％減程度を見る必要がある」と、マイナス成長を予想する。ただ、今期計画では北米での売上高が全体に占める割合が１７％程度と説明し「来年、再来年に（市場が）落ち込んだとしても、影響はそれほど大きくない」と述べた。中長期の米市場動向については「０８年が底になるのではないか。米国では人口増加が続いている。長いトレンドで見れば、間違いなく（住宅）着工件数は伸びる」とした。新興国では建機や鉱山機械の需要が急拡大しており、コマツは生産体制の強化も進めている。野路社長は、インド工場が「０９年度にはパンクする」との認識を述べ、能力増強や工場建設、東南アジアからの調達などの施策を検討する考えを示した。建設計画を進めているロシア工場については、年内に立地の選定を終えたい考えを述べた。生産能力は「従来と同じなら、まず年２０００台でのスタート」と語り、稼動時期は「早くても０９年になる」とした。野路社長は、将来的な自社株買いについて「可能性はある」と述べた。コマツは０９年度までの中期経営計画で、ＲＯＥ（株主資本利益率）２０％レベルを維持するとしている。野路社長は、利益が増えればＲＯＥが下落するとして「（自社株買いを）ある程度考えなければいけない時期がくる」と語った。ただ、足元では積極的な投資を進めていると説明し、今期中の自社株買いは「ない」と述べた。０９年度までの中計期間中の実施については「わからない」として含みを残した。一方、業界内では一部でＭ＆Ａ（企業の合併・買収）の動きがある。野路社長は、建設・鉱山機械事業の分野でコマツがＭ＆Ａ仕掛ける可能性について「ラインアップはそろっている。Ｍ＆Ａはない」と述べた。ただ、産業機械事業では「まだまだ持っていない商品ラインや周辺技術がある。互いに補完関係のあるところならば可能性がある」と語った。
コマツは昨年１０月、産業機械の日平トヤマ<6130>株式２１．４３％で取得していた。

□「プラズマの死」宣告は早すぎる――明るい未来を見込むメーカー
プラズマテレビ技術は、ライバルの液晶テレビとの縄張り争いで猛攻を受けているものの、その未来は明るい。プラズマテレビメーカーがベルリンで開催の家電展示会IFAでReutersに語った。調査会社iSuppliによると、昨年、液晶テレビはプラズマテレビの4倍売れた。同社は、今年は液晶テレビが従来プラズマテレビの縄張りだった大型モデルに進出し、この比率が7対1になると予測している。
だが世界で最も売れているPanasonicブランドのプラズマテレビを擁する松下電器<6752>は、品質改善、コスト削減、電力効率の向上で液晶テレビの進撃をかわせると確信している。松下のビジュアル製品＆ディスプレイデバイスプランニングを担当するヒロ・ワダ氏は、プラズマは中期的に、37インチ以上の大型フラットスクリーンテレビ市場で30％以上のシェアを維持できると信じていると語った。「われわれにチャンスはある。大型スクリーンへの需要が高まっているからだ」とワダ氏はIFAでReutersの取材に応えて語った。同氏は、松下はプラズマ市場での首位維持を目指していると語った。同社は日本のプラズマパネル工場に15億ドルを投資している。同氏は、プラズマ技術は商用化からまだおよそ10年で、改善の余地はたっぷりあると付け加えた。液晶テレビは30年以上前に商品化された。同氏はまた、松下は1年につき約20％消費電力を減らすことを目標としているとも語った。プラズマテレビは自己発光システムを利用しており、2枚のガラスに挟まれた微量の希ガスを電気で刺激して、光を放出させる。コントラスト比が高くて、さまざまな角度からよく見える自然な映像を作り出す。液晶テレビはバックライトで光を当て、液晶が光を遮り光量を調節することで色を生み出す。一般的にプラズマテレビよりも電力効率が高く、バッテリーによる電力供給が可能なため、携帯電話やデジカメのディスプレイに広く使われている。ワダ氏は、松下は消費電力削減につながる発光効率の改善に取り組んでおり、またシングルスキャン技術で製造コストを削減すると語った。シングルスキャン技術は、2つのチップの代わりに1つのチップを使ってディスプレイを駆動する。あらゆる種類のテレビのメーカーは価格競争に巻き込まれており、液晶テレビメーカーが利益率の高い大型テレビに進出する中で、プラズマテレビメーカーはこれまで以上の圧力にさらされている。ワダ氏は、37インチ以上のテレビは今年、30％価格が下落し、来年も同様の値下がりが見られるだろうと語った。iSuppliは、世界のプラズマテレビ売上高は来年ピークに達し、102億ドルになると予測している。
世界第2位のプラズマテレビメーカーSamsungは、IFAで新しい液晶テレビを幾つか披露したが、新しいプラズマテレビは紹介しなかった。LG Electronicsのデジタルディスプレイ事業責任者サイモン・カン氏はIFAでReutersに対し、一部投資家は赤字が出ているプラズマ事業を売却あるいは終了するよう促しているが、同社はこの事業を長期的に続けると語った。同氏は、供給不足で価格下落は緩やかになっているとしつつも、上半期の価格急落を受けて、今年は価格が30～35％下落すると予測している。来年は下落幅が縮小するはずだと同氏は語った。同氏はLGのプラズマ事業に関して、業界再編が進んでいるが、現時点では合弁やその他の形での協力を考えておらず、まずは自社事業を強化する方を選ぶと述べた。「われわれは楽観的だ。プラズマにはファンがついている」（同氏）IFAは9月5日まで開催される。

△東芝<6502>、フラッシュメモリー新工場の増産さらに前倒しの可能性
東芝は４日、三重県四日市市に建設中だったＮＡＮＤ型フラッシュメモリーの第４工場が完成し、１２月に量産を開始すると発表した。２００８年後半には当初計画を上回る規模で生産能力を引き上げる予定だが、急拡大する需要に追いつかず、増産ペースをさらに早める可能性もある。第４工場は月２５００枚規模で生産を開始し、０８年後半には月産８万枚に引き上げる。従来は０８年１０―１２月期までに月産６万７５００枚に増強する予定だったが、デジタル音楽プレーヤーや携帯電話向けなど、フラッシュメモリーの世界的な需要増に対応するため計画を前倒す。しかしフラッシュメモリーの需要は東芝の能力増強を上回るペースで拡大することが予想され、現在でも同社は顧客の注文に対して７５％ほどしか供給できていない。会見した斉藤昇三・上席常務によると、第４工場稼働後も「若干良くなる」程度で、マッコーリー証券の島田善弘アナリストは東芝の増強ペースについて「合理的な推測に基づいて考えても控えめ過ぎる」と指摘する。斉藤上席常務も会見後にロイターなどに対し、計画数値は保守的との認識を示しており、増産をさらに早める可能性を示唆した。東芝のフラッシュメモリーの世界シェアは現在３５％で、第４工場が月産８万枚に達する０８年後半には４０％になる見込み。最大手の韓国サムスン電子 <005930.KS>とほぼ並び、「来年には世界トップシェアが視野に入る」（東芝の西田厚聡社長）が、増強計画のペース次第では一気に首位に立つ可能性もある。

□日産自<7201>、約4年空席のＣＦＯ職に仏ルノー出身者を指名
日産自動車は４日、約４年にわたり空席だったＣＦＯ（最高財務責任者）職に、仏ルノー出身のアラン・ダサス氏を内定したと発表した。ＣＦＯを据えることで、市場に対する財務説明力を強化するねらいがあるとみられる。ダサス氏は、ルノーに２４年間在籍し、ルノーグループの財務やＭ＆Ａ、ＩＲ担当などを歴任し、財務担当の上席副社長を務めた。ルノー入社以前には、チェース・マンハッタン銀行（現在のＪＰモルガン・チェース銀行）に１０年間在籍し、パリとニューヨークで勤務した経歴をもつ。ルノーと日産自との提携ではルノーの財務担当者として関与し、一時、日産ディーゼル工業（埼玉県上尾市）の非常勤取締役も務めた。日産自のＣＦＯ職は、１９９９年に着任したルノー出身のティエリー・ムロンゲ氏が、２００３年にルノーに帰任して以降、空席となっていた。ダサス氏は、今月１７日に着任する。日産自の株価は、０６年度の通期利益目標が達成できなかったことなどから下落。年初からの下落率は２３％で、トヨタ自動車<7203.T> の１６％、ホンダ<7267.T>の１９％に比べて大きく落ち込んでいる。ゴーン社長は、同社の株価低迷について、適正な評価ではないとの認識を繰り返し示している。再びＣＦＯを据えることで市場への説明力を高め、株価の適正化につなげたい考えとみられる。

△ファーストリテ<9983>、3000―4000億円のＭ＆Ａ投資計画に変更なし
ファーストリテイリングは４日、事業戦略説明会で、今後、Ｍ＆Ａに３０００―４０００億円を投資するとの従来の戦略に変更がないことを示した。Ｍ＆Ａの対象としては、グローバルに展開できる欧米ブランド、ユニクロやグローバルブランド事業のプラットフォームになり得る企業、高収益・高成長できる市場への参入を挙げている。柳井正会長兼社長は「（Ｍ＆Ａは）国内外であり得る」と述べたが、具体的なことには言及しなかった。同社は、米アパレル大手のジョーンズ・アパレル・グループ傘下の米高級衣料品店バーニーズ・ニューヨークの買収を断念し、売上高１兆円達成に向けたＭ＆Ａ戦略が注目されていた。
バーニーズの買収断念に関しては「失ったものはない。米国市場やラグジュアリー市場での認知度が高まった。今後のＭ＆Ａにとってプラスになった」（柳井社長）と語った。
今後の出店計画としては、国内ユニクロの大型店を年間４０店舗計画しており、柳井社長は「４―５年で２００店舗にしたい」と述べた。また、２０１０年までに東京都心に旗艦店を出店したいとしている。大型店は、０７年８月期は２１店舗出店し、８月末では計２８店舗となっている。海外ユニクロ事業は、２０１０年に売上高１０００億円、経常利益１００億円を目指している。ロンドンに１１月７日に旗艦店をオープンするほか、パリにも１２月上旬に１号店をオープンする。ロンドンは出店を再加速させるほか、パリは１号店をアンテナショップとし、０６年のニューヨーク、０７年のロンドンに続き、グローバル旗艦店をオープンすることも決めた。
アジアでは、今後１年間で北京に大型店を３店オープンするほか、ソウルでも大型店をオープンする方針。従来掲げている２０１０年に売上高１兆円（０７年８月期は５３５１億円の見込み）、経常利益１５００億円（同７０７億円）の目標も変更していない。
キャビン（婦人服）、ワンゾーン（靴の小売）、ジーユー（カジュアル衣料品）、ビューカンパニー（婦人靴）といった国内関連事業については「再建しなければならない。チャレンジな１年になる」（柳井社長）という。ユニクロの事業インフラや事業ノウハウを共有することで、再建を進める。柳井社長は「改革の答えは１年で出す」とし、事業継続を断念し、売却する可能性もあるとした。市場では、これまでに買収した企業の効果を出してから、次の買収に進むべきではないかとの指摘があることに対しては「国内企業は、ほとんど再生企業。１年、２年で簡単に再生できるとは思っていない」としたうえで「経営には終わりがない。１年、２年で終わって、そこで待つのではなく、今と長期のバランスを取りながらやるもの」と語った。

△夏物商品後半に盛り返す、8月の酷暑でエアコンなど回復
記録的な８月の高温を受けて、夏物商品がシーズン後半に盛り返した。関連業界の動向をヒアリングすると、エアコンや飲料などが猛暑を背景に８月に入ってから売り上げを伸ばしたという。ただ、厳しい残暑が続くと、アパレルなど秋物商品の出足を鈍らせる要因になるようだ。７月は低温と台風が消費を直撃：今年の夏は当初、ラニーニャ現象から猛暑が想定されていたものの、梅雨明けが遅れ、株式市場で注目されていた猛暑関連株物色は空振りに終わるとみられていた。７月は、梅雨明けの遅れや低温のほか、商機となる３連休に台風が日本列島を直撃したことも消費に影響を与えたという。ところが、８月に入ってから様相が一変。８月１６日には埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で国内最高気温の記録を更新する４０．９度が観測され、その後も全国的に記録的な猛暑となった。３日に気象庁が発表した夏（６─８月）の天候によると「７月は北・東・西日本で低温となったものの、６月は北日本、８月は東・西日本で顕著な高温となったため、夏の平均気温では全国で高温となった」という。夏の平均気温は高く、全国的に平年を０．５度前後上回ったところが多かった。夏の定番商品、７月２０日から急上昇：こうした気候変動は、夏物商品の動向に大きな影響を与えている。
ビックカメラ<3048>では、７月の月次売上高が音響映像製品や情報通信機器商品などの好調で全体で前年比６．６％の売上増を記録したが、家庭電化製品に限ってみると、エアコンの苦戦により同２．３％のマイナスとなった。８月については月次売上速報を１０日前後に公表する予定だが、同社の広報担当者は「工事までの日数を要するため、すぐに据え付けることはできないという点はあるが、猛暑を背景にエアコンが回復を示した」としている。
また、コジマ<7513>の広報担当者も「エアコンは７月の遅れを８月の猛暑で取り戻した格好」と述べたほか、
業界最大手のヤマダ電機<9831>でも「気温が上がり始めた７月２０日前後から、エアコン、扇風機、それに冷蔵庫などが売れ始め、８月にこれら夏の定番商品は好調に推移した」（広報担当者）という。家電量販店各社の株価は、急落相場後の回復が鈍い状況にあるが、こうした実態が先行きの株価にどう影響するか注目できそうだ。
暑過ぎて需要が飲料にシフトしたアイスクリーム：夏後半から盛り返したのはエアコンなど家電商品だけではない。飲料の売上高にも顕著に現れた。
自動販売機主体で展開するダイドードリンコ<2590>では、飲料全体の売上高が７月期（６月２１日─７月２０日）は前年同期比１．４％減となったものの、８月期（７月２１日─８月２０日）は同６．０％増を記録。ミネラルウォーターや果汁飲料、茶系飲料などが伸びを示した。
ビール会社の間からも「昨年も後半が暑い今年同じような気候だったが、８月のビール類は前年を上回って推移した。猛暑の効果もあったと思う」（アサヒビール<2502>広報担当者）との指摘が出ている。
ただ、一方では「アイスクリームについては若干良い程度。暑過ぎると乳脂肪を多く含む製品から、飲料の方に流れてしまう」（江崎グリコ<2206>の広報担当者）といった声もあった。
残暑厳しいと秋物に影響出るアパレル業界：アパレル業界も、７月はセールを６月に前倒しで実施した影響や低温で苦戦したが、８月には回復を示している。
３日に８月の月次売上高動向を公表したポイント<2685>は、７月は既存店売上高が前年比１９．５％減に見舞われたが、８月には夏物最終販売や晩夏物を中心に昨年同様の販売ができたことから、同０．６％減まで回復した。
同じく３日に８月の動向を公表したハニーズ<2792> も、８月は記録的な猛暑となりセール品などの需要買いがあったという。しかし、同社の８月の既存店売上高は前年比９．７％減と不振だった。晩夏・初秋商品の動きは鈍かったのが背景だが、これについて同社の広報担当者は「商品戦略を昨年は失敗したため、夏物と秋物を意識的に抑えたのが最大の理由だが、夏の暑さが続くと次の商品の売れ行きに心理的な影響を与える」としている。厳しい残暑が続くことは、アパレル各社にとってマイナスに作用する面もありそうだ。
夏物商品は全体的に、前半の遅れを後半の猛暑でカバーし、企業によっては夏全体で前年を上回ったというところもあるが「７月から猛暑になれば、もっと良かった」（ビックカメラ広報担当者）というのが本音となっている。

△ソニー<6758>の金融子会社の想定公開価格は41万5000円
東証に10月11日に上場することが決まったソニーの金融子会社、ソニーフィナンシャルホールディングス（ＳＦＨ）は４日、想定公開価格が４１万５０００円であることを明らかにした。ソニーはＳＦＨの上場に伴い、ＳＦＨ株を最大７９万５０００株売り出すため、ソニーは合計３２９９億円を調達することになる。

△ソニー<6758>の金融子会社ＳＦＨの新規上場を承認＝東証
東京証券取引所は４日、ソニーの金融子会社であるソニーフィナンシャルホールディングス（ＳＦＨ）<8729>の新規上場を承認したと発表した。上場予定日は１０月１１日。仮条件の決定日は９月１８日、公開価格の決定日は１０月１日、所属市場は未定で公開価格が決定した後に決める。上場に際し、７万５０００株の公募と７２万５０００株の売り出しを実施する。売出株の放出先はすべてソニー。うち国内売出を３９万９０００株、海外売出３２万６０００株をメドとしている。このほか、７万株のオーバーアロットメントによる売出しを予定し、売出株数は最大で７９万５０００株を予定している。
（ロイター）