自民圧勝、市場の評価と相場展望は　プロに聞く
日本経済新聞　2012/12/17 11:53
http://www.nikkei.com/markets/kabu/market-focus.aspx?g=DGXNMSGD1600D_17122012000000
 
　第46回衆院選が16日投開票され、自民党が公明党と合わせ総定数の３分の２を超えて圧勝し、約３年３カ月ぶりの政権奪還を果たした。株式市場はこの結果をどう評価し、受け止めたか。

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[7回]

大和総研の熊谷亮丸氏、三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里氏、みずほ証券の上野泰也氏、カブドットコム証券の河合達憲氏、ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真氏に聞いた。

●年度内１万700円へ、５つの『アンチビジネス策』脱却を
　大和総研チーフエコノミスト　熊谷亮丸氏
　衆院選で自民党が圧勝したことで、実行力を伴った安定的な政権の発足につながりそうだ。日銀法改正も視野に入れて日銀に追加金融緩和を迫る一方で、経済政策でも親ビジネス的な政策への転換が期待できる。金融市場では選挙前に期待が先行していたこともありやや調整をはさむ場面があるとしても、日経平均は年度内、１万700円をめどにじり高基調をたどるとみている。（年内ではなく年度内 by CyberBizKiz）

■成長戦略描き、費用対効果で配分を
　ただ、金融緩和頼みでは限界がある。日本経済がデフレを脱却するには環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）への交渉参加や、医薬・農業分野にも切り込んだ規制緩和など、供給サイドから成長戦略を政府がきちんと描いていく必要がある。成長戦略を欠いたまま財政規律が緩み、大量の国債購入だけが先行すれば、マネタイゼーション（中央銀行による財政赤字の穴埋め）の連想を呼び、国債市場の混乱につながりかねない。自民党が掲げる国土強じん化計画でも、「国民の生命・財産を守る」という目的と経済効率性の議論が整理しきれていない。３年間で15兆円を投じるとしているが、費用対効果を考えて配分を決めていかなければ経済効率性は悪化しかねない。

■政策に「勝ちすぎ」リスク
　石破茂幹事長などは財政規律の重要性や、デフレ脱却に向けて金融政策と経済政策をパッケージとして示すことの必要性に言及しているため、現時点では杞憂（きゆう）にすぎないかもしれない。ただ、今回の選挙では自民党が勝ちすぎたために、ばらまき型の政策に歯止めがきかなくなるリスクはある。補正予算や来年度予算の編成などで財政規律や成長戦略への姿勢がどう示されるかには注目したい。消費税増税や社会保障改革などの財政再建の議論を先送りにせずに取り組めるかも重要だ。選挙結果は自民党への積極的な評価・期待というよりは、民主党の統治能力不足に対する失望によるものといえる。なかでも、民主党政権時代に日本企業にとって大きな障壁となったのは、円高、自由貿易への対応の遅れ、環境規制・労働規制、高い法人税の５点。来年７月の参院選までは自民党も議論のハードルの高い政策については先送りにする可能性があるが、市場の期待をつなぐには、早期にこうしたアンチビジネス策から脱却して目に見える政策を打ち出す必要があるだろう。

●株、年末までもみ合う　企業重視の政策、中長期でプラス
　三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券チーフストラテジスト　芳賀沼千里氏
　選挙結果は自民党の明らかな圧勝だった。ただ、投票率が59％と前回よりも10ポイント下がったことを考えると自民党への政策に対する完全な支持の表れとはいえない。安心感のある政党への回帰という印象で、日本経済の行方はこれからの実際の政策動向をみていく必要がある。

■10～12月期決算発表で上値追う場面も
　日経平均株価は短期的には年末まで円安・ドル高を受けて上がったあと、もみ合いが続くだろう。選挙前から自民党が勝つというのは市場で予想されていたため、材料出尽くしで9600円～１万円ちょっとで調整が続くとみている。ただ、顧客と話していると企業年金を元手にする海外の長期投資家の買いはまだ鈍い印象だ。
年明けから本格的な上値を追うには、長期投資家の動きがカギとなる。ただ、長期投資家が評価するのは国ではなくて企業だ。政治情勢が変わったとはいえ、やはり重要なのは企業業績を左右する実体経済だということを忘れてはいけない。
実際のところ、貿易赤字の定着などを受けて為替相場は10月中旬から円安傾向に振れている。年明けから中国の景気回復と米国の「財政の崖」問題の解決が確認されれば、円安が進み株価が上値を追う要因となる。１～２月に出る2012年10～12月期の上場企業決算を材料に、機械や自動車などの外需株、これまで業績が急速に悪化していたエレクトロニクス関連の買い戻しが入る。３月末までは9500円～１万1000円台を見込む。

■財政・デフレ解消へ政策見極め
　中長期的には、今回の選挙は日本の株式市場にとってはプラスに働いてくる。自民党の安倍晋三総裁は選挙前から円高是正と日銀の追加緩和を強く主張してきた。デフレをなんとかすべきだという認識を改めて示した功績はある。加えて、原発ゼロを唱える政党があまり議席数を伸ばさなかったことで、エネルギー政策で現実的な対応をとっていく路線が明確になった。自民党の政権公約にある法人税引き下げも評価すべきだ。民主党政権下では、どちらかというと消費者重視で企業が冷遇されがちだった。国内で企業に配慮した経済政策が打ち出されたという方向性は悪くない。今後は財政問題や構造的なデフレをどう解決していくのかしっかりと見極めていきたい。

●１万円通過点だが、日銀総裁空白リスクなら調整も
　みずほ証券チーフマーケットアナリスト　上野泰也氏
　自民党・公明党で議席数の３分の２を超える大勝となったことは事前の報道機関の情勢分析などから想定内だったが、17日早朝の円安・ドル高の加速をみるに外国人投資家にとってはややサプライズだったようだ。
日経平均株価１万円や１ドル＝85円はもはや通過点にすぎない。自民党の安倍晋三総裁が主張する金融緩和による「脱デフレ」論がうねりのように相場に弾みをもたらす。タカ派の外交政策が地政学リスクを高めて株価の波乱要因になる可能性はあるが、消費税引き上げを決める2013年秋まで景気を下支えするため新政権は大型補正予算など切れ目のない経済対策を打ち出していく公算。13年を見通すと少なくとも１ドル＝90円を下回る円安が進み、株価も上値を試していくだろう。

■ねじれ解消・構造改革が最良シナリオ
　注目点は日銀の総裁・副総裁人事だ。13年３月に副総裁、４月に総裁の任期が終わるため３月までには人事案を提示する必要があるが、国会同意人事は衆院の参院に対する優越がない。仮に自公連立政権が参院で第三極と妥結できずに「総裁・副総裁空席」のリスクも生じてくれば、外国人投資家の失望売りを招いて日経平均株価はいったん調整局面となろう。今後の資本市場全体にとっての最良のシナリオは、来年夏の参院選で衆参ねじれが解消したうえで構造改革による経済成長力の底上げにスポットがあたることだ。政治的なプレッシャーが高まるなか日銀はさらなる金融緩和方向に振れざるを得ないだろうが、金融緩和頼みの脱デフレはあり得ないためだ。

■リーダーシップとれないなら財政リスク
　一方、最悪のシナリオは衆参のねじれが解消できず経済運営のリーダーシップをとれないまま、日銀頼みの傾向がさらに強まることだ。超緩和的な金融政策のひずみが表面化し、株売り、国債売り（長期金利は上昇）、通貨売りの「トリプル安」の危険性もはらむ。その点で株式投資上も注目なのが、財政リスクを金利水準に織り込む30年国債の利回り。前週まで1.9％台半ばで推移しているが、２％を超えてくるようだと市場が財政リスクの高まりに警鐘を鳴らしているとみることができ、株価押し下げ圧力となろう。

●年内に１万円乗せも　インフレ目標実現なら支援材料
　カブドットコム証券チーフストラテジスト　河合達憲氏
　事前の各種調査よりも自民党が勢力を伸ばしたという印象だ。強力な金融緩和を掲げる安倍晋三政権の誕生を織り込んで円安・株高が進んでおり、選挙後もこの流れが続きそうだ。

■年度末に2011年高値うかがう
　年内に日経平均株価が大台の１万円を回復する可能性もありそうだ。年度末には2011年の高値である１万857円をうかがう展開になるだろう。安倍総裁の主張する消費者物価指数（ＣＰＩ）の前年比上昇率で２％程度のインフレ目標の導入が実現すれば、株価にはポジティブだ。目標達成のためにどういった政策を打たなければならないかが明確になり、デフレ脱却へ道筋が見えてくるだろう。選挙前には米連邦準備理事会（ＦＲＢ）が失業率の数値目標を打ち出し、日本も数値目標を打ち出しやすくなっている。

■株式に資金流れる税制を
　もっとも、自民党の国土強靱（きょうじん）化投資などは財政拡大的な面も強く、日本財政悪化懸念も醸成されやすい。今後は政策の財政バランスなども市場の関心を集めそうだ。新政権には、金融税制などの緩和で株式市場に資金が入りやすい環境を整えてほしい。

●スピード調整に　３月以降業績次第で見直し買い
　ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役　菊池真氏
　日経平均株価は向こう３カ月、8700～9900円のレンジ内で推移するとみる。選挙の結果を受け、材料出尽くしとみたスピード調整が入る。

■過度の期待剥落
　新政権の誕生後、自民党の安倍晋三総裁の発言はこれまでに比べ慎重なものになり、市場で過度に高まった政策への期待はいったん剥落するとみる。日銀の追加金融緩和についても白川総裁が就任しているあいだは、今以上に積極的な緩和は期待できず、総裁人事が交代するまで株価の上値は抑えられそうだ。年初からは2012年10～12月期の業績が発表される。業績悪化が予想され、東証１部全体でＰＥＲ（株価収益率）が15～16倍とバリュエーション面での割高感を嫌気される展開が予想される。

■日銀総裁人事が引き金
　もっとも、３月からは総裁人事が取り沙汰されるようになり、金融緩和強化への期待が高まる。これまでの理想買い相場とは違い、円安誘導の現実買い相場に転じるだろう。2013年度の業績予想について２割程度の増益と伝われば、調整に転じてきた日本株に見直し買いが入る。６～７月にかけて１万500円を超える展開になりそうだ。衆参両院の同意を得て内閣が任命する日銀総裁人事は、政策の面で野党と連携し乗り切るのではないか。今回の衆院選で金融緩和に賛成している政党は多かった。次期総裁は積極派が就任する公算が大きい。
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上記記事は、何度も読んでおくように。
そしてアタマに入れた上で、相場の流れを読みましょう。

サスガに日経有料版だけの事はあるでしょ。
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コレッ！勝手に有料版を載せたので、怖くて宣伝しています。（笑
滅多に載せないから日経さん、許してね♪