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2012 10,14 11:00 |
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「いい物を作れば生き残る」のウソ ある優良繊維メーカーの破綻 先日、東京都八王子市の織物メーカー、みやしんが廃業を決めたというニュースが流れ、多くの業界関係者を落胆させた。9月18日付の繊研新聞によると、10月末をめどに土地は売却、織機も有償で譲るなど処分を進めているとのことだ。改めて日本の繊維製造業が置かれている状況の難しさが浮き彫りになった。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
■「繊維製造業の目標」だった企業の廃業 みやしん、と聞いても一般の人はあまりなじみがないのではないだろうか。前述の繊研新聞の記事から抜粋して紹介したい。現在の社員数は9人、売上高は「90年代後半の1億5000万円のピーク時から減少を続け、昨年は赤字に陥っていた」とある。 通常、この規模の生地メーカーの廃業はあまり大きなニュースにはならない。にもかかわらず、業界内でこの話題が注目を集めているのは、みやしんがこれまで高品質な物作りを行い、錚々たるデザイナーブランドへ生地を供給していたからだろう。 繊研新聞の記事では「80年代のDCブーム全盛を支えた企業の一つであり、新しい物作りとその発信力から、中小企業の多いテキスタイル産地で一つの目標とされてきた」とある。さらに、テキスタイル・ネットワーク展(TN展)を呼びかけて軌道に乗せたともある。 今回の報道に際して、同じ八王子の染色工場、奥田染工場の奥田博伸社長がブログで心のこもった文章を書いている。詳しくは全文を読んでいただきたいのだが、その中で「みやしんの廃業について僕が思うことが何かと言えばメイドインジャパンだ、いい物作りをしろと言うが、いいものをつくれば儲かるというのは、少なからず嘘だということについてだ」とある。これは今回の廃業、ひいては日本の繊維製造業の衰退とも直結する事実である。筆者のような部外者ではなく、日々物作りに取り組まれている奥田社長の言葉だけにリアリティに溢れている。 以下に少し引用する。
みやしんは八王子でもずば抜けていい仕事をしてきたし、時代の空気に取り残されない姿勢で物作りを行っていた。 (中略)
いい仕事をしようとしたところはみんな潰れた。いま生き残っているのは、たいがい当時、安く多くの仕事をしていたところだ。実際あの地域にそれが多く残っているのはそういうことだと。 バブルが崩壊してから、衣料品は以前ほど売れなくなった。そしてユニクロの大ブレイクもあって、衣料品の平均販売価格は大きく下がった。衣料品の販売価格が下がれば、必然的に使用されている生地や付属品(ボタンやファスナーなど)なども低価格品に置き換えられるし、縫製工賃も下げられてしまう。繊研新聞の記事によると、廃業のきっかけとなったのは「“1メートルあたり2000円もする生地は使えませんから”という、長い付き合いのアパレルメーカーの若い担当者からの連絡だった」とある。これで心の糸が切れたのだろうか。 ■徹底したブランディングか、量産品も手がけるか 通常のジャケットやパンツで、1着当たりの要尺が2~2.5メートルだと言われている。2.5メートルが必要なアイテムだと仮定すると1着当たりの生地料金は5000円ということになる。そこに芯地代や付属品代が乗っかり、パターン(型紙)代、縫製代、仕上げ代が乗っかると、製造費だけで最低でも8000円前後になるだろう。これを店頭で販売すると価格は少なくとも3万円台後半にはなってしまう。ジャケットやコート、防寒具などの重衣料ならこの価格でも売れるだろうが、中軽衣料でこの価格だとなかなか売れにくい。先ほどのアパレルメーカーの主張もわからないではない。 国内産地の生地を見せてもらうことが年に何度かあるが、1メートルあたり2000円という生地をけっこう見かける。もちろんもっと安い生地もあるが、それでも500円以上はするだろう。2000円以上する生地もいくつもある。アジア産の生地が1メートルあたり100円や200円で転がっているのと比べると「高い」という評価を受ける。 悔しいことだが「いい物」だけを追求していると国内製造業は存続できないようだ。いくつかの方策があると思うので自分なりに考えてみる。
(1)「いい物」を作るのと同じくらいの労力を販促に投入すること(高く売れるように 優れた方ならもっと数多くのことを考えられるかと思う。しかし、生き残っている国内の繊維製造業は、たいがいこの3つのうちのどれかを行っているように見える。 (1)を実践しているのは山形県の佐藤繊維だろう。(2)カーシートやシートベルト、液晶研磨布などの工業資材も同時に製造している生地工場である。最高級の生地は開発しつつ、ナショナルブランドにも量産品を卸しているデニム生地工場は(3)に当てはまるだろうか。 日本にも高額ラグジュアリー市場は確実に存在する。しかし、その市場を占めているのは、かつての勢いがなくなったとはいえ、ほとんどが欧米ブランドである。日本のラグジュアリーブランドは一部を除いてあまりない。 自国内に高額なラグジュアリーブランドがあまり存在せず、もしくは存在していても売り上げ規模が極めて小さいため、「いい物は儲からない」という構図が出来上がってしまう。儲けようと考えるなら安い量産品を相手にする必要がある。 数年前から「やっぱりメイドインジャパン商品」という声が増え始めている。しかし、時すでに遅しで、こと衣料品・繊維製品に関して言うと、あと何年持ちこたえられるかという状況にある。今回のみやしんの廃業は、その事実を改めて認識させてくれた。
◎執筆者/南 充浩(フリーライター、広報アドバイザー)
※本記事執筆者の南 充浩氏によるコラム
まぁ~この記事を読んで、少しは 1番判りやすいのが「汗水たらして働く」・・・という言葉。
上記記事で言えば「高級生地織機」は「汗水たらして働きません。」 ・・・でも、生産しています。金稼いでいます。
これで何が判るのか?
夏のアイスクリームは売れますが、
どれだけ良い仕事をしたアイスクリームでも、
要は消費が無いから、消費が無い所で売ろうとするから
もしどうしても『日本』で売りたけりゃぁ~少ないパイを奪い合うか、
購買力を造り出すというのは、
それが出来ないのであれば、
解りましたか?! 『日本』で売りたけりゃぁ~政府を脅(おど)すしか方法は無いのです。 PR |
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