本日は『清明（せいめい）』です。
清明（せいめい）は二十四節気のひとつ。毎年4月5日前後ごろ。
三月節。太陽視黄経 15度

また、この日から穀雨までの期間も『清明』と言います。
すべてがすがすがしく清らかで明るく美しくなります。

「清明」とは「清浄明潔」の略で、
『暦便覧』（天明7年〈1787年〉に出版、寛政10年〈1798年〉に
再版された暦の解説書：太玄斎著）には、

「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也」
───とあります。

晴れ渡った空には当に「清浄明潔」という語ふさわしい。
地上に目を移せば、百花が咲き競う季節であり、お花見の最盛期となります。

「花信風」と呼ばれるのは、初春の風のことで、
花の咲く時節の到来を告げる風であり、昨日の嵐が「花信風」と思えば
これまた趣（おもむき）のある風景に様変わりします。

「花信風」と言えば「二十四番花信風」というのがあり、
昔の人は、これらの花の咲くのを見て季節を感じ取ったのでしょう。
古くは万葉の歌人が、そして、多くの俳人達も句を詠んでいます。
下記リンクでは、花信風の花を季語に使った俳句を載せてあります。
「二十四番花信風」

中国の清明節は祖先の墓に参り、草取りをして墓を掃除する日でもあり、
「掃墓節」とも呼ばれます。
春の陽気の中で散策するにもよく「踏青節」とも呼ばれていました。
沖縄県では「シーミー」と発音し、中国の風習と同じく墓参りに行き、
墓前で親戚縁者が食事を楽しみ「清明祭」と言います。

清 明　-　杜 牧（と ぼく：803－853）

清明時節雨粉粉 　清明の時節　雨粉粉たり
路上行人欲斷魂 　路上の行人［こうじん］　魂を断たんと欲す
借問酒家何處有 　借問［しゃくもん］す　酒家［しゅか］何れの処にか有る
牧童遙指杏花村 　牧童　遙［はる］かに指さす　杏花［きょうか］の村

　清明節のよき時節だというのに冷たい雨がしとしと降っている。
路を行く旅人（杜牧）はすっかり落ち込んでしまい、
その愁いを酒でまぎらわせようと、通り合わせた牛飼いの少年に
「この辺に酒屋はあるかね？」とたずねると、
牧童は黙って、はるか彼方の杏花村を指さしてくれた。

　清明節には家族そろってピクニックに行ったり、
お墓参りに行く習慣があるので、孤独な一人旅をしていた杜牧は
1人取り残された気分になり、おまけに雨も降ってきて、
一杯飲んで気を紛らわそうとした。

※粉紛→雪や雨など細かいものが盛んに降るさま
　 行人→路を行く人、ここでは作者
　 欲斷魂→心が滅入る
　 借問→ちょっと尋ねる
　 酒家→酒屋
　 牧童→牛飼いの少年
　 杏花村→あんずの花の咲く村

「清明」の期間の七十二候は以下の通り。

◆初候◆
玄鳥至（げんちょう いたる） : 燕が南からやって来る（日本）
南の国からは燕（ツバメ）の渡りの便りが聞かれる頃
桐始華（きり はじめて はなさく） : 桐の花が咲き始める（中国）
◆次候◆
鴻雁北（こうがん きたす） : 雁が北へ渡って行く（日本）
田鼠化為鴽（でんそ けして うずらと なる） : 熊鼠が鶉になる（中国）
◆末候◆
虹始見（にじ はじめて あらわる） : 雨の後に虹が出始める（日本・中国）

　新年度や新生活のスタートとともに、なんだかドタバタと
忙しさのあまり、季節の変化を感じ取る心を忘れてはいませんか？！
「忙」と「忘」･･･
「忙」の部首は「りっしんべん」で「りっしんべん」は「心」をあらわします。
そして「忘」も「心」。両方ともに「心」が「亡」くなる･･･と、書きます。
「心」が亡くならないよう、本来の「心」･･･『真心』を取り戻し、
『真心』で満たしましょうね！
こんなところから感性は磨かれていき、幸せ呼ぶのですよ♪　感謝の心です。

Nippon Archives 二十四節気 京都 〜清明〜　by 京福電鉄

[1回]