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2011 10,13 17:00 |
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米国好みの中国の為替操作 このところ、人民元以外の主要通貨がドルに対して下落するなかで、中国人民銀行(中銀)は対ドルでの人民元相場の押し上げを目指す介入を行ってきた。これは米財務省にとって歓迎すべき”為替操作”であり、ひそかに注目もしている。しかし、だからといって、中国を称賛するわけにはいかない。人民元問題で米政府にとって唯一安全な政治的立場は、中国の政策が十分ではないと主張することだからだ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
ユーロ圏が混乱の様相を呈しており、ドルを逃避先と見る動きが再び強まっている。8月31日以来、ドルはユーロに対し7%上昇し、韓国ウォンに対しては約9%、マレーシアリンギットに対しては5%それぞれ値を上げた。しかし、ドルは人民元に対しては引き続き0.5%という緩やかなペースで下落している。 中国政府が人民元の”弾力化”を打ち出して以来、市場の状況にかかわらず、人民元は対ドルで毎月、ほぼ正確に0.5%のペースで上昇してきた。それは、中国政府が為替政策を詳細に設定しており、インフレ対処策として人民元の年間上昇率が6%前後となることが中国にとって好ましいと考えていることを意味する。また、そのペースで元高が進めば、最終的には人民元の変動制移行が可能になり、(ドル買い介入による)外貨準備の無用の積み上げを止めることができる、との中国当局のコンセンサスを示唆する。 中国では2012年に指導部の交代があり、中国の政治家がそれ以前に現行の為替政策を著しく変更する可能性はほとんどない。米財務省もそうした政治的現実を認識しているが、政治的に非難されることを恐れ、公言はできない。 しかし、中国の不変で遅々とした為替政策が米国の利点として働くことが時々ある。10月3日からの中国の1週間に及ぶ祝日に入る前の数日間、中国人民銀はドルに対する人民元レートの基準値となる「中間値」を一段と高く設定したが、市場での人民元相場は基準値に対する許容変動幅の下限に下落した。人民元の対ドル変動幅は基準値に対して1日で上下0.5%と規定されている。人民元が下限まで下落しても、人民銀は翌日に基準値をさらに高い水準に設定した。 UBSの香港在勤のエコノミスト、ワン・タオ氏は、トレーダーの一部はドル買いでドルに上昇圧力をかけることによって、ドルのショートポジションをカバーしようとしている可能性があると指摘した。同氏はさらに、為替の最後の買い手である人民銀は「本土でのレートを決定するためにどれくらいの規模のドル買いが必要かを判断できる」と言及。言い換えれば、人民銀は(従来通りの)ドル安・元高を維持できる程度のドル買いを入れたことになる。 スタンダード・チャータード銀の香港在勤エコノミスト、スティーブン・グリーン氏は、人民銀は「市場に人民銀の意図を確信させ、(世界経済の混乱期に自国の輸出産業を保護する手段として、中国政府が方針を変更し人民元の切り下げを実施するという)『チャイナリスク』について、市場に一定の安心感を与えたがっている」とみている。同氏はその上で、対ドルでの人民元の上昇ペースを来年も維持することは、「ますます難しくなろう」と指摘した。インフレ懸念が後退し経済成長を巡る懸念が高まるなか、中国政府はある程度、景気の押し上げを試みるとの見方が大勢だ。
米上院では、対中為替制裁法案の支持者が、中国に元高容認を続けさせるには米議会が圧力を加えるしかない、と主張するかもしれない。ワシントンのブルッキングス研究所の中国専門家、エスワール・プラサド氏は、中国が米議会の中国批判を抑えるために(元高容認の加速などの)思い切った動きに出ることもあり得ないことではないとしながらも、その可能性は低いとし、「市場では小幅な動きに神経質に反応する状況が続くだろうが、データを見る限り、(欧州での混乱にもかかわらず)人民元の安定を目指す中国の政策が変わる兆しはない」と述べた。
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さて、これから下記記事の翻訳をお届けしたいと思います。
China's debt spree returns to haunt Bail-outs are coming thick and fast in China. In less than a week the authorities have had to step in to prop up the banks, rescue the insolvent railway system and save the near bankrupt city of Wenzhou from a spectacular debt crash. (中国において夥(おびただ)しい数の救済が早々にやってくる。 銀行を支援し、破綻している鉄道システムを救い、破綻しかけている温州の町を壮大な債務のクラッシュから守る為に、一週間も待つ事無く当局は介入せざるを得なくなる。) It is proving harder than expected for the central bank to manage a calibrated "soft-landing" after letting rip with credit to counter the Great Recession. The loan spree raised credit from 100pc to almost 200pc of GDP (on IMF estimates), including off-books trusts, letters of credit and sub-radar loans from Hong Kong. (それは、大不況に対抗すべく遮二無二信用を供与した後で目測どおりに”ソフト・ランディング”させるのは、中央銀行にとって予想以上に困難である事を証明している。 簿外の信託金、信用状(L.C)及びレーダーに捕捉されない香港からの融資を含めると、ローンの宴は(IMFの推計によると)GDPの100%からほぼ200%へ与信総額を増やした。) The 30pc annual pace of loan growth is unprecedented in any major country in modern history. It is double the pace of America's housing boom and Japan's Nikkei bubble in the late 1980s. It may match US loan growth in the late 1920s. (年間30パーセントという融資額の成長ペースは、近代において如何なる主要国においても前例の無い事である。 それは、米国の住宅ブームや1980年代後期の日本の日経バブルの倍のペースである。 それは、1920年代における米国でのローンの伸びに匹敵するかもしれない。) The Communist Party is now struggling to cope with the fall-out. On Monday, the state investment fund Central Huijin began buying stakes in China's four top banks to restore confidence and halt the slide in share prices. (共産党は現在、倒壊に対処するのに苦慮している。 信頼を回復すると共に株価の下落に歯止めをかけるべく、国家投資ファンドである中央匯金は月曜日に中国の4大銀行の株を買い始めた。) The relief rally ignited bank shares on Tuesday. Agricultural Bank of China surged 13pc in Hong Kong. Shanghai's bourse jumped 4pc but is still down 60pc from its peak in late 2008. (火曜日には、救済を好感した株価上昇に火が点いた。 中国農業銀行は、香港で13%急上昇した。 上海証券取引所は4%上昇したが、依然として2008年後半のピークからは60%低い状態である。) China's finance ministry is quietly intervening to underwrite China's railway system. This behemoth is drowning with $300bn of debts after breakneck expansion, is in arrears on $25bn of debts to its two largest suppliers and has run out of money to pay workers on the Lanzhou-Chonqing rail project. (中国財務部は、中国鉄道システムに資金融資すべくコッソリと介入している。 この怪物は、猛烈な事業展開の後で$3000億の負債に溺死しかけており、二つの大手サプライヤーへの$250億の債務の返済が滞っており、蘭州-重慶鉄道プロジェクトに携わった労働者へ支払う金が払底しているのだ。) The ministry has offered a 50pc tax break on railway debt to be auctioned on Wednesday. This is a signal that Beijing will stand behind the system. It is intended to lure back investors following the high-speed rail crash in July. (財務部は、水曜日に競売にかけられる鉄道事業の債務に対して50%の減税を提供した。 これは、北京が鉄道システムの背後に控えるというシグナルである。 それは、7月の高速鉄道の事故の後で投資家達を呼び戻す事を意図するものだ。) Meanwhile, Bejing is negotiating a $15bn bail-out for the enterprise hub of Wenzhou south of Shanghai, where panic has set off a credit crunch for small business and builders. China's press has been riveted by tales of debtors hiding in the hills to evade creditors. (一方、上海の南にある温州でパニックが小規模事業者及び建設事業者達への信用収縮を引き起こし始めている企業集約拠点に対し、北京は$150億の救済交渉を進めている。 中国のマスコミは、債権者達から逃れる為に丘の中で隠れている債務者達の話に釘付けとなっている。) Roughly 60pc of the region's loans come from non-bank lending beyond control, some of it Ponzi finance. "It's a tight financial network that interweaves lenders and borrowers collectively, often to their mutual benefit and sometimes to their terrible loss," said Caixin Magazine. (この地域の融資の約60%は統制されていないノン・バンクからのものであり、その一部はネズミ講である。「それは、貸し手と借り手を一まとめにして複雑に絡み合った余裕の無い金融ネットワークであり、多くの場合は相互の利益となるが時として恐ろしい損失ともなる。」・・・と、Caixin マガジンが述べている。) "If only a few debt-ridden companies collapse, the financial trouble can ripple through the entire credit-connected community. The domino-effect started to endanger the entire system in July." (「負債に苦しむ少数の企業が倒産するだけでも、金融のトラブルは信用で結びついているコミュニティ全体に波及する。ドミノ効果は、7月からシステム全体を危険に晒し始めた。」) While Wenzhou is small enough to contain, it may be an early warning of toxic debts in countless other cities. Jim Chanos, a vocal China bear at Kynikos Associates, said the country is in the early stage of a "very serious pullback" driven by an incipient property bust. (温州自体は充分抑え込める程に小さいが、それは無数の他都市における不良債権の早期警告かもしれない。 中国市場の弱気論者であるカイニコス・アソシエイツ(Kynikos Associates)のジム・シャノスは、この国は初めての資産(バブルの)崩壊によって駆り立てられる「非常に深刻な撤退」の初期段階にいる、と述べている。) "The fact that people are even talking about the government stepping in to shore up the banks, when two months ago people thought there was nothing wrong with the Chinese banks, should tell you just how seriously this situation is deteriorating," he told Bloomberg. (「何も悪いところは無いと考られていた二ヶ月前でさえ銀行を支援すべく政府が踏み込む事について人々が語り合っていたという事実は、この状況が如何に深刻に悪化しているかという事を物語っているのです。」と、彼はブルームバーグへ語った。) In fairness, China's central bank has deliberately sought to prick the bubble with a variety of loans curbs. It is cracking down on the "shadow banking system", aiming to choke off $150bn in credit by March. Some slowdown is welcome. (公平に見るならば、中国の中央銀行は様々な融資抑制策によってバブルを退治する事を慎重に模索しているのだ。 それ(中央銀行)は、3月までに$1500億を絞る事を目指しながら、「影の銀行システム」を取り締まっているのだ。) What is not yet clear is whether credit excess has reached a point where even a light tap on the brakes is enough to set off uncontrollable events, and do so just as the global economy goes into a double-dip downturn. (未だ明らかとなっていないのは、ブレーキを軽く踏み込むだけでも制御不可能な事象を誘発し、世界経済を二番底の不況へ向かわせる事になるような水準にまで与信が過剰となっているのか否かである。) Bin Gao from Bank of America said the central bank's "misguided" policies are draining liquidity too fast and causing funding stress. The "TED spread" used to gauge strains is higher than in 2008. (中央銀行による見当違いな政策が余りにも早く流動性を失わせて資金調達のストレスを引き起こしていると、バンク・オブ・アメリカのビン・ガオは語った。 緊張の度合いを計る”TEDスプレッド”は2008年の時よりも高くなっている。) House prices began to fall across the country in September, according to China Index Academy. The drops have been steepest in cities such as Chongqing and Chengdu deep in the interior, belying claims that froth is confined to pockets of the eastern seaboard. Sales of flats in Shanghai slumped by three quarters during "Golden Week", the Autumn holiday watched as a market barometer. (中国統計局によると、9月には全国で住宅価格が下落し始めた。 下落は重慶や成都等の内陸部の都市において激しく、泡(バブル)は東部沿岸地域のポケットの中に限られているという主張が偽りである事を示している。 市場のバロメーターとして注目される秋の休日”黄金週間(中秋節)”の期間中、上海の高層アパートの売上は4分の3落ち込んだ。) IMF data show that the price to income ratio for housing is 20 in Beijing, and 14 in Shanghai and Huangzhou, triple the levels in US cities during the subprime bubble. (収入と住宅価格の比は北京で20、上海と杭州では14となり、サブプライム・バブルの最中の米国の都市の3倍のレベルであるとIMFのデータが示している。) The comparison may be misleading. China's middle class invest in bricks and mortar because it has few other places to store savings. Deposit rates in banks are -3pc in real terms. Foreign assets are off limits. Home purchases are often paid in cash. Even so, such extremes inevitably create a macro-policy nightmare. (この比較は誤解を招くかもしれない。 貯蓄を溜め込む他の場所が無い為に、中国の中流層はレンガとモルタルに投資するのだ。 銀行の預金金利は実質ベースで-3%である。 外国資産(の購入)は禁止されている。 住宅購入は、しばしば現金で支払われる。 もしそうであったとしても、過剰な投資は必然的にマクロ政策の悪夢を生み出すのだ。) Cheng Siwei, head of China's International Finance Forum, said loan curbs are causing "a lot of difficulties" for local authorities with $1.7 trillion in debts built up through finance vehicles. "The tightening policy is causing defaults. This is our version of subprime." (融資抑制は、金融子会社を通じて積み上げた$1兆7千億の債務を抱える地方政府当局にとっての「多くの困難」を引き起こしていると、中国国際金融フォーラムのチェン・シーウェイは語った。 「引き締め政策が倒産を引き起こしているのです。 これは、私達のバージョンのサブプライムなのです。」) China faces "very tough period" as the credit overhang and 6pc inflation limit the government's ability to offset slumping demand in the West, he said. (与信のオーバーハングと6%のインフレは低迷する西側諸国の需要を相殺させる政府の能力を制限しており、中国は”非常に厳しい時期”に直面していると、彼は語った。) The country's reflex at such times is to weaken the yuan, relying on exports to come to the rescue. That may not be possible this time. The US Senate was poised on Tuesday night to vote for a "currency manipulation" bill that opens the way for retaliatory tariffs against China. (このような時にこの国が採る反射的行動は、元を弱くする事で救済策としての輸出に依存する事である。 今回はこの方法が不可能かもしれない。 米国上院は、中国に対する報復関税の道を開く"為替操作"法案に投票すべく火曜日の夜に備えていた。) The law is unlikely to pass the House, but the political message is clear. China will no longer be allowed to get away with "economic murder", in the words of Senator Charles Schumer. (この法律は下院を通過しないであろうが、政治的なメッセージは明確である。 もはや中国は、チャールズ・シューマー上院議員が言うところの「経済的殺人(の罪)」から逃れる事が許されなくなっているのだ。) This may be a caricature description of Sino-US trade. And as China retorted, such a law would set off a "trade war" that hurts everybody. Yet the reality is that China's options are painfully limited. (これは、米中貿易の風刺かもしれない。 そして、中国が報道するように、そのような法律は全ての人々へ痛みを与える「貿易戦争」を開始する事になる。 依然、中国にとっての選択肢は苦しい程に限られるというのが現実ではあるが。)
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