2024 11,23 00:23 |
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2011 10,10 17:00 |
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欧州危機:揺れる世界経済 安定化基金拡充、 ◇あす採決 【ウィーン樋口直樹、ロンドン会川晴之】ユーロ圏諸国(17カ国)が7月の首脳会合で決めた欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡充策の議会承認が大詰めを迎えている。全加盟国の承認が必要で、残るはマルタとスロバキア。マルタは10日承認の予定だが、11日採決を予定するスロバキアでは、連立与党の一角が反対を表明、承認が危ぶまれる事態に陥っている。否決なら市場の大混乱は必至で、ユーロ圏の将来はスロバキアの判断にかかっている。 ギリシャより貧しいスロバキアが、なぜ、豊かなギリシャを救済しなければならないのか--。09年1月に16番目にユーロに加盟したスロバキア。国際通貨基金(IMF)によると、09年の1人当たり国内総生産(GDP)は、ギリシャの約半分の1万6282ドルと、エストニアに次いでユーロ圏で2番目に低い。EFSFの拡充で最大負担額は77億ユーロに増えるが、これはGDPの10%以上に当たる。 スロバキア議会(150議席)のうち、連立与党の議席は77議席と、半数をわずかに上回るに過ぎない。その中で、21議席を有する第2与党の「自由と連帯(SaS)」が「火事を送風機で吹き消すことはできない」(シュリク党首)と反対の姿勢を示す。最大野党「スメル(道標)」も総選挙の早期実施を確約しなければ反対と表明、ラディツォバー首相は窮地に立たされている。 もし否決された場合は、EFSFの機能拡充は当面できなくなる。スロバキア政府は再び承認を求めるとみられるが、いつ承認されるのか時期はまったく見えない。また、ユーロ圏諸国は機能拡充できない場合の対応策を決めておらず、欧州危機対策は宙に浮く。 首相は連立解消も視野に最後の説得を続けているが、SaSは「ギリシャは破産を宣言し、イタリアは節約を始めなければならない」と訴え、支持率を伸ばす。現地外交筋は「SaSの内部分裂を誘うか、連立組み替えしかない」と分析する。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
一方、独仏両国で、EFSFの利用方法をめぐる新たな対立も表面化している。EFSFの機能拡充が全加盟国で承認されれば、総額4400億ユーロ(約44兆円)の資金の一部を、金融機関の資本増強に使えることになる。仏ベルギー系大手銀行デクシアが解体に追い込まれる中、各国政府は資本増強策を迫られている。 だが、公的資金を投入すれば、財政赤字が増加する。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは7日、デクシア救済に取り組むベルギー国債の長期信用格付けを「格下げの方向で見直す」と発表、ユーロ圏諸国の動揺を誘った。 来春に大統領選を控えるサルコジ仏大統領は、国民に不人気な公的資金投入を避け、EFSFの資金を利用したい考えが強い。一方、ドイツのメルケル首相は5日の会見で「金融機関の自助努力、公的資金投入、EFSFの利用の順だ」と、EFSF資金の活用は「最後の手段」との原則論を主張し、意見は食い違いを見せる。 オバマ米大統領は6日、11月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議までに欧州側の対応をまとめるよう強く求めた。ユーロ圏諸国に残された時間は、刻一刻と少なくなっている。
◇伊やスペインに波及なら 基金の融資能力、不足も --ギリシャ支援に至る経緯は。 ◆09年の政権交代後、それまでの政府が多額の借金を隠していたことが発覚。国債がデフォルト(債務不履行)になるとの不安が広がり、10年5月には10年物国債の利回りは10%超に上昇した。異常な高金利で、ギリシャ政府は国債を発行することができなくなったため、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から支援を受けるほかなくなった。 --支援の具体的な枠組みは。 ◆10年5月に決めた1次支援策では、総額1100億ユーロ(約11兆円)を5%前後の金利でギリシャに融資することを決定。ギリシャは、この「つなぎ融資」の間に財政赤字を減らし、12年から国債発行などで資金調達を再開させる計画だった。 ところが、マイナス成長で税収が減り続けたため、財政再建計画は頓挫。12年以降の資金繰りのメドがつかなくなり、今年7月、EUとIMFが1090億ユーロを追加融資する2次支援の策定を余儀なくされた。 --それでも、先行き不安は続いている。 ◆つなぎ融資は3カ月ごとに分割して行われている。EUとIMFが審査をするが、緊縮財政→景気悪化→税収減という悪循環が続き、財政赤字が計画通りに減らないため、審査のたびに「融資が打ち切られるのでは」との不安が高まる。 --ギリシャ危機が周辺国に波及するとの懸念も広がった。
◆財政不安のある国に融資する目的で、10年6月、EFSFが設立された。今年7月には融資能力を2500億ユーロから4400億ユーロに拡大し、金融機関に公的資金を投入できるようにするなど機能強化を決めた。ただ、機能強化にはユーロ加盟の17カ国が、それぞれの国の議会で承認を得ることが必要だ。また、危機がイタリアやスペインなどの大国に波及すれば、4400億ユーロでは足りなくなるという不安も強まっている。 ■□━━━━・・・・・‥‥‥……………………………… ユーロ危機のウラで、着実に死期が迫っているのは、ヨーロッパではなくアメリカ ■ユーロのデメリットは? 今回のギリシアのように、国家財政危機が顕在化し国債価格が下がれば(金利が上昇すれば)、その国の通貨価値も下落し、輸入が抑制され輸出が活発になることで経済を軌道に乗せて行く事は不可能ではない(ex.アジア通貨危機後の東南アジア諸国)。しかし、統一通貨ユーロを用いる限り、その国の実態に沿った通貨安になることは無い。 しかも、日本やアメリカのように”その国に中央銀行がある”訳ではないので、中央銀行による国債買取による延命にも限界がある。 ギリシアを初めとする南欧諸国は、ドイツやフランスなどが買い支えるしかないのだが、そうこうしているうちにも、ユーロ圏全体が沈むリスクが高まっている ■ユーロ延命のために、ヨーロッパはどういう手を打ってくるか? 以上のことからも分かるように、ユーロ全体の沈没を防ぎ延命させるためには、ギリシアやスペイン、イタリアをユーロ圏から切り離すしかない。(それが不可能なら、ドイツがユーロから離脱する道を歩むだろう) しかし、高金利に釣られて南欧諸国に投資したのは、ドイツやフランスの金融機関が中心となっている。そのため、南欧諸国を切り離した際には、ドイツやフランスの金融機関の資産に穴が開くことになる。連鎖的な金融機関の破綻が発生するだろう。 しかし、財政赤字国家を切り離したことによって、長期的にはユーロを上昇させていくことは可能となる。問題となるのは、短期的にはユーロ暴落の可能性が非常に高いことであろう。 この短期的な暴落を阻止するためには、他国通貨によるユーロ買い支えが必要になる。その布石が、9月初旬の「スイスによる無制限の為替介入(スイスフラン安ユーロ高誘導)」であったと考えられる。 ★★以上から予測される流れは、 ・年内は、ギリシア延命策を打ち出しながら、ギリシアの国債発行を続ける。当然、ギリシア国債の金利は、街金以上の金利へと跳ね上がっていく。 ・「もはやどうしようもない」という世論が形成されたところで、ギリシア並びに連鎖破綻の可能性が高いスペインなども、ユーロ圏から切り離す。 ・ギリシアやスペインは、ユーロ導入以前の独自通貨に戻る。財政不安からこれらの通貨は、安値を更新し続ける。 ・それまで、ギリシアなどが発行していた債券はユーロ建てであるが、ユーロに対して暴落していく通貨では返済がおぼつかない。結局は、デフォルト(債務不履行)を宣言することしかできない。 ・ギリシアがデフォルトした煽りを最も受けるのは、ギリシア国債を大量に保有するドイツやフランスの金融機関で、資産に穴が開くことになる。 ・ドイツやフランスの金融機関の損失が明らかになる前後で、これらの国の金融機関に投資していたマネーが逃避する。ユーロが売られていくことになり、金融機関の連鎖破綻と共に、ユーロ安(暴落)が進行する。 ☆ここで、「無制限の為替介入」を宣言しているスイスが、ユーロの買い支えに入ることになる。ユーロ暴落には、一定の歯止めが掛かるだろう。 ・それでもユーロ暴落に歯止めが掛からない場合は、ユーロ各国がそれぞれ発行している国債の信頼度が元に戻らないことを意味する。だから、ユーロ統一政府を作って、その統一政府が国債を発行する仕組みを構築するだろう。 (さらに、最近ブラックスワン・ファンド(100万年に一度のようなありえない市場の動きに投資するファンドが、非常に高い利回りを実現している。このファンドはドイツ発。ドイツは、「ありえない市場の動き」を予測し、投資している。) ・このギリシア国債に対しては、CDS(債務保証保険)が掛けられているはずなので、CDSの受け手がギリシア国債の元本を保障せねがばならなくなる。 ・CDSの買い手(最も多く買っているのは、ゴールドマン・サックスだろう)は、莫大な利益を手にすることになる。 ・CDSの受け手の最大手はアメリカのAIG。AIGはリーマン・ショックの際に、CDSによる元本保証をし続けることができず既に実質国有化されている。つまり、AIGの元本保証金の支払いは、結果的に米国政府が行うことになる。 ・つまり、ゴールドマン・サックスの利益=AIGの損失は、アメリカ国家による米国債発行によって賄われることになる。 ☆ギリシア国債破綻によって生じる衝撃波は、ドイツやフランスを突き抜けて、アメリカ政府を直撃することになる。
こうなると、ギリシアやスペインのユーロ切り離しによって、最終的に最もダメージを受けるのは、アメリカである可能性が高くなる。 PR |
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