【日本株週間展望】もみ合い、海外要因と政変を警戒－業績期待が支え
Bloomberg　2011/05/27 17:12 JST
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=a2Ixv4RKKzuk

　６月１週（５月30日－６月３日）の日本株はもみ合いが続きそう。欧州債務問題を背景にしたユーロ安、米国や中国景気への警戒に加え、国内政治の流動化リスクが上値を抑える。一方、震災の影響で今期業績予想が未定だった企業の中で増益計画を示す動きが出始め、収益回復への期待感は下支え要素だ。

　第一生命経済研究所の副主任エコノミスト、人見小奈恵氏は「欧州を中心とした海外要因は不透明だが、日本だけを見れば心配されたサプライチェーンの問題で、生産前倒しのニュースなどに株価がポジティブに反応する動きが出ている」と指摘。国内面で過度に悲観すべき材料はなく、日本株は「底堅い動きを見せよう」と言う。

　５月４週の日経平均株価終値は前週末比0.9％安の9521円となり、週間の高安値幅は182円と３カ月ぶりの狭さだった前週の228円からさらに縮小、こう着感を一層強めた。国際格付け機関のフィッチ・レーティングスによるギリシャの格下げなどが嫌気され、週初に大きく下げて始まった後は、原油や貴金属など不安定な国際商品市況、ユーロ動向、海外経済統計に一喜一憂した。

　欧州債務問題の火付け役だったギリシャへの懸念が、ここへきてが然強まっている。クレジット・デフォルト・スワップ（ＣＤＳ）市場では、ギリシャ国債を保証するコストのＣＤＳスプレッドが過去最高を記録。今後５年以内に70％以上の確率で同国が債務不履行（デフォルト）に陥る可能性を織り込んだ水準だ。欧州中央銀行（ＥＣＢ）の元チーフエコノミスト、オトマー・イッシング氏はギリシャが支払い不能の状態にあり、債務を履行しない公算が大きいと予想する。

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[4回]

　　　　　　　　　ギリシャのデフォルト警戒

　ユーロ圏財務相会合のユンケル議長（ルクセンブルク首相）は26日、国際通貨基金（ＩＭＦ）が来月、ギリシャ向け救済資金を提供しない可能性があるとの認識を示した。同日の為替市場では、ユーロがスイスフランに対し最安値を更新。欧州債市場では、ドイツの10年債利回りが４カ月ぶりに３％を割れ、投資家の安全資産志向が見える。

　野村証券金融経済研究所の若生寿一シニアストラテジストは、「ギリシャを政治的にデフォルトさせられないというのがコンセンサスと思われたが、ユンケル議長発言ではそれが条件闘争になってきている」と指摘。ギリシャがＩＭＦの融資を受けられない場合のユーロ安進行の可能性に警戒感を示した。

　欧州が抱え続ける問題を、これまで投資家の目からそらさせていたのが米国や中国景気の堅調、商品市況の高騰が示した潤沢なマネーフローだったが、そこにも暗雲が立ち込めている。米国の１－３月（第１四半期）の実質国内総生産（ＧＤＰ）改定値は前期比1.8％増と、速報値から変わらず、2.2％増への上方修正を見込んでいたエコノミストらの予想を裏切った。

　　　　　　　　　　　リスク資産の整理

　第一生命研の人見氏によれば、「商品市況動向を見ても、投機筋の買いポジションが落ちており、グローバル経済の統計が予想より下振れるケースが目立っていることや、６月末の米量的緩和第２弾（ＱＥ２）終了を意識し、投資家はリスクポジションを落としている」という。米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）が毎週公表するデータを見ると、ドルの代替投資先とされるニューヨーク金先物の大口投機筋（非商業部門）の買い越し幅は、17日まで４週連続で縮小した。

　米モルガン・スタンレーの株式ストラテジスト、アダム・パーカー氏はＱＥ２後のリスク回避傾向を予想。足元で成長株が割安株をアウトパフォームし始めている点に触れ、「株式に限定して言えば、ポジショニングは『リスクオフ』の方向にシフトし始めている」とみる。

　日本株売買代金の６割強を占める海外投資家は、５月３週までで29週連続と過去最長の連続買い越し記録を更新中だが、週間で最大3000億円以上買っていた４月と比べれば、５月は762億円、796億円、505億円と縮小傾向。世界情勢の変化を受けた海外勢買いの鈍化は、東京市場の上値を抑えつつある。

　　　　　　国内政治は不穏、増益期待で売り限定

　このほか、日本株のマイナス要因として警戒されるのは、終盤国会での国内政治の流動化リスクだ。自民党の石原伸晃幹事長は24日の会見で、「菅さんだとこの難局は乗り切れない。不信任案を可決、成立させるために努力していかないといけない」と発言。震災で被災した直後の東京電力・福島第１原子力発電所１号機への海水注入の判断をめぐって、菅内閣の見解が混乱した影響もあり、身内の民主党内からも政権批判が公然と出てきた。

　みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員は、「赤字国債法案が可決するかどうかはっきりしないなど、震災復興の政策が迷走しているだけに、海外のマイナス面に反応しやすくなっている」と話す。

　ただ、海外を中心に懸念材料が多いものの、企業業績に対する先行き期待から一気に株価が調整局面を迎えるとみる向きは少ない。ＳＭＢＣ日興証券のまとめでは、東証１部に上場する３月期決算企業の12年３月期経常利益は、製造業を中心とした回復がけん引し、現段階で前期比2.5％増の見込み。今期の予想を公表する企業が増え始めた中で、従来の減益予想から好転しつつある。27日の取引でも、建設機械メーカーの日立建機、制御機器やロボットメーカーの安川電機が今期の増益計画を示し、株価が上昇した。

「大手製造業を中心に、６月に業績予想を公表する予定の企業が多そうだ。夏までに断続的にサプライチェーンの回復前倒しを裏付ける数字が出てくることで、市場の安心感が高まる」と、ドイツ証券の神山直樹チーフ・ストラテジストは予想している。

　６月１週の日本株に影響を与えそうな材料は、国内では31日に４月の鉱工業生産や失業率、６月１日には５月の新車販売台数が発表の予定。海外では、31日に米国でコンファレンスボードの消費者信頼感指数、６月１日に米供給管理協会（ＩＳＭ）製造業景況指数、中国でＰＭＩ製造業指数、３日には米国で５月の雇用統計が発表される。

【市場関係者の当面の日本株見解】

●かざか証券の田部井美彦市場調査部長
　上昇を予想。発表される経済指標で、株式市場はおおむね米景気の減速懸念を織り込み終わるだろう。国内では、夏場に自動車の生産が通常に戻ると話す自動車部品メーカーが多く、６月にかけて部品メーカーは生産ピッチを上げようとしている。日経平均は9400円台で目先のボトムを確認、４－６月期業績の発表前に企業の生産回復を評価してくる可能性がある。予想レンジは9450－9700円。

●三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券投資情報部の折見世記シニア投資ストラテジスト
　リーマン・ショックを経て、各種経済指標は４－６月期と７－９月期が実態より下に出てしまうようになった。米国のように季節調整をかけた上で、前月比や前期比を重視する国では季節調整のトリックが顕在化し、４月の数値が出始めてから経済指標が停滞、景気に対する見方がネガティブになっている。これは９月まで続き、債券投資家が景気悪化懸念から保守的な運用にならざるを得ず、株式資産への資金流入も細る。景気敏感な日本株は弱含む。

●コスモ証券投資情報部の清水三津雄副部長
　31日にＭＳＣＩの銘柄入れ替えがあり、日本銘柄が削除される。そのための資金流出懸念で相場は下押しとなる可能性がある。米景気の減速懸念も言われ始めており、ＩＳＭ製造業景況指数や雇用統計に注目したい。下振れを意識しなければならず、日経平均レンジは9400－9700円を予想。

●野村証券の山内正一郎シニアテクニカルアナリスト
　米株が少し調整してきた背景として景気減速があり、ＩＳＭ製造業景況指数などの指標で弱い数字が出ると米株が売られ、日本株も売られやすい。日経平均は４月19日に付けた直近の安値9405円をキープできるかがポイント。終値でこれを割り込むことがあれば、短期的に下振れリスクが高まる。

記事：東京 院去信太郎 Shintaro Inkyo
記事： 大久保義人 Yoshito Okubo

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自民・公明は２日に内閣不信任案を提出する予定でいる模様なのですが、
それまでに･･･１日に菅内閣は解散に踏み切る可能性との情報 by nakaidou.com

８日過ぎの可能性もあるとの事。