2011/03/16 株式クロージングコメント
CLUB Fisco　2011年03月16日15時54分
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■緊急炉心冷却装置の復旧に注目が向かう

　日経平均は大幅反発。488.57円高の9093.72円（出来高概算49億株）で取引を終えた。原発問題への不安は払拭されていないものの、日本株売りは行き過ぎとの見方も出てきているなか、テクニカルリバウンドの展開に。コア銘柄中心に幅広い銘柄に海外勢主導の買いが入り、日経平均は寄り付き直後に9168.51円と、9000円を回復した。
　その後は「福島第3号機から白煙」「5、6号機も温度上昇」といった報道により、ランチタイムの先物市場では一時8710円まで上げ幅を縮めた。しかし、昨日のような波乱にはつながらず、冷静さは保たれていた。8900円レベルでの膠着が続くなか、インデックスに絡んだ買いなどが観測され、大引けにかけて9000円を回復する展開に。

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[2回]

　原発の報道に加え、ザラ場中に発生した関東地方の余震の影響によって荒い値動きをみせる局面もあったが、今日のところは落ち着いた値動きだった。朝方から海外勢によるバスケット買い観測が伝わっていたほか、日銀による指数連動型上場投資信託受益権等の買入限度額の増額などが、下支えとして意識された。また、原発に関連した報道に左右させられるものの、現在のバリュエーションの異常値に着目する向きもある。
　引き続き福島第一原発の行方に世界の投資家の目が向かうことになる。各地域で観測されている放射能の濃度などの報道によって不安心理は依然として高まっている。一方、東京電力<9501>は、福島第一原発に外部から電力を供給するため、新たな送電線の設置に着手、緊急炉心冷却装置の16日中の復旧を目指すと報じられている。成功すれば、燃料棒が露出したままの1-3号機の炉心溶融などの危機が回避されるようであり、注目が向かいそうだ。
　東京電力はストップ安で寄り付き、1983年12月以来の1000円を割り込んだ。株価の反転はしばらく期待出来ないだろう。しかし、炉心冷却が成功すれば市場全体に与えるインパクトは大きい。原発問題が落ち着いて、はじめて復旧作業が本格化し、社会インフラ、経済活動の回復につながり、これが市場の活力を生み出すことになる。
（村瀬智一）