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2011 03,05 12:00 |
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【日本株週間展望】中東リスク肥やしに堅調続く、業績への信頼厚い 3月第2週(7-11日)の日本株相場は、引き続き堅調に推移する見通し。中東・北アフリカでの政情不安による国際商品市況の上昇をリスクと捉える向きは多いが、企業業績に対する信頼感は高く、買いが入るとの見方が多い。 GCSAMの佐藤博最高投資責任者(CIO)は、最近の日本株相場を「ネガティブ材料が出ても、それを肥やしに前の高値を上抜いており、良い展開」とみている。悪材料が出るたびに下値を切り下げた昨年春から秋までの流れとは、全く異なるとの認識だ。「来期(2012年3月期)は10-20%の増益との見方が広がり、企業業績に対する安心感が醸成されつつある」と、同氏は言う。 第1週(2月28日-3月4日)は、日経平均株価が前週末比1.6%高の1万693円66銭、TOPIXが1.5%高の955.59ポイントで終了。米国の製造業景況指数や雇用指標が改善し、世界的な景気回復期待を背景に日本株相場も機械など輸出関連株中心に上昇した。 大和証券キャピタル・マーケッツが3日に公表した企業業績見通しによると、金融を除く主要300社の11年度(12年3月期)予想は3.2%増収、17%の経常増益。世界経済の回復持続を前提に、「海外需要の拡大、構造改革継続によるコスト増加抑制」などが収益を押し上げるとしている。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
アジアや欧州の海外機関投資家を最近訪問したパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直代表は、「中国やノルウェーなどのソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)やオイルマネーの運用担当者は、日本の機械、エンジニアリング、自動車部品、電子部品銘柄に買いを入れている」との印象を持ったという。 韓国、台湾、中国などの競合企業に比べ、日本企業は業績修正のタイミングが遅く、控え目な数値を出す傾向が強いため、1月時点では韓国・台湾企業を選好する運用者が多かった。しかし2月下旬以降、韓国や台湾の企業が来年度(11年4月-12年3月)の1株利益成長率を下方修正するケースが出始め、「日本企業の方が分が良くなったとみて、下落局面で拾っているようだ」と宮島氏は言う。 ただ、中東・北アフリカでの民主化ドミノの動きなど、産油国地域の地政学的リスクは依然高く、原油需給ひっ迫への警戒からニューヨーク商業取引所の原油先物4月限はアジア時間4日の時間外取引で1バレル=102ドル台で推移、3日の通常取引の下げを埋めている。また、国際商品の総合的な値動きを示すロイター・ジェフリーズCRB指数は3日、360.30と08年9月以来、およそ2年5カ月ぶりの高値を付けた。 原油100ドル超え定着のリスク 米仲介大手インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドディーラーであるフランク・マギー氏(シカゴ在勤)は、「中東動乱に収拾がつかないため、経済への楽観は薄れている。原油価格が1バレル=100ドルを超えればエネルギー税に相当し、政府はさらなる流動性供給を余儀なくされる」と指摘。そうした事態になれば、経済減速下で物価高が進む「『スタグフレーション』という忘れていた不安がよみがえる」と懸念を示した。 日興コーディアル証券は2日配信のマクロ経済・市場分析リポートで、原油輸入価格が1バレル=100ドルで1年推移した場合、11年の日本のGDP成長率を0.53%、120ドルでは0.76%下押しすると分析した。司淳エコノミストは、「インフレ懸念から新興国では金融引き締めに転じる動きがあり、11年は輸出先の成長率も鈍化する見通し」と指摘、実体経済への悪影響を想定すべきとしている。同証による日本の実質GDP成長率予測は11年がプラス1.8%、12年がプラス2%。 中国スタグフレーションに懸念も 中国では5日から日本の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が開かれる。持続可能な安定成長を目指し、政府は向こう5年間の経済成長率目標を年平均7%に設定。第11次5カ年計画(06-10年)の同7.5%から下げ、国民生活の改善を最優先課題と位置付けた。 日本貿易振興機構アジア経済研究所・東アジア研究グループ長の渡邉真理子氏は、第12次5カ年計画について「GDP成長率を低めに抑えるなど、地方を数値目標でしばる姿勢が弱まっているのは良い兆し」と話す。ただ、経済成長率は5カ年平均すると7%を下回るとし、「民間企業が高賃金体系に合わせたビジネスモデルを築けておらず、今後は民間部門から経済成長率が落ち込んでいく」とみている。 企業が人材投資を怠り、安い労働力を求め続けると企業への定着率が高まらず、個人消費も伸びない。渡邉氏は、中国では「『スタグフレーション』風の経済構造になる」と予想、公共事業主導型の表面上のGDP成長率に惑わされてはいけない、と警鐘を鳴らす。 中国では、第2週に重要な経済統計の発表が相次ぐ。10日には2月の貿易収支、11日は2月の消費者物価指数と鉱工業生産指数、小売売上高が予定されている。米国では、8日に3年国債入札、9日に10年国債入札があるほか、10日に1月貿易収支、11日に2月の小売売上高と3月のミシガン大学消費者信頼感指数が公表予定だ。 【市場関係者の当面の日本株見解】 ●みずほ証券の瀬川剛エクイティストラテジスト ●明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリスト ●マネックス証券の金山敏之マーケット・アナリスト ●CLSAアジア・パシフィックマーケッツ 取材協力:長谷川敏郎、河野敏、岩谷多佳子 PR |
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