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2011 02,26 13:00 |
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【日本株週間展望】値幅調整続く、中東混迷で原油高騰-楽観色一掃 3月第1週(2月28日-3月4日)の日本株相場は、年初来高値からの調整局面が続きそうだ。中東・北アフリカ地域の民主化の動きが広がり、原油の供給不安から原油価格が高騰した。企業業績や経済に与える影響が懸念され、高値を付けた2月中旬までの楽観ムードは影を潜めている。 チュニジア、エジプトに続き、アフリカ3位の産油国リビアで反体制運動が激化している。同国からの原油の供給が細り、24日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は一時1バレル=103.41ドルと、2008年9月29日以来の高値を付けた。ロンドンの北海ブレント原油先物相場も一時同119.79ドルと、2年半ぶりの高値を更新。前週末は102ドル付近で取引されていた。 中東情勢の混迷で投資家のリスク許容度が低下し、一部の資源国を除き世界の株式市場から資金が流出、より安全な債券市場に向かった。24日の時点で、MSCIワールドインデックスは前週末比2.6%安。安全資産とされる円も買われたことで、2月第4週の日本株は5週ぶりに下落した。日経平均株価は週間で2.9%下げ、1万526円で25日の取引を終了した。 ばんせい投信投資顧問運用部・黒田毅シニアファンドマネジャーは「中東情勢に起因したマイナスの材料はこの1週間でだいぶ織り込んだが、情勢が早期に落ち着くは考えにくく、原油、為替、米国株の動向を見守る週となるだろう」と予想。日本株はもともと昨年11月から上昇基調を継続し、バリュエーション面の割安感がなくなっていただけに、「まだ想定される値幅調整の範囲」と話している。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
原油高の冷や水 原油価格の高騰が楽観的な市場心理に冷や水を浴びせた。野村証券の岩沢誠一郎チーフストラテジストは24日付リポートで、昨年9月以降、世界で債券から株式へと資金がシフトしてきた背景には「先進国の企業の支出拡大をドライバーとする自律的な景気回復があった」と指摘したうえで、供給要因での原油価格上昇が「消費抑制効果を通じて、こうした流れを阻害する要因になろう」と警戒感を示した。 ICEフューチャーズ・ヨーロッパによると、北海ブレント原油先物期近物は1年後の先物に比べ23日時点で2.74ドル高く、価格差は2008年5月以降で最大。ソシエテ・ジェネラルの石油市場調査担当責任者、マイク・ウィットナー氏は「リビア産原油が数量で減少し始めており、現物が逼迫(ひっぱく)していることを示している。生産停止の状態がいつまで続くのかが本当の問題だ」と述べた。 ただ、原油価格がさらに大きく上昇するとの見方は少ない。ガイトナー米財務長官は24日、産油国は市場でのいかなる不足にも対応するかなりの余剰生産能力を備えていると発言。ノルウェーのリースヨハンセン石油相も、リビア産原油の供給減少をほかの産油国が補うことは可能との認識を示し、供給不安は徐々にだが後退しつつある。 一方、リスク回避の動きから為替市場で起きている円のじり高基調は、輸出依存経済の日本にとってはマイナスだ。円は対ドルで第3週に83円台前半だったが、25日現在は81円台に上昇した。この点について、SBI証券の鈴木英之投資調査部長は「企業は現地生産にシフトするなどで円高対応力を高めている」と指摘、企業業績に与える影響を悲観視し過ぎる必要はないと言う。 米経済はまだら模様 世界景気をけん引する米国の経済指標はまだら模様だ。米労働省が発表した第3週の新規失業保険申請件数は前週比2万2000件減の39万1000件で、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値の40万5000件を下回った。半面、1月の新築住宅販売件数は前月比13%減の28万4000戸と、エコノミスト予想の30万5000 戸以上に落ち込んだ。 3月1週は、週末4日に米雇用統計の発表がある。ブルームバーグ調査では失業率は9.1%と前月から0.1ポイントの上昇が見込まれており、足元の景気に対して慎重な見方が広がりやすい。 6月末に米国の量的金融緩和第2弾(QE2)が終了することも、不安心理醸成の背後にある。野村証の岩沢氏は、原油価格の上昇や米国株の調整が続き、さらにQE2が予定通り終わるとの見方が支配的になった場合、「米経済成長率は11年第1四半期(1-3月)がピークで、12年初にかけて減速傾向をたどるとの見方が浮上するだろう。現時点では、11年後半は前半以上に成長率が高まるとの見方が支配的なだけに、株式にとってマイナス材料になる」とみている。 また岩沢氏は、「今回の株価調整の原因として確認しておくべきことは、調整前に市場関係者の景気・企業業績見通しが楽観に傾いていたこと」と指摘。そうした時の株価調整の通例で、「この先盛り上がっていた期待が急速にしぼんでいく可能性が高い」と予想した。 投資対象としては、「世界の金利上昇傾向は変わらないとの見方から、不動産や金融といった内需関連に注目している」とSBI証の鈴木氏。ばんせいの黒田氏は、第4週に相対的に下げが大きかった機械や自動車などの輸出関連株も、「新興国や米国の景気拡大による恩恵を受けることを考えると、下がったところは投資してリバウンドを狙いたい」としている。 配当利回り銘柄の季節 3月決算企業の期末である3月に入り、配当利回りの高い銘柄が注目を集める時期でもある。東証1部では、業績が厳しく株価が売り込まれた結果、配当利回りが7%を超す銘柄も出ている。業種別では電気・ガスや陸運など公共株が高利回り業種の代表格だが、武田薬品工業の利回りが4.5%など、医薬品株でも高い銘柄が目立つ。 3月第1週の主なスケジュールは、国内では28日に1月の鉱工業生産が発表予定。ブルームバーグ調査では、前月比で3.5%の上昇が見込まれる。1日には1月の失業率や有効求人倍率が発表され、失業率は4.8%と前月から0.1ポイントの低下が予想されている。そのほか、自動車生産や住宅着工、家計調査の公表もある。米国では、雇用統計のほか、1日に2月のISM製造業景況指数、2日に地区連銀経済報告(ベージュブック)や2月のADP雇用統計、3日は2月のISM非製造業景況指数が発表予定だ。 【市場関係者の当面の日本株見解】 ●日興コーディアル証券・国際市場分析部の小林久恒部長 ●東洋証券情報部の檜和田浩昭ストラテジスト ●SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦シニアストラテジスト ●草野グローバルフロンティア代表の草野豊己ストラテジスト ●後藤周平 パインブリッジ・インベストメンツ運用本部長 取材協力:長谷川敏郎、河野敏、鷺池秀樹、常冨浩太郎、岩谷多佳子 PR |
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