2024 11,22 11:03 |
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2010 12,12 21:00 |
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大塚ホールディングスがいよいよ登場、その投資妙味は? 15日、いよいよ大塚ホールディングス <4578> がIPO(新規上場)する。想定時価総額、市場からの吸収金額とも4月に上場した第一生命保険 <8750> に次ぐ今年2番目の規模を誇る超大型案件。多くの有力商品を抱える知名度抜群の企業であり、上場に向けて株式市場での注目度が高まってきている。2010年相場を締めくくる大イベントを探る。 大塚HDは傘下に大塚製薬などを抱えるホールディングカンパニー。医薬品ではグループ全体の売上高の約3割を占める抗精神病薬「エビリファイ」が筆頭。医薬品以外では外用殺菌消毒剤「オロナイン」や「ポカリスエット」などの飲料、「カロリーメイト」などの食品で、高い知名度を誇る商品を数多く有する。 一つ目の評価ポイントはこの知名度の高さ。IPOは特殊なマーケットであり、ここを主戦場とするマニアのような投資家も存在しており、通常のIPO案件は彼らが主役。だた、これほどの大規模案件では幅広い投資家を巻き込む必要がある。大塚HDにはそれができる知名度がある。幹事証券が顧客にIPO銘柄をさばく際、先端分野で活躍するインターネットやバイオのベンチャー企業のような、どんなビジネスで稼いでいるか分かりづらい、いわゆるIPOらしい銘柄よりも、説明が簡単で、なじみ深い企業の方が設立時に受け入れやすい。もちろん、時価総額が大きいために機関投資家にも買い需要が発生する。IPOマーケットは通常、企業の成熟感をもっとも嫌うが、大塚HDの場合は知名度の高さでカバーできそうだ。 この「分かりやすさ」は業績面にも当てはまる。11年3月期の業績は連結売上高1兆1380億円(前期比5.0%増)、経常利益は1290億円(同18.3%増)を予想しているが、この成長は発売30周年を迎えた「ポカリスエット」の好調によるもの。4-9月は猛暑効果も寄与し、インドネシアなどアジアの新興国でも販売好調という。医薬品セクターながら海外売上高比率は約5割。経済発展目覚ましいアジアの新興国でも、あの青いパッケージはお馴染みとなりつつあるのだろう。企業の歴史や売上規模からみれば立派な大企業で成熟しているが、成長性も低いわけではない。 もうひとつのポイントは材料性の強さ。こちらは初値形成時というよりセカンダリー(流通市場)で手掛かりとなりやすい。新規上場してくる会社は若い企業が多いこともあり、いわゆる“きれいな会社”がほとんど。厳しい上場審査を通過しているのだから当然ではあるが、逆に言えば面白みを欠く優等生企業ばかりが目立っていた。その点、大塚HDは「大塚製薬贈収賄事件」のほか未公開株の流通など、未公開企業ながら話題を振りまいてきた。株式市場はアナリストの分析通りにことが運ぶほうが少ない、ひねくれた場所。スネに傷があるぐらいがちょうどいい場合もある。そういった意味で「やりやすい株」とみる投資家も少なくはない。 もちろん、リスク要因もある。「エビリファイ」の特許が13年に切れるほか、未公開株時代に流通した株券で行き先不明なものもあるという。ただ、これらを理由に上値が抑えられる可能性はそれほど高くない。市場ではすでに「買いたい弱気」を唱える向きも増えている。公開価格の数百円上で初値を形成してセカンダリーで3000円を奪回、というシナリオは現実味を増してきている。年末相場の主役となる可能性もありそうだ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
15日に上場される大塚ホールディングスを、武田薬品工業と比較してみました。 まず大塚ホールデイングスの時価総額。想定価格2,400円、公募8千万株のうち新株発行4132万株としています。時価総額はおよそ1兆3300億円。 一方、武田は3兆2291億円。つまり大塚は武田のおよそ4割の規模です。 次に財務の数字。すべて1株当りです。大塚は予想を発表していませんので、今期は横ばい、来期は多少回復と想定しています。 大塚の実績を見ると、売上高は1,944円。武田に引けをとらないというより、僅かに上回っています。問題は利益。営業利益は177円に過ぎず、武田の3分の1です。財務体質は良好。利益準備金が総資産の4割に達しています。有利子負債は162円に過ぎません。 武田は、強い収益体質に加え、配当水準も高く、財務体質も大塚に比べ一段と強固です。利益準備金は総資産の8割を占めています。有利子負債は僅かに4円。 次に、簡単な財務分析です。 大塚の総資産営業利益率(OROA)は実績ベースで6.84%。特に悪いわけではないのですが、武田はその2.2倍です。OROAは営業利益率と総資産回転率に分解できます。大塚の総資産回転率は武田を上回ります。資産効率は良いのです。ところが利益率の格差があまりにも大きいことが、OROAの格差の原因となっています。製品構成の差を考えれば、この利益率の格差を大きく縮小するという考え方は現実的ではなさそうです。 武田はこのようになっています。今期は利益率が落ちますが来期から回復が見えてくると考えています。総資産回転率の低さが多少目につきます。戦略的には資産効率の改善が課題であるようです。 最後に株価評価です。 大塚のBPSは実績で1738円。PBRを1.38倍と見るため、BPSにPBRを掛け合わせて、株価は2,400円としているわけです。このPBRはPSR(株価売上高倍率)、総資産利益率、財務レバレッジ(株主持ち分比率の逆数)という3つの要素に分解できます。ポイントはPSRの1.23倍です。私はこれが1.31倍まで高まってもおかしくないと見ています。すると、株価は2.653円。実は、この株価でのPERは20倍。これを妥当な水準と見ています。 同じ手法で武田を見てみます。PSRは利益率とROEを掛け合わせたものですから、今後の利益率の回復を前提として、3.36倍程度のPSRが期待できると見ています。すると株価は5952円。この株価では、PERを大塚と同じ20倍としていることになります。 以上を念頭に置くと、大塚ホールディングスは、2,400円程度で上場されるならば10%程度の上値余地が見込まれると考えます。つまり、人気化してこの価格を大きく上回るようであれば、その後の展開は要注意かもしれません。一方、武田薬品工業は現在大きく調整した水準にあり、今後回復に転じると5割程度の上値が見込めるのではないかと考えています。 ■□━━━━・・・・・‥‥‥……………………………… ■大塚ホールディングス<4578>東証1部■ ■事業内容:株式の保有を通じて、医療関連事業、ニュートラシューティカルズ関連事業を中心とする事業を営むグループ会社の経営計画および管理等を行う持ち株会社 ■シンジケート 公開株数33,300,000株 (別に4,500,000株) 主幹事証券 野村 20,201,800株 60.67% ■大株主 (潜在株式を含む) 野村信託銀行 大塚創業家持株会信託口 特別利害関係者等 64,981,000株 12.49% ■事業詳細 大塚製薬や大鵬薬品工業、大塚食品、大塚化学などを傘下に持つ製薬グループ大手。アース製薬は持ち分法適用関連会社に当たる。国内外で医療品や健康食品、食品、飲料などを製造・販売している。 1.医療関連事業 2.ニュートラシューティカル関連事業 3.消費者関連事業 4.その他の事業 2010年4~9月期(2Q累計)の売上高構成比は、医療関連事業63.6%、ニュートラシューティカル関連事業25.1%、消費者関連事業4.6%、その他の事業6.7%。2010年3月期の海外売上高比率は48.4%(米35.8%、その他地域12.6%) ■意外に成長性もあり、無難な展開が予想 2010年では第一生命に次ぐ大規模上場案件となる。11.3期業績予想EPSを基に、想定されている公募価格のPERは17倍。想定PERからは、やや高い印象を受けるものの、足元の業績をみると、順調に増益ペースを維持している。大規模上場による安定感もあって、公募価格を下回る価格推移は想定しにくい。 ■売上が順調に拡大し、10.3期は増収増益、11.3期も更に増収増益の見込み ◆10.3期実績 医療関連事業では、治療薬の分野で、抗精神病薬「エビリファイ」が、順調に売上を拡大した。国内では、新剤形「エビリファイ内用液0.1%」を4月に発売し、治療選択肢の拡大等により売上を伸ばした。また、米国のブリストル・マイヤーズ スクイブ・カンパニー社との間で、「エビリファイ」の米国での開発・商業化に関する契約期間を延長する契約を4月に締結した。これらの結果、医療関連事業の売上高は対前期比+9.8%増、営業利益は同マイナス0.5%減となった。 ニュートラシューティカルズ関連事業では、バータイプの大豆栄養製品「SOYJOY」を、7カ国・地域で販売、国内では4月に「SOYJOY」バナナCaプラス、9月に「SOYJOY」ブルーベリーを発売し、ラインアップを11種類に拡充した。これらの結果、ニュートラシューティカルズ関連事業の売上高は対前期比+13.5%増、営業利益は前期の営業損失から、利益5,212百万円となった。 これらの結果、大塚ホールディングスグループの売上高は対前期比+13.4%の増収、経常利益は同+13.5%の増益、当期純利益では同+43.2%の増益となった。 ■株主が既に多数いる上にストックオプションも残るが、当面は問題無さそう 既に大量の少数持分株主が存在することと、取引先やグループ内の持合いについて、ロックアップの対象に入っていない株主が多い。このため、ロックアップのカバー率が低くなっている。実際には、取引先やグループ内企業が保有株式を売却するケースは少ないだろうから、ロックアップのカバー率の低さを、特に気にする必要は無いと思われる。 ストックオプションの未行使残高があるが、ボリュームは小さく、また行使可能になるまで相当の期間があり、当面は留意する必要は無い。 A. 発行済み株式数 519,156,817株(単元100株、09.6に1:20株式分割後) 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 2,508千株 ◆ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 PR |
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