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2010 11,14 20:00 |
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迫り来る「アグフレーション」の足音 新たな問題を噴出させる穀物禁輸 エコノミストや各国中央銀行が西側諸国が日本型のデフレに陥るリスクを心配する中で、コモディティー(商品)取引業者は全く別の現象に警鐘を鳴らしている。「アグフレーション(農産物のインフレ)」である。 世界中で供給不足と買い占めの動きが広がり、綿、砂糖、小麦の価格は今週、数年ぶりの高値まで高騰し、日常的な食糧や衣類の原料価格を急激に押し上げている。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
■記録的な高値をつける農産物 投機筋とドル下落が、農産物価格をこれほどの高値に押し上げている原因とされてきた。中には、これが2007~08年の食糧危機の再来につながりかねないと考える人もいる。 だが、価格高騰の最大の理由の1つは、実は政府の行動だった。具体的に言えば、世界中の大きな生産国が課している輸出規制である。 急激に広がりつつある政府の規制が、先を争って食糧と繊維の現物を確保しようとする動きの引き金を引き、市場のボラティリティー(振れ)を悪化させている、と業界専門家らは話す。 農産物の自由貿易を支持するワシントンの機関、国際食料農業貿易政策協議会(IPC)の最高責任者、シャーロット・ヘーベブランド氏は「取引業者は不安を感じている」と言う。 輸出規制の波は今年8月にロシアで始まった。ロシア政府が今年の収穫に打撃を与えた深刻な干ばつの後に、穀物の販売を禁止したのだ。
ロシアに続き、ウクライナが割当制度を使って小麦、大麦、トウモロコシの輸出を制限。インドは綿と砂糖の販売を制限しており、既に導入から2年になるバスマティ米以外のコメの輸出禁止措置を据え置いた。 パキスタンも小麦の輸出を禁止した。エジプトはコメの販売を制限している。カザフスタンは穀物の販売先をロシアだけに限定し、事実上輸出を制限している。政府高官らは、近く同じような行動を取る国が増えるのではないかと懸念している。 生産国は輸出を制限することで、国内市場の供給を十分確保し、国内価格の上昇を抑えることを狙っている。これにより、社会不安と政治不安を抑え込もうとしているのだ。 だが、輸出規制によって国際市場での供給が逼迫。これが世界各国で価格を押し上げ、貿易の流れを歪めている。輸入国は、必要なものを確保できなくなることを恐れ、供給を買いだめで対応しようとする可能性がある。そうなれば、さらに価格が上昇する恐れがある。
米農務省は今週、世界第2位の綿輸出国であるインドによる輸出規制で、供給国としてのインドの信頼性に対する懸念が高まっていると述べた。その結果、「前例のない高値にもかかわらず、主要輸入国が供給確保に走っている」という。 この警告の効果は電撃的だった。11月10日には綿価格が1ポンド=1.5723ドルまで急騰し、140年前にニューヨークで先物取引が始まって以来の最高値をつけ、8週間前から70%近く値上がりした。 急激に供給が逼迫する砂糖市場では、来年世界最大の輸出国になる可能性のあるインドが砂糖を小出しにしか販売しておらず、取引業者は規制がさらに強化されるのではないかと恐れている。 ほかの場所で供給を確保しようとする戦いが繰り広げられ、砂糖価格は1ポンド=33セントを超え、30年ぶりの高値をつけた。 ベテランの市場参加者にとっては、こうした各国政府の行動には既視感がある。2007~08年の食糧危機の大きな原因は輸出規制だった。当時は、農産物価格が過去最高値をつけ、食料を巡る暴動がハイチやバングラデシュといった一部の最貧国を揺るがした。
危機が過ぎ去ると、専門家や政府高官らは、ピーク時に30カ国以上に広がっていた輸出規制(現在は一握りにとどまっている)が価格高騰の一因だったという点で同意し、輸出規制を用いることに反対する政治的コンセンサスが生まれた。 だが、日本の農林水産省の国際顧問を務める村上秀徳氏は、輸出禁止に訴えないというコミットメントに忠実であることには「政治的抵抗」があるようだと話す。さらに、通商や農業当局の高官らは、今の状況がすぐに変わることはまずないと考えている。 1つには、国際貿易を管理する規則の下では、農産物の輸出規制が合法であることに原因がある。 世界貿易機関(WTO)の核をなす取り決めである「関税と貿易に関する一般協定(GATT)」は1947年以降、コモディティー輸出の「禁止または制限」を禁じてきたが、輸出国に「不可欠の食糧またはその他製品の危機的な不足を防止または軽減するために一時的に適用される」場合は、それらを認めている。 輸出の早期再開の見込みがほとんどないため、取引業者は高値の期間が続く事態に備えている。だが彼らは、政府が突然、規制の解除や緩和を決定した場合の極端なボラティリティーにも注意を促している。砂糖については、一部の取引業者が、インドが近く予想以上に大きな輸出割当を発表した場合の価格暴落を懸念している。 輸出規制は、コモディティーの先物価格にも影響を与え始めている。輸出禁止は各国市場を孤立させるため、ロシアやインドといった国々では、農家に次のシーズンに備えて作付面積を広げようとする意欲がほとんど見られず、価格高騰に対する潜在的な供給面の対応を制限している。 例えば、シカゴでは10日にスポット(現物)の小麦が1ブッシェル=7.15ドルで取引されていたのに対し、次の収穫となる2011年9月引き渡しの先物価格は、1ブッシェル=8.12ドルだった。
さらに悪いことに、ロシアの農家の中には、作物を引き続き外国で販売する方法を見つけようと、生産を小麦から、政府の輸出規制が働かない油糧種子に切り替えるところも出ている、と政府高官や取引業者たちは言う。 それによって、潜在的な供給側の対応がさらに制限され、長期的に価格を一段と押し上げる可能性がある、と取引業者らは2007~08年の出来事を引き合いに出しながら警告する。 当時、アルゼンチンでは小麦の輸出を禁止した後、国内価格が下落し、農家は外国でも売れる大豆を選択して小麦生産を取り止めた。次のシーズンには、小麦の作付面積が100年ぶりの低水準まで一気に縮小した。こうしたことを考えると、アグフレーションは急に、単なる流行語ではないように思えてくる。 ■□━━━━・・・・・‥‥‥……………………………… 以前に何度かご紹介した内容なので、健忘録として載せておきます。 小麦・綿・砂糖・倉庫・肥料などの関連銘柄です。 PR |
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