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【日本株週間展望】小休止、過熱感取り大台回復に備え-欧州足かせ 11月3週(15-19日)の日本株相場は、日経平均株価1万円の大台回復を前に足踏みが予想される。世界の株価に対する出遅れ修正が進み、この2週間で大きく戻したが、目立った日本独自の買い材料は見当たらない。米国、中国株の上昇が一服となれば、主体性のない日本株も休みを余儀なくされそうだ。 東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長は、「米国株も日本株も短期過熱感があり、そろそろ一服しても良い」と指摘。ただ、円高懸念は完全に払しょくし切れていないが、「企業業績は良く、有効な円高対策が打ち出されれば、見直し買いで株価も上昇する」とみる。 第2週の日経平均は前週末比1%高の9724円で終え、2週連続で値上がりした。月初来上昇率は5.7%と、米ダウ工業株30種平均の1.5%、独DAX指数の1.9%(いずれも11日時点)をアウトパフォームした。3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和を決定したことで、世界は過剰流動性相場に入るとの見方が強い。ただ、欧米株式は第2週に反落しており、日本もこれに追随しやすい状況だ。 投資家を冷静にさせそうなのが欧州債務問題で、第2週はアイルランドの債務再編問題が注目された。債券決済機関のLCHクリアネットは10日、アイルランド国債を取引する際の必要証拠金の引き上げを発表。また、同国中央銀行のホノハン総裁は、内外の金融機関の同国での貸倒損失が少なくとも850億ユーロ(約9兆5800億円)に上る可能性がある、との見方を示した。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
再燃した欧州ソブリン問題 これを受け、欧州債市場では重債務国の国債が売られた。アイルランド10年国債は11日に13日連続安を記録、ドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)が過去最大の652ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達した。ブルームバーグ・ニュースの調査では、国際投資家の過半数がアイルランドのソブリン債がデフォルト(債務不履行)に陥ると予想する。スペイン国債も13日続落。 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のロンドン在勤の欧州担当チーフエコノミスト、ジャック・カイユ氏は、欧州の経済成長は10-12月(第4四半期)に大きく鈍化し、二番底リスクが上昇しているとの見方だ。 欧州のなかでもギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインはいずれも2008-15年の名目成長率が2%以下に急減速する見通しである一方、長期金利の上昇で資金調達コストが上昇しており、債務問題の解決が難しくなっていると同氏は指摘する。その上で、「アイルランドとポルトガルは、外部からの支援がなければ生き残れない。2国は来年1月までに支援を要請するだろう」と予想した。
一方、米国に対しては先行きを楽観視できそうだ。RBSセキュリティーズの北米戦略責任者ジョン・リチャーズ氏は、インフレ率が現在1%前後と、米連邦準備制度理事会(FRB)が使命とする1.8-2.0%を下回っている点や、10月の失業率が9.6%と依然高止まりしていることなどから、「FRBは市場が予想しているよりも、長期間ゼロ金利に近い状態を継続するだろう」とみている。 量的緩和効果を踏まえ、RBSでは11年はGDP成長が加速し、年3.2%成長と予想、米景気は二番底とはならないとの見解だ。10年の米国企業収益は、コスト削減効果から急拡大が見込まれており、米国株は依然買われやすい状況にあるという。 欧州を除けば、外部環境は悪化が予想しにくく、日本株の上値を抑えてきた円高も一服している。21世紀アセットマネジメントの清水孝則社長は、日米金利差に加え、年内はドルのレパ取り(本国回帰)があるため、「年末まではドルが上昇しやすく、1ドル=89円程度まで円安ドル高に振れるだろう」と予想する。12日は82円台前半で取引された。 清水氏は、日本株は割安なため、輸出企業の収益を押し上げる円安になれば買いが入りやすくなるとし、「3カ月後に日経平均は1万1000円程度まで上昇する可能性がある」と読む。短期的な過熱感を冷やした後、欧州問題をにらみながらも、日経平均はまず6月24日以来の1万円の大台乗せを目指す展開となりそうだ。
相場全体の方向感が出にくいなか、東海東京調査センターの隅谷氏は、4-9月決算の発表が一巡したことから、「円高でも業績が好調な企業をもっと評価しても良いはず」と話す。輸出企業は、コスト削減策の効果や新興国需要の増加などで円高によるマイナスの影響を補い、コマツやトヨタ自動車、いすゞ自動車、旭硝子などが11年3月通期の業績予想を上方修正した。 日興コーディアル証券によると、主要輸出企業は為替の前提レートを対ドルで80円、対ユーロは110円まで円高方向に見直したが、それでも利益を出している。通期業績の下方修正リスクは小さく、時間とともに業績見通しに安心感が広がっていくと同証ではみている。 第3週の主なスケジュールは、国内では週初の15日に7-9月の実質国内総生産(GDP)1次速報が発表される。米国では15日に、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数や10月の小売売上高、17日に10月の消費者物価指数や住宅着工件数、18日には11月のフィラデルフィア連銀景況指数などが発表予定で、良好な数値が発表されれば、株高をもたらしそうだ。 欧州では17日にEU財務相理事会が開催されるほか、コンスタンシオ欧州中央銀行(ECB)副総裁やウェーバー独連銀総裁、シュタルクECB理事、ユンケル・ユーロ圏財務相会合議長など欧州の要人が相次いで講演を予定する。10月のユーロ圏消費者物価指数や新車販売などの経済指標も発表され、足元の景況感、発言内容は注目だ。
●日産センチュリー証券ディーリング部の菊池由文部長 米中株に波乱がなければ、日経平均は1万円回復に向けた動きとなろう。米国で打ち出された大規模金融緩和をきっかけとした日本株の反発局面は続くと見る。決算を控えた欧米ヘッジファンドから、これまでの持ち高解消による『日本株買い・ドル買い』が出やすい特殊要因も後押ししそう。米国債の入札がある週は、ドル高・ユーロ安が進みやすく、円相場への影響が警戒されるが、第3週は米債入札予定がなく、為替動向が日本株に大きな影響を与えることはないだろう。
流動性増大からリスク資産への資金シフト期待が残るなか、日本株の割安感が強まっており、好業績銘柄を中心に買い直される展開を予想する。ドルと円は世界的に弱い通貨=調達通貨との位置付けになっている。米金利が下がらなくなっている現状では、円高・ドル安の懸念が後退、ドルの買い戻しも入っているため、外部環境も良い。
アジア太平洋経済協力会議(APEC)や20カ国・地域(G20)首脳会議などのイベントを通過して売買がしやすくなり、ドル反転を支えに日経平均は1万円をトライする可能性がある。米国で発表予定の小売売上高や製造業指数など経済指標は引き続き悪くなさそうで、予想外の悪化さえなければ、ドルの上昇は続く。円高修正の恩恵を受ける輸出関連株、不動産など出遅れ感のある業種に注目している。
日経平均は7月以降のボックス相場の上限であった9700円を突破し、9700円を維持して終わった。上昇の力を残していると見込み、予想レンジは9700-1万円。過剰流動性は続くと見る。注目はGDPの発表。7-9月の企業決算が良く、予想を上回ってもおかしくない。前回と比べある程度良くなる、という市場予想は外れていないだろう。 取材協力:鷺池秀樹、長谷川敏郎、河野敏、岩谷多佳子 PR |
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