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2010 11,02 09:00 |
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侮れない日銀の基金増額効果 日銀が包括緩和策の中で示した時間軸強化策と28日の展望リポートで示された物価見通しを合わせて考えると、ゼロ金利政策は2012年まで継続される可能性が高い。私はその間に35兆円でスタートする基金も増額され、国債や指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J─REIT)などの市場からの買い入れ額も膨らんでいくと予想する。 日銀の追加緩和の実質的な基準は当面、この基金の規模で計られることになるだろう。市場の一部には、海外勢を中心に日銀の包括緩和策の効果に疑問を投げかける声があるが、増額される資産買い入れの効果を過小評価しているのではないだろうか。時間軸を勘案した日銀の包括緩和の効果は侮れないと考える。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
日銀は5日に発表した包括緩和策の中で「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続する」と打ち出した。政策委員の中での物価安定の目安は、大勢がプラス1%程度と考えており、1%に接近するとゼロ金利政策の出口が意識されることになる。28日の展望リポートでは、2012年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の政策委員の中央値はプラス0.6%。この予測通りに展開すると、2012年度もゼロ金利政策が継続している公算が大きい。 日銀はゼロ金利政策とこの時間軸の強化、基金の創設を包括緩和の3本柱としており、景気に下振れの懸念が強まれば、基金を増額して資産買い入れや固定金利方式のオペの規模増額を図るだろう。28日の会見で白川方明総裁は、経済・物価見通しが変化すれば、基金増額も有力な選択肢と述べた。 29日に発表された9月鉱工業生産では、10、11月の予測指数でみて10─11月の生産の水準が7─9月比マイナス4.2%と落ち込む。12月が横ばいとしても、10─12月の生産は前期比マイナス3.9%と急ブレーキがかかり、円高の影響がこれ以上、大きくならないと仮定しても相当の下押し圧力が日本経済にかかることになる。こうした国内経済の情勢の下で、私はいずれかの段階で、基金が増額される事態になるだろうと予想する。 実質ゼロ金利の政策を取っているため、金利をさらに大きく引き下げて緩和効果を強化する道は追求できない。残された手段は、固定金利オペの拡大と買い入れ資産の増額によって潤沢に資金を供給し、経済を支えていくということになる。結果として今後の日銀の追加緩和の程度を図る基準は、基金の規模ということになるだろう。基金の規模が増額されることで、緩和の水準が強まると判断するということが、日銀と市場との間で合意される時期がいずれ来るとみている。 一方で市場には、買い入れ資産の額が小さ過ぎると失望の声を上げている向きが少なくない。28日の市場で東証REIT指数が一時、急落する場面があったが、日銀の買い入れ規模が500億円にとどまったことが要因として指摘されている。また、株式市場でもETFの買い入れが4500億円では大きな押し上げ効果は見込めないとの声も出ている。海外勢の中には長期国債と国庫短期証券を合わせた買い入れ額3.5兆円について、一部で予想されている米連邦準備理事会(FRB)による5000億ドルの米国債買い入れと比べて小さ過ぎるとの見方があるようだ。 だが、少なくとも2年間は継続が見込まれる現在の包括緩和の枠組みの中で、基金が今の規模でかなり長期間、維持されることはないと予想する。基金の規模は次第に増額され、ETFやREITなどの市場からの買い入れ額も膨らんでいくだろう。日銀が市場からこうしたリスク資産を買い入れることは初めてであり、市場へのインパクトは決して過小評価できない。 日本の市場関係者には、日銀の政策対応に厳しい評価を下す向きが少なくないが、今回の包括緩和には時間軸の強化が埋め込まれており、時間の経過にしたがって緩和効果を強化できる仕組みになっていることを正確に認識している参加者が少ないと感じる。 11月4、5日に金融政策決定会合の日程を前倒ししたことに関し、様々な観測が市場で交錯しているが、11月2、3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に予想もできないような市場の大きな変動があっても、日銀が迅速に対応できる態勢が整えられたことは確かだ。決定会合の日程変更は異例であり、予想外の行動をする可能性のある日銀というイメージが、じわじわと市場に広がる可能性がある。 包括緩和策にカジを切った日銀の動向は、市場にとって決して侮れないと指摘したい。 ロイターコラムニスト 田巻 一彦 *投稿におけるいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。 ■□━━━━・・・・・‥‥‥……………………………… こういう記事は隅っこのほうにあるんですよねぇ~・・・・・ PR |
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