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【日本株週間展望】緩やかに続伸、為替介入契機に過度の悲観修正へ 9月17日(ブルームバーグ):9月第4週(21-24日)の日本株は緩やかに続伸しそうだ。祝日を挟み立会日が3日と動きにくいが、政府・日本銀行が6年半ぶりに断行した為替介入で一方的な円高、企業業績に対する過度の悲観が薄れた効果は大きい。今年度上期の絶不調から下期に脱け出す場合、残る9月は1つの投資タイミングになる。 オーストラリアの資産運用会社で、7兆円あまりを扱うAMPキャピタル・インベスターズのストラテジスト、ネーダー・ナエイミ氏は15日の日本の政策当局による円売り・ドル買い介入を受け、日本株に対し強気に転じた。「円は日本の首を絞める水準に達し、当局はようやくこれに対処した。日本株投資は従来『ベンチマークウエート』だったが、今後は『オーバーウエート』とする。円安方向が維持されれば、さらに配分を引き上げる」と言う。 世界92の主要株価指数の2010年度上期の騰落状況を見ると、16日時点で14%下げた日経平均株価とTOPIXは世界的財政問題の震源地であるギリシャ、過熱経済への不安を抱える中国と並びワースト10に入った。東海東京調査センターの中井裕幸専務は、春以降の株安要因を「4-6月は欧州のソブリンリスク、7-8月は米国景気の二番底懸念が広がり、リスク回避の結果として円高が進んだ。あと1つは、日本の政策当局が何もやらなかったからだ」と見ている。 16日時点の東証1部33業種の上期下落率上位は鉱業(40%)、証券・商品先物取引(33%)、その他製品(21%)、保険(20%)、鉄鋼(20%)、その他金融(20%)、精密機器(18%)。景気敏感業種や金融が並ぶ顔ぶれは、世界経済の先行きや円高への不安の大きさを映す。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
ただ中井氏は、欧州国債の保証コストであるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の動きが足元ユーロ危機の再来を告げる状況にはないと指摘。一時2.5%を割り込んだ米長期金利の動向についても、「『ヒンデンブルグ・オーメン』などとはやされ、相当悪いところまで織り込んだ。一方で米オバマ政権が財政出動を打ち出し、二番底への懸念は遠のいた」と受け止める。 何もやらなかった菅直人政権と日銀も、菅氏の民主党代表選勝利を受けた翌15日午前、対ドルで15年ぶり円高水準の1ドル=82円88銭を付けたところで為替介入に踏み切り、驚きを持った市場は3円ほど円安に振れる反応を見せた。さらに池田元久財務副大臣によると、日銀は市場に出た為替介入資金を回収しない「非不胎化」を実施しているもようという。 日本の単独介入については「為替政策に関する国際協調の断絶を表す」(ドッド米上院銀行委員長)などと海外から批判も出ているが、景気浮揚のために自国通貨安を容認している姿勢は欧米諸国にも当てはまる。一方、世界的な資産家のジョージ・ソロス氏は英ロイター通信主催のイベントで、「日本は円が高過ぎるため、明らかに苦労している。介入は正しいと思う」と述べている。
米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの9月の世界ファンドマネジャー調査では、円が過大評価されているという意見が8月の62%から72%に増え、2002年の調査開始以来で最高だった。欧米事情に対する警戒心理が払しょくし切れず、市場では介入効果の持続性を疑問視する声は根強いが、行き過ぎた円選好の動きが止まるだけでも、為替の方向性に一定の変化が生じる可能性はありそうだ。 米商品先物取引委員会が毎週公表している国際通貨市場(IMM)のドル・円先物取引の動向によると、非商業部門の円ポジションは直近7日時点で差し引き5万2183枚の買い越し。買い越し水準はことし最高圏で、サブプライム・ローン問題が表面化した07年夏以降で見ても高水準の域にある。 「円高、株安が進まなくなれば、先物のポジションはいずれ巻き戻しにつながる。日本株はアジアの中で蚊帳の外だったが、悲観、出遅れの修正はあろう」と東海東京調査センターの中井氏。東証1部の株価純資産倍率(PBR、実績)は16日時点で1.06倍、企業の解散価値とされる1倍接近の状況からはやや戻したが、過去1年の平均は1.16倍。この水準をTOPIXで見ると、週間で2.2%高の852.09だった17日終値に比べ、1割弱上方の932ポイントになる。
9月4週の日本株に影響を与えそうな材料は、20日が敬老の日、23日が秋分の日で祝日休場の国内には目立ったものはなく、強いて挙げれば22日の気象庁による3カ月予報の発表。ラニーニャ現象の発生で、今夏の猛暑に続き冬は厳冬になる可能性や、猛暑だった翌年の花粉飛散の増加などが株式市場の一部で話題となっており、関連銘柄は短期資金の売買対象になる可能性がある。 対照的に海外では、米国で21日に住宅着工件数の発表や連邦公開市場委員会(FOMC)の開催、23日にコンファレンスボード景気先行指数、24日に耐久財受注など重要日程が目白押しだ。米景況感の行方、金利動静はドル・円相場のカギを握る。また、23日は国連総会や日米首脳会談の予定もあり、17日の改造内閣発足で再スタートを切った菅首相の外交手腕も注視されるところだ。
●ちばぎんアセットマネジメントの桶矢雅嗣運用部長 「日経平均の想定レンジは9600円を挟み上下300円。日本の通貨当局による為替介入や、米国での追加的な金融緩和の可能性があり、為替連動性を高める日本株は予想を立てにくい。介入による一段の円安期待も残る中、輸出株の買い持ち高を減らすのはリスクがある。米FOMCが無風で終われば、円安バイアスがかかり日本株の戻りは続く。しかし追加的な金融緩和が決まれば、米長期金利が再び低下することでドル売りが強まり、円高再燃で日本株に逆風が吹く」
「輸出企業の円買い需要もあり、ドル・円は84円台でもみ合うと見ている。日経平均も戻りいっぱい。9400-9700円の範囲内でこう着するだろう。主力の輸出株は上値をどんどん切り上げる状況ではなく、ファンダメンタルズのしっかりした銘柄を中心に個別物色の動きが強くなるのではないか」
「横ばい推移となりそうだ。為替介入の効果を疑問視する向きがあるが、円は退避通貨として買われていたため、円高を止める役割は果たした。急激な円高の不安感は消え、米住宅価格の大幅な下落などの異常な事態が起こらない限り、日経平均は8月安値で底が入った。ただ、米金利が明確に反転しない限り、『円安・日経平均1万円』のシナリオは描きにくく、上値を追う力も弱い。今は何を買うかより、いつ買うかが重要。買い場は早ければ10月にも来る可能性があろう」
「FOMCに注目。そこで金融緩和策に近いようなコメントが出れば、円高一服の動きが逆戻りしかねない。1ドル=85円85円を割れてくると、介入効果が限定的だったという失望感が出て、日本株にとって重しになる。日経平均のレンジは9500-9800円とみているが、円高に振れれば9500円を下回るだろう」 記事:東京 院去信太郎 Shintaro Inkyo PR |
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