6/10『株価材料』

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■株価材料

△新興３市場の06年度最終損益変化額、不動産関連が改善
日本経済新聞社が新興３市場に上場する企業の2006年度決算（06年４月期―07年３月期）の最終損益変化額をランキングしたところ、改善額上位には市場拡大の恩恵を受けた不動産関連企業が並んだ。一方、悪化額ではインターネット関連の有力企業の不振が目立った。
改善額首位はマンション大手のコスモスイニシア<8844>。06年３月期は保有不動産への減損会計適用などで合計885億円の特別損失を計上したが、前期は目立った損失が出なかった。採算が大幅に改善し、最終黒字に転換した。
７位のレーサムリサーチ<8890>は沖縄県のホテル売却に伴う事業整理益などを計上したことが寄与。９位のアセット・マネジャーズ<2337>や10位のダヴィンチ・アドバイザーズ<4314>など、不動産ファンド企業の躍進も目に付いた。

▼オーエイチテ<6726>の４月期、最終赤字に転落
プリント基板検査装置のオー・エイチ・ティーは８日、2007年４月期の連結最終損益が４億1700万円の赤字（前の期は１億5300万円の黒字）になったようだと発表した。従来予想は１億7900万円の黒字。主力のプリント基板向け検査装置で、出荷時期の調整により費用がかさんだことなどが影響した。年間配当は無配（同600円）とする。経常損益は３億4000万円の赤字（同２億6800万円の黒字）に転落したもよう。従来予想は３億3100万円の黒字だった。液晶用ガラス基板向け非接触検査装置が受注先の都合で出荷が先送りとなった。海外メーカー向けの受注物件を国内メーカー向けに改造出荷した際、開発費や人件費が膨らんだことも響いた。年600円を予定していた配当を見送り、上場来初の無配とする。取締役６人の役員報酬を７月から３カ月間、10％減額する。

▼ファーマＦ<2929>の７月期、１億6000万円の単独経常赤字に
バイオベンチャー、ファーマフーズは８日、2007年７月期の業績予想を下方修正し、単独経常損益が１億6000万円の赤字（前期は１億8400万円の黒字）になる見通しだと発表した。従来予想は１億9300万円の黒字。国内大手飲料メーカー向けに販売する予定だった主力商品のＧＡＢＡ（ギャバ）の初回納品量が予想の半分程度にとどまったことが影響した。売上高は従来予想より６億円強少ない、前期比８％減の11億円になりそう。リラックス効果があるとされるアミノ酸、ギャバの販売不振に加え、ビタミンＢを多く含む「葉酸たまご」で大手の流通網の整備が遅れた。最終損益は１億4500万円の赤字（同１億500万円の黒字）の見通し。

△ビジトラ<4289>の４月中間、経常益2.7倍
会計ソフトのビジネストラストが８日発表した2007年４月中間期の連結決算は、経常利益が前年同期比2.7倍の２億2000万円だった。健康関連用品の販売会社が連結子会社に加わった。人事・総務関連事業も伸びた。売上高は2.7倍の15億3200万円。06年２月に買収した企業の福利厚生施設の管理業務子会社がフルに寄与し、人事・総務関連の部門売上高は３倍となった。高齢者向けに高機能肌着を販売する健康関連は約６億円だった。会計ソフトは17％増えた。会計ソフトなどに比べて利益率の低い健康関連が加わったことで、売上総利益率は44.7％と5.6ポイント低下した。

△ビクター<6792>売却、松下<6752>がケンウッド<6765>と再交渉
松下電器産業が子会社の日本ビクター売却で、ＡＶ（音響・映像）機器メーカーのケンウッドと再交渉に入ったことが８日明らかになった。松下は今年３月に米投資ファンドのＴＰＧにビクター売却に向けた優先交渉権を与え協議を進めてきたが、売却後のビクターに対する金融支援を巡り溝が埋まらず、交渉は暗礁に乗り上げている。今後、ケンウッドとの持ち株会社方式による経営統合案を軸に合意を目指す。今週、ビクター問題を巡り松下の大坪文雄社長とケンウッドの河原春郎社長が会談した。関係者によると、まずビクターが200億円規模の第三者割当増資を実施、ケンウッドが引受先となる。ケンウッドの筆頭株主の投資会社スパークス・グループも引き受ける可能性がある。ビクターは増資で得た資金を当面必要な銀行への債務返済などにあてる。その後、ビクターとケンウッドが共同持ち株会社を設立して両社を傘下に収め、統合する案が軸になる見込みだ。

△07年度マンション発売、不動産大手５割増へ
総合不動産大手がマンション発売戸数を大幅に増やす。三井不動産<8801>と住友不動産<8830>、三菱地所<8802>の2007年度の発売計画は合計で約１万5000戸と、前年度実績より５割増を見込む。資金力を背景に地価上昇局面でも順調に土地の仕入れが進み、今後の売れ行きも好調に推移すると判断しているためだ。ただ首都圏を中心に地価が一段高になれば販売価格の割高感が強まり、売り出しに慎重になる公算もある。全国のマンション市場は06年に３年ぶりに減少に転じた。首都圏や近畿圏を中心に、分譲会社が値上がりを見込んで発売を先送りした影響が大きい。ただ、今年はこうした物件が売り出されるため、増加に転じるとの見方が強い。不動産経済研究所（東京・新宿）は07年のマンションの発売戸数が16万4000戸と前年より5.2％増えると予想している。

□サークルＫサンクス<3337>、23品目値下げ
コンビニエンスストア４位のサークルＫサンクスは25日から、調味料や日用品など23品目を平均12％値下げする。国内6300店で一斉実施し、低価格販売をするスーパーやドラッグストアの価格に近づけ集客力を向上させる。食品や日用品のメーカーは素材価格上昇などを理由に出荷価格の値上げに動き始めたが、コンビニ業界では最大手セブン<3382>―イレブン・ジャパンも昨年に調味料価格を下げるなど当面は値下げ競争が続きそうだ。値下げするのはマヨネーズなど調味料14品目と、洗剤やシャンプー、ハンドソープなど日用品９品目。最大で22％下げる。来年２月末まで実施し、販売動向を見て継続するか決める。マヨネーズではキユーピーの出荷価格引き上げに合わせ４日に231円から260円に引き上げたばかりだが、25日に10円値下げする。

▼グッドウィル<4723>折口会長、辞任を否定・経営責任は認める
グッドウィル・グループ最高経営責任者（ＣＥＯ）の折口雅博会長は８日に開いた記者会見で、子会社のコムスン（東京・港）の不正について「辞めるべきぐらいのことをしてしまったと思っている」と経営責任を認めた。ただ「全力を尽くしてがんばりたい」と辞任を否定。現職のまま介護事業になお意欲を示しており、批判の声が強まりそうだ。折口氏は会見で残留の理由を「私が続けないと恐らくグループの社会的使命を果たすことが事実上、難しい」と説明した。同時に、１年間の報酬（約6000 万円）全額返上を表明。業績悪化の責任をとって今年９月までの６カ月間の報酬50％カットを決めており、10月からさらに１年間、報酬を返上する。不正再発防止策の一環として、グッドウィル取締役会メンバーの過半数を社外とする。現在は取締役４人のうち社外は１人だが、９月に予定している株主総会で新たに社外から選任するという。

△住化<4005>との合弁、2010年にも拡大・サウジアラムコ上級副社長
サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコのカーリッド・アルファレ上級副社長は都内で日本経済新聞記者と会い、同国で住友化学と進めている石油化学合弁について、「2010年にも生産拡大に踏み切りたい」と能力増強に前向きな姿勢を示した。建設中の第1期工事は08年の完成予定。原油価格の高止まりや石化製品の堅調な需要を背景に、総事業費1兆円超の巨大事業は規模拡大に向けて動き出した。アラムコと住化は紅海岸ラービグで昨春、石油精製・石化プラントを着工した。総事業費は98億ドル（約１兆1800億円）で、サウジ産の安価な原油・天然ガスを原料にガソリンや灯油などの石油製品や石化基礎材料のエチレン、汎用樹脂のポリエチレンなどを一貫生産する。

△加ト吉<2873>、ＪＴ<2914>と冷凍食品を共同開発
加ト吉は資本提携先の日本たばこ産業（ＪＴ）と冷凍食品を共同開発する。家庭用では６月中にも第1弾の商品を発売し、その後、品ぞろえを順次拡充する。外食向けなど業務用は今夏にも本格投入する。加ト吉は取引先との不透明な「循環取引」による損失で2007年３月期に創業以来初の連結最終赤字に転落したもよう。ＪＴとの協力関係を深め経営立て直しを急ぐ。第１弾は「海藻サラダうどん」「洋風サラダうどん」の２品目。健康志向の強い20―30歳代の女性向けに加ト吉ブランドで売る。当面は東日本のスーパーなどで扱い、販売動向を見て西日本での販売も検討する。うどんは加ト吉、つゆはＪＴグループのベル食品（札幌市）が製造する。

□日産<7201>、07年3月期の役員賞与金ゼロに・ゴーン体制で初
日産自動車は2007年３月期の役員賞与金をゼロにする。20日に開く株主総会でカルロス・ゴーン社長が表明する。日米市場での販売不振などで前期の連結決算が減益となったことを受け、経営陣の責任を明確にする。ゴーン社長の就任以降、役員賞与金がゼロになるのは初めて。07年３月期の役員賞与金の支給対象はゴーン社長をはじめとする９人の取締役。前期の連結純利益は06年３月期に比べて11％減。中期経営計画「日産バリューアップ」のコミットメント（必達目標）の達成も１年先送りしたため、役員賞与金を支給する環境ではないと判断した。

△スズキ<7269>、ロシア工場建設で調印・09年に生産開始
スズキの鈴木修会長は８日、ロシアのサンクトペテルブルクで同国のゲルマン・グレフ経済発展貿易相と乗用車組み立て工場の建設に関する合意書に署名した。伊藤忠商事<8001>と折半出資で新会社を設立、同市の工業団地に工場を建設し2009年後半に生産を開始する。ロシアではトヨタ自動車<7203>、日産自動車<7201>が工場建設計画を進めており、日系メーカーとしてはスズキが３社目となる。同市のシュシャリー地区に約140億円を投じて新工場を建設、四輪駆動車「グランド・ビターラ」（日本名エスクード）や小型車「ＳＸ４」を初年度5000台生産、将来は３万台に引き上げる計画。従業員は500人。トヨタは07年末に同じサンクトペテルブルク市で生産を開始する。日産は09年初めの生産開始に向け今月中に工場建設に着手する。三菱自動車<7211>も同国での工場建設を検討しており、日本メーカーのロシア進出が本格化する。
（NIKKEI NET）

△トヨタ<7203>の加盟承認＝発言力強化狙う―欧州自工会
欧州自動車工業会（ACEA、本部ブリュッセル）は8日、イタリア・ベネチアで年次総会を開き、トヨタ自動車の欧州統括会社、トヨタ・モーター・ヨーロッパ（TME）の2008年1月からの加盟を正式承認した。欧米メーカー以外では初の加盟となる。ACEAは声明で、「ACEAとTMEは欧州連合（EU）の規制や自動車産業の競争力強化といった課題や懸念事項を共有している」と説明、「TMEは貴重な貢献をもたらしてくれるだろう」と歓迎。世界市場で存在感を強めているトヨタを取り込むことで、環境規制への対応などで発言力を高める考えを示した。
（時事通信）

△際立つ８色
三菱鉛筆<7976>は、ゲルインクボールペン「ユニボール　シグノ　エンジェリックカラー」を１８日に発売する。

△髪を補修、潤い保つ
コーセー<4922>は、「スティーブンノル　コレクション」ブランドから、毛髪補修液「リペアシャイニング　ヘアオイル」を１６日に発売する。

△夏季限定のシードル
アサヒビール<2502>は、リンゴ１００％のスパークリングワイン「ニッカ　シードル・サマースパークリング」を夏季限定で発売した。
（読売新聞）

▼東証　東日カーライフ<8291>グループ、監理ポストに
東京証券取引所は８日、日産自動車系の大手ディーラー、東日カーライフグループが有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止基準に該当する恐れがあるとして、投資家に注意を促す「監理ポスト」に割り当てたと発表した。
（毎日新聞）

△セブン<3382>銀行、ホテルにＡＴＭ設置　ビジネス需要に狙い
セブン銀行は８日、国内の主要ホテルにＡＴＭ（現金自動預払機）を設置していく方針を明らかにした。早ければ年内にもサービスを開始する。他のサービス業や空港、駅などの公共機関、地方銀行などの民間金融機関への設置も検討する。セブン銀のＡＴＭとしてだけでなく、設置先のＡＴＭとしても利用してもらう「管理・運営受託サービス」を新たなビジネスとして強化する。ホテルへの設置は、海外からのビジネス客らから強い要望が寄せられたことなどによる。すでに首都圏のホテルなどから引き合いがあり、詰めの作業を始めている。セブン銀は、コンビニのセブン－イレブン、大手スーパーのイトーヨーカ堂に民間金融機関として最多の１万２０００台の最新ＡＴＭを設置。今年５月末時点で５４６金融機関と提携し、買い物客などが、提携金融機関のカードでＡＴＭを使う際の手数料を主要な収益源にしている。今後の業績拡大を模索する中で、コンビニ、スーパー以外でのＡＴＭ設置が有望と判断。すでに野村証券の支店１３０カ所にセブン銀のＡＴＭを設置し、管理・運営していくことでも合意している。また、成田や関西国際、羽田、新千歳といった主要空港への設置も予定している。セブン銀は、７月１１日からＶＩＳＡ、マスターなどの海外発行クレジットカード、バンクカードによるＡＴＭ利用も開始する。これも、外国人旅行者からの強い要望があったためで、ホテルへのＡＴＭ設置が新たなビジネスチャンスになると判断する下地になった。

▼日興コーデ<8603>、東証主幹事証券から落選
東京証券取引所は８日、来年末以降に予定している株式新規上場のための共同主幹事証券３社を再選定した。その結果、国内大手３社のうち、利益水増し問題の発覚で上場廃止が検討された日興コーディアルグループが落選した。東証の株式上場にあたり、公募や売り出しを担当する共同主幹事証券に選ばれたのは、大和証券<8601>と野村<8604>証券、モルガン・スタンレーの３社。内外１１社が応募し、東証の書類、口頭審査を受けた。利益水増し問題を起こした日興コーディアルグループの日興シティグループ証券は、今回の選定から漏れた。会見した東証の西室泰三社長は、日興落選について、「法令順守体制で（評価の）減点があった。利益水増しによる不正会計問題の影響が皆無ではない」ことを認めた。東証は平成１６年１２月、大和、野村、日興の３社を主幹事に選定。しかし、相次いだシステムトラブルで１８年１月に上場延期が決定し、今年４月下旬から再選定が行われていた。
（産経新聞）

△フジ<4676>の「国民的人気キャラ」が「ローズオンライン」に
フェイス<4295>とフジテレビジョンは6月8日、オンラインゲーム事業で提携すると発表した。MMORPG「ローズオンライン エボリューション」にフジの「国民的人気キャラクター」が登場する。フジが運営するゲームサイト「お台場ランド」に、6月15日からローズオンラインを提供。フジが東京・お台場で行うイベント「ザ・冒険王2007」（7月14日から）に合わせて、同局の国民的人気キャラがゲーム内に登場する。キャラの詳細は後日発表するとしている。お台場ランドでMMORPGを提供するのは初。両社はオンラインゲーム分野で提携を進め、人気キャラとのコラボレーションやゲーム内広告、放送とネットゲームの連動などといったの展開を行っていくとしている。
（ITmedia News）

△ラクーン<3031>　会員小売店舗数は３．３倍増ペース
ラクーンの０７年４月期業績の売上高は、前回予想を６６００万円下回る３３億３４００万円（前回予想３４億円）、経常損益は前回予想を１億６７００万円改善する２億３００万円の損失（同３億７０００万円の損失）、純損益は１億９５００万円改善し３億５００万円の損失（同５億円の損失）と売上高は減額ながら赤字幅を大幅に縮小し、中期経営戦略の予想を上回る結果となった。アパレル業界のＢ　ｔｏ　Ｂ市場をネット市場に取り込んだ「スーパーデリバリー」は画期的なものであるが、業界の競争は年々激化している。そこで、経営基盤を強固とするため、顧客の早期囲い込みを図る中期経営戦略を昨年１０月１０日に発表した。広告宣伝費を５億円積み増しし、小売店獲得に全力を上げるとともに、企業が出展しやすいように費用を一括４０万円から月額４万円に変更した。料金体系の変更により、前期、今期の最終利益が赤字と従来の黒字予想を覆す厳しいものである。しかし、中期経営戦略を実施したことで、月単位の会員小売店増加数は２３０店から４９１店と倍増している。特に３、４、５月は７６１店と従来の３．３倍ペースで増加していて、経営戦略の正当性が実証されているといえる。
０８年４月期業績予想は、売上高５５億円（前期比６４．９％増）、経常損益１億８０００万円の損失（前期２億３００万円の損失）、純損益１億８２００万円の損失（同３億５００万円の損失）を見込んでいる。中期経営計画の数値目標と比較すると売上高は達成しているが、経常損益で１０００万円、純損益で１２００万円の赤字増となっている。この要因は、出展企業数の増加に伴い６月１日より大阪支社を開設するためである。しかし、大阪支社の今期売上高は現段階で、具体的数値を把握できないことから計上せず、費用のみを計上しているとのこと。堅めの業績予想と思われる。

△ビジネストラスト<4289>　今中間最終利益は３．１２倍
ビジネストラストの０７年１０月期４月中間連結業績は、売上高１５億３２００万円（前年同期比２．６６倍）、経常利益２億２０００万円（同２．７５倍）、純利益１億３００万円（同３．１２倍）と大幅増収増益となった。会計関連事業を行うビジネストラスト単体の業績は、売上高２億２５００万円（同３．３％増）、経常利益２８００万円（同６．０％増）、純利益１５００万円（同３７．６％増）であることからエイチ・アール・エイトラスト（人材紹介・人材派遣業）、トラストアクアサービス（熱帯魚店経営）、和宏体育施設（スポーツ施設設計・施工・メンテナンス）、健繊（健康肌着・サポーター・ソックスの製造・販売）、グルージェント（コンピュータソフトウェア開発）、ティー・エイチ・エス（人事コンサルティング）といった各子会社の業績が親会社を凌ぐ勢いで成長していることが伺える。今通期連結業績予想は、売上高２４億円（前期比８７．１％増）、経常利益２億４０００万円（同２．０２倍）、純利益１億１５００万円（同２．５倍）を見込む。
（証券日刊新聞）

□ブルドック<2804>ＶＳスティール　攻防の行方は　「ブルドック８対２で有利」
ブルドックソースが、敵対的ＴＯＢ（株式公開買い付け）を仕掛けてきた米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドに対抗するため、新株予約権を発行する買収防衛策を導入することを決めた。株主総会の承認を得れば、日本で初めて敵対的買収に防衛策が発動されるケースとなる。予想される法廷闘争の行方も含め、今後のＭ＆Ａ（企業の合併・買収）を占う上でも注目度は高い。

■エリートの三菱と野武士のＵＦＪ　融合遅れ、あつれき表面化
２００５年１０月に経営統合し誕生した三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ<8306>。相次ぐ行政処分は、「グループの融合が進んでいないことに起因している」との見方は根強い。特に今回は、本業の貸出業務が伸び悩むなか、手数料収入が稼げる新たな成長分野として、各行がこぞって力を入れ、しのぎを削っている投信販売をめぐる処分だけに、経営に大きな打撃となる懸念もある。「貯蓄から投資へ」の流れを受け、銀行での投信販売は急速に拡大している。一方で、元本割れのリスクがある投信の販売では、より利用者保護を重視した姿勢が求めら、金融庁が監視強化を打ち出していた。の山本有二金融担当相も８日の会見で、「販売のノウハウや法令順守の工夫を積み重ねてもらいたい」と苦言を呈した。投信販売の競争の激化に加え、三菱東京ＵＦＪ銀行の場合、統合による弊害がコンプライアンス体制の不備につながったとみられている。関係者によると、同行では投信の販売に関する当局への報告などの規定について、旧東京三菱に統一した。だが、顧客からの注文などで銀行側にミスが発生した場合でも、営業成績を重視するあまり、複数の店舗で当局への報告や顧客対応を怠ったという。業界では「比較的、法令順守に厳しい旧ＵＦＪの規定であれば問題は起こらなかった」（関係者）との声も出ている。一方、財団法人「飛鳥会」をめぐる不適切な融資は、旧ＵＦＪの前身である旧三和銀行が３０数年間にわたって続け、歴代トップも問題を把握しながら解決を先送りしてきた。金融庁は、情報の共有できないなど「母体行間の垣根」が原因として問題視している。来年後半にも予定している基幹システムの完全統合でも、旧行間の溝が露呈した。システム統合では、より先進的とされる旧ＵＦＪではなく旧三菱東京のシステムに統一することに決定したが、「作業に遅れが生じる原因になる」と懸念する声は多い。旧式なシステムへの統一は、「三菱東京のメンツを重視したため」（関係者）といわれている。そもそも経営統合は、経営危機にひんした旧ＵＦＪを旧三菱東京が救済する形で実現したとの経緯がある。当初から「対等の精神」が欠けていたうえ、「エリート集団（旧三菱）と野武士集団（旧三和）の結婚」といわれ、融合の困難さが指摘されていた。相次ぐ不祥事は、業績が回復し攻めの経営に転じるなか、統合当初の危惧（きぐ）が、主導権争いとして一気に噴出した結果ともいえる。経営トップの責任問題に発展し、人事をめぐる主導権争いに飛び火する懸念も否定できない。三菱ＵＦＪの抱える問題は根深い。

△オムロン<6645>が上海に研究開発拠点、０９年度２００人態勢へ
オムロンは８日、海外では初となる研究開発拠点「オムロン上海Ｒ＆Ｄ協創センター」を中国・上海市に開設した。日本の「京阪奈イノベーションセンター」（京都府木津川市）に次ぐグローバルＲ＆Ｄ（研究開発）拠点と位置づけ、巨大市場・中国で事業拡大を狙う。記者会見した作田久男社長は「２０１０年度にオムロンの売上高は軽く１兆円を超える見込みで、このうち２０００億円以上を中国市場で稼ぎたい」と意欲をみせた。当初は１００人体制で約３０の研究テーマに取り組み、０９年度末までに２００人が６０テーマに対応する態勢を整える。研究テーマは、産業用ロボットが部品を立体的に感知する「３Ｄ視覚センサー」や機械から人の安全を守る「セーフティーセンサー」など。総投資額は９７０万ドル（１１億７０００万円）。研究はセンサーを使って一人一人の顔を識別する同社の画像センシング技術などを生かし、上海交通大学や清華大学など地元の理工系大学とも連携する。

△富士山を世界遺産に…アサヒ飲料<2598>、バナジウム水で応援
アサヒ飲料は８日、富士山の世界遺産登録に向けた活動を応援するキャンペーンを１８日から約３週間にわたり展開すると発表した。オリジナルグッズ付きミネラルウオーター「富士山のバナジウム天然水」（５００ミリリットル、２リットル）の販売数１本につき１円を静岡県と山梨県などが運営する「富士山基金」に寄付し、富士山の景観を守る活動などに役立ててもらう。

△ダイエー<8263>　お中元は「夕張メロン」　販売目標２倍
ダイエーは８日、中元ギフトの目玉商品である夕張メロンをアピールする「大好き！夕張メロン！」キャンペーンイベントを、いちかわコルトンプラザ店（千葉県市川市）と新さっぽろ店（札幌市厚別区）で開催した。ダイエーは今年、ギフト用夕張メロンを前年より４品多い１０品を用意。売り上げも前年の２倍の１億７０００万円と過去最高を目指している。

△松下電器<6752>がキャンペーン車　省エネで全国巡業
松下電器産業は８日、同社製品を搭載して全国を巡業するキャンペーン車「あかり・電池ドリームカー」を今月から走行させると発表した。キャンペーン車は今回が３弾目。長寿命の蛍光ランプやアルカリよりも強力なオキシライド乾電池など省エネ生活を提案するのが狙い。キャンペーン車１０台を用意し、それぞれ地域の電気専門店を回って販売促進に役立てる。また、電池の手作り教室などのイベントを通して顧客接点活動を強化する。

■ＢＰＯがＴＢＳ<9401>情報番組を審理　「不二家<2211>」報道で
放送倫理・番組向上機構（ＢＰＯ）は、８日開いた有識者による放送倫理検証委員会（委員長・川端和治氏＝大宮法科大学院大学教授）の第２回会合で、ＴＢＳの情報番組「みのもんたの朝ズバッ！」の不二家報道問題を委員会での審理対象とすることを決めた。川端委員長は「チームを設けて調査する。期限は設けないが、なるべく早く調査を終えたい」とした。同委員会は放送倫理の確立や問題が生じた番組の再発防止を行う組織で、虚偽の放送の疑いがある場合に審理する。近年の番組内容の捏造（ねつぞう）問題などを発端に設立。放送局に調査、判断、再発防止策の提出などを求める権限を持たせ、放送局側が自ら律する体制整備を協議する。
（FujiSankei Business i）