2024 11,24 17:05 |
|
2010 08,28 10:00 |
|
【日本株週間展望】下値切り下げ、円高と政策注視-個人見切り売り 9月第1週(8月30日-9月3日)の日本株相場は、下値を切り下げる見通し。米国景気の減速懸念が一段と強まる中、為替の円高警戒感が続いている。 ユナイテッド投信投資顧問の井上淳最高投資責任者(CIO)は、「相場は悪材料を織り込んでいる途中で、下値リスクは高い」と指摘。投資家は新しい水準である日経平均8000円台にまだ慣れておらず、同水準で「売るには迷いがある。このため、相場は足踏みをしているが、米景気減速など織り込みながら下値を切り下げていくだろう」と見る。 8月第4週の日経平均株価終値は前の週末比188円32銭(2.1%)安の8991円6銭と、9000円の大台を割り込み大幅安。25日には一時8807円と2009年4月30日以来、約1年4カ月ぶりの安値を更新した。政府・日銀から具体的な対策が示されない中、円高進行による日本経済の先行きが警戒され、自動車や電機、精密など輸出関連株中心に幅広い業種が売り込まれた。 投資家が警戒しているのが、米景気減速と円高だ。24日の外国為替市場では、ドル・円相場が一時1ドル=83円60銭と1995年6月以来、約15年2カ月ぶりの円高水準に達した。その後も同84円台で推移しており、ドルの戻りは鈍い。背景にあるのが、世界景気のエンジンである米景気の二番底懸念だ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
第4週に米国で発表された中古、新築住宅販売件数はいずれも市場予想を下回った。米住宅市場は持ち直す動きを見せていたが、政府の住宅減税が4月末に終了したことで需要の鈍さが鮮明になり、景気減速懸念が一段と強まった。米景気の先行きを読めない現状では、為替のドル安・円高が再び加速するリスクがあり、投資家心理は冷え込んだままだ。投資資金は比較的安全とされる国債に流れ、米10年債利回りは2.5%付近と、09年1月以来の低水準に沈んでいる。 9月第1週は1日に米ISM(供給管理協会)製造業景況指数とADP雇用統計、2日に新規失業保険申請件数、3日には米雇用統計と、重要な経済指標が発表される。岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、「米指標を見守る動きが続きそうだ。中長期的に見れば、円高の影響による収益下振れが警戒され、相場の上値は重いだろう」と話す。
日銀の企業短期経済観測調査(短観、6月調査)の10年度の想定為替レートは1ドル=90円18銭。現在の為替水準はこれよりも5円以上円高であり、輸出企業の収益動向が警戒される。野田佳彦財務相は25日、15年ぶりの円高を受けて「必要な時には適切な対応を取らなければならない」と述べ、介入も辞さない構えを示した。しかし、市場では介入は難しいと見る向きが多い。 岡三オンライン証の伊藤氏は、「世界各国は通貨安で自国の景気を回復させようとしている。日本が単独で介入するとしても、1ドル=80 円割れの円高になるなどで大義名分がないと理解してもらえない」と指摘。円高警戒感はぬぐえないとしている。 また、日銀が6、7日の金融政策決定会合を待たず、臨時会合で対応を協議する案も浮上していると25日付の日本経済新聞が報道。円高に歯止めをかける材料として期待されたが、「臨時会合はアナウンスメント効果を狙うもの。1ドル=80円割れになるなど、よほどの市場動向にならない限りは開催しないだろう」と、ユナイテッド投信の井上氏はいう。
相場の需給環境も悪い。東京証券取引所が24日に発表した資料によると、20日時点の信用買い残(制度信用と一般信用の合計)は東京、大阪、名古屋3市場の1・2部合計で1兆8611億円。昨年1年間の平均である1兆3447億円よりも4割多く積み上がっている。26日時点の松井証券の信用評価損率は21%と、投資家が見切り売りを出すと言われる20%をすでに超す。 ビスタマックス・ファンド・アドバイザーズの藤原正邦最高経営責任者(CEO)は、「相場が上昇して信用残を吸収するのは難しい状況だ。すでに出始めている個人の見切り売りを見極めながらの展開になるだろう。どこかで大幅に下げて投げが出れば、あく抜けするのだが」と話していた。 日銀の白川方明総裁は26日から5日間の日程で米国に出張しており、27、28日に開かれる米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムに出席する。白川氏は各国金融当局首脳と意見交換をする予定で、発言などが注目される。このほか、国内では31日に7月の鉱工業生産指数が発表される予定。
●いちよし証券投資情報部の高橋幸洋課長 「27日の日経平均はローソク足で、前日を包み込む形の『つつみ足』が出現した。底値でのつつみ足は反転上昇のシグナル。この形は5月27日、7月6日と同様で、日柄面からも85-93日のタイミングに合致する。しかし、前回2回とも買いシグナルの出現に期待したが、結局は裏切られる『だまし』だった。9月1週は、終値で27日を下回らない限りリバウンド局面に入りそうだが、次の注目点は75日線を上回ることや日足の一目均衡表の雲に入ることができるか。いずれもクリアすれば、だましの可能性は無くなり、相場の状況は一変する」
「日経平均は下値模索で、8000円台半ばを意識する展開がメインシナリオ。節目の9000円を割り込み、下値のめどが立たなくなってきた。政府の為替対策で介入実施方針などが示されればポジティブで、週初は円安・株高となるかもしれない。ただ、最近の傾向から判断すると、米国のマクロ経済指標が米経済の厳しさを改めて確認する内容となりそうで、米金利低下によるドル売り圧力は強い。日本の単独為替介入があっても、ドル安・円高基調を明確に反転させるのは難しく、輸出依存度の高い日本株には当面、売りバイアスがかかり続ける」 ●立花証券の平野憲一執行役員 「米国で重要な経済指標の発表が相次ぎ、1日たりとも気が抜けない。予想はあまりいいものではなく、踊り場、場合によっては景気が二番底に行くかもしれないと認識させる数字になろう。現状のベアマーケットが改善されるということは考えにくい。ただ米国では、株価が急激に下がれば追加的経済対策が出る可能性もあり、それにより買い戻しのタイミングが出てこよう。日米共に対策期待が下値を支えるが、状況の厳しさは変わらず」
「米ワイオミング州ジャクソンホールで開催中の中央銀行関係者会後に日銀の白川方明総裁がどんなメッセージを発するかが最大の焦点。追加金融緩和策の具体的な内容よりも、世界の中央銀行バンカーと協調し、この局面でできることは全部やるという強い姿勢を示すことが肝要だ。これまでも世界で協調してきたので、協調する姿勢さえ見せられれば、日本株は戻る。9100円-9200円への戻りは想定すべき」
「円高懸念や政局不安定化で、基本的には株式相場の地合いは悪い。本来は様子見すべき。相場が底打ちしたと確認する前に、どうしても買いを入れたいなら、内需系好業績銘柄を買い下がる覚悟で拾っていくべきだ。多様化した顧客ニーズに細やかに対応できている地方スーパーの大黒天物産(2791)やヤオコー(8279)、100円ショップのワッツ(2735)やセリア(2782)などに注目している」 記事:東京 常冨浩太郎 Kotaro Tsunetomi PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
trackback |
トラックバックURL |
忍者ブログ [PR] |