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2010 08,14 17:00 |
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<特集>決算で見る下期のコア銘柄 (1)=銀行―メガバンクでは三井住友、地銀では千葉銀、常陽銀に妙味 11年3月期第1四半期決算がほぼ出そろった。ポジティブサプライズ、ネガティブサプライズに対する一喜一憂が繰り広げられたが、ようやく落ち着きを見せ始め、市場の関心は「これからマークすべき銘柄」の選択に向かっている。そこで、本特集では、銀行、自動車、電機、鉄鋼、化学の主要5セクターに焦点を当て、 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
経済環境の先行き不透明感などから、3行とも通期業績予想を据え置いたが、進ちょく率は高い。通期連結純利益予想は、三菱UFJが前期比2.9%増の4000億円、三井住友は同25.2%増の3400億円、みずほは同79.6%増の4300億円。第1四半期実績の通期予想に対する進ちょく率を高い順に並べると、三井住友が62.3%、三菱UFJが41.6%、みずほは34.8%となる。 メガバンクをめぐっては、7月下旬に、需給面での重しとされてきたみずほの増資イベントや、警戒感の強かった欧州ストレステスト(健全性審査)を通過。また、国際的に活動する銀行に対する自己資本規制の緩和方針が示されるなど、好材料が相次いだ。そこに、予想を上回る好決算が加わったことで、証券各社のメガバンクに対する見方は軒並み強気となっている。本業の収益見通しに対する懸念や需給面の悪さから株価の先行きに悲観的な見方もあるが、悪材料出尽くしによる株価反転期待も依然として根強い。 メガバンクのなかで注目銘柄を挙げるとすれば、三井住友だろう。同社は第1四半期の連結純利益が中間期計画(前年同期比29.5%増の1600億円)を超過。さらに、すでに触れたように、通期計画に対する進ちょく率も際立って高い。第2四半期も、与信費用の改善やセディナなど子会社収益の改善などが見込まれることから、メガバンクのなかでも、業績上ブレ期待が強い。クレディ・スイス証券では「業績予想の上方修正の可能性が極めて高い」と予想。ゴールドマン・サックス証券では、通期連結純利益予想を3200億円から4250億円に引き上げている。一方で、連結PBRは0.7倍台、さらに予想配当利回りは3%台後半と高く、指標面でも魅力十分だ。 地銀の第1四半期決算も比較的良好であったといえる。与信関連費用が前年同期比大幅に減少しており、環境の落ち着きを確認する内容となった。地銀のなかでは、業績面に安心感があり、第1四半期連結純利益が前年同期比39.1%増の112億6700万円となった千葉銀行 <8331> 、第1四半期の連結純利益が同59.4%増の95億4500万円となったうえに今後の与信コスト低下が見込まれる横浜銀行 <8332> 、自社株買い観測の強い常陽銀行 <8333> などに注目したい。
自動車業界の11年3月期下期(10年10月-11年3月)の焦点は、9月30日で打ち切り予定のエコカー補助金制度後の国内販売動向だ。同補助金制度は一定以上の環境保全性能を有するクルマを購入する人に、乗用車で最大25万円、軽自動車で最大10万円の補助金を出す国の制度。リーマン・ショック後の景気低迷で落ち込んだ国内自動車販売をてこ入れする目的で導入され、当初予定の3月31日から半年間延長された。今後、この補助金を受けるには9月30日までに新車登録し、10月29日までに補助金申請する必要がある。期限前でも経済産業省の予算枠(約5837億円)が満たされれば受付終了となる。8月11日時点の申請受理金額は約4958億円となっている。 自動車大手各社が下期の業績を控えめに想定しているのも、この点を補助金制度打ち切り後の需要減を想定しているのが理由の一つ。 トヨタ自動車 <7203> は8月4日、11年3月期の連結業績予想を中間期、通期ともに上方修正したが、中間期の営業利益上積み額1700億円(1000億円→2700億円)に対して、通期は500億円(2800億円→3300億円)の上積みにとどめている。 ホンダ <7267> も、7月30日発表した11年3月期の連結中間期、通期の予想修正のなかで、第2四半期の営業利益上積み分950億円(2350億円→3300億円)に対して、通期は500億円(4000億円→4500億円)にとどめている。 ただ、海外、特に新興国の自動車販売は好調が続く。インド、ブラジルは好調を維持しているほか、中国も足元、補助金期待の買い控えが要因とされる伸び悩みがみられるものの、経済全体の好調をみれば特に自動車販売が今後急激に落ち込むとみる理由には乏しい。こうした状況下、個別で期待できる銘柄としてはまず、スズキ <7269> が挙がる。同社のインドにおける生産能力は2012年にも日本国内を超える見通し。同国でシェア5割を握るスズキは、インド自動車市場の拡大の恩恵をフルに享受できる立場にある。 もう一つは日産自動車 <7201> だ。日産自の地域別売上高をみると、第1四半期のアジア地域(中国、インド、タイなど)の営業損益は447億円の黒字と前年同期の49億円の9.2倍の水準まで増加。特に中国が収益源となっている。日本は457億円の赤字から433億円の黒字に転換、北米も352億円の黒字から668億円の黒字へとほぼ倍増した。地域のバランスが取れた成長が続いている点が、株価的にも大きなプラス材料。連結PER17倍前後はトヨタの30倍台に比較して割安感がある。
電機業界の11年3月第1四半期(10年4-6月)決算は期初見通しに比べて改善する企業が目立ったが、なかでもコア銘柄として注目されるのが総合電機最大手の日立製作所 <6501> だ。第1四半期の連結業績は、売上高2兆1526億円(前年同期比13.7%増)に対して、営業損益は884億円強の黒字と前年同期の506億円の赤字から大幅に改善した。期初想定に対して、おおよそ600億円強の改善となったが、注目されるのは、日立本体はもとより、連結対象の子会社まで、徹底的な無駄の絞り込みと事業の効率化に注力し、その成果が早くも第1四半期から表面化した点だ。 第1四半期の売上高原価率は74.1%と前年同期比で3.1ポイント、同販売管理比率で21.8%と同3.7ポイントもの改善となったが、日立本体が中期計画で表明した社会イノベーションだけでなく、主要部門がすべて黒字に転換し、かつ、稼ぎ頭は社会イノベーション事業よりも、自動車関連機器と同部品、高機能素材、コンポーネント(半導体、部品)、民生用電子機器などの稼ぎ高(営業利益)が上回った。特に高機能素材やコンポーネントは日立化成工業 <4217> 、日立金属 <5486> 、日立電線 <5812> などの連結対象の上場子会社がかなり貢献している。他にも日立建機 <6305> 、日立国際電気 <6756> 、日立ハイテクノロジーズ <8036> などの収益改善がかなり本体の収益力向上につながっている。 昔から、連結力の日立といわれ、良い時には非連結の倍以上の利益を上げるなど、連結収益の安定さが力の源泉だったが、リーマン・ショックによる世界同時不況は、グループとしての気の緩みをさらけ出した。ただ、方向性が決まると本体、子会社とも高い技術力には定評があるだけに、想定以上の力と成果が表面化した格好だ。 10年9月中間期の連結業績見通しも上方修正。売上高は従来予想比1000億円増の4兆4000億円(前年同期比6.7%増)、営業損益は同450億円増の1700億円の黒字(前年同期は247億円の赤字)の見通しだが、足元の収益力改善の勢いからも再上方修正に進む可能性が高い。 総合電機のコア銘柄が日立なら、コンポーネント、つまり、部品のコア銘柄としては日本電産 <6594> を挙げたい。HDD(ハードディスク駆動装置)用精密モーターの専業最大手で、新興国のパソコン市場拡大を主因に精密モーターの需要が拡大。また、連結上場子会社6社のいずれもが、期初計画を上回る業績を上げたこともあり、第1四半期は連結売上高1708億円(前年同期比38.3%増)、営業利益270億円(同2.62倍)、純利益138億円(同2.36倍)という大幅増収増益を達成した。 特に注目されるのが、売上高が100%回復した場合、利益率2倍が目標の、「WPR」という同社独自の経営理念が本体はもとより、子会社にも浸透している点だ。11年3月期の連結業績見通しは売上高6600億円(前期比12.3%増)、営業利益1000億円(同27.6%増)という期初予想を変えていないものの、期中に大幅上方修正に進むことが濃厚視される。 中期計画では、ハイブリッド車や電気自動車時代の到来を見据えて、車載モーターを次の成長の柱に位置づけ、着々とその構想を進めている。15年度に売上高2兆円が目標だが、子会社の想定を上回る成長と合わせ、達成は1年以上短縮される公算が大きい。
大手高炉各社の11年3月期第1四半期業績は、中国・インドなど新興国経済の好調や、欧州における金融危機のマイナス影響が想定以下だった点などにより全般好調だった。 新日本製鉄 <5401> の営業損益は511億円の黒字と534億円の赤字だった前年同期からの黒字転換を達成。住友金属工業 <5405> も345億円の赤字から143億円の黒字、JFEホールディングス <5411> も612億円の赤字から533億円の黒字に浮上した。各社とも販売価格や鉄鉱石、石炭など原料価格ともに交渉中との理由から、11年3月期連結の中間期、通期ともに予想の開示を大方見送っていたが、新日鉄は中間期については売上高・損益とも予想を公表(通期は経常利益のみ公表)。住金は中間期は売上高・損益とも公表、通期は売上高を除いて公表した。JFEは中間期、通期とも売上高・損益予想全部を開示した。ただ、社によって櫛の歯が欠けているような格好で未開示の項目が残る点が示すように、先行きの不透明感は払しょくされていない。 最大のポイントは中国の経済動向だろう。同国の景気は鉄鉱石はじめ原料価格の国際市況に大きな影響を及ぼすのに加え、日本の高炉各社の業績にも鋼材輸出の増減という経路を通じて波及する。8月11日に集中的に発表された7月の各種経済指標は総じて、同国の経済が微妙な曲面に差しかかっている現状を示唆する中身となった。工業生産は前年同月比13.4%の増加。6月の13.7%より小幅ながら減速した。同国内では足元、鋼材在庫が積み上がり、一部の製鉄所では減産の動きも出ている。 一方で、消費者物価指数(CPI)は3.3%の上昇と、足元の1年9カ月間で最も高い伸び率となっており、市場に根強い金融引き締め観測を維持する形となった。不動産価格が利上げを通じて急落するとの懸念を、当局がどう判断するかが一つのポイントとなるが、中国の不動産価格急騰は沿岸部のそれも一部の地域に限られるうえ、給与所得者の年収との比較からすれば許容範囲内との見方もある。同国の経済鈍化は、通年から四半期ごとに市況に連動して決定する方式に改められた原料価格には下落要因としてプラスだが、近隣諸国の経済への影響を考慮すればやはり悪材料だろう。 むしろ、鉄鋼セクターで期待できるのは、特殊鋼専業メーカーとみられる。
11年3月第1四半期の決算発表を終えた化学セクターのなかで、住友化学 <4005> が10年9月中間期と11年3月期の業績予想を、三菱ケミカルホールディングス <4188> が同中間期の業績予想をそれぞれ上方修正した。 住友化の中間期営業利益は従来予想が140億円で、進ちょく率が243%の超過達成となり、予想を500億円に引き上げている。それでも第1四半期の営業利益は340億円で進ちょく率は68.1%と高い水準。石油化学と情報電子化学の収支が好転したことが大きく影響した。石油化学部門でナフサなどの価格是正が浸透したことや海外市況の上昇が貢献した。情報電子化学部門では液晶ディスプレー材料の偏光フィルムやカラーフィルターが、新興国を中心とした好調な需要に支えられ、出荷が大幅に増加している。 中間期のみを見直した三菱ケミも、ケミカルズセグメントの石油化学製品の価格是正が進んだことや、機能性商品分野などで需要が回復。従来予想に対する進ちょく率が86.9%、上方修正後でも65.4%と第1四半期を終えた時点で超過達成ペースを維持している。 中間期、通期とも業績予想を据え置いた三井化学 <4183> も石油化学や基礎化学分野での価格是正が貢献、自動車関連向けの機能性樹脂が好調だった。中間期の営業利益に対する進ちょく率が87.2%と高い数値となっている。 いずれの銘柄も、製品需要が回復したことから、ナフサ価格などの高騰を価格転嫁できたことで増収増益となった。国内では年内に家電エコポイントの付与が終了となることが予定され、液晶テレビの駆け込み需要が発生するとみられている。新興国での堅調な需要とあわせ、年後半にかけて液晶部材関連は好調を持続するとみられる。三井化学は高進ちょく率を背景に、中間期業績予想の上方修正期待が高まりそうだ。住友化は、石油化学分野が好調なことから、着工時期が未定となっているサウジアラビアのラービクプロジェクトの第2期工事を進める可能性もあり、ファイナンス懸念が浮上することも考えられることから注意が必要か。 大手以外では、ダイセル化学工業 <4202> が好調な決算を発表した。第1四半期の連結決算で大幅営業増益を達成。営業利益が110億6900万円(前年同期比9.3倍)に大幅回復した。中間期予想の167億円を据え置いたことで進ちょく率は66.3%に達している。セルロース事業、有機合成事業、火工品事業が前年同期比で増収増益を達成。合成樹脂部門が営業黒字に転換するなど堅調に業績を伸ばしており、業績の上方修正が期待される。 また、電気化学工業 <4061> は、第1四半期の営業利益が61億1400万円(前年同期比5.4倍)に急増。中間期の営業利益予想120億円に対する進ちょく率は50.9%と会社側の想定の範囲内となっている。ただ、LED(発光ダイオード)向け蛍光体などの電子材料事業の売上高が前年同期比54.8%増の42億8900万円と大幅増収を達成。LEDディスプレーが主流となりつつあり、同社の蛍光体への需要増加が業績の下支え要因となりそうだ。 PR |
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