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2010 07,25 17:00 |
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個人消費の先行き大丈夫? (1)=エコカー減税終了なら新興国頼みか 実感の乏しい景気回復、庶民の代表的な外食品の牛丼の値下げ競争など、依然、デフレ色が強く、各種統計でも個人消費の低迷を表すものが多い。海外に目を向けると、欧州でのギリシャなどの国家財政破たん懸念、国内でも参議院での与野党逆転によるねじれ現象など、あまり明るい動きはみられない。 経済の60%以上を左右する個人消費がこのまま、停滞、あるいは減少方向に走れば、先行きの日本経済も失速してしまう。はたして、個人消費に救いの目はないのだろうか。数少ないものの、政府の景気刺激策の延長、さらに、記録的な猛暑と外国人旅行客の増加が消費復調の鍵となりそうだ。 政府の個人消費刺激策として実施され、効果を上げているのが新車購入時のエコカー減税と、家電製品のエコポイント制度だ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
エコカー減税は、特にハイブリッド車の購入に高いプラス効果を働かせており、10年1-6月の販売実績(日本自動車販売協会連合会調べ)では、トヨタ <7203> のプリウス(前年同期比2.31倍)、ホンダ <7267> のフィット(同37%増)とハイブリッド車が1、2位を占めている。ベスト30位までの車種で、前年同期の実績割れはわずか1車種のみとなっている。 ただ、問題は、この上位30車種が、トヨタ、ホンダ、日産自 <7201> の大手3社でほとんどが占められていることで、30位のうち、3社以外では、11位にマツダ <7261> のデミオ、29位にアクセラ、21位にスズキ <7269> が入っているだけだ。だから、国内の売れ行きについても、下位メーカーは「国内は苦戦」(富士重 <7270> など)との声が大きい。ただ、海外の需要は、大手、下位のメーカーを問わず、特に中国などアジア地区が伸びており、年前半の各社業績は、円高にもかかわらず、想定以上となっているところが多い。 問題は、このエコカー減税が9月には終了してしまうことだ。政府筋からは制度延長の声が聞こえてくるものの、ねじれ国会の問題もあり、具体的には何も決まっていない。このため、9月には駆け込み需要が期待されるものの、10月以降は急失速の可能性もある。 メーカー筋では「現場レベルで対応していく。メーカーとしては販売促進策への注力、特別仕様車の提案といったレベルでの対応にとどまるだろう」(マツダ)との声も聞かれたが、内需が失速した場合、欧米先進国で経済の先行きにやや懸念があるだけに、中国などアジア市場での比重の高さが、株価面でも影響してこよう。中国に強い日産自、インドで圧倒的なシェアを持つスズキは見直されてこよう。9月以降のエコカー減税が延長されれば、トヨタ、ホンダなどが引き続き高い恩恵を受けることが予想され、この点で株価の再評価が予想される。
自動車と並ぶ景気刺激策が家電製品のエコポイント制度だ。地デジ対応の薄型テレビ、冷蔵庫、エアコンの3製品が対象の商品だが、昨年より対象商品の中身が絞られたにもかかわらず、好調な売れ行きを続けている。地デジ対応の薄型テレビはサッカー・ワールドカップ効果を主因に、今年に入っても高い伸びを継続している。 メーカーの業界団体である電子情報技術産業協会調べによる10年1-6月の薄型テレビ国内出荷台数は前年同期比73.3%増の898万9000台という大幅な伸びだが、「薄型テレビだけでなく、ブルーレイディスクレコーダーなども合わせて購入するお客様が多い」(エディオン <2730> など)という。エコポイント制度は年内いっぱいだが、地デジ対応テレビへの切り替えが来年7月に迫っていることや、3D(立体)技術の搭載テレビなど需要促進のための技術進歩もあり、販売筋では「そう極端に落ち込むことはないとみている」(ヤマダ電機 <9831> など)との声が異口同音に聞かれた。 エコポイント対象商品で、昨年と売れ行きが様変わりなのがエアコンだ。梅雨前には冷夏で伸び悩んだ昨年と同様に需要に動きらしい動きがみられなかったが、梅雨明けの7月中旬からは、全国的に記録的な猛暑の到来により、「前年同月比で倍以上の伸び」(ケーズホールディングス <8282> ほか)となっており、メーカーでも多くがフル操業で対応している。販売筋によれば、購入して初めて省エネ効果の高さに驚くお客が多いとの声も聞かれた。季節商品の扇風機や、直接気温上昇の影響がないようにみえる冷蔵庫の売れ行きも好調で、まさに「暑さ」様々の状況だ。 また、デジカメなどデジタル小物商品の神風になりそうなのが、外国人旅行客、特に中国の富裕層の旅行客の増加と、量販店への来客増だ。まだ、7月1日のビザ発行条件緩和による中国人旅行客の増加の効果は出ていないもようだが、小物デジタル商品の大量買いが目立ち、しかも「高い商品ほどよく売れる」(ビックカメラ <3048> など)という。これから、夏休みシーズンとビザ発行条件緩和効果で、中国人旅行者の増加が見込まれるため、さらなる売上の拡大が期待できそうだ。 家電メーカーは、為替の変動や、海外メーカーとの競争から、今年度の決算は厳しさが見込まれるものの、家電量販店は多くが業績増額含みにあり、特にヤマダ電機、デオデオ、ケーズHDなどの大手ほど、景気対策や猛暑効果が大きい。株価面の評価余地もまだまだ大きそうだ。
小売の代表といえば、百貨店、専門店、チェーンストア、コンビ二などが主なところだが、業界団体の販売統計はデフレ基調を映し、厳しい内容となっている。 日本百貨店協会の発表した6月の全国百貨店売上高は店舗数調整後で、前年同期比6%減と28カ月連続のマイナスとなった。日本チェーンストア協会の全国62社の売上高は1-6月が前年同期比4.3%減、6月は前月比1.3%減、コンビニエンスストアのみが、6月は前年同月比0.9%増とプラスに転じたが、既存店売上高は同1.5%減と13カ月連続のマイナスとなっている。つまり、一般小売はデフレ色が引き続き尾を引いている格好だ。 しかし、3団体とも、7月は好転の可能性を示唆している。この主因が猛暑だ。実際、多くの百貨店、チェーンストアで夏物衣料、寝具などが想定以上の売れ行きをみせ、チェーンストアではアイスクリーム、飲料の売上が大きく伸びている。このため、百貨店売上高は29カ月ぶりにプラスに転じる可能性が高い。 また、百貨店協会では外国人観光客の売上高、来店増に期待をしている。6月の外国人観光客の百貨店での売上(20社40店舗)は13億1037万円余りで、前年同期比99.1%増と、ほぼ倍増となっている。購入商品でもブランド物など高額商品が目立っている。来店客の国別では、中国、台湾、香港が上位3番までを占めている。中国本土からのお客分析では、免税件数845%、免税売上998%と突出している。7月からのビザ発行条件緩和により、中国客の所得水準は落ちるものの、買い物意欲が強いこと、富裕層の日本観光も引き続き増加が見込まれるため、期待は大きい。複数の百貨店の広報担当者から、「売上に占める比重はまだ10%にも満たないが、高付加価値品の購入という点で、今後の期待も大きい」という声が聞かれた。 また、業界トータルでは売上減ながら、個々の会社、店舗では健闘しているところもある。その代表が東京・銀座の松屋 <8237> 銀座店と東京・日本橋の高島屋 <8233> 東京店だ。松屋銀座店は2月より月次売上が前年同月比でプラスで推移しているほか、高島屋東京店も、1月以降、何回がプラスとなっている。この両店に共通しているのが、高級ブランド品の売り場の充実と、地下の食品街の充実、さらに、外国人観光客への対応で前向きに取り組んでいる点だろう。 松屋銀座店は、銀座という場所が中国人の観光客にとって、東京・秋葉原、中国人居住者の多い東京・池袋と並んで、買い物の「聖地」とみなされていることや、ライバルの三越銀座店が「改装中で、三越にいらしたお客様が当店に流れてくる」(広報担当者)こともプラスに働いている。特に百貨店への外国人観光客の来店者は高級ブランド品を欲する比重が高く、カジュアル商品を強化した店との間で、明暗が分かれている。業績面でも、松屋、高島屋は経費節減努力もあって、業績も上向いており、株価面の評価も新たに期待したい。 専門店では、カジュアル衣料の「ユニクロ」を運営するファーストリテイリング <9983> が業績見通しを下方修正したり、やはりカジュアル衣料大手のポイント <2685> が11年2月期第1四半期(10年3-5月)で営業減益となったほか、家具大手のニトリ <9843> の6月既存店売上が減収となるなど、やや足踏み感がでてきている。原因はそれぞれ異なるが、これらの専門店は、過去の例からしても、原因を素早く把握し、立ち直りが早い。消費の勝ち組と称されるのも、この底力の強さにあり、このネガティブ材料で株価を下げたところは、中・長期的に考えれば、絶好の仕込み場となろう。この消費の勝ち組という店では、しまむら <8227> 、エービーシー・マート <2670> 、良品計画 <7453> なども挙げられよう。 PR |
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