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2010 07,11 18:30 |
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世界中に走り始めた奇妙な「亀裂」 世界中に走り始めた奇妙な「亀裂」 世界中に不気味な亀裂、奇妙なヒビが走り始めている。全世界に行き渡る不良債権の総額が、600兆ドル(6京円)という天文学的数字になったとされる。この想像を絶する借金の清算には、もはや単なるリセッション(景気劇的後退)では間に合わず、“ハードクラッシュ”すなわち戦争しか道は残されていないと断言する者もいる。そんな状況のなかで、世界中に亀裂が見られる。その亀裂は、中国・北朝鮮にまで広がっているのだ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
4月20日の夜、米ルイジアナ州の沖合80Kmのメキシコ湾で操業していた石油メジャーBP社の石油掘削基地で爆発事故が発生。深さ5500mの掘削パイプが折れて、大量の原油がメキシコ湾に流出し始めた。その流出量は、当初発表された量よりはるかに多く、1日1万5000キロリットル(BP社発表)と訂正された。6月12日には、BP社が流出量を過小評価してきた姿勢に対し、米政府がこれを告発する動きを見せている。 6月末時点で、すでに被害額は数十兆円を越えており、内陸部までの被害総額は、最終的には200~300兆円に達するとされる。米政府は英BP社に対して「巨額の基金設立」を求め、交渉していることが公表されている(6月14日。バートン米大統領副報道官のコメント)。ここで米側が求めている基金の額は200億ドル(1兆8000億円)で、第三者機関がこれを管理して、被害者に対する個別の補償を行うという計画だ。 米議会は、BP社がコストを優先して簡略設計を採用したことが、事故の原因につながっていると追及を強め、米国世論もBP社側に対する怒りを強めている。またいっぽうでは、BP社に対するオバマ大統領の厳しい非難が、英米間の関係を損ねているとの世論が、英国内で広がっている。 英国人にとっては、「BP叩きは英国を叩いているのと同じ」との認識が強い。英サンデー・タイムズの世論調査では、オバマのBP社への対応が両国関係を損ねていると考える英国人は64%に達している。 たとえばイラク戦争のときなど、英国は内心では反対であっても、米国が始めた戦争を追認し、同盟軍までも派遣した。これまで見られた「英米の特殊な関係」とは、そういう密接な信頼関係にあった。ところがいま、その特殊な関係に亀裂が入ってしまった。
BP社の旧社名は「ブリティッシュ・ペトロリアム」(British Petroleum)。20世紀には大英帝国と共に栄光の歴史を歩んできた企業である。そして現在のBP社は、エクソン・モービルやシェルといった世界6大スーパーメジャーの一つであり、国際資本による超巨大エネルギー産業である。このBP社と深い関係にあるのが、米ゴールドマンサックスだ。 オバマが英BP社を叩く姿勢を見せていることは、同時に、GS(ゴールドマンサックス)と対決する姿勢を明らかにしているとも考えられる。米国議会関係者らが、「爆発事故直前に、GSがBP社の株を売り抜いていた」との情報をマスコミ関係に漏洩していることも明らかになっている。これもオバマ政権がGSを敵に回していると分析する根拠の一つだ。 つまりオバマは、20世紀の世界を支配し続けてきた英アングロサクソン系国際石油メジャーと対決し、同時に、20世紀末から21世紀初頭に金融勢力として世界に君臨するゴールドマンサックスを敵に回したと考えて間違いない。 オバマのこの姿勢を喜ぶべきなのか、危険視すべきなのか、簡単に答えを出すことはできない。 ところでメキシコ湾石油流出事件に関して、少し気になる事実が存在している。BP社が石油分散剤として使用しているCorexit 9500という化学薬品はGS(ゴールドマンサックス)関連企業の製品で、石油処理剤としての効能は弱く、しかも毒性が強いというのだ。BP社の説明によると、すでにこの薬品が65万ガロンも投入されている(一説には130万ガロンを越えているともされる)。この量はメキシコ湾内の生態系破壊につながる恐れがあり、万一この地域に巨大ハリケーンが吹き荒れることがあれば、大西洋にまで石油と有毒薬品が流出する可能性もある。 それは世界に何を引き起こすか、想像に難くない。 現実に6月30日には巨大ハリケーン「アレックス」がメキシコに上陸したが、米国の気象学者は「今年はハリケーンの多発年」との予測を立てており、心配が現実のものになる可能性は高い。 さらに奇妙な噂話もある。現実の石油流出量はBP社発表の「1日1万5000キロリットル」よりはるかに多いというのだ。どうしてそんなに巨大な量の石油が噴出することになったのか。地殻を突き抜いてマントルまで破ってしまったなどという怪説も登場している。海洋地殻は大陸地殻より薄く、またマントルの厚みも一定ではなく、部分的には極端に薄い層があることは事実である。ちなみに石油流出事故が起きたルイジアナ州沖合のメキシコ湾といえば、古くから“魔の海域”と恐れられていた「バミューダ海域」の外れにある。
亀裂が走っているのは、英米間だけではない。世界中で亀裂が目立っているのだ。日本でも、5月末には与党内に亀裂が入り、社民党が与党から離脱したのはご存じの通り。その民主党だが、参院選の選挙期間中にも、菅首相や枝野幹事長と小沢一郎元幹事長との間に亀裂が走るという無様さを見せている。欧州ではユーロ危機が叫ばれるなか、ギリシア救済のために2兆5000億円の融資を決めたドイツのメルケル政権が、世論から糾弾される状況に陥っている(86%がメルケル政権に「不満足」と回答)。さらにそのドイツのメルケメ政権は、EUの財政政策を巡って、フランスのサルコジ政権と対立し、独仏間に亀裂を生じさせている。 そうしたなか、最大の亀裂に悩んでいるのはイスラエルかもしれない。 5月末にパレスチナ自治区ガザへの支援船を、イスラエル軍が地中海の公海上で急襲し、乗組員等9人を射殺する事件が起きたことはご存じのことと思われる。この事件に関して、6月13日になってイスラエルは、国内法律専門家に外国人2人のオブザーバーを加えた調査委員会を発足させた。外国人はアイルランドとカナダの人間である。 その2日後、アイルランド政府は在アイルランドのイスラエル大使館員1人を国外追放すると発表した。1月にドバイで起きたハマス(イスラム原理主義組織)幹部暗殺事件に関係するものと説明されているが、これはイスラエル政府のアリバイ証明的な調査委員会設置に、アイルランドを巻き込んだことへの、痛烈な皮肉である。 しかし現実には、調査委員会を設置しなければならないほどに、イスラエルが追い込まれていることは事実なのだ。委員会設置の翌日、ネタニヤフ首相は「イスラエルの未来に“荒れた海”が待っている」ことを予見し、「困難な日々のために準備せよ」、「中世からの闇の力が我々に向かってきている。現況を非常に心配しているバルカンと東欧の同胞から電話を受けた」と意味深長な発言を行っている。さらに、イスラエルの同盟国からの“サプライズ”――予期せぬ反応もあり得ると警告を発しているのだ。 オバマが大統領になって以降、米国とイスラエルの間に隙間風が吹き始め、いまではそれがイスラエルの孤立を生んでいる。だがイスラエルの苦悩は、対外的なものだけではない。 イスラエルの入植地エマニエルで、アシュケナジー(東欧白人系ユダヤ人)とスファラディ(スペイン系ユダヤ人)の裁判が戦わされている。アシュケナジーの女学校がスファラディの女子生徒の受け入れを拒否したためだ。最高裁は6月中旬に、スファラディの少女が学校に通っていることを理由に、自分の子供を学校に行かせないアシュケナジーに罰金刑を科す判決を下した。さらに最高裁は、この命令に従わない40家族の両親を収監すると決定したが、その決定に対して大規模な暴動が起きているのだ(6月17日)。 アシュケナジーとスファラディの対立は根が深い。白人系 vs 有色人種系という人種対立だけではないからだ。そこにはさらに、宗教至上主義と世俗主義との対立が加わる。 世俗派スファラディの学校では、常識的にわれわれが理解できる教育が行われている。だが宗教至上主義アシュケナジーは基本的に、「トーラー」(ユダヤ教の根幹をなす旧約五書の神学)だけを学ばせたいと考えている。宗教至上主義アシュケナジーは「たとえ指導的ラビが銃殺されることがあろうと、考え方を変えることはない」として、最高裁の決定に従わず、スファラディとの共学を拒否しているのだ。 これまでアシュケナジーとスファラディの対立は、イスラエルでは禁忌されてきた。心の奥底では感じながらも、差別を排するという原則の上に社会が成立していた。ところがイラク戦争を「大イスラエル主義への第一歩」と定義したところで、雰囲気が一変したのだ。さらには「第三神殿」の建立が直前に迫っている(すでに着工した?)との認識もあり、宗教至上主義と世俗主義との対立が一段と深刻なものになりつつあるのだ。 イスラエルが孤立し、国内の状況が不安定になることは、非常に危険な兆候である。世界が不況に喘いでいる現状は、その危険さが倍増される。最終戦争ハルマゲドンが“演出される”可能性は、ますます高まってきているのだ。 そうしたなか、イスラエルと同じように孤立を深めている北朝鮮もまた、中国との間で亀裂を見せ始めている。
6月4日に中朝国境の鴨緑江で、北朝鮮側の銃撃により中国人4人が死傷する事件が起きた。中国政府は強烈に抗議し、北朝鮮が事実上の詫びを入れ、1人3000ドルの賠償を支払うことで合意したと伝えられる。 その記憶も新しい6月22日に、韓国のYTNテレビが「6月20日に、中国人の貿易業者2人が、北朝鮮慈江道満浦市でスパイ容疑で拘束され、取調中に暴行を受け(撲殺)死亡。中朝間で外交摩擦が起きている」と報道した。 中朝間で外交摩擦が起きている最中の6月22日、吉林省の中国政府当局は、中朝国境を流れる豆満江(中国名=図們江)に架かる橋の改修が完了したと発表している。この費用360万元(4800万円)は全額中国が負担している。 この橋は北朝鮮の羅津港にある埠頭への窓口であり、その第一号埠頭は中国が10年間の使用権を持っている。中国としてはできるだけ早くこの埠頭の本格運用を行いたいのだ。 この状況は、駄々をこねる乱暴な子供を、飴とムチで何とか手なづけたいと考える大人との構図に似ている。そして、駄々をこね、乱暴狼藉が過ぎる悪餓鬼に対して、ときに大人は“脅しをかける”こともある。 6月19日には「朝鮮戦争を起こしたのはソ連と北朝鮮」だと中国紙が異例の報道を行ったとのニュースが流された(http://www.epochtimes.jp/jp/2010/06/html/d19967.html)。さらに中国国営・新華社系の情報紙「国際先駆導報」でも、6月24日発行の記事にて「1950年6月25日、朝鮮軍が38度線を越えて侵攻し、3日後にソウルが陥落した」と報じている。 北朝鮮が先に韓国に侵攻し、これが朝鮮戦争に発展したというのは、国際的な定説。だが中国はこれまで、北朝鮮が先制攻撃を行ったとは認めていなかった。 どうやら中国政府は、駄々っ子・北朝鮮に愛想をつかし始めたとも見て取れる。そしてじつは、5月初旬の金正日訪中の際に、中朝亀裂の引き金が引かれていたことが、ごく最近になって明らかになってきた。
5月3日に金正日総書記が中国の大連に到着した。このとき中国側は、李克強副首相が出迎えたのだが、そのときに金総書記と李副首相の腕がぶつかったのだ。このとき金正日総書記の護衛が李副首相の腕を押し、中国側の護衛と北朝鮮の護衛との間で“険悪な雰囲気が作られた”という。 この出来事は、金正日総書記訪中の最初に起きた“事件”であり、この出来事が金総書記訪中の成果を見事に演出したとも考えられる。 5月の訪中時に金正日総書記が、胡錦濤国家主席に対し、最新鋭戦闘機を初めとする軍事支援を求めたことが判明。しかも中国側は、これを拒否したというのだ。 金正日総書記は中国の最新鋭戦闘機「殲10(J10)」を北朝鮮の主力戦闘機とする構想を持っていること。そのために同機などを無償援助をしてほしいと公式要請したというのだ。胡錦濤国家主席は全面的にこれを拒否。さらに、北朝鮮が攻撃を受けた場合には、十分な支援を行う用意があることを説明。それゆえに北朝鮮が最新鋭兵器等を所持する必要はないと説得したと伝えられる。 金正日は訪中の最後に、胡錦濤国家主席と共に歌劇「紅楼夢」(清王朝時代に書かれた長編物語)を観劇することになっていたが、それをキャンセルして帰国してしまった。胡錦濤から軍事援助を断られたのがその原因と分析する事情通も多い。もっとも金正日の急な帰国に関しては、一部には、民主党・小沢一郎の“ウルトラC”計画(日朝国交回復、拉致被害者帰国計画)が、胡錦濤・温家宝によって白紙に戻されたためとの説もある。 金正日はなぜ最新鋭戦闘機や最新兵器を求めたのか。これに関して、最近脱北した元北朝鮮政府高官はこう指摘する。 「金正日総書記は韓国哨戒艦・天安沈没事件以降、米国韓国連合による軍事攻撃の可能性にかなりの危機感を感じていた可能性がある」 また北朝鮮の元軍人は、こう語る。 「北朝鮮は特殊戦兵力を増強し、非対称戦の戦力も増強しているが、海軍力、空軍力では韓国に劣る。とくに空軍力の劣りに関しては危機感が強い」 北朝鮮はロシアに対し莫大な負債(借金)を抱えている。北の空軍力は本来ならロシアに頼りたいところで、最新鋭戦闘機スホイ導入が望ましいのだが、代金の支払い面で無理なのだ。そこで中国に無償援助を求めたものと考えられる。
朝鮮戦争が勃発したのは1950年6月25日だった。その開戦の日から60年が過ぎた2010年6月25日の北朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、韓国哨戒艦・天安沈没が北朝鮮の魚雷によるものだというのは、南朝鮮(韓国)の“謀略”だと改めて主張。さらに、「朝鮮半島は任意の時刻に核戦争が発生し得る一触即発の超緊張状態となっている」としている。 さらに社説では、「戦争から半世紀以上が経ったものの、朝鮮半島の平和は脅かされた。米帝こそわが民族の百年の宿敵」と非難。朝鮮半島の不安定な“休戦状態”を“恒久的な平和保障体系”に転換するために実践的な対策が必要だと指摘。戦争の危険を払拭し、自主統一を実現するには「南北共同宣言」と「南北首脳宣言」を固守し履行するほかはないと主張している。 最近の国境付近での事件や、外交的に緊張している中朝関係について、北朝鮮当局はこれを「米中の戦略的対峙の余波」と捉えている。この分析は極めて正しい。北朝鮮の国際情勢分析力は、もともと異常なまでに優れているのだ。だからこそ、南北対立、東西冷戦と続く緊張の歴史の中で、ソ連・ロシア、中国、米国を相手に、堂々と外交戦を戦い抜き、勝ち残ってきた国家なのだ。そしてさらに北朝鮮は、朝鮮半島情勢が緊迫の度合いを深めていく主導権を、自らが確保しようとしているのだ。 北朝鮮はまた、メキシコ湾原油流出事故にからんで米韓間に亀裂が入る可能性を見越している。 BP社が米ルイジアナ州の沖合メキシコ湾で引き起こした石油流出事故だが、事故が起きた石油掘削施設(Deepwater Horizon)は、韓国の現代重工業が建設したものだ。建設された時期は2001年で、油田掘削会社R&Bファルコン(R&B Falcon Corp)に3憶6500万ドルで売却されている。 (注・R&Bファルコンはその後、スイスのトランスオーシャン社(Transocean Ltd)に買収されている) 現代重工業に責任はあるのだろうか。これに関して現代重工側は、「施設が作られてから10年が過ぎた。アフターサービスも終わっている。10年間の運用を見ると、施工上の問題ではなく運用上の問題だ」と事故との関連性を否定している。だが一般論として、石油掘削施設の寿命は25~30年で、アフターサービス期間が過ぎたからといって責任が消滅したとはいえない。BP社が米国から巨額の補償を迫られた場合に、韓国の現代重工にその一部が回される可能性は高い。これが結果として、米韓間の亀裂に発展する可能性はある。 北朝鮮は、そこまで見通して、韓国に対して自主統一の必要性を訴えているのだ。さらに北朝鮮には、金正日総書記の健康問題と、そこに関わる後継者問題がある。 北朝鮮としては、半島の危機演出の主導権を完全に自分のものにするためには、米国や中国だけを相手にしても無意味なことは、よく理解している。つまり当然のことながら、北朝鮮はこの危険な駆け引きに日本を巻きこもうとするはずだ。では日本政府に、全世界に広がる亀裂の状況を見きわめ、半島情勢に対して正確な情報判断ができる能力があるのか。それによって、東アジアにおける日本の存在感が決まってくる。 史上稀なほど見事に国民大衆が無関心な参院選挙は、間もなく投票日を迎える。■ ここに、ワタシが前々から言っている「キナ臭い話」の あとの3割程度は追々、兆候が観られ次第にお知らせ致します。 PR |
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