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2010 06,05 09:00 |
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【日本株週間展望】日経平均1万円回復へ、心理改善で政治期待先行 6月第2週(6月7-11日)の日本株相場は、日経平均株価が1万円の大台を約3週間ぶりに回復しそう。投資家の過度の悲観論が後退し、国内景気の改善傾向をあらためて評価する。政局混迷もひとまず収束し、菅直人民主党代表がかじを取る新政権への期待が先行しそうだ。 ただ買い一巡後は、新内閣による政策スタンス、欧州の財政動向と中長期的な問題に投資家の視線が戻り、株価指数の上値も重くなる可能性が高い。 ちばぎんアセットマネジメントの安藤富士男顧問は、「1万円台に乗せる動きとなろう。日本にとっての大口の輸出先である米国やアジア景気は順調に回復しており、国内の企業収益は良好だ」と指摘。しかし市場は、欧州不安を依然警戒しており、「ドイツとギリシャの国債利回り格差を見ると、怖くなる」と話している。 6月1週の日経平均は、前週末比138円21銭(1.4%)高と3週ぶりに上げた。欧州の債務危機への懸念、世界的な金融規制に対する警戒感は根強いものの、5月後半のパニック的な下落で日本株全体に対する割高感が解消されたほか、足元の国内外の堅調な経済指標も支えとなり、見直し買いが入った。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
急速に悪化した投資家心理は、徐々に落ち着きを取り戻している。投資家の悲観度を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は3日の取引で29.46まで下げ、1年2カ月ぶりの高水準に跳ね上がった5月20日の45.79から急速に低下している。また米10年債利回りは、リスク回避の動きから5月下旬に1年ぶりの低水準3.16まで低下したが、その後は3.3%台へ反転した。 東海東京証券の鈴木誠一マーケットアナリストは、日経平均について「今後は過度の悲観論の後退から、中期的な売買コストの25日移動平均線付近の1万200円くらいまでは戻る可能性がある。戻りの過程では、イベントを前向きに受け止めるだろう」と予想する。 先行きを懸念し、投資家心理が右往左往する中でも、景気は着実に回復してきた。米国で2日発表された4月の中古住宅販売成約指数(季節調整後)は前月比6%上昇。ブルームバーグ調査(予想中央値5%上昇)を上回った。国内で9日に発表予定の4月の機械受注は、ブルームバーグの事前調査(民間エコノミスト19社)で、予想中央値が前年比7.2%と08年6月(9.7%)以来、リーマン・ショック以前の水準を回復する見込みだ。 「センチメントが縮小した分だけ売られ過ぎているため、その分戻してもおかしくはない。あらためてファンダメンタルズを確認する動きとなるだろう」と、いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は見る。
期待と不安が同居する国内政局に関しては、相場水準が低下している足元では、期待がひとまず先行しそう。政治とカネの問題、沖縄の米軍普天間基地問題の迷走などの責任を取り、鳩山由紀夫首相は2日の民主党両院議員総会で退陣を表明、同党の小沢一郎幹事長も辞任した。同党は4日に代表選挙を行い、菅直人副総理兼財務相が当選、その後の衆参両院本会議で第94代首相に指名された。 市場関係者の間では、政局混迷はとりあえず回避できたとの見方が多い。いちよし投資顧問の秋野氏は、菅氏が法人税減税などの政策を提唱していることから、「これまでの民主党の生活者重視の姿勢から、企業重視の政策に移れば、相場にとってはポジティブだ。ひとまず期待先行となろう」と言う。菅氏は、組閣を8日に行う考えを示したとNHKが報じている。 為替市場ではすでに期待を先行させており、ドル・円相場は円安方向に振れる展開。菅氏はこれまで、日本銀行に対し一段のデフレ対策を講じるように求めており、円安政策を進めるとの見方が広がっている。4日の取引では一時1ドル=92円86銭と5月18日以来、約2週ぶりの円安値水準に至った。一段の円安進行となれば、日本の輸出関連企業の収益期待が高まりそうだ。 ただ菅氏は、財政再建を優先する可能性が高いとの見方も出ている。「5-10年後を考えると、緊縮財政は日本経済にとって良い話。しかし、効果が出るまでの痛みは大きく、増税の議論もいずれ出てくるだろう」と、東海東京証の鈴木氏は予想。このため、ひとまず期待先行で買われた後は、こうしたマイナス面に視線が移り、相場上値は重くなるという。
また、欧州の財政危機に対する警戒もなお根深く、投資家は積極的に上値を追える状況ではない。大和総研投資戦略部の野間口毅部長は、「警戒されているのは保有しているギリシャなどの国債の下落リスク。これに対してはセーフティーネットが張られておらず、金融システム不安からLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)は下がらないまま」と懸念を示す。 ドルLIBOR3カ月物は5月27日に0.538%と昨年7月6日以来の水準まで上昇し、その後も高値圏に張り付いたままだ。「通貨統合以来、欧州の失業率が最悪となるなど、金融不安が実体経済に及ぶ可能性が警戒され始めている」(野間口氏)という。 このほか、6月2週の日本株相場に影響を与えそうな材料は、国内では8日に景気ウォッチャー調査、10日に国内総生産(GDP、2次速報)が発表予定。米国では、11日に5月の小売売上高、6月のミシガン大学消費者信頼感指数の発表などがある。
●東洋証券情報部の檜和田浩昭ストラテジスト 「反発基調が続く。5月に大荒れとなったユーロ相場が落ち着きを見せ始め、ショートカバー(売り方の買い戻し)が入りやすい。日経平均はチャート上にできた5月下旬の『窓』を埋め、心理的節目の1万円を回復するだろう。均衡表(週足)で雲の上限を上回り、終えたこともテクニカルを重視する市場参加者を強気にさせる。株価指数先物の特別清算値(SQ)算出を控える中、薄商いとなれば、先物の買い戻しで1万300円程度まで上げる展開を予想」
「日経平均1万200円までの戻りを試す展開となりそう。米景気改善基調が強まっているほか、ユーロに対する政治的な枠組みも安心感につながり、海外要因での波乱になりにくいだろう。一方、国内では新政権による政策不透明感はあるが、財政再建方針が海外投資家に評価されやすく、『脱小沢』のクリーンイメージから支持率も回復する可能性がある。3日の日経平均の大幅高に象徴されるように、底入れ機運の高まりで売り方の買い戻しは継続しよう」
「4月上旬には『リスク要因がなくなった』とのコメントが一部から聞かれるなど投機的な動きが出ていたが、5月の下げで世界中の投資家がリスクをしっかり見つめようとし始めた。中国不動産バブル崩壊、ソブリン問題の波及、欧州の景気回復減速、欧米の金融規制など、リスクを挙げたらきりがないが、リスクを意識していること自体はヘルシーな話だ。ようやく投資ができる環境になってきた」 記事:東京 常冨浩太郎 Kotaro Tsunetomi PR |
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