6/4 お昼の『株価材料』PART Ⅱ

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■株価材料

△コマツ<6301>株が上値追い、連日の上場来高値更新
午前の株式市場では、コマツ株が上値追いの展開となり、連日の上場来高値更新となった。このところの資源株の動意から、鉱山機械の拡大期待の大きさが注目されている。海外勢など機関投資家の買いが観測されていた。引き続きゴールドマン・サックス証券が、強い買い推奨リストへの採用を継続している点も手掛かりになっている。

△三菱重<7011>株が堅調、三原工場にリニア実験線新設との報道
午前の株式市場では、三菱重工業株が堅調。２日付日経新聞朝刊で、同社が常電導磁気浮上式リニアモーターカーの海外販売に向け、年内に広島県三原市の工場敷地内に実験線を新設すると報道したことなどが材料となっている。

△08―10年度も２６３０億円規模の開発投資へ＝新日石<5001>
新日本石油の西尾進路社長は、ロイターとのインタビューで、次期３カ年計画期間中の２００８―２０１０年度の石油・天然ガス開発投資は、０５―０７年度に実施予定の２６３０億円規模を継続する方針を示した。石油・天然ガス開発事業については、２０１５年に日量３０万バレルを目指している。一方、国内ガソリン需要は減少しているほか、原油価格高止まりでマージンが低下するなど、業界の環境は厳しい。西尾社長は「需要が減るなかで生きていけるかというと、そう簡単なことではない」と述べ、再編の可能性を示唆した。

△商社株への人気継続、世界経済拡大でメリット
午前の株式市場では、商社株への人気が継続している。三菱商事<8058>、三井物産<8031>、丸紅<8002> などが連日の年初来高値更新となっている。引き続き、資源価格上昇や世界物流拡大による業績拡大期待が買い手掛かり。市場では「商社というビジネス形態は日本独特なものなので、外国人投資家にはなかなか理解されないが、その幅広い業務は世界経済が拡大するなかで大きなメリット」（準大手証券情報担当者）との見方が出ている。

▼ＣＨＯＹＡ<3592>株が軟調、今期業績予想を下方修正
午前の株式市場では、ＣＨＯＹＡ株が軟調。同社が１日に２００８年１月期の連結業績予想を下方修正したことなどが材料となっている。７月中間期の経常損益をこれまでの３０００万円の黒字から１億６０００万円の赤字に下方修正した。第１四半期の連結決算では、経常赤字が２億９１００万円となった。

△第一三共<4568>株が堅調、自己株取得を好感
午前の株式市場では、第一三共株が堅調。１日に発行済み株式総数の１．３６％にあたる１０００万株・３５０億円を上限とする自己株取得を決議したと発表したことを好感している。取得期間は６月４日から７月３０日まで。市場からは「配当利回りの高さなどから薬品株に海外勢の目が向いている」（国内証券投資情報部）との声も出ている。

△日本興亜<8754>株が堅調、資本効率狙い自社株買い
午前の株式市場では、日本興亜損害保険株が堅調。同社が１日に、資本効率の向上と株主利益の拡大を狙い、発行済み株式総数の４．１％に当たる３４００万株、４２０億円をそれぞれ上限とする自社株買いを実施すると発表したことなどが材料視力されている。取得期間は４日から７月３１日まで。

△住金<5405>株が続伸歩調、年初来高値688円を更新
午前の株式市場では、住金株が続伸歩調となり５月１０日の年初来高値６８８円を更新した。９時２０分現在、同社株は東証１部で出来高第２位となっている。相場地合いが好転する中、物色の流れが主力である大手鉄鋼株に向かい始めており、短期ディーリングの対象として比較的シコリ感が薄い同社株に買いが集まった格好。新日鉄<5401>、ＪＦＥ<5411>など他の鉄鋼株も堅調な展開となっている。

△ユニバース<3078>株が堅調、今期配当予想を上方修正
午前の株式市場では、ユニバース株が堅調。同社が１日に２００８年４月期の配当予想を上方修正したことなどが好感されている。同社の１株当たりの年間配当金は、これまでの２２円から２５円に引き上げられた。２００７年４月期と比較して、７円増配となる。また、中期的に同社の株式を保有する個人株主の増加を図る目的で、株主優待制度を新設した。

△海運株が大幅高、郵船株が上場来高値1250円に接近
午前の株式市場では、海運株が大幅高となっている。９時５５分現在、東証１部値上がり率ランキングで、太平洋海運<9123>が第１位、乾汽船<9113>が第３位、新和海運<9110>が第４位、明治海運<9115>が第５位。港湾輸送の東海運<9380>が第２位にランクインするなど、値幅取り人気が集中している。大手の中で唯一上場来高値を更新していない日本郵船 <9101> も上値を追い、１７年５カ月ぶりに１２００円台に乗せ、８９年１２月の最高値１２５０円に接近してきた。値動きが軽いことから、短期回転狙いの資金を呼び込んでいるが、乾汽船のＰＥＲは１１倍台、新和海運は１３倍台と銘柄によっては、ここにきても割安感がある点が買いを誘う要因になっている。世界景気の向上期待に伴う荷動きの活発化、海運市況高のほか、為替相場が１２２円台までドル高／円安に振れたことも手掛かりにされていた。

□銀行株が伸び悩み、1.8％に上昇した長期金利に反応薄
午前の株式市場では、三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ<8306>株など銀行株が、しっかりながら伸び悩んでいる。長期金利が７カ月半ぶりに１．８％に上昇したものの、反応は乏しい。堅調な米国景気など海外景気にけん引される相場展開のため、輸出関連株や資源株に市場の関心が向かい、内需株が出遅れているという。

△アルゼＨＤ<6425>株が堅調、08年3月期見通しを引き続き好感
午前の株式市場では、アルゼホールディングス株が堅調。１日に発表した２００８年３月期見通しが引き続き好感されているという。２００７年３月期連結決算は当期損益では９２億円の黒字に転換したものの、経常損益段階では６４億円の赤字に終わった。しかし、２００８年３月期には経常段階で１００億円の黒字に転換すると見込んでいる。当期利益は６０億円の見込み。

△ナトコ<4627>株が買い気配、07年10月期予想を上方修正
午前の株式市場では、ナトコ株が買い気配で始まっている。１日に発表した２００７年１０月期業績予想の上方修正を好感した。連結経常利益は従来予想の１４億７０００万円から１６億７０００万円、連結純利益は７億５０００万円から８億２０００万円に増額した。ファインケミカル事業で自己治癒コーティング材料が電子材料分野向けに好調だったほか、生産面での効率化が進んだことも利益拡大に寄与した。

△インデックス<4835>株が上値追い、ジャスダックで売買代金第2位
午前の株式市場では、インデックス・ホールディングス株が上値追いの展開となっている。９時３０分現在、同社株はジャスダックで売買代金第２位。５月１８日の最安値３万１７００円からの上昇率は、わずか２週間余りで７０％を超す急なものとなっているが、値動きの軽さから個人を中心にリバウンド狙いの資金を呼び込んでいる格好だ。新興株式市場の復調を象徴する動きとの声も出ている。

△ハイテク株が買い優勢、米株高と円安を好感する動き
午前の株式市場では、ハイテク株が買い優勢の展開となっている。ソニー<6758>、キヤノン<7751>、シャープ<6753>などがしっかり。前週末の米国株式市場が高かったことや、外為市場でドル／円相場が１２２円台のドル高／円安に振れたことを好感する動きとなった。株式市場全体の地合い好転から、実需筋の買いも目立つようになっている。
（ロイター）

△ナトコ<4627> 活況、約3ヶ月ぶりに年初来高値を更新。
業績の上振れが好感されているようだ。中間期並びに通期の業績予想を上方修正しており、07年4月中間期については経常利益で6.05億円から8.11億円に増額された。なお、大和総研では投資判断未付与ながらポジティブなレポートをリリース、株価に割安感があるとしている。

△大平洋金属<5541>---続伸、ニッケル関連が朝方から強い動き
続伸。ニッケル市況の上昇を材料に、本日は同社や冶金工、住友鉱などのニッケル関連が値を飛ばす展開になっている。三菱ＵＦＪでは「ニッケル市況は当面タイトな状況が続く見通し」とする業界レポートを発表。ニッケル在庫量水準は低い状態が続いていること、クロムなど代替品へのシフトは限定的と見られることなどで、当面ポンド22ドルは大きく下回らないとみているようだ。

△住金<5405>---続伸で高値更新、90年3月以来の700円台視界に
続伸で5月10日以来の高値更新。90年3月以来の700円台乗せが目前に迫る。全体相場の先高期待や週末の非鉄市況の上昇などを受けて、本日も大手鉄鋼株が軒並み高、また、韓国ポスコはじめ世界的な鉄鋼株高もはやされる格好となっている。

■武田薬品<4502>---小幅反落、配合剤開発の中止発表などで
さえない。糖尿用治療薬アクトスとＡＲＢ型血圧降下剤ＴＡＫ－536との配合剤の開発を中止したと発表。製剤改良の必要性が判明したためとされている。影響は軽微との見方もあるが、フェーズ３段階での開発中止となるため、ネガティブな動きが先行。日興シティでは投資評価を「１Ｍ」から「２Ｍ」に格下げへ。一方では、アバンティアからのシェア移行動向など、今週の処方箋データに対する期待感は高いようだ。

△アルファ<4719>---3営業日続伸で25日線を突破
3営業日続伸で25日線を突破。トレンドは下向きであり、見直す動きが出てきている。なお、三菱ＵＦＪ証券ではレーティング「1」を継続。ＮＧＮの遅れに対する株価の下落は行き過ぎと判断している。

▼ヤクルト<2267>---下降トレンド継続
下降トレンド継続。25日線が上値抵抗線として意識され、再び年初来安値水準を窺う展開に。信用倍率は1倍を下回る状況が慢性化しているが、4月以降、買い残高は膨らんでおり、売り方優勢。外資による再編期待は根強いが、表面化してこないため手掛かり難とも。

■Ｔ＆Ｇニーズ<4331> 7営業日振りにザラバで取引が成立。
今期の業績見通しがネガティブサプライズを誘って、先週末まで6日連続でのストップ安比例配分、本日の寄り付き段階までで株価はほぼ半値の水準にまで下落した。ちなみに、決算発表後の各社の目標株価としては、マッコーリーが40000円、ＧＳが35000円などとなっていた。

△エフピコ<7917>---出来高伴い大幅続伸、ＵＢＳが格上げで
出来高伴い大幅続伸。ＵＢＳが投資判断を「ＮＥＵＴＲＡＬ」から「ＢＵＹ」に格上げで目標株価を5000円としている。業界内での群を抜いた低コスト構造などを評価しているもよう。超軽量トレーやエコトレーなど新製品効果もあって、足元4-5月の出荷数量は会社計画を超過ペースとしている。

△佐世保<7007>---5/14以来の年初来高値更新
5/14以来の年初来高値更新。好業績銘柄への物色意欲が根強い。直近の調整も25日線をサポートに反転。5日線との短期デッドクロス発生も拒否した格好。5/25時点の信用倍率は1.53倍と需給妙味も買い安心感に。

△洋鋼鈑<5453>---直近戻り高値を突破
リバウンド基調が続いており、直近戻り高値を突破。鉄鋼業界の再編機運、1倍を下回るＰＢＲなどを手掛かりにする声も。一目均衡表では先週末までの上昇で先行スパン（雲）上限を突破しており、テクニカル妙味も。

△日本郵船<9101>---大幅続伸、値上げ報道やＣＳの格上げで
大幅続伸で連日の高値更新。ＣＳでは投資判断を「ニュートラル」から「アウトパフォーム」に格上げ、目標株価を1030円から1290円へと引き上げている。相対的な割安感を背景にして、海運セクターのトップピックとして評価。なお、コンテナ船値上げ決着報道を伝わり、海運セクターは現在業種別上昇率のトップになっている。

△東映<9605>---大幅続伸、アルガーブの買い増しを材料に
大幅続伸。アルガーブの株式買い増しが材料視されている。ダヴィンチ系の投資会社とされているアルガーブの保有比率が9.70％から10.83％にまで上昇している。ダヴィンチではテーオーシーに対して敵対的な意味合いも強いＴＯＢ実施を表明しており、Ｍ＆Ａ思惑などにつながりやすくなっている。

△ケミプロ<4960>---4/17以来の年初来高値更新
3営業日続伸で4/17以来の年初来高値更新。有機ＥＬ材料の伸びによる業績拡大が期待されている。先週末の上昇で三角保ち合いを上放れており、テクニカル面でも先高期待が高まっている。

△新日鉄<5401>---ダブルトップは拒否したいところ
ダブルトップは拒否したいところ。一時893円まで上昇し、3/7高値900円突破が期待されている。ただ、その前に5/14高値894円とのダブルトップは拒否したいところ。一方、鉄鋼株への見直し機運が高まっており、押し目買い意欲は強い。

△トヨタ<7203>---続伸、米国販売回復で買い安心感
続伸。5月の米自動車販売台数が前年同月比で14％増と拡大していることが評価されているもよう。4月には4.3％減とマイナスに転じてネガティブなサプライズも誘われただけに、安心感が強まる状況となっているようだ。なお、国内の新車販売台数は8.5％減と伸び悩みの状況が続く状況。

■楽天<4755> モルガンでは投資判断「Equal-weight-V」を継続したものの、目標株価については6万円から5.2万円に引き下げたようだ。
同業他社より割安としながらも、ファンダメンタルズで盛り上がらないとしている。また、ノンバンク事業やＴＢＳ株の買い増しへの警戒感など株価反転につながるカタリストも見当たらず、バリュエーション回復の時間軸が読めないと。

△長谷工<1808>---買い先行、ＣＳでは新規に買い推奨
買い先行。ＣＳが投資判断を新規に「アウトパフォーム」、目標株価を450円としている。再生銘柄との位置づけから、今後は配当余力のあるバリュー銘柄として認識されてくる可能性と評価している模様。今期の復配に続いて、来期は増配や自社株買いといった株主還元への施策が期待できると。
（フィスコ）

△オルガノ<6368>は超純水装置の新工場建設報道に反応し高値更新
オルガノは、１０５円高の２０２５円まで買い進まれて４営業日続伸し今年５月９日につけた昨年来高値１９４６円を一気に更新している。６月２日付けの日本経済新聞で、超純水の製造装置を増産するため同社のいわき工場（福島県いわき市）を拡張すると伝えられたことに素直に反応し買い物が増勢となっている。超純水は、半導体などの生産工程の洗浄工程で使用され、ＩＴ（情報技術）産業の増産に伴い需要が急増している。この需要拡大に対応し新規に進出、同社のいわき工場内に約２０億円を投資して新工場を建設、来春に稼働させるとした。株価は、今年４月発表の前３月期業績の上方修正を受け大きく下値を切り上げた。今期業績の１ケタ増収、小幅純益減益の慎重予想も、環境関連株人気の高まりで押し返しており、超純水で先行する栗田工業への追撃体制を強めよう。

□エアーテック<6291>は小動きも増配期待底流し逆張り一考余地
日本エアーテックは、３円高の１０５５円と３営業日ぶりに小反発し前週末１日ザラ場につけた昨年来安値１０４４円水準で小動きとなっている。５月１０日に発表した今１２月期第１四半期（１Ｑ）決算が減収減益着地となったことから、業績減額予想が強まり売り継続となっている。ただその一方で今期配当の２６円への増配説も根強く、インフルエンザ・ワクチン関連、アスベスト除去関連の材料も内包しているだけに、下値逆張りも一考の余地がありそうだ。同社の１Ｑ業績は、前々同期比０．７％減収、１７％経常減益、１８％純益減益となった。半導体工業・デジタル家電部品業界向けや製薬会社のインフルエンザ用ワクチン製造向けのクリーンブースなどの売り上げは増加したものの、台湾、韓国などの海外企業の設備投資抑制や前期急激に伸びた解体現場でアスベストを捕集する対策機器が反動減となったことが響いた。中間期・通期業績は期初予想を据え置き、純利益は７億７３００万円（前期比３８％増）と続伸を見込んでいるが、増配説もこの業績予想クリアを前提としている。配当性向３０％維持を目指す配当政策から、期初予想の年間２０円が２６円に拡大される計算になるためだ。ＰＥＲは１２倍台、ＰＢＲは１倍ソコソコ、１３週移動平均線から４％強のマイナスかい離となっており、下げ過ぎ修正余地は大きい。

△鳥居薬<4551>は増収増益転換で下げ過ぎ訂正期待高め反発
鳥居薬品は、１７円高の１９７９円と反発し今年年初来の２０００円を前にした三角保ち合いに煮詰り感を強めている。薬価下げによる前３月期業績の下方修正、減益着地で大きく調整してきたが、今期業績を小幅ながら増収増益と予想したことから、１株純資産２３８７円割れは下げ過ぎとして下値買いが続いている。同社の前期業績は、昨年４月の薬価引き下げが影響し、中間期決算発表時の１１月に下方修正され、実績も前々期比２％減収、２６％経常減益、２７％純益減益と連続減収減益となった。これに対し今期は、売り上げ４０３億円（前期比１％増）、経常利益５７億円（同１％増）、純利益３１億円（同２％増）と増収増益転換を予想している。親会社のＪＴ（２９１４）との医薬事業提携を強めており、「注射用フサン」、「アンテベート」、「ユリノーム錠」などの主力薬のシェア拡大を進め、抗ＨＩＶ薬の「ツルバダ錠」、「ビリアード錠」にも注力する。株価は、このところの親会社人気も加わりＰＥＲ１８倍台、ＰＢＲ０．８倍台の下げ過ぎ訂正が期待される。

△スルガコーポ<1880>は連続最高純益に目標株価アップ加わり高値顔合わせ
スルガコーポレーションは、２０円高の２９３０円と５営業日続伸し前週末１日ザラ場につけた株式分割権利落ち後高値に顔合わせとなっている。５月２４日発表の３月期決算で、前期が期中の上方修正値を上ぶれて着地、今期も連続最高純益更新へ２ケタ増益と予想したことを買い手掛かりとしており、外資系証券が目標株価を引き上げたこともフォローしている。同社は、建設事業とともに自社分譲マンション事業と古いビルを最新鋭ビルに建て替える都市再生事業を不動産ソリューション事業として展開しているが、東京都心集中の建築受注増を進め、不動産事業の営業利益が、前々期比３９％増と拡大したことが、前期純利益の６１％増益、大幅過去最高連続更新の要因となった。今期も続伸を見込み、売り上げ１１８０億円（前期比４６％増）、経常利益１６０億円（同２２％増）、純利益９２億円（同１９％増）としているが、外資系証券では、マンションの手持ち工事増加などから経常利益は２０７億円に上ぶれると強気観測している。株価は、３月末割り当ての株式分割に先行して実施した公募増資（発行価額８８７２円）も響き権利落ち妥当値を固めてきたが、ＰＥＲは１２倍台と割安で上値修正余地拡大が予想される。

△生化学<4548>は増益転換業績見直し出遅れ株買い続き高値更新
生化学工業は、２９円高の１４５５円と３営業日続伸し昨年２月につけた昨年来高値１４３８円を更新している。今３月期業績が増益転換し、米国で関節機能改善剤「スパルツ」の適応症追加へ臨床試験が開始されることなどヒアルロン酸製剤の拡大が続くことが、出遅れ株買いの拡大につながっている。同社の今期業績は、売り上げ２５９億円（前期比６％増）、経常利益７１億円（同１５％増）、純利益４４億円（同２４％増）と予想されている。前期は、国内で販売提供先の科研製薬との販売促進を積極化したものの、期初の薬価引き下げや研究開発費増、為替差益減少などで減益となったが、今期は新薬開発進展にともなう研究開発費負担を主力薬「アルツ」、「スパルツ」の続伸でカバーする。今年１０月に機能化学品関連事業を分社化する効率化効果も上乗せとなる。また「スパルツ」は、米国の食品医薬品局（ＦＤＡ）から変形性肩関節症の適用症追加の承認を取得し第Ⅲ相臨床試験を開始していることも、米国での認知度向上につながる。株価は、増益転換予想業績発表とともに、２００５年３月の１部上場以来の中段もみから上放れの動きを強めているが、ＰＥＲはまだ１９倍台と市場平均並みで東証２部当時の高人気再現も期待される。

△ダイフク<6383>は減収減益業績織り込み下げ過ぎ訂正で急反発
ダイフクは、６１円高の１６３６円と急反発し５月１８日につけた昨年来安値１３８５円からの底離れを鮮明化している。５月１７日発表の３月期決算で、今期業績を減収減益と慎重に予想したことがダメ押しとなり悪材料出尽くし感が強まり、下げ過ぎ訂正期待の割安株買いが継続している。同社の業績は、前期に受注、売り上げ、利益とも再三上方修正され、実績は２ケタ増収益で着地、純利益は１１３億８２００万円（前々期比１１％増）と連続の過去最高更新となった。ただこの好業績とは逆に株価は、液晶・半導体製造装置向けの搬送装置の伸び悩みなどを懸念、年初から５００円幅の調整となった。実際に今期業績も、この懸念を裏付けるように慎重予想となり、売り上げ２３００億円（前期比１％減）、経常利益１７５億円（同５％減）、純利益１０７億円（同６％減）と４期ぶりの減収減益予想とした。株価は、この決算発表とともに昨年１１月安値に並ぶ１３６５円へダメ押しとなり、ダブルボトム形成から悪材料織り込み済みのチャート形成となった。ＰＥＲは１７倍台と下げ過ぎを示唆しているだけに、一段のリバウンド期待が強まる。

△稲葉製<3421>は３Ｑの大幅増益・高進捗率で業績再増額を先読みし続伸
稲葉製作所は、４０円高の２０４０円と３営業日続伸し、昨年７月以来の２０００円大台での活躍期待を高めている。前週末に発表した今７月期第３四半期（３Ｑ）決算が、大幅増益で着地し通期予想業績に対して高進捗率となったことから、中間期と同様の業績増額を先読みし出遅れ訂正期待買いが増勢となっている。同社の３Ｑ業績は、前年同期比４％増収、４０％経常増益、３０％純益増益と前年同期の２ケタ減益からは大きく増益転換した。今年２月に通常物置の新シリーズ「ネクサス」を全機種で投入するなど販売攻勢を強め、オフィス家具も５％増と堅調に推移したことが寄与した。３Ｑ経常利益は、期初の通期予想に対して８７％、純利益は８４％の高進捗率となっており、今年３月の１月中間期業績の上方修正と同様に期末に向けての業績再増額思惑を高めている。株価は、中間期業績増額をきっかけに約２００円高して２０００円台に突っ掛け利益確定売りに押されていた。ＰＥＲは２２倍台と市場平均を上回るが、ＰＢＲは１倍ソコソコと出遅れおり、上値評価が続こう。

△ソフトバンク<9984>はＳ＆Ｐの格付けアップを追撃材料に反発
ソフトバンクは、２５円高の２６８５円と反発している。１日にスタンダード・アンド・プアーズ（Ｓ＆Ｐ）が、同社の長期会社格付けと長期優先債券の格付けをＢＢ―からＢＢへ１段階引き上げると発表したことが、追撃の買い材料となっている。このところ、不振を極めた新興市場が底入れ感を強め、日経ジャスダック平均株価が１０連騰するなど個人投資家の再参戦が増加しており、新興市場と連動性の高い同社株に注目が集まっていた。先に外資系証券が目標株価を引け上げたばかりで、それに続く好材料として捉えられている。格付け引き上げは、ブロードバンド事業の黒字定着、固定通信事業の損益改善、２００６年買収の携帯電話事業の好調推移、バランスシートと信用力改善を打ち出した同社の経営方針などを反映している。前３月期業績は、携帯電話事業（ソフトバンクモバイル）が大きく寄与し、連結売り上げは前々期比約２．３倍、営業利益は約４．４倍となった。携帯電話事業は、営業利益の５７％を占め、２００７年４月末時点の契約数は１６０７７万件、契約者シェアは１６．５％、２００７年１－３月期の契約者数の純増シェアは２３％（４１．２万件純増）と前四半期から上昇しており、顧客基盤が徐々に強化されつつある。総合通信事業者としての体制が整い、ヤフーを加えたシナジー効果や連携強化によりグループ競争力の向上が見込まれるとしている。株価的には、内需関連の新たな出遅れ主力株の再デビューとなり、市場の厚みを増すことになる。

△第一三共<4568>は自己株式取得を正式に発表し急反発
第一三共は、６０円高の３３３０円と３営業日ぶりに急反発している。前週末１日に５月３０日に観測報道された自己株式取得を正式に発表、歓迎する買い物が再燃している。自己株式取得は、株主還元の充実と資本効率の向上を目的にしており、上限を１０００万株（発行済み株式総数の１．３６％）、３５０億円として６月４日から７月３０日までを取得期間に実施される。上限金額は、３０日の観測４００億円弱を下回るが、同報道では同社は今期予想純益９２０億円全額を配当と自己株式取得に充当する総還元（配分）性向政策を実施するとされており、下回った分だけ７０円に連続増配される今期配当がさらに上ぶれと思惑も高まり、ポジティブに評価されている。株価は、今３月期純利益が９２０億円（前期比１７％増）と増益転換し２期ぶりに過去最高更新と予想されたものの、市場コンセンサスを約１４１億円下回るとして下値確認運動を続けている。１３週移動平均線から８％弱のマイナスかい離となっており、下げ過ぎ訂正を支援しよう。
（東洋経済新報社）