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2010 04,10 09:00 |
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【日本株週間展望】休むも相場で小幅安、円安勢い陰り-外国人支え 4月第2週(12-16日)の日本株相場は小幅に下げ、歴史的に過熱したテクニカル指標を冷やす動きが続く見通し。ギリシャからは花冷えの風が吹き、直近の株高を演出した円安の勢いにもやや陰りが見える。冷静さの重要性を戒める格言「休むも相場」に従い、買い場を待つ市場参加者が増えそうだ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
4月1週の日経平均株価は前週末比0.7%安の1万1204円で終了。週初に1年半ぶりの日中高値を更新したが後半弱含み、バブル相場さなかの1988年12月以来となる9週連続の上昇を逃した。ここ1カ月に約1000円上げた過程で、相場全体の売買人気の強弱を示すテクニカル指標の1つ、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は12年ぶりの高水準を記録した。その後低下したが、過熱を表す120%をなお超える。 直近の株式市場で醸成されていた楽観的な景況感、円安進行期待は足元修正を迫られている。全米供給管理協会(ISM)景況指数、雇用統計の改善などを受けた米国の金利上昇観測により、ドル・円相場は5日に一時1ドル=94円79銭と昨年8月以来のドル高・円安水準を付けた。しかし、連邦公開市場委員会(FOMC)議事録などから利上げに向けた道のりの遠さを確認し、ドルの上値は重くなった。
欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の支援方針で、いったん沈静化したギリシャの信用問題も再燃している。ギリシャ財務相が昨年の財政赤字が従来予想より悪くなるとの見通しを示したことなどで、債務不履行への懸念から同国10年物国債とドイツ国債の利回り格差が1999年のユーロ導入以来で最大となり、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でギリシャ国債の保証コストは過去最高を更新した。ユーロは対円で、約2カ月ぶりの高値から反落している。 「EUと市場とのポーカーゲームは、そろそろ市場がEUに手札を見せることを求める段階に来ている」とは、英投資銀行エボリューション・セキュリティーズのクレジットストラテジスト、ゲーリー・ジェンキンス氏の言葉だ。7日からは、2週間の予定でIMFスタッフがギリシャのアテネを訪問中。世界の株式、為替市場はあらためて、楽観ムードでふたをしてきた問題に目を向けざるを得なくなった。 このほか、過熱する不動産市況やインフレ抑制から政策金利の引き上げ観測が強く、米国から人民元切り上げの圧力を受ける中国も警戒要因だ。三菱UFJ証券投資情報部長の藤戸則弘氏は、「過剰流動性でリスクに鈍感な資金が株式、商品に入っているが、ギリシャの病巣は解決に程遠い。ギリシャ発で円高に振れた2月のおさらいの可能性があり、突っ張ってきた相場も分岐点を迎える」と見る。中国についても、「どこかで利上げせざるを得ない。中国の引き締めをきっかけに香港株が急落、日本株も影響を受けた2004年の再来」を危惧している。
ただ、日経平均が1万1000円を大きく割り込む展開は現状想定しづらいようだ。日本企業の業績回復期待が強い中、外国人投資家の買いが継続的に入っている。東京証券取引所によると、外国人は3月5週に4650億円を買い越した。これで買い越しは3週連続。月間では、昨年10月以来の買い越しが続く。 海外年金など長期資金の買いは昨年末に比べ減り、「足元は4対6の比率でヘッジファンドなど手の早い投資家」と三菱U証の藤戸氏は話す。ただ、最近海外を訪問した関係者らによると、不人気を極めた昨年の反動もあり、日本株の見直し機運は出ているという。 ドイツ証券の神山直樹チーフ・ストラテジストは、「投資家からの日本株の問い合わせが増えており、『日本株を買って、エマージングと置き換える』ことを勧めている」そうだ。同証ではGDP成長率予想の引き上げに伴い、12年3月期のTOPIXの予想1株利益を従来の44.7円から51円に見直した。6月ごろまでにTOPIXは主要市場をアウトパフォームしながら、1200ポイント程度への上昇を予想する。 3月末から4月月初に欧米投資家を回ったクレディ・スイス証券の市川眞一チーフ・マーケット・ストラテジストは、日本株への姿勢を「構造的な変化がないことに対するいら立ちが続く一方、企業業績改善への期待感の高まりから、半身に構えた強気」と分析。世界景気底入れによる売上高の回復、リストラ効果で11年3月期の企業業績は経常利益で60%超の増益の可能性があり、日本市場特有のバリュー的要素が株価上昇のドライバーになるシナリオが想定されるとしている。 先に発表された日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)の3月調査によれば、10年度の想定為替レートは通期で1ドル=91.00円。輸出関連企業を中心とした業績回復期待の継続性を見極める上でも、円の対ドル、ユーロ動向がカギを握る。
4月2週の日本株相場に影響を与えそうな材料は相対的に海外に多く、米国では14日に3月の小売売上高、15日に3月の鉱工業生産、4月のフィラデルフィア連銀指数、16日に3月の住宅着工件数の発表を予定。また12日のアルミメーカーのアルコアを皮切りに、13日には半導体最大手のインテルなど、有力企業の決算発表も始まる。中国では15 日に3月の消費者物価、小売売上高、鉱工業生産と重要統計の発表が集中しており、中国株の動向などには要警戒だ。 一方、日本では14日にイオン、ローソンなど小売企業の決算発表があるほか、1日に新規上場した第一生命保険が世界的な株価指数のMSCI指数に14日終値段階で算入される。国内外の指数連動型ファンドなどからの組み入れ需要期待が広がり、上場翌日に付けた高値16万9000円を抜いてくる可能性もある。
●三菱UFJ証券投資情報部の折見世記シニア投資ストラテジスト 「米住宅ローン金利と10年物米国債の利回り格差が、足元拡大に転じた。09年は住宅ローンリセットの端境期だったため、統計上はよく見えたが、今後はローン金利の上昇により住宅を手放さければならない人も増えそうで、危機は完全に去ってはいない。米国の雇用が改善したと誤解している人が多いが、パートタイム労働者の記録的な伸びの背景には、正社員の減少や見つかった仕事の質の低下がある。危機は去ったと喧伝し、株価を持ち上げている向きは良いが、実態をよく知らないまま流れに乗っている人は注意すべき」
「今の市場の上値コンセンサスは日経平均で1万2000円程度。それを覆す決算が出るかどうか、確認したい。日銀短観によると、今期の大企業製造業の経常利益は前期比49.3%増の予想で為替前提は91円、足元はこの水準より円安にある。前期は多くの特損を計上したため、最終利益は予想以上に強い可能性が高い。決算を見てコンセンサスが一気に1万4000、5000円に上がる可能性はある。このため、決算を確認するまでは米国株動向次第だが、動きにくいだろう」
「10年3月期決算の発表を控え、企業側からニュースが少なくなり、投資判断材料不足となりそうで、海外材料に左右されやすくなる。米国ではJPモルガンの決算や経済指標の発表があるが、米国経済の回復を確認する内容になりそう。照明技術に関する展示会が予定されており、発光ダイオード(LED)が物色されそうだ。野村アセットマネジメントがファンドを設定するクラウドコンピューティング、次世代送電網(スマートグリッド)関連も注目されそう」 記事:東京 院去信太郎 Shintaro Inkyo PR |
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