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2010 04,03 10:50 |
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【日本株週間展望】高値もみ合い、景況感改善と円安追い風-過熱重し 4月第1週(5-9日)の日本株相場は高値もみ合いとなる見込み。堅調な世界景気や為替の円安傾向を背景として企業業績期待が強まっており、日経平均株価は心理的節目である1万500円に挑戦する場面が予想される。もっとも、短期上昇による過熱感から戻り売りも増え、上値の重さも次第に意識されそうだ。 いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は「景況感がかなり改善している一方、それが株価に反映されていない銘柄はまだ多数ある」とし、「短期過熱感を抱えながらも決算発表時期までは上昇トレンドが続くだろう」と予想する。 3月第5週の日経平均はその前の週に比べ、2.6%(289円)高の1万286円で取引を終了、1年半ぶりの高値となった。週間ベースでの上昇は8週連続で、05年8月から9月にかけての同連続に4年半ぶりに並んだ。世界的な景況回復の継続から、海運や非鉄金属、鉄鋼、商社など景気敏感業種が上昇をけん引した。 米供給管理協会(ISM)製造業景況指数や中国の製造業購買担当者指数(PMI、季節調整済み)、日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)と、米中日などで当面の重要経済指標の発表が一巡、世界的に足元の景況感の強さが改めて確認されつつある。 このうち3月の米ISM製造業景況指数は59.6に上昇し、米国の製造業活動が2004年7月以来、最も速いペースで拡大したことが示された。「当面世界生産は好調で、日本の輸出も秋ごろまでは上向きに推移するだろう」と、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは指摘する。3月の中国PMIも55.1と上昇し、製造業活動の拡大ペースが加速した。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
日本の短観では、大企業製造業の経常利益は、09年度の推定22%減益に対し、10年度は49%増益見通し。ただ半期の実額は、09年度上期の1兆2211億円、下期推定4兆2294億円に対し、10年度上期計画が3兆3296億円、下期計画が4兆8072億円と、10年度上期の水準の低さが目立つ。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストによると、「年度途中での下方修正を嫌い、保守的な数字を入れた可能性を示唆している。10年度の企業収益は上振れの公算が大きい」という。 こうした景気・企業業績の状況に、さらに安心感を与えているのが為替の円安傾向だ。短観での利益計画では、企業の10年度の想定レートが1ドル=91円なのに対し、4月1日には円が約7カ月ぶりの安値となる94円台を付けた。円は対ドルだけでなく、ユーロなど他通貨に対しても独歩安の様相を呈している。
みずほ信託銀行の荻原健チーフストラテジストは「ギリシャ支援の枠組みが決定したことで投資家のリスク許容度が上がっているうえ、米景気改善による日米金利差拡大も円安要因」と指摘する。金利差だけではここから一段の円安は説明がつきにくいとしながらも、「リスク許容度から考えると急激に円高にも戻らないだろう」と予想する。 相場環境にも明るさが見えている。決算期末である3月を通過したことで、決算対策による投資家の株式売りが一巡。4月1日に東京証券取引所1部に新規上場した国内生保業界2位(かんぽ生命を除く)の第一生命保険が、売り出し価格を14%上回る16万円の初値を付けた後も堅調に推移していることで、投資家心理も好転。第一生命が貢献する形で東証1部の売買代金も増加傾向にある。 一方、相場上昇の継続で、テクニカル面ではやや過熱を示す指標も出てきた。値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の百分比を示す騰落レシオ(25日平均)は、1日に149%まで上昇。経験的に120%以上が「過熱気味」とされるなかで、突出した高さになっている。
いちよし投資顧問の秋野氏によると、騰落レシオが150%を超える異常値となったのは1990年以降で6回(91年3月、93年4月、94年2月、96年4月、97年5月、98年2月)しかない。このうち明確に株価が下落したのは98年2月の1回しかなく、残り5回は1-5カ月上昇トレンドが続いたという。 こうした過去の経緯から相場が急激に下落するとは考えにくいものの、過熱感を警戒して上昇ピッチが次第に鈍る可能性はある。9日に日経225オプション4月限の特別清算値(SQ)算出を控え、週後半は様子見ムードが強まる可能性もある。前回に日経平均が週間ベースで8週連続を記録した05年は、その翌週が2.6%安だった。 4月後半からの3月期決算企業の業績発表に先立ち、第1週はセブン&アイ・ホールディングスやファーストリテイリング、ファミリーマートなど小売関連の2月期決算企業の発表が予定されている。三菱UFJ証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは「全体相場が高値もみ合いとなるなら、景気敏感株をさらに買い上げるのは難しい。出遅れ感から内需の好業績企業が投資対象となりやすい」と予想する。 スケジュール面では、米国で5日に3月ISM非製造業景気指数や2月の中古住宅成約指数、6日に連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表、7日にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演など。国内では6日から7日まで日銀の金融政策決定会合、8日に2月の機械受注や3月の景気ウオッチャー調査などがある。
●コスモ証券投資情報部副部長の清水三津雄氏 「相場のモメンタム(勢い)は強いが、騰落レシオなどを見ると短期的な過熱感が出ている。国内企業の決算発表も控えており、相場は横ばいのイメージだ。こうしたなか、1月高値を更新していない自動車や半導体など出遅れている銘柄に資金が向かいそうだ。世界景気の回復を受け海外資源相場は堅調に推移しており、非鉄金属など資源株も上昇しそうだ。日経平均のレンジは1万1000-1万1500円を予想している」
「テクニカル指標に強い過熱感が漂うなか、上値の水準を探るじり高展開を予想する。最大のポイントは円相場。現状の水準(1ドル=93円台後半)が続けば、自動車や電機など輸出企業は収益の大幅改善が続くとの期待から売られにくい。出遅れ感のある内需株への資金流入も見られ始めており、循環物色で相場全般が底上げされやすい状況。乗り遅れた多くの投資家が押し目買いを入れたいため、下値懸念は小さい」
「米国の金利動向を踏まえると円安・ドル高の流れが続そうだ。これがフォローとなり、輸出関連やハイテクなどの銘柄を中心に日経平均株価は1万1400円まで上値余地がある。ただこの水準に達すると、ほかの市場と比べて株価収益率(PER)で割高感が否めず、利益確定売りから上値は重くなる」
「足元で日本株を買い越している外国人投資家は、公的年金など長期資金のグローバルなロング・ショート型ヘッジファンド。彼らは1株利益成長率が世界市場平均を上回る銘柄に絞り込み、ボラティリティの低い大型株を選好しているとみられる。この条件に合うのは、日本ではアイシン精機や日立金属など。こうした銘柄の株価は今後1-2四半期にわたってアウトパフォームを続ける可能性が高い」 記事:東京 長谷川 敏郎 Toshiro Hasegawa PR |
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