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2010 02,21 08:00 |
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「元切り上げ」よりグロスさんのクローンを北京に-ペセック ジム・オニール氏は「2010年の歴史的な人民元切り上げ」を予想し、目を光らせている。そう考えているのは同氏だけではない。 ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミストのオニール氏はブルームバーグ・ニュースに、中国で「何かが準備されつつある。いつ起こってもおかしくない」と語った。 前回の人民元切り上げから5年近くになる。再び大幅な切り上げを実施すれば、物価上昇圧力を抑えるのに役立つだろう。中国経済は今年、11%超の高成長とも予想されている。過熱リスクはあちこちにあふれているが、与信拡大を抑える取り組みは奏功していない。 インフレとの闘いが激化する中で、中国は同国にもビル・グロス氏がいてくれたらと思い始めている。 中国は近く、日本を抜いて世界第二の経済大国に浮上する見込みだが、規模が大きく発達した債券市場がないことが大きな弱みになるだろう。当局が与信を引き締めようとするとき、そこには政策を実体経済へと伝えるための投資家とディーラーという要のインフラ(社会資本)がない。 そこで、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)で世界最大の投資信託を運用するグロス氏(やそのクローン)の出番となる。中央銀行が金利を上げても、高度に発達した流通市場がないことが、その効果を殺いでしまう。中国人民銀行(中銀)はあれども、金融環境に影響を与えてくれる「人民」がいないという格好だ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長がワシントンで金利を動かしても、ニューヨークとロンドン、東京の債券ディーラーが流通市場でそれに沿って行動してくれるのでなければ、ほとんど意味がない。これこそが金融政策を強力にする「乗数効果」というものだ。中国にはこれがない。 確かに、中国も進歩はしている。政府は2008年4月に、期間3-5年の社債を企業が発行できるようにした。これにより、銀行融資に過度に依存することがなくなり、金融システムへのリスクが軽減された。 英スタンダードチャータード銀行の張淑嫻氏(香港在勤)らストラテジストはこれを、「画期的な一歩」と評価。社債の発行高は以来、着実に増えている。 政府はまた、イールドカーブ(利回り曲線)を創り出すため、時には資金需要がなくても証券を発行するなど市場を支えている。今年の発行高は9兆元(約120兆円)と、昨年の4兆9000億元から増える見込みだ。
入札の手続きも国際標準に沿っている。さらに、人民銀は1月6日に外国金融機関の中国国内市場での起債を認める方針を再確認するとともに本土企業による香港市場での人民元建て債発行を奨励した。 中国の資本市場の国際化は先月、さらに大きく前進した。当局が株価指数先物と信用取引、空売りを承認したのだ。良い動きはたくさんある。 しかし、人民銀は流通市場の底の浅さという足かせから逃れられない。危機に見舞われた時には、より流動性の高い市場が衝撃を吸収するクッションとして必須になるだろう。中国の先行きについて投資家にヒントを与えるためにも流通市場は必要だ。 キーボードをたたくだけで巨額の資金が世界を駆け巡る今の時代に、きちんと機能する債券市場の重要性はかつてないほど高い。影響力のある、世界的に名前を知られた一握りの債券投資家、政策について政府に警告できるような投資家の一団がいることも同様に重要だ。彼らは債券の一斉売りや市場についての発言によって、警告を発してくれる。
例えば、市場参加者たちが中国の景気刺激の取り組みが積極的過ぎインフレが迫っていると考えれば、債券売りで利回りを押し上げるだろう。デフレに陥っていると考えれば、債券を買うだろう。どちらのケースでも、市場金利は政府当局者と投資家に極めて重要な情報を与えてくれる。 残念ながら、中国の金融システムは今のところ、資金を経済の中のある部分から別の部分へ動かすという機能が中心で、リスクに値段を付ける、つまりリスクの度合いを評価するところまでは進んでいないと、エマージング・アルファ・アセット・マネジメントのディレクター、マーシャル・メイズ氏(香港在勤)は指摘する。 インドネシアやフィリピンなら、それでもいいかもしれない。しかし中国ほどに重要性を増した経済がそれでは困る。債券市場に関してわれわれはもはや、「開発途上」のステータスを理由に中国を見逃すことはできない。
2010年の財務力は、2兆4000億ドルの外貨準備を持っていることがすべてではない。人民元建てでの借り入れができること、そして外国企業に人民元建ての起債を許すことが財務力の源だ。これができて初めて、中国は人民元の管理を廃し、ドルに代わる準備通貨とする挑戦を始めることができる。 人民元の切り上げは、債券市場の役割を高める中で中国が直面する圧力を軽減してくれるかもしれない。インフレを抑制するばかりでなく、市場での熱狂的な投機に水を差すことができる。 通貨切り上げへの期待はホットマネー(投機的な短期資金)の流入加速という形で顕在化し、マネーサプライを混乱させている。中国が人民元を切り上げ、同時に当分の間は次はないということを明確な言葉で市場に伝えれば、この流れを変えることができる。 中国は景気を減速させ資産バブルをしぼませるために、多面的な取り組みが必要だ。信用創造を減らす行政命令だけでは、長期的には不十分だ。グロス氏によく似た有力プレーヤーたちを中核とした活気あふれる債券市場を育てることこそが重要だ。 (ウィリアム・ペセック) (ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です) PR |
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