『楊枝の御加持と弓引初め』（京都の休日１２４）

　まだまだ寒い日々が続きますね｡
今回は新春の襟を正す様な蓮華王院本堂（三十三間堂）
『楊枝(やなぎ)の御加持と弓引初め』をご紹介します。

　本日、正月十七日は、とても華やかで、京の冬の風物詩でもある
『楊枝の御加持と弓引初め（やなぎのおかじとゆみひきはじめ）』があります。

『楊枝の御加持と弓引初め（やなぎのおかじとゆみひきはじめ）』･･･？？？

･･･と、思われる方も多いかと思いますが、
毎年ニュースで、その年成人を迎えた晴れ着姿の女性射手による
弓の競射で、上記写真や下記動画を観ればご記憶のある方も多いかと思います。

三十三間堂『弓引初め』

[2回]

　蓮華王院本堂は別名三十三間堂ともいわれ､
柱と柱の間が33あることからこの名が付きました｡
･･･というのも1129年、後白河上皇の命により
1001体もの観音様を安置するお堂として、平清盛によって建立されました。

世界的にも大変長い木造建造物に収められた1001体の観音様は、
一つ一つお顔が違い、どこかに自分に似た観音様が おられるのだそうです。

　旧成人式の日であった十五日は『楊枝の御加持』が行なわれ、
七日間ご祈祷されたお正月の初水を、霊木とされる柳で参拝者に
濯いで祈願します。

これは頭痛に悩まされていた後白河上皇が、
薬師如来から「大福樹にて伽藍を建てれば平癒する」
･･･とのお告げから三十三間堂が建立され、
その後たちどころに治ったという由来に基づき、
頭痛平癒のご利益があるといわれています。

またこの日は三十三間堂西庭で"弓引初め"が行われます。

　新成人らが弓道の上達を誓う新春恒例の「通し矢」の弓の引き初めが
行われます。
 
　かつて三十三間堂の端から端まで六十六間の距離を
一昼夜（時間はタ刻に始まり，翌日の夕刻に終わる）で何本通せるか、
弓術の覇を競ったものです。

慶長１１年（１６０６年）に始まったと伝えられ、
「三十三間堂の通し矢」とも呼ばれています。

　全国の弓道者が集まって六十メートルの距離から直径一メートルの矢を
競射します。
江戸時代に武士が百二十メートル（普通の距離の二倍の長さ）の長い廊下に
矢を射通し、腕を競ったのが始まりとされ、
京都府弓道連盟と妙法院（三十三間堂）が成人の日の時期に毎年開いています。
 
毎年、新成人の男女と一般の部を合わせ、約二千人が参加します。
 
三十三間堂の西側に特設された射場で、振り袖に袴姿の女性達が、
横一列に並んで六十メートル先の的（直径五十センチ～一メートル）を狙って、
ゆっくりとした動作で矢をゆがえ、冬の冷気を切り裂くような鋭い矢を
二本づつ放ちます。

永い歴史と伝統に育まれてきた弓道は　射法八節　という基本があります。

・まずは的を見て足を踏み開く足踏みです。
・胴造り、弓構えそして的から目を離さないように打起します。
・引分け、会へと移ります。
・離れで射ます。
・離れたあとも気合を抜かず体を崩さない残心で終わります。
・矢所を見定めたまま弓倒しではじめの姿勢に戻り　
　右、左の順で足をとじ退場していきます。

この競技は、静かな中にも凛とした緊張があり、
新し<始まる年の初めに勢いをつけてくれるような感じがします。
新成人になられた事を心よりお慶び申し上げます。

当日は本堂も無料開放され、法要を受ける人や弓引き初めを
見学に来られる人たちでとても賑わいます。