2024 11,23 14:22 |
|
2010 01,11 18:17 |
|
富裕層が踊り狂う「平成の鳩山バブル」の天国と地獄 大不況といわれる陰では、バブルの萌芽がいたるところに出てきている。このまま一気にバブルの花が咲き乱れるのか。一方、貧富の格差はますます深刻だが、救済策は何と米国を見習うことだった。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
ここ数年来とんでもない親が増えているが、それを「モンスターペアレント」と称して各メディアがおもしろおかしく、時には批判的に紹介している。例えば下記のような事例だ。 ・今年は桜の花が美しくないのは、中学校の教育がおかしいからだ 数えるときりがないが、モンスターペアレンツに多いのがちょうど団塊ジュニア世代で、彼らは現在30代半ばにさしかかっている。 本来なら、そろそろ持ち家の購入を考える時期だが、このところの大不況でなかなか実現できる状況ではない。ところが、鳩山政権の目玉政策である「子育て支援」政策が、彼らに思わぬ恩恵をもたらそうとしている。 子育て支援政策は、家族や個人ではなく社会全体で、子育てをして出生率を上げようという目的で作成された。まず、出産時に55万円の一時金が支払われ、その後中学卒業まで1人当たり月額2万6000円を支給していくというのが骨子である。 そのうえ、高校は実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充すると、マニフェストに明記されている。つまり、これまで子どもをひとり生んで、大学卒業までにかかる費用が数千万円といわれていたが、それがすべて無料になるということなのだ。つまり民主党政権下では、子育てはタダ乗りでO.K.ということになる。 そうするとどうなるだろう。ちょうど、ひとりの子育てにかかる費用と持ち家の購入費が同額くらいだから、団塊ジュニアたちは間違いなく持ち家購入にはしるだろう。そのうえ、多く生むほど支給額が多くなるわけだから、どんどん生んで「子持ち成金」になろうとするモンスターペアレンツも現れるに違いない。 必然的に起こるのは、土地の値段が高騰して、日本列島「再」改造論で盛り上がることだ。それが、あの田中角栄の申し子で、鳩山政権を陰の総理といわれる小沢一郎の思惑なのである
その他、民主党のマニフェストには、建築土木関係の規制緩和政策がたくさんもられている。 建築土木関係の規制緩和政策としては、例えば下記のようなもの。 ・建築基準法などの関係法令の抜本的な見直し これらの政策の主旨は、数年前の耐震強度擬装問題で強化された規制を緩めて、投資資金が流れやすくする狙いがあるといわれている。 当時は建築基準法の規制強化によって、ますます不動産不況が深刻化したといわれており、この縛りを解くことで、「建築ブーム」や「土地高騰」を招き、バブルを再焼させようとしているのだ。 他にも農地の活用化で、これまで住宅地としては遠すぎた地域を新しい宅地として建設可能になり、富裕層が郊外に住むという都市計画も実現できる。もはや開発の余地が少ない都市の中心部より、広さに制限がなくのどかな環境が残っている郊外の方が、開発価値が高いのである。 一方、今回の経済危機で投資物件が大暴落して、経営破綻まで飛び出したリート(不動産投資信託)業界では、実は、外国人投資家たちが再起を期して虎視眈々と狙っているのだ。恐るべき情報網と鋭い嗅覚をもっている彼らは、民主党政権の動向を見極めて、利益が上がりそうなら、たちまち「日本買い」にはしるはずだ。 そうなれば、都市部の格安投資物件が急騰して、不動産バブルにつながる可能性も高い。実は「不況、不況」と叫ばれている日本でも、金余り状態が続いていて、投資資金が行き場を失っている状態なのだ。 不況対策として、中小零細企業や雇用対策に大きな資金を投入すれば、間接的に金融市場も潤すことになり、これもバブル誘発要因のひとつになるかもしれない。 いずれにしても、バブルの萌芽がいたるところに育って、いまかいまかとチャンス到来を待ち望んでいるのである。いったんきっかけがあると、一気にバブルの花が咲き乱れることになる可能性が大きいのだ。これこそ「平成の鳩山バブル」といってよいだろう。 しかし一方で、その陰に隠れて報われない人びともたくさん存在する。取り残された彼らは、どうすればよいのだろうか。
「貧困が一定程度広がったら、政策で対応しないと行けませんが、社会的に解決しないといけない大問題としての貧困はこの国にはないと思います」(竹中平蔵慶応大学教授・朝日新聞06年6月16日付) 小泉改革の推進者と安倍元首相が口を揃えて、日本には貧困など存在しないと発言した。しかし、実はその真っ最中に、ワーキングプアや派遣労働の問題が起きて、大きな歪みと格差が生まれていたのだ。 規制緩和路線と金融改革で労働者の暮らしが破壊されて、ますます生活が苦しくなっていく実態が、前述のお二人にはわかっていなかったようだ。
また最近、次のような不条理な裁判の判決もあった。 本年の12月18日、最高裁第二小法廷は、パナソニックの子会社で働いていた元請負会社社員Y氏が、同社に直接雇用の義務があることの確認などを求めた裁判で、その請求を棄却した。 この会社は「パナソニックプラズマデイズプレイ」という旧松下系で、Y氏がこの工場で作業に従事していた際、プラズマ社の指揮命令下にあり、実態は請負ではなく派遣労働だったとして、労働者派遣法違反の「派遣労働」と認定した。しかし、擬装請負ではあっても、請負会社との雇用契約は有効で、プラズマ社との雇用契約が成立していたとはいえないとした。 一方で、Y氏が擬装請負を労働局に告発したことで、プラズマ社はY氏に対して、他の社員と隔離して、必要のない作業を強制するなど報復行為をおこなったとして、90万円の慰謝料を支払うように求めた。 二審では認められたプラズマ社とY氏の労働契約は、今回の最終審では認められなかった。この裁判の指し示すところは、簡単にいうと派遣労働でいくら頑張って働いても正社員になる道はまったくゼロになったということだ。 企業から使い捨て労働者として、死ぬまで働かされるという構図を司法の最高裁が認定して、お墨付きを与えたのだ。これでは鳩山政権が掲げる“友愛”精神に基づく弱者救済ではなく、ますます貧富の差が拡大して、歪みのある社会になってしまう。 これは米国の新自由主義経済路線を推進した結果だとよくいわれるが、
米国では、07年のサブプライムショックによって家をなくして、路上生活者になった人も多いが、最低限の生活はおくれるようないくつものセーフティネットが張られている。 それは、NPOであり教会であり、民間の非営利団体が手厚くサポートしているのである。 こう語るのは、米国ハーバード大学のM・アベ教授である。確かに、サブプライショックで家の差し押さえ件数が急増したが、何とか高金利ローンで購入した終の棲家を失わないように支援する団体によって、救済されたケースも多いと聞く。 オバマ政権になって政府が積極的に支援策を探る中で、大手金融機関のバンク・オブ・アメリカは、全米で40万軒の住宅ローンの支払い分(元金と利息を含む)を最大84億ドル減らすこと、また債務不履行で差し押さえられる羽目になった住宅所有者に合計2億ドル以上の支援をすることなどの救済策を発表している。 サブプライム問題のお先棒を担いだと批判される金融機関だが、一転救済策への積極的な転換も、誤りを認めず何でもその場で取り繕おうとする日本とは違い、評価してもよいところだ。 前述のアベ教授が続けて語る。 日本では、生活保護を申請する場合には、家族の所得まで念入りに調査される。また、病気で働くことが困難な人にも就労をすすめて、なかなか申請書も渡してくれない場合も多い。数年前に、生活保護の申請を窓口で拒否されて餓死した人がいたが、こんなことは弱肉強食社会の米国でもありえないことなのだ。
確かに米国は市場主義優先で、貧富の格差が日本の何百倍も大きいが、その一方で市場主義とはかけ離れたNPOが大きな力を持って、福祉サービスの分野で政府の代役を担っている。 また、米国には非情な首切り社会のイメージがあるが、実は厳しい雇用差別禁止法があるので、前述の裁判で明らかにされた、日本企業がやっているような乱暴な首切りや不当労働行為をすれば、不当解雇で訴えられてばく大な賠償金を請求される。 一般的な日本人は、米国の弱肉強食部分だけを見て判断しているが、本当はセーフティネットをきちんと張り巡らせた上で激しい競争をおこなっているのだから、そういう国民性だと理解してもよいだろう。 しかし日本の場合は、セーフティネットは不十分で、ところどころ破れている状態で、ムチを持ったサーカス団の団長に、無理矢理空中ブランコをやらされているようなものだ。 とするならば、日本は世界でいちばん危なくリスクの高い、そして冷たい国であるといえるのである。いま日本のとるべき道は、米国の弱肉強食部分だけを模倣するのではなく、弱者救済のシステムもきちんと学んで取り入れることなのだ。 参考資料:『SAPIO』09年10月14・21日号、『世界で一番冷たい格差の国 日本』(光文社ペーパーバックス) PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
trackback |
トラックバックURL |
忍者ブログ [PR] |