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2009 11,21 09:00 |
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【日本株週間展望】下落、3つの不安で試練の年末-企業の質見極め 11月第4週(24-27日)の日本株相場は、下落傾向が続きそう。発足2カ月が過ぎた鳩山政権の経済、外交政策への不透明感が広がる中、企業の相次ぐ増資発表が新規マネーの流入に乏しい株式需給を崩している。円高への警戒も根強く、「政治」「需給」「為替」の3つの不安を抱え師走の到来を待つ。 11月上旬に欧米に出張したメリルリンチ日本証券の菊地正俊株式ストラテジストによると、「日本株へ弱気の投資家が約9割」との印象で、弱気の理由に「景気や業績の問題より、民主党の反企業的な政策や日本企業の資本コストを無視した増資ラッシュなどを挙げる向きが多かった」という。 米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのファンドマネジャー調査では、今後1年間に日本株をオーバーウエートしたい投資家の比率(アンダーウエート比率を引いたネット)は11月にマイナス27%と前月のマイナス20%から悪化、弱気度が2002年11月の水準まで高まった。ヘッジファンドやミューチュアルファンドの決算接近で海外勢の動きが鈍る季節とはいえ、日本株売買代金の依然5割以上を占める外国人投資家の日本株への冷めた目は騰落格差が顕著に示す。 11月月初から19日までの89ある世界の主要株価指数の推移(円ベース)を見ると、中国の上海総合指数が9.5%上昇、ブラジルのボベスパ指数が8.6%高、独DAX指数が5.5%高、英FT100指数が4.5%高、米S&P500種株価指数が4.4%高など、全体の7割に当たる63指数が上昇。これに対し日本のTOPIXは6.4%安とエジプト、クウェートなどに次ぐワースト6位だ。 興味のある方は、"つづきはこちらです"をクリック!
鳩山政権の政策は子供手当て、製造業への派遣禁止、温暖化ガス排出規制の強化など生活者にやさしく、企業に負担増を強いる内容が多いと当初から認識されてきたが、発足後に浮上した中小企業の債務返済猶予策は金融機関の収益に打撃を与えると警戒され、銀行株が急落。さらに日本航空の経営再建、予算編成、在日米軍基地の移設など理想と現実のギャップが大きい難題に手探りの状況が続き、政権発足2カ月でTOPIXは7.6%(終値ベース)下げた。 米国ではよく、政権交代後100日間はメディアも批判を避け、政策遂行を暖かく見守るハネムーン期間と言われる。1月に誕生した米オバマ政権は、世界的金融危機の事後処理に追われる中でこれをほぼ横ばいで乗り切り、その後医療制度改革などでやや人気を落としたものの、足元のS&P500指数は年初来高値圏だ。 メリル調査にある日本株の不人気が前回深刻だった7年前、自身所属の自民党を壊すと吠えた小泉政権が誕生した。構造改革路線でその後海外勢に高い評価を受けた同政権だが、発足当初はITバブル崩壊や米同時テロ、大手スーパーのマイカル破たん、銀行の不良債権問題に追われ、誕生3カ月でTOPIXは12%下落。その後、りそな銀行が実質国有化される03年春まで右肩下がりを続けた。 BNPパリバ証券の株式派生商品営業部の平塚基巳部長は、政策面で「リスクマネーを入れられるかが焦点だが、事業仕分けを見ても守りの中での逐次撤退という印象で、このテーマなら買えるというものが見当たらない」と指摘。日航問題、日米関係など不確実性も増え、「株式投資の際の割引率を上げざるを得ない」と言う。年末にも終わる鳩山政権のハネムーン期間、産みの苦しみは続きそうな気配だ。
世界景気の回復、経営効率化の徹底から09年度上期決算で国内企業業績の改善傾向を確認、7-9月期国内総生産(GDP)も前期比年率4.8%増と、米国の3.5%増、ユーロ圏の0.4%増をしのいだが、企業は先行きを慎重に見て自己防衛の姿勢を強めている。11月に入りNECや日本郵船、三井化学、日立製作所、東京建物、三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手企業が相次ぎ公募増資を発表、これら企業が相場全体の下げを主導する日が目立った。 「売買代金の低調、3月から横ばいの株価指数と新たなリスクマネーが入っていない中での増資で、吸収先がなく、株価は希薄化懸念で下げている。需給面で年内は厳しい」と、BNPパリバの平塚氏。調達資金は一部借入金返済などに充当されるケースも見られ、年末への駆け込み需要に市場の警戒心理は募るばかりだ。
さらに世界的にも、政策効果が切れた後の景気の先行きは警戒されるところ。こうした不安材料をくぐり抜けるには、成長力の高い新興国需要を吸収して確実な成長が期待でき、キャッシュフローも潤沢な優良銘柄への選別投資が求められる。 米モルガン・スタンレーのロンドン在勤ストラテジスト、グラハム・セッカー氏は「クオリティ」「バリュー」「成長」の各要因に基づくロング・ショート戦略の今年の累積リターンを見た場合、これまではバリュー要因が他を圧倒したと指摘。「これは景気回復の初期段階に典型的な現象。回復が成熟化し、成長が鈍化するにつれ、2004年のようにクオリティ要因や成長要因から妙味のある株式へのローテーションが見られるようになる」と予測する。 大和証券SMBC金融証券研究所では10月、グローバルな投資資金が日本株を見る目は「アジア・パシフィックの中で日本株が買えるのか」を重視する方向にあるとし、アジアの中で成長できる企業としてトヨタ自動車やホンダ、スズキ、ブリヂストン、ダイキン工業、コマツ、日本製鋼所、東芝、ファナック、クボタ、日揮、テルモ、資生堂、ユニチャーム、三菱商事、三井物産などを挙げていた。 第4週の日本株相場に影響を与えそうな材料は、国内では27日に10月の労働力調査と家計調査、全国消費者物価の発表があり、米国では24日に7-9月期のGDP改定値、11月の消費者信頼感指数、25日に10月の個人所得・支出、新築住宅販売などが公表予定だ。
●立花証券の平野憲一執行役員 「大きな変化は見込めず、下値模索の展開が予想される。日経平均が200日移動平均線をサポートラインとして下げ止まるかが焦点。
「自律反発を予想。世界景気は順調に回復、日本経済も回復基調にあることは間違いない。6月高値の信用取引の期日整理は前倒しで進み、騰落レシオなどテクニカル指標も売られ過ぎを示す。08年のリーマン破たん後の週足の動きを見ると、同年10月安値の7162円を起点としておよそ20週で09年3月安値、その後19週で7月高値となった。リズム面からは11月4週か12月1週が底になりやすい」
「『山より大きな猪は出ない』という相場格言がある。需給悪化や円高懸念、政府によるデフレ宣言など、相場環境は悪材料で山積みだが、出尽くした感がある。複数のテクニカル指標は「買い」を示唆し、直近で下げのきつかった新興市場は下げ止まっている。海外ヘッジファンドの決算もそろそろ一巡しそう。世界各国の政府は景気対策を続けることで足並みをそろえており、相場はひとまず自律反発に向ってもおかしくはない」
「TOPIXの騰落レシオは20日も60%台で、3日連続の売られ過ぎとなった。10月の下落局面では60%割れが5営業日続いたが、相場が底打ちしたのは2日目。20日の日足チャートは陽線で、反発の準備は完了した。自律反発期待からTOPIXは強含むだろう。トヨタ、キヤノン、東京エレクトロンなどの優良銘柄は10月の安値を下回っておらず、足元でも堅調だ。中期視点から買いを入れたい」 記事:東京 院去 信太郎 Shintaro Inkyo PR |
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